Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

柱を抜いた3つの理由 軽井沢中古別荘リフォーム-06

軽井沢Y邸

ダイニング・キッチンとリビングの間の壁を撤去し、梁を支えていた柱を取り外しました。その代りに、構造的な検証をして、既存の梁の両側からサンドイッチ状の鉄骨梁で補強しています。

補強中

因みに上の写真が補強工事中で、灰色の鉄骨梁が床に転がっており、柱もまだ残っている状態です。下の写真が補強工事後の様子です。

鉄骨梁で補強工事

本来、このような住宅の基本構造をいじる事は、あまり好きではないのですが、今回は以下の3つの理由から構造の変更に踏み切りました。

  1. 柱がなくなることで、空間的なメリットが相当にあること。
  2. 筋交いとの絡みがなく、構造的なバランスが崩れないこと。
  3. 全体的な構造強度を上げる工事と一緒に考えられること。

鉄の補強材と木材はそれぞれ基本的性質が違うのですが、今回のようにサンドイッチ方式で、両者を上手く縫い合わせると、その相性も良くなるのです。途中の予算調整の段階では、一度柱を抜く事を断念したのですが、後々の使い勝手や空間の繋がりを考え、何とかお施主様にお願いしたという経緯があります。
結果ですか?補強工事もとても丁寧で心配は無く、後日お見せできると思いますが、空間の広がりも予想以上で、とても快適になりました。

リフォームコンクール優秀賞受賞! お茶室リフォーム-17

お茶室リフォーム

ずっとこのシリーズで掲載してきた高輪・S邸茶室のリフォームが、財団法人リフォーム・紛争処理支援センター主宰の第23回すまいのリフォームコンクールで優秀賞(居室部門)を受賞いたしました。お施主さまのS夫妻、そして施工を担当した小宮工務店の伊藤さん、どうもありがとうございました。

リフォームコンクール優秀賞受賞

これまで、住宅やリフォームの設計は、お施主様が満足してくだされば、それ以上何も必要ないと思っていました。しかし、日本のリフォームの現状を知れば知るほど、まだ日本にはリフォームという文化が根付いていないことが実感できました。床や壁紙を貼り替えたりする模様替え的なリフォームと、間取りや使い勝手にまで踏み込んだデザインリフォームが、同じ土俵で語られている現状には、問題があると思っています。

このコンクールに毎年応募する事で、自分達なりのリフォームの考え方を世に訴えかけてきた積りですので、この受賞は何よりの励みになります。これからも「建築士が真剣に取り組むリフォーム」をモットーに頑張ってゆきたいと思いますので、応援の程、どうぞ宜しくお願い致します。

スケルトンリフォーム 軽井沢中古別荘リフォーム-05

軽井沢Y邸

 

軽井沢のY山荘もようやく工務店が決定し、解体工事も始まりようやく一段落してきました。僕らも久しぶりの現場でしたが、山荘に入って、構造だけが純粋に残された、骨組みだけの清々しい姿にしばし絶句です。以前は壁や床、天井を剥しながら確認した構造を担う骨組みが、ここまで露になっていると、屋根の荷重(かじゅう)が各部材をどのように伝わりながら基礎に伝わってゆくかが、目に見えるようです。デッキからの光が奥まで入り込み、窓を開けると風が通り抜ける空間は素晴らしいもので、お寺の内部空間を想像させますね。

この古びた、こじんまりした姿をお施主様が気に入って、リフォーム後も保存して再使用することになっているトイレの扉がポツンと残されてます。ただ、この素晴らしさは、冬になると寒さに、地震があると弱さに繋がりますので、今回の工事では壁の中に、空気の流れを損なわないように断熱材を入れ、その上から構造用合板でしっかりと留め付け、構造補強の役割を持たせます。

スケルトン状態の中古別荘

古い別荘をリフォームするには、これくらいまで構造を露出させ、建物の根本から手を入れてゆく必要があるのです。