Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

坂倉準三展@神奈川県立近代美術館 鎌倉

見学記

昨年までの教え子たちに誘われて、鎌倉の神奈川県立近代美術館の「坂倉準三展」に出掛けて参りました。 坂倉準三の軌跡 学生時代に坂倉事務所にアルバイトに行ったことがあり、建築史の教科書や雑誌を通して勝手に親近感を持っていた、偉大な建築家の展覧会です。

 ある程度は知っているツモリでいた彼の活躍振りですが、改めて回顧展として拝見して、その活躍の場の広さと量、質の高さに圧倒されてしまいました。 複雑に建物が重なり合った渋谷駅の構想、新宿駅前広場のモニュメンタルな構造、パリ万国博覧会の詳細な模型や、彼の手書きの図面は、見ていると彼の息吹が感じられるようで、何時までも飽きませんでした。

神奈川県立近代美術館 鎌倉 そしてその展示会の会場、この神奈川県立近代美術館-鎌倉の建物が、坂倉氏の設計であることも、展示が素晴らしく感じた要因だったのでしょう。 二階の濃密な展示を見た後、一階の池と庭へと開放された広場で、風に吹かれながら学生たちと展示の感想をおしゃべりすることが、とても幸せに感じるひと時でした。 展示会に誘ってくれた学生さんたち、どうもありがとうございました。

幼稚園増築園舎の見学会

見学記

仲良しの建築家・須田充洋氏の設計事務所SUDA設計室が設計した幼稚園園舎増築の見学会(オープンハウス)に伺ってまいりました。大船駅から車で10分ほど離れた、のどかな田んぼと住宅がちょうど具合良く混ざった場所にこの幼稚園はあります。道路からは古い園舎しか見えませんが、裏手に周ると、遊具が並んだ園庭に正対するように、増築部分が建っていました。完成一歩手前の段階でしたが、まずは外構の豊かさには驚きました。
大きく出っ張った光を透過する屋根の下には、屋根以上の大きさのウッドデッキが張られています。デッキも単なる平面ではなく、ある箇所は階段状に掘り込まれ、砂場も埋め込まれ、手洗いや靴収納がパラパラと配置されています。しかし一番のクライマックスは写真の水溜りプールでしょう。暑い日にこのプールに水を貯めれば、子どもではなく大人でも遊びたくなるようなデザインになっていました。

園庭のプール

園舎内部はすっかり安定したSUDA設計事務所の仕様となっていました。無垢材のフローリングに、AEP塗装壁、シナ合板目透かし張りの天井に、シナランバーコアOSの造作家具の内装です。二つの部屋がどらからでも開閉できる工夫や、造作家具はいつも通り緻密に工夫が凝らされていましたが、教室の裏にある薪ストーブコーナーは、幼稚園では新しい試みではないでしょうか。火を使う楽しさと、裏あわせの危険、そんな重要なことをこの場所で学ぶことが出来そうです。

増築幼稚園園舎のインテリア

(まだ本当は完成はしておりませんが…)「無事の完成、おめでとうございます!」

床暖房と三層フローリング

白金台S邸

白金台の高級マンションリノベーションの現場は、設計者がお盆休みを満喫していた間も、着実に進んでいます。ちょうどお盆前までに、床暖房の敷設が終了いたしました。

今回採用したのは、リノベーション前から使われていた、東京ガスのTESシステムです。TESはパネル方式の敷設なので、細かい部分の融通が利かない、不便もありますが、工事時間の短縮と、システムの簡略化を目指しての採用です。

マンションリフォーム 床暖房

因みに、新設の床暖房では、手間は掛かりますが、架橋ポリエチレンパイプと発泡スチロールの組み合わせの床暖システムを使うケースが多いです。この方法であれば、細かい部分にも床暖房が敷設できる便利さがありますが、同時に時間が掛かるので今回は採用できませんでした。

特注のパネルの製作も意外と簡単かつ安価に出来るのですが、既成のパネルをきちんとレイアウトした方が、やはり簡易で安価なので、その方針で進めました。広いリビングなので、壁付けのコンセントだけでは不足なので、床付けコンセントも使うことになり、その位置を上手く避けながら、パネルレイアウトを行いました。

お盆があけて、フローリング張りが開始されました。張るに当たっては、何を基準にどの位置から張り始めるのか、
そしてどのくらいずつずらしながら張るのかを、工務店の現場担当者の樋口さんと打ち合わせました。

基準ラインは、広いリビングに取るのではなく、玄関入って直ぐの玄関ホールに取ることとしました。広い部屋では気にならない半端寸法でも、狭い部屋では気になってくるので、このように指定しました。また、ずらし方も無駄が少ない1/3方式としています。

マンションリフォーム 三層フローリング張り

フローリングは、スカンジナビアンフローリングの三層フローリングです。低温床暖房との相性が良く、精度も高く、何よりも広幅で美しいので、最近の事務所の定番となっています。

189ミリの広幅は、広いリビングをより広く見せ、厚さ4ミリのオーク(ナラ)無節の表面材は、無垢といってもおかしくない重厚な仕上げ感です。仕上げもホワイトオイルとなっているので、一般的なウレタン仕上と比較すると、肌触りも自然な感じで、とても美しい仕上げです。

ちょうど本日から張り始めとなりましたが、大工さんたちももフローリングの精度の良さには、感心しているようでした。