Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

造作家具の取付け@関西I邸

関西I邸

先日工場で作られている箱家具を見学して参りましたが、それらが現場に入って組み立てられ始めています。

関西I邸_造作家具の組立て

全ての箱を現場に搬入してしまうと、身動きが出来なくなってしまうので、三分の一程度ずつ搬入して、取り付けてゆく段取りになっています。その順番も先行して箱を取り付けておかないと、周りを仕上げることができないものから優先的に進めて貰っています。

関西I邸_造作家具の組立て

リビングの一角で、カウンター上はひな人形などを飾る棚、下にはワンちゃんの小屋をはめ込む収納はもうすでに取り付けられています。

関西I邸_造作家具の組立て

カウンター甲板のクオーツストーンが左右の壁に入り込むようなデザインとなっているので、こういった家具は先行して取り付ける必要があるのです。

関西I邸の洗面所家具組立て中

奥のプライベートエリアの洗面カウンターの取付けは、まさに佳境を迎えていました。

関西I邸の洗面所家具組立て中

長いクオーツストーンの甲板がキャビネットの上に乗り、その上にメディスンキャビネットが吊られています。壁やキャビネット内のコンセント設置穴からは電気の配線が伸びています。壁との取り合いは10ミリでシールで埋めることになっていますが、壁との隙間を見ると、正確に作られているのが良く分かりますね。

関西I邸のユーティリティー家具組立て中

洗面の奥のユーティリティーはガス乾燥機の乾太くん等の設備機器とダクト接続が絡んでくるので、やはり先行して箱が組まれていました。

関西I邸_主寝室の造作ヘッドボードの組立て

こちらは主寝室のヘッドボード部分を組み立てている途中です。既製品のルーバーを組み込んだクローゼットの扉(引き違い戸)は既に組み込まれています。こちらもエアコンの冷媒管とドレイン管が家具の中を通るので、先行組となります。

関西I邸_造作家具の組立て

大物の家具の場合は、何度も箱を入れる場所に運んでは、リビングに戻して刷り直す作業を続けてくれています。

関西I邸_造作家具の組立て

ちょうど正面左奥の廊下で組立て職人さんが作業してくれていますが、手前に横たわっている本棚家具を組み込むために頑張ってくれています。

Lamello(ラメロ)の木製ビスケット

箱もの家具は分解して現場に入れて、現地ではめ込みながら組み上げてゆきますが、ビスなどで固定するとビスの頭が見えてしまうので、このような独特の部品を組み合わせながら金物類が見えないように組み上げてゆくのです。因みにこのハッパのような部品は、Lamello(ラメロ)というスイスの会社の製品なのです。本棚の組立ての様子は過去のこちらのブログでも細かく説明しております。

造作家具組立ての7つ道具

丸のこや三角定規、かんなやカッター、物差しなどを使いながらの丁寧で時間がかかる作業なのです。

関西I邸_造作家具で作った通り抜け型パントリー

既に組み上がっているのは、キッチンと玄関を繋いだ動線上に設けてパントリーの収納です。キッチンの冷蔵庫とは別に冷凍庫とワインセラーをこちら側に収納する予定です。

関西I邸_造作家具で作った通り抜け型パントリー

通路を挟んで反対側には、キッチンに収まりきらない調理家電を置くカウンターと引き出し、その下にはごみ箱収納置き場、上部は扉付きの吊戸棚収納となっています。

関西I邸_造作家具で作った通り抜け型パントリー

玄関側からパントリーを通してキッチンを見たアングルの写真です。キッチンとパントリーの引き込み戸を開いた状態で使えば、見せるキッチンと隠すパントリーとして使い分けることができるのです。

関西I邸_トイレ手洗い造作家具組立て中

こちらはトイレの手洗いカウンターです。カウンター上の4方枠付きの鏡の枠も造作家具で作って貰っています。

関西I邸_ロフトの造作

こちらへ厳密には造作家具ではありませんが、ロフト収納内に棚を取り付けるための下地を付けて貰っています。

関西I邸_ロフトの造作

当初は箱状の家具を置く考えで進めていたのですが、途中からお手伝いに入って貰った収納アドバイザーと奥さまと僕らとの相談で、ガチャレールを背面に仕込んだ棚板をロフトの周囲壁に設けようとのお話しになり、下地を作って貰っているのです。

フリースタンディングバスのある水回りのCG_ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリーブランドで取り組んでいるメゾネットマンションリノベーションの中央区S邸は、設計のスピード感とコロナ禍でのスタート準備のため、下階と上階で設計及び施工を2つのフェーズに分けて行っています。下階でのペンディング事項(未決事項)がほぼ無くなり、造作家具の取り付けが始まったタイミングで、上階の設計に取り掛かっています。

フリースタンディングバス&洗面カウンターのある水廻り手書き平面図

メゾネット上階フロアのデザインで目玉となるのはフリースタンディングバスのある水回りです。フリースタンディングバスとは、浴槽を壁や袖壁の中に埋め込まず、仕上がった部屋の中にまるで家具のように据え付けるタイプの浴槽のことです。
今回はリノベーション前の水回りから位置を移動して、洋室だった部屋一室すべてを水回りにする構成となっています。このアイデアは当初からお客さまが持っていたお考えで、初めて伺ったときには、使い勝手の面や、排水の水勾配(床下の排水管の水を淀みなくスムーズに流す勾配)や換気扇のルートのことなどで、実現性は乏しいのではと思っていました。ただ、その後やはりフリースタンディングバスを使っている今のお住まいを拝見したり、Sさまの強い想いを幾度も伺ううちに、何としてもやり遂げたいタスクの一つへと昇華してきました。
とはいえ、洋室1室分の広さの水回りの床すべてをオーダーユニットの防水パンで作ったり、在来工法の防水層を作るのは予算的にも厳しいので、どこまでを防水エリアとして、どのように見切るのかをSさまと何度も打合せをさせて頂きました。

