Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

キッチンカウンターの高さの算出法

白金台K邸

これまでの経験で、キッチンが古くなった、或いは使い勝手が悪くなったという事が、直接のリフォームのきっかけとなる例は結構多いようです。今回ご紹介するのは、キッチンカウンターの高さが合わず、調理の際に腰が辛くなってきたというお話からキッチンをリフォームした事例です。

二段カウンターのキッチンリフォーム

昔のキッチンカウンターは80センチの高さが多かったようですが、現在は以下の計算で最適の高さを求める事が一般的です。
(身長÷2)+5=最適のカウンター高さ(センチ)

ただ、ここには小さな罠があるので注意が必要です。

  • 普段スリッパを履くか履かないかで1.5センチの差があることと、
  • レンジの五徳の高さも製品によって2センチ程度の差があること、

を忘れがちなのです。

また、洗い物をするシンクカウンターは、シンクの深さを考えると高いほうが良く、レンジカウンターは鍋の高さを考えるとちょっと低めの方が使いやすいというジレンマもあるのです。そこで考えたのが、この2段カウンターです。シンク側は90センチと高く、清潔感のある白いカウンターとし、レンジ側は5センチ低めに押さえ、機能的で熱で痛んでも目立たない黒のカウンターとしました。

白黒カウンターキッチン

お施主様からは使いやすいと大好評です。L字型のレイアウトならではの解決策でしたが、これもリフォームキッチンの醍醐味でした。

別荘にダウンジャケット? 軽井沢中古別荘リフォーム-07

軽井沢Y邸

軽井沢で現在リフォーム中の別荘の現場紹介です。11月後半になると、さすがに東京も寒くなりますが、軽井沢の山間部では既に雪もチラホラしてきました。人間は寒くなれば、ダウンジャケットや羽毛布団を羽織りたくなりますね。どちらも軽くてホワホワしているのに、暖かく感じますが、実はこの暖かさの正体は、空気なのです。羽毛の中に細かく閉じ込められた空気が、熱の伝わりを妨げる事で、体温が外に逃げるのを妨げてくれているのです。

別荘断熱工事中

これを別荘に置き換えると、まさに断熱材になります。写真のように、壁の中にしっかりと詰められた断熱材(今回はオーソドックスなグラスウールを採用しています)は、羽毛のように壁の内部に空気を抱え込み、外の寒さからしっかり室内を守ってくれるのです。

構造補強を兼ねた合板の裏だけでなく、床下や天井裏にもびっしり断熱材が敷き込まれ、まるで家がダウンジャケットで包まれたような仕組みになっているのです。

柱を抜いた3つの理由 軽井沢中古別荘リフォーム-06

軽井沢Y邸

ダイニング・キッチンとリビングの間の壁を撤去し、梁を支えていた柱を取り外しました。その代りに、構造的な検証をして、既存の梁の両側からサンドイッチ状の鉄骨梁で補強しています。

補強中

因みに上の写真が補強工事中で、灰色の鉄骨梁が床に転がっており、柱もまだ残っている状態です。下の写真が補強工事後の様子です。

鉄骨梁で補強工事

本来、このような住宅の基本構造をいじる事は、あまり好きではないのですが、今回は以下の3つの理由から構造の変更に踏み切りました。

  1. 柱がなくなることで、空間的なメリットが相当にあること。
  2. 筋交いとの絡みがなく、構造的なバランスが崩れないこと。
  3. 全体的な構造強度を上げる工事と一緒に考えられること。

鉄の補強材と木材はそれぞれ基本的性質が違うのですが、今回のようにサンドイッチ方式で、両者を上手く縫い合わせると、その相性も良くなるのです。途中の予算調整の段階では、一度柱を抜く事を断念したのですが、後々の使い勝手や空間の繋がりを考え、何とかお施主様にお願いしたという経緯があります。
結果ですか?補強工事もとても丁寧で心配は無く、後日お見せできると思いますが、空間の広がりも予想以上で、とても快適になりました。