Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

高級マンションリフォームの内装材の決め方-2

渋谷R邸

高級高層マンションリフォームの渋谷R邸ですが、解体工事が進んでいる間も、内装材とインテリアの打ち合わせが進んでいます。

先回の打ち合わせで、大カルタ大会(?)で色味と素材の組み合わせ方法の大指針をきました。ただ、以前から集めていた素材でイメージを固めたものの、過去には在庫があった素材でも、今は無くなってしまっていたり、色味や模様が変わってしまっているものもあったり、作ってくれる家具屋等によっては多少色やツヤのニュアンスが変わってしまうので、今回のプロジェクトのために集めたサンプルで実際に使うものを選んで行く作業があるのです。

リビングダイニングの窓の真ん中に見えてくる柱型にはる石などは、その時に在庫がある石材から選ばないと意味が無いのです。

大理石を張ったイメージをお客さまに判断して頂きやすくするために、担当スタッフの前田君が作ってくれたパースです。

今の時点で石材屋にあるものを、一旦施工をお願いしているプレステージプラングに在庫を抑えて貰ったうえで、ほぼ同じ様相の石材サンプルを持って来てもらい、見て頂きました。が、残念ながらこれぞという気に入ったものは見つかりませんでした…。お客さまもこれではイメージが湧かないとのことで、日程を決めて岐阜関ケ原市の石材倉庫に実物を見に行って頂くことなりました。

キッチンについては、オーダーキッチンのアルノからの図面も上がってきたので、大判セラミック材のネオリスの割り付けを確認して頂きました。

3200ミリ × 1500ミリで厚み6ミリの大判スラブ材を4枚使った超大型キッチンカウンターですが、今回採用するライラという柄は3種類の柄があるとのことで、それらをどのような向きで合わせ、どのように継いでいくか、また余った部分をどこに使うかを前田君が考えてくれたレイアウト案です。

と言っても、それがどう組み上がるの分かりにくいので、ご説明用に作った簡易模型がこちらです。この模型では柄の繋がりは全く分かりませんが、ここまで緻密に検討したことに対して、お客さまも喜んで下さいました。

却って、打ち合わせに同席して貰ったアルノの鵜飼社長の方が取り合いが判っていなかったので、Rさまの前で説明させて貰いました。

次は造作家具の仕様決めです。先回の打ち合わせで方針は決まっていたリビングのテレビを設置する収納と一体化した壁面デザインの塗装サンプルです。こちらを造作家具をお願いしてるグラフチャーの大内さんに渡して、グラフチャー側でこれらに似せたサンプルを作って貰います。

来客用トイレの手洗いカウンターは、扉材として色々な塗装サンプルも持っていきましたが、このアイカのメラミン色が良さそうとのことで、箱の内部はメラミンとすることが決まりました。甲板はやはりアイカのフィオレストーンから選びこととなりました。扉は塗装にするかメラミンにするか見積りを比較していきます。

まだ決まっていない大物(?)としては、クロスです。リビングダイニング、そして玄関から廊下、ウォークインクローゼットのイメージを大きく左右する要素ですが、本日ここまでで時間切れとなったので、次回の打ち合わせで決めることとなりました。あと1回の打ち合わせで全部を決めることができそうです。Rさまには色々なご判断を2時間ほどの打ち合わせの時間内でして頂きましたが、どうもありがとうございました。

ガラス張りのカッコよい個人邸サウナがインテリア雑誌I’m home.に掲載

南平台N邸

8年前に竣工お引渡しをしてるマンションリノベーション、南平台N邸のガラス張りのカッコよいサウナをインテリア雑誌「I’m home.(アイムホーム)」に取り上げて貰いました。

雑誌アイムホーム 家庭用スタイリッシュサウナ

最近、うちの事務所でもマンション内に個人邸用のサウナを作りたいというご要望が多くなってきており、8年も前から取り組んでいたこと、それも木製のサウナユニットではなく、欧米の高級マンションで見られるようなガラス扉のスタイリッシュなサウナを作っていたこと、今さらながら誇らしく思っております(笑)。