上階平面図_メゾネットリノベーション中央区S邸

浴槽がフリースタンディングなだけでなく、ダブルボウルのある洗面カウンターも部屋の中央に置いて、周囲を回遊できるようになさりたいとのこと、現地の実寸を見ながら、かなり細かい設計を進めています。

フリースタンディングバス&洗面カウンターのある水廻り

以下、作成したCG等も掲載している続きは、ザ・ライブラリーブログをご覧ください。

特注のベッドサイドテーブルの工夫

代々木上原I邸

代々木上原I邸のお客さまから、主寝室のベッド横のサイドテーブル(ナイトテーブルやナイトスタンドとも呼ばれます)を特注で作りたいとのご要望を頂きました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

ミニロボットのような可愛らしいプロポーションのサイドテーブルを2台デザインさせて頂きました。

オーダーのサイドテーブルを置く前の状態はこのように壁にニッチを作っただけの設えでした。実は当初の計画では、サイドテーブルを購入する予定で計画を進めていましたが、ベッドのヘッドボード造作の工事をお客さまのIさまが見学にいらっしゃった際に、折角の壁の厚みがあるので、そこに棚を作って貰えればサイドテーブルは不要なのではとのお話しがあって、このようにデザインになった経緯がありました。
その後実際に暮らしながら使ってみると、ベッドに横たわった状態ではニッチでは使いにくいとのことで、こちらのデザインにあったサイドテーブルを特注でデザインして欲しいとのお話しになりました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

まずはニッチの中にすっぽり差し込まれるタイプのサイドテーブルのアイデアを担当スタッフの神崎さんに図面がして貰いました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

その上で、神崎さんと造作家具をお願いしている現代製作所の藤田さんと三人でご自宅に伺って、大よそのサイズ感を確認して頂きました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

基本的な仕上げの材料はヘッドボードやすぐ横にある家具の仕上げと揃えることが決まっていましたが、サイドテーブルの上面に張るエコレザー(人工レザー)の色味だけをIさまと一緒に決めさせて頂きました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

オークのふき取り仕上げと、ライトグレー色のエコレザー、そしてカラーステン仕上げの取っ手の組み合わせとなりました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

造作用の図面作成と見積りのために藤田さんが現調をしてくれました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

現代製作所が作ってくれた製作図に対して…、

オーダーのナイトテーブルの工夫

カガミ建築計画で真っ赤に注釈を入れて返した図面です。現代製作所は造作家具のプロですから、家具の作り方についてはどこにもケチをつける所はありませんが、僕らが書き加えたのは使い勝手を如何に良くするかの観点から赤チェックを書き加えました。
サイドテーブルの使い方としては、

  • 寝ている間にスマホを充電すること。
  • テレビリモコンややスタンド照明、寝る前のドリンク置き場
  • 読みかけの本や雑誌、読書時のめがね収納
  • 寝る際に使うアイマスクやヘッドホン、アクセサリー用の引き出し収納

といった用途でしょうか…。
中でも最も重要なのはスマホの充電ですね。

オーダーで作ったベッド横のサイドテーブルの工夫

以前はサイドテーブルの上面にコンセントを付けたこともありましたが、意外と刺したコンセントが目立ってカッコ悪く見えることもあったので、今回は壁のコンセントを延長してUSBタップをオープン棚に入れておくことにしました。

オーダーで作ったベッド横のサイドテーブル

製品としてはいたって簡単なものです。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

床付近の壁に元々あったコンセントからUSBタップのコンセントを伸ばして…、

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

収納背面を通して…、

オーダーで作ったベッド横のサイドテーブル

オープン棚の上部において置くというシンプルな構成です。横に空いている孔が…、

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

ベッド側のサイドに空いている孔となり、ここから事前にスマホの充電用のコードを差し込んで、垂らしておくという算段なのです。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

正面から見るとこのような作りですが、

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

脚は少し凹ませているので、ベッドの上からは浮いているように見えるようにデザインしています。ベッドは取り付け工事の際のホコリが載らないように養生されています。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

テーブル上面のスティッチ入りのエコレザーもきれいに収まっています。スマホやコンセント、ドリンク類を置いた時にもレザーのお陰で音もせず、使い勝手もとても良いとIさまに誉めて頂きました!

以下は、これまでにカガミ建築計画でオーダーで作ってきたベッドサイドテーブルを紹介いたします。

特注サイドテーブル

天板面をレザー張り面と少し凹んだトレー状の面を作って引き出しのほかに大き目の収納を作った事例でです。

元麻布I邸の特注サイドテーブル

少しクラシカルなデザインになるように正目から見た時に縁が回るようにデザインした元麻布I邸のナイトテーブルです。

中央区S邸の特注サイドテーブル

中央区S邸では、ベッドで簡単な食事ができるように引き出し引きトレーをサイドテーブルに仕込みました。荷重が前面に掛った際に傾かないように家具内で背面壁にシッカリと固定しています。

港区R邸の特注サイドテーブル

港区R邸のご主人さまの寝室サイドテーブルは、重厚な寝室インテリアに合わせて、大理石とシャム柿の突板を合わせた濃厚なデザインとしています。

渋谷M邸の特注サイドテーブル

渋谷M邸では、ベッドとヘッドボード、サイドテーブルと書斎テーブルまですべてが一体化するデザインとしています。

六本木N邸の特注サイドテーブル

特注のヘッドボードと一体型で、飛び出すようなデザインで作った六本木N邸のサイドテーブル(というよりサイドカウンターですね…)もコンパクトながら照明器具とコンセントとスイッチと引き出しを組み合わせたデザインとなっています。