Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

造作家具-3 本棚と机がからんだ書斎家具

白金台S邸

港区のマンションリノベーションの現場報告です。今回のリノベーションの一つの見せ場でもある、書斎の造作家具の組み立て情況です。

リノベーション前には、長い廊下に面した、細長くて暗い部屋だった部分ですが、廊下との壁を取り去り、廊下も取り込んだ、大きな書斎へと作り変えています。かつての廊下と部屋の間は、所々に適度な隙間を空けた本棚で仕切っています。

作り付け本棚

廊下に面して、両側に本棚が7本あり、書斎側には、本棚が10本付いていることになります。以前にお住まいだった住宅の本と、ご主人さまが仕事場に置いていた本を全て持ってきても、まだ余る計算の大容量本棚です。

造作本棚

ただ本棚を並べただけでは、空間が単調になってしまうので、作り付けの机と本棚を絡めてデザインしています。机の延長した部分が本棚の棚板になったり、机の一部が欠けた箇所に、本棚が入り込んで、一種のパズルのような組み立て方になっています。

また、本棚の一部も奥行きを深くして、来客が腰掛けるベンチを作ったり、上部の使いにくい棚には、間接照明も仕込んでみました。この写真は完成後のものです。

小さな場所で、沢山の家具が複雑に絡む工事を、慎重に進めてくれた職人さんたちに感謝です。

ナゾの棒の正体は?ミニロフトの工夫-1

伊豆OK別荘

伊豆の中古別荘リフォームのデザインの工夫の紹介です。

のぼり壁の工夫

写真の床に転がっているナゾの棒、長さはマチマチで、太さも途中で削ってあり、太い部分と細い部分があります。テレビの某劇的リフォーム番組であれば、ここで匠(タクミ)が登場して、棒を削りだして、プログラムの最後まで、その正体を明かさないのでしょう。ここは普通のブログですから、もったいぶらずに説明いたします。

登り壁の工夫

この写真で、スタッフの岸本さんが登っている壁の取っ掛かりが、この棒の正体なのです。子どもたちが登れる、ミニロフトを設けましたが、そのロフトへの登る一つの方法が、この「登り壁」です。ランダムな配置で、ランダムな長さ、子どもたちが自分の身長や体力に合わせて、どの棒に捕まって、或いは足を掛けるのかを判断しながら自力で登ってもらう、そんなイメージの壁です。大人にとってはリラックスしたい別荘も、子どもにとっては体力が有り余って、動き回りたくなることが多いようです。こんな工夫があれば、雨の日でも、子どもたちは退屈しません。

上り壁の詳細

デザインとしてスケッチを書いたり、ランダムな配置をレイアウトするのは、設計上、とても簡単な作業です。しかし、体重30キロを超える子どもたちが、登ったり降りたりする荷重を支え、しかもレッドシダー張りの壁に金物は見せたくない、そんな工法的な問題を、大工の棟梁と相談しながら、取り付けの工夫を考えました。レッドシダーの裏側に、合板を二枚張りにして、表と真ん中の一枚には棒の直径に合わせた穴を空けておいて貰う。
その穴の位置に合わせて、棒を設置し、最後に裏側から閉じた合板をビスでしっかりとめる、そんな方法でこの棒をきれいに固定して貰いました。棟梁の佐々木さん、きれいな納まりで作ってくれて、どうもありがとうございました!

増築玄関のデザインの意図

伊豆OK別荘

伊東の別荘デザインリフォーム現場もいよいよ終盤に差し掛かって参りました。以前のコラム別荘の新しい玄関の考え方でも書いたとおり、かつては建物下部のピロティーから、急勾配で上がっていた玄関を、年配のオーナー夫妻のために、外部に緩やかな勾配の階段とこじんまりとした玄関ホールを増築することになっています。古い別荘に対して、新しい要素が加わるので、デザイン的には全く別の構成要素が取り付くイメージとしています。

増築玄関

階段の箇所の上部には、既存の押入れが出っ張ってきているので、それを避けるように、階段が少し歪むことをデザイン要素として取り上げています。外側に歪んだ形となったことで、上手く人を招き入れるデザインになったのではと自負しています。古い別荘の外観は、ベージュが風化したような色なので、この玄関部分の色合いは、全く変えてダークグリーンとしました。

緑の板金張りの増築玄関

緑の植栽の中に埋もれた箇所であることと、緑の中を通り抜けて、新しく生まれ変わったインテリア空間に入ってゆくイメージで、この色を選びました。鋼板の張り方も、普通の葺き方ではなく、板金屋さんの技術が必要な一文字葺きとしました。増築部分が一つの塊に見えるようにするためです。