Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

4年前から始まったプロジェクト_関西I邸

関西I邸

お客さまのIさまからメールでご連絡を頂いたのは、今から4年と4か月前のことでした。関西エリアの高級住宅街の大きな公園に面するマンションを購入して、自分たちの思うような住み心地とインテリアにしたいので相談に乗って欲しいとのご相談でした。

関西I邸_リフォーム案

お住いのエリアをとても気に入っていらっしゃる中で、すぐ近くに築年数はそれなりに経っているが、170平米と比較的大型の中古物件が売りに出ているので、そちらを買ってスケルトンからのリノベーションをなさりたいとのお話しでした。
お子さまが小さくて、打ち合わせで東京に来るのは難しいとのことで、まずは2~3回オンラインで打ち合わせをさせて頂きました。その後、実際に現地を見て欲しいとのご依頼でしたので、担当スタッフと2名分の交通費と現調費用をお支払い頂くお約束で現地に伺わせて頂きました。

関西I邸_現地確認

1回の訪問で竣工時の図面調査から、現地の設備等の細かいチェックをするのは時間的にも難しいので、関西エリアで活躍中の建築家の友達に紹介して貰った工務店さんにご連絡をして、給排水設備と空調設備の職人さんを2名と一緒に現場責任者に来てもらい、一緒に調査をさせて貰いました。

関西I邸_リフォーム案

最初のリフォーム案は、最初にIさまから送って貰った不動産仲介会社の間取り図だけから考えたリフォーム案でしたが、こちらの案は、設備や構造までチェックしたうえで、ほぼ現実できるレベルで考えた正規のリフォーム案です。当時お子さまが一人でしたが、ゆくゆくはお子さま3~4人は欲しいとのお話しでしたので、子ども部屋をまずは3つ確保して、廊下に面した通り抜け型の洗面と、主寝室を経由する回遊動線、更には玄関からSIC(シューズインクローゼット)、パントリー経由でキッチンに抜けられる裏動線を作ったリフォーム案を考えてみました。

関西I邸_現状調査資料

こちらは現地調査の際の結果や考察を纏めた資料です。ここまでのリフォーム案の取り纏めと現地調査、調査資料、そして現地でのお客さま打合せ1回に2人分の交通費を含めて40万円の費用をお願い致しました。
作ったリフォーム案は本当に気に入って頂けたのですが、購入予定だったマンションが他の人に購入されてしまったことで、一旦この計画は頓挫してしまいました。因みに、現地調査にご協力いただいたかわな工業にも調査費用をお支払いする予定でしたが、次回以降にまたお声掛け下さるのであれば、今回は無料で結構ですとのお話しでしたので、お言葉に甘えてしまいました…。

次にご連絡を頂いたのが約1年後で、新築マンションで広い間取りのお部屋があったそうで、それを先回のようなイメージでリフォームができないかとのご相談を頂きました。こちらは新築なので、あまり間取り図を動かさず、どのようなことができるのかをザッと考えた見たのがこちらの案でした。ただ、全体の広さ的にご要望に合わずに、こちらのお話しも残念ながら消滅してしまいました…。

次にご連絡を頂いたのが、また一年後のこととなります。今お住いのお部屋の隣のお部屋が売りに出るかも知れないとのことで、何とか連結させて住むことができないかを考えて貰えないかとのご相談でした。
集合住宅であるマンションの戸境壁を一部解体して、2つの住戸を連結させるには、構造的な問題、建築基準法上の問題、消防法上の問題、更には区分所有法上の問題をクリアすることとなり、簡単ではないことをまずはお伝えいたしました。Iさまからは実現は相当に難しいことは分かったが、まずは連結することで良い間取りが作れるかどうかを見てみたいとのことで、全ての条件が整って連結することができた場合のリフォーム案を作ってみました。この案を見ながら、もし連結はできなくてもバルコニーを通じて2室の行き来ができた場合のリフォーム案もさらに考えてみたのが上のプランの下の案です。こちらの案も、もう少し踏み込んだ調査を始めようとした段階で、隣室の売買交渉がとん挫してしまいました…。こちらのリフォーム案については、有料のサービスとして22万円(プラン作成費のみで、法規的なチェックは含まず)をお願い致しました。
普通、ここまで計画が連続してストップしてしまうと、そのままなし崩し的にご相談が無くなってしまうのですが、Iさまたちは違いました!

次にご連絡があったのは、今からちょうど1年半前です。「ご相談しておりました隣接住戸ではなく、反対側(南隣)の隣接住戸が売りに出ましたので購入いたしました。」とのことで、もう連結できるかできないかを考えずに違う向きの隣接住戸が売りに出たタイミングで、もう買ってしまいましたとのご連絡でした。実は、こちらのマンションは、新築当初はこの二つの住戸を連結した大型住戸として売っていたとのことで、少なくとも構造的な問題は連結するうえでは問題がないことは分かっており、連結できなくてもバルコニーでの行き来でも良いとの覚悟を決めてのご購入だったとのことです。

もし連結できた場合は、どのような間取り案ができるのか、有料のサービスで構わないので、作って欲しいとのご依頼で考えたのが、これらの案です。今回は、もう隣室を購入しているので、何とかして2室ともをリフォームして快適な暮らしができるように協力して欲しいとのご依頼で、法規的なことも含めて2室連結する可能性を探ってゆくことになりました!

3年越しのプロジェクトがこのような形で再開すること、本当に嬉しく思っております。

中古マンションを吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

代々木上原I邸

築古ヴィンテージマンションのペントハウス(最上階住戸)の代々木上原I邸は、冬寒く夏暑いお部屋だったので、スケルトンリノベーション工事の際に、徹底的に断熱改修をすることになっていました。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

ピンク色に染まった部屋のピンク色の部分が、硬質ウレタンフォームを吹き付けた断熱材です。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

一般的に、2 0年以上前に建てられたマンションの断熱性能は低いとされていますが、こちらのマンションは築40年ですので、断熱性能はかなり低かったのです。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

一般には、ボード系断熱材もしくは吹付け硬質ウレタンフォームのいずれかで断熱しますが、今回はスケルトンリノベーションであったこと、また隙間なく気密性を保ちつつ断熱できることや施工スピードを考えるて吹付け硬質ウレタンフォームを採用致しました。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

2液性 のアキレスエアロンF R – F O(アキレス)を使用しています。熱伝導率0.026W/m・Kです。
断熱を行わない部分の下地にはビニルであらかじめ養生を行っておき、施工後に断熱材を削り取る部分については、剥離剤(洗髪に利用されるリンスと同じ成分