Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

キッチンリフォームの天井と床 広尾マンションリフォーム-04

広尾H邸

広尾の高級マンションリフォームもキッチンの天井と床が仕上がりつつあります。レンジフードを取り付ける壁が、
上階から排水管との取り合いで、下り壁を作ることになり、レンジフードとの難しい取り合いディテールが生じました。火災予防条例により「ガスコンロ等の調理器具との距離を、1メートル以上離して使用しなければならない」
という決まりがあるのです。床の位置から90センチでガスレンジの高さが決まり、そこから逆算してレンジフードの取り付け高さも自動的に決まってくるのですが、思わぬ下り壁が出てきたことで、レンジフードの一部を下り壁の内部に埋め込むことになりました。
といっても将来のメンテナンスや、レンジフードの取替えのことも考えて、下り壁の正面の幕板の一部をビス留めとし、将来取り外しが可能な方式としています。

レンジフードの取付け

キッチンの床材は、お施主様の強いご希望で、色の濃いブビンガの無垢材フローリングとしています。従来はコルク張りだった床を、フローリングに変更するに際し、下階への音の伝わりを考慮し、下地として防音材を敷き詰めることになりました。この防音材の厚み分だけ、他の部屋より高くなってしまうので、中央ホールと、リビングからキッチンへ繋がる部分に、緩やかなスロープを設けました。約80センチの幅で2センチほどの勾配なので、実際に出来上がれば、ほとんど気が付かない部分ですが、設計・施工側では相当の注意が必要です。

こちらの写真が、中央ホールとキッチンの間のスロープ部分です。段差の部分には、キッチンの側板がくるので、段差に生じる三角形の形は見えなくなります。これらのように細かい取り合いを、現場と相談しながら少しずつ解決しながら、マンションリフォームの完成へとスケジュールが進んでゆきます。

二種類の対照的なフローリング

新築住宅

三世帯住宅の大田区N邸の現場には、二種類の対照的なフローリングが使われています。二階に住む息子さん夫婦は、無垢・無塗装の杉板フローリングを選びました。

杉板フローリング

子供が三人いらっしゃるので、転んでも柔らかくて怪我がないことや、床暖房がなくても良いくらい暖かいこと(厚みが3センチ!)、そして何より、優しい無垢杉板の触感が気に入られたことが選択の理由です。柔らかいことは、傷つきやすいことにつながり、湿気の影響を受けて、伸び縮みも激しいことなど、デメリットもありますが、それ以上に以前から無垢、無塗装のフローリングにあこがれていらっしゃったことが、一番の決め手だったようです。

ナラフローリング

それに対して、一階に住まわれる親世帯は、同じ無垢でも、ナラの塗装フローリングを選ばれました。フローリングの定番ともいえるナラ材の安心感と、湿気で伸び縮みしにくい寸法の安定性、それに掃除も楽なしっかりとしたウレタン塗装が気に入られたようです。こちらは、あまりにきちんとした塗装なので、
無垢材の柔らかさが、足裏に感じられないことや、金額的にもそれなりの価格がしてしまうなど、難しい面もありましたが、トールペインティングの教室を計画しているので、ペンキが床にこぼれた時の拭きやすさや、しっかりとした仕上がり感が良かったようです。
同じ無垢材でも、とても対照的にフローリング、やはり仲の良い家族でも、自分たちの住まい方を真剣に考えると、これだけの違いが出てくるのですね。因みにフローリング張りの工事をしているのも、一階が大工の親方で、二階が親方の息子さんで、こちらも親子で苦労してくれているようです。

英語雑誌「Metropolis」に掲載されています

ニュース

日本における英語雑誌のナンバーワンである(と広告されている)「METROPOLIS(メトロポリス)」の今週(10月3日)号に、私、Kenji KAGAMI(各務謙司)が見開き一面で紹介されています。記事は経歴の紹介、インタビュー形式の記事といくつかの写真から構成されています。帰国子女(中学生でカナダ)で、米国の大学院(ハーバード大学)への留学、そしてニューヨークの高級住宅専門の設計事務所Cicognanai Kalla Architectsでの勤務経験まで、丁寧に取り上げて貰っています。

インタービューの内容は

  • 建築のどんなところに興味があるのか?
  • 最近のリノベーション事例について
  • どのようなスケジュールでリフォーム設計をしているのか
  • その際の設計料について

など等、色々と細かい部分にまで英語で答えています。

このように大きく取り上げて貰った理由は、日本には英語が喋れる建築家の数が、少ないからだろうと思っています。実際には、英語圏に留学した学生や、海外で仕事をした経験のある建築家は、それなりにいると思うのですが、皆大きな事務所やゼネコンに勤務している人が多いのではないでしょうか。僕らの事務所カガミ・デザインリフォームのような形でマンションリフォーム・リノベーションや住宅、別荘リフォームに特化し、かつ英語がある程度話せる設計事務所・建築家があまり見当たらないことから、このような形で取り上げて貰ったことに繋がっていると思っています。

最近の仕事では、英語で作業を進めるタイプの仕事も増えており、おそらく四分の一程度は、そのようなスタイルになってきています。取り上げられている建築の写真は、「箱根C別荘」と「麻布MT邸」です。