雑誌I'm home. 家庭用サウナ

掲載号は2022年3月号no.116で、くつろぎのプライベート空間特集の中の「リラックスして過ごせるバスルーム」というミニ特集の中で取り上げて貰っています。

バスタイムの居心地の良さをデザインする

今回は事例写真だけでなく、バスタイムを居心地よく過ごすためのデザインについて、あの豪邸設計事務所で有名なバケラッタの森山さんと共に取材にご協力させて貰っています。

雑誌アイムホーム 家庭用サウナ

元々は在来工法で作られた大きな浴室で、とにかく洗い場が広く寒々しい浴室でした。

こちらがリフォーム前の浴室のだだっ広かった洗い場です。在来工法の浴室は解体するのにも大きな騒音が発生し、これだけの大きな浴室をオーダーユニットバスで作り直すと、解体工事費も併せて1000万円ほどの費用が掛かることが分かりました。それであれば、浴槽や洗面からの扉を活かして、無駄だったスペースにサウナを作ろうとの話で、このようなスタイリッシュな乾式サウナを作ることができました。
因みに、壁一面は大理石張りにして、水栓も全交換、天井のバスリブも張り替えています。

雑誌アイムホーム 家庭用サウナ

乾式サウナの良い点は、防水が不要なので、既存の浴室の上に、防水性能の無いサウナユニットを載せて、内壁の張り直し時に一体見えるように加工することで完成しました。

南平台N邸 家庭用サウナ

ここからの写真は、8年ぶりにこちらで撮影させて頂いたものです。きれい好きなNさまはお手伝いさんに清掃して貰っているそうですが、それにしても本当にきれいで、8年経ったサウナとは思えませんでした。
サウナの機械はスウェーデンのティーロヒーロの物で、ロウリュウもできるサウナマシンです。温度計や砂時計、テレビの上にある安全装置(長時間高温になると自動で電源を切ってくれる)もオストコーポレーションから購入したものです。
因みに、テレビはサウナの高温に対応するものが無かったので、ガラス扉の後ろ側に設置し、いざ故障等があった場合はガラス扉を外せば交換できるような造りにしています。

南平台N邸 家庭用サウナ

一人用のサウナですが、2色のサーモアスペン材を張り分けて、モダンでカッコよく見せています。以前は自宅にサウナがあるといつでも入れるというお気軽感のため、月に2~3度しか使っていなかったそうですが、コロナ以降は自宅にいる時間も長くなったので、気分転換にもなるとのこと、週に2~3回楽しむようになったとのことでした。

インテリア雑誌アイムホーム取材撮影

以下、雑誌の取材撮影時の様子です。I’m home.編集部の尾崎さんが、仮撮影したカットを確認しながら、サウナ内部の小物の位置を調整している様子です。

インテリア雑誌アイムホーム撮影風景

広い浴室ではありますが、引きが中々取れないので、カメラマンさんは靴下まで脱いで浴槽の中からカメラを構えてくれました。

インテリア雑誌I'm home.取材撮影

撮影の間も、ライターさんがNさまと僕に、どのような経緯でサウナを入れることになったのか、そしてどのような使い方で楽しんでいるのかを丁寧に聞いてくださいました。

雑誌アイムホーム 浴室特集

今回の浴室特集では、以前取材撮影して貰った外苑前C邸の浴室も取り上げて貰いました。

入浴スタイルに合った使い心地の良い機器と家具選び

また「入浴スタイルに合った使い心地の良い機器と家具選び」の文章でも取材協力させて頂きました。

南平台N邸 家庭用サウナ

最後のこちらの写真は、こちらで手持ちカメラで撮影した8年経ったサウナの全容です。因みに、扉下のステンレス製のルーバーは一部が錆びてしまったとのことで、ちょうど今回の取材の直前に交換させて頂いております。長時間の取材撮影にご協力くださったNさま、どうもありがとうございました!

突板ベニヤ工場の見学

代々木上原I邸

代々木上原I邸では、階段室の吹き抜けや造作家具などでかなりの数量の突板ベニヤを使う予定です。突板(ツキイタ)ベニヤとはあまり聞かない言葉ですが、天然の木材を薄く(0.2~0.4ミリ)スライスしたものです。弊社であれば、ウォールナットやチーク、或いは今回使う予定のオーク(ナラ材)を薄く突いたものとなります。そのままだとお寿司を包む経木(キョウギ)よりも薄くふにゃふにゃで建材としては使えないので、柄を揃えてベニヤ板に張って家具や建具などに使います。

突板工場見学

上の写真の細長いものが突板となります。今までは、突板選びで埼玉方面の突板屋さんを訪問したことは何度もありましたが、今回はその突板を建材として使えるようにベニヤ板に張る工場を、施工をお願いしているの現場監督の石坂さんと造作家具をお願いしている現代製作所の藤田さんと一緒に見学して参りました。

突板工場見学

こちらが突板ベニヤ工場の丸考天然木化粧合板さんです。会社名にもなっている化粧合板とはきれいな木目や柄、色合いの天然木の突板をきれいに張った突板ベニヤの別称です。

突板工場見学

工場の内部は大型の機械が所狭しと並んでおります。

突板工場見学

働いている方の数はあまり多くありません。やはり中国などの労働力の安い国の製品に押されて、中々商売も厳しいようです…。

突板工場見学

暗い話はさておき、突板ベニヤ工場のプロセスを順に見せて貰いました。こちらは突板の裁断機です。

突板ベニヤ工場見学

重ねた突板の束を正確な寸法に一気に裁断してくれる機械です。

天然木化粧合板工場

こちらがオークの柾目の突板が正確な寸法でカットされたものです。

突板工場見学

突板を張る基板となるベニヤ板も並行したラインで処理が行われていきます。こちらは何の液体か書いたメモを無くしてしまいましたが、何らかの液体をベニヤ板に塗布する作業機械です。

突板工場見学

似たような機械ですが、こちらは基板ベニヤ板に接着剤を塗布する機械です。

突板工場見学

こちらが突板工場のクライマックスになります。二人一組のチームとなって、基板ベニヤに張っていくのです。特殊な接着剤を使っているので、一度張り合わせてから多少ズラすこともできるようですが、この張り方の精度で化粧ベニヤ板のきれいさが決まってくるので隙間が空かないように慎重に作業が進められます。僕らが周りから撮影している最中も脇目も振らずに作業に集中していました。

突板工場見学

こちらの大きな機械がプレス機です。熱を加えながら高圧でプレスして、突板とベニヤ板が剥がれないように一体化させます。何枚もの突板を重ねてからプレスするそうで、残念ながらこの日はこの機械が稼働している様子は見ることができませんでした。

突板工場見学

こちらの作業はプレスが終わった化粧突板の補修工程となります。突板同士が重なってしまった部分は板厚が厚くなってしまうので、紙やすりで削り落とし、反対に少しでも隙間が空いてしまったカ所がある場合は…

突板工場見学

この同じ材料で作った裏にノリのついた突板を極細にカッターで切って、隙間に張ってゆくのです。

そうすると、上の写真のような極細の隙間がきれいに埋まるのです!天井から吊るされたアイロンとサンドペーパーを使ってみるみる補修が進んでいきます。このようにして補修が終わった板をサンダー機械に掛けて、スムーズにしたところで天然木化粧合板の完成となります。この補修過程については、こちらのYouTube動画が参考になります。

突板工場見学

こちらの工場の上階には、天然木の突板が沢山保管されています。

突板工場見学

今回の見学の主目的は、実はこちらでした。良い柄の突板を選んで張り方を指示するのです。

突板工場見学

工場で作られていた化粧突板は柾目の素直ながらをシンプルに並べたものでしたが、今回代々木上原I邸で考えているのは、ランダム張りです。基本は板目柄のものを三種類ほど選んで、半割にしたものを混ぜながら、全体をランダムに張るスタイルです。こちらで選んだ3枚を写真に撮影して、

それぞれの突板に名前を付けて、

その張り方を指示したのがこちらです。本当はもっとズラしたい気持ちもあったのですが、ここまでの化粧ベニヤ板の製造過程を見てしまうと、あまりに複雑なことをすると、工場に迷惑も掛かりますし、それ以上に手間が掛かって費用も高くなってしまうことが分かったので、今回はここまでとしました。

突板工場見学

突板のロールサンプルを貰って持ち帰ったので、後日、青の片岡社長も交えて、最終的な塗装イメージも含めて確認させて貰いました。

突板工場見学

写真下の正方形のサンプル板のように、すこし白い塗料を上から掛けて、拭き取ったイメージで仕上げて貰うように依頼致しました。