Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

特注建具の吊り込み

白金台S邸

白金台のマンションリフォームに、いよいよ建具が吊り込まれ始めました。まずは、玄関を入って直ぐの玄関ホールから、リビングへと導く箇所の建具です。何といっても、一番最初に目に入る建具なので、この扉に求められた条件は、

  • マンションインテリアに合わせて、シンプルモダンであること
  • 同時にある程度の重厚感があること
  • 閉じた時も開けた時も、サマになっていること
  • 暗めの玄関への明り取りも兼ねていること

等でした。

建具のリフォーム

開いている時でも、閉まった時でもサマになるように、ヒンジはフロアーヒンジを使っています。フロアヒンジは、床下に大きな仕組みを埋め込み、天井にピボットの芯となる金具を仕込みますが、どちらも上手くカバーすれば、複雑な機構を全て隠すことができるからです。

シンプルモダンでありながら、重厚感を持たせるデザインを実現させることが、一番の苦労でした。面材には他の造作家具にも使ったオニグルミを採用していますが、家具では薄い突き板のところを、厚み6ミリほどの無垢板を貼りこんでいます。通常は、板材の厚みを表現するために、板と板の接合部をV字目地にしたいところですが、すっきりと見せるために、あえて他と揃えるように突き付けとしています。

高級感と重厚感を明かり演出するために、明かり取りと引き手を兼ねた特注の金物を作りました。上部は強化ガラスをはめ込んで明かり取りとなり、下部は、写真のように引き手となった金物です。

スチールのフラットバーを組み合わせた金物に、濃い茶色の焼き付け塗装を施して、建具と組み合わせて貰いました。普通のドアハンドルやレバーのように、出っ張る部分が無いので、閉じた時でも開けた時でもフラットでシンプルに納めることができました。

他の建具も続々と取り付けが始まっています。

冷たい浴室床をコルクタイル張りリフォーム

白金台S邸

白金台のマンションリノベーションでは、リフォームはデザイン面だけでなく、機能的なグレードアップ工事も行っています。高級マンションでありがちなのが、床に大理石を多用することです。照明が壁が床に移りこんで、見た目にとても豪華で、目を奪われてしまうようです。

夏には冷たくて気持ちよい大理石床ですが、冬にはヒヤリとして、お年寄りや体の弱い方が、心臓発作を起こす原因にもなります。欧米では、石の床にこそ床暖房を行い、元々保温性能のある木材のフローリングには、床暖房を施さないのが普通なのです。ガラス製品や陶器を石の床に落としてしまうと、パリンと割れてしまうのも問題ですね。

このマンションリノベーションのお施主様は、外国暮らしも長いですが、やはりゆったりとお風呂に入れる日本に戻りたいとの決意で、日本に戻ってきた方なので、お風呂へのこだわりは強いものがありました。

洗面と浴室の床が大理石であることを何とかして欲しいといわれて探したのが、今回張りこんでいる浴室床用コルクタイルです。実は高年齢者が使うプールサイドや、大浴場の洗い場で、どなたかが転んで、怪我しては一大事なので、幾つかのメーカーから浴室用コルクが発売されています。

しかし、普及しているコルクは、耐水性を確保するために、コルク自体を燻製にしているため、色が濃い黒色で、臭いも強い燻製薫がします。色々と当たって見つけ、今回採用したのはラティンター社のコルクタイルです。製品の特徴としては、

  • 色味が温かく、幾種類かの色から選べる
  • ほぼ臭いがない
  • 感触が優しく保温性があり ヒンヤリする冷たさが軽減できる
  • 滑りにくく、弾力性がり、年寄りでも安心できる
  • 柔らかい素材なので転んでも怪我をしにくい
  • 高い耐水性を有する

排水の目皿の位置と、入り口を基準に目地割をして、どのように張るか相談した後、張ってゆきます。伸縮があるため、どうしても目地を大きくとる必要があり、それだけが気に入らない点ですが、これで冬も寒くなることはないでしょう。

洗面・脱衣室にも、同じ色で厚みが薄いコルクタイルを張りました。こちらは目地なしの突き付けでの施工が可能です。

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こちらが竣工後の浴室の様子出です。新しく張ったコルクタイルも全く違和感なく溶け込んでくれました。
完成後の白金台S邸の写真もご覧ください。

登って降りての回遊性 ミニロフトの工夫-2

伊豆OK別荘

子どもたちが遊べる別荘リフォームの工夫の紹介、第二弾です。先日書いたミニロフトの工夫-1で、ミニロフトへの登り壁の工夫を紹介しました。実はこのミニロフトへは、もう一つ登る(下る?)手段があります。

回遊性のあるロフト

それがこの正面に見えるすべり棒です。手で棒に掴まって、足を突っ張りながら登る棒は、同時にロフトから降りる際に消防士さんたちのように滑って降りることができます。登り壁から登って、すべり棒で降りる。この回遊性が生まれることで、上り下りの工夫や、速さの競争、或いは追いかけっこといった、遊びのアイデアが生まれてくるようです。

先日、初めてお孫さんと一緒に行かれたお施主様から、写真と一緒に嬉しいご報告を受けました。お孫さんたちは、あまりに楽しいロフトで、ずっと遊び続けたそうで、「東京の家を引っ越して、この伊東の別荘に移り住みたい!」と言ってくださったそうです。

設計者冥利に尽きる言葉で、担当の笠原君共々、本当に嬉しかったです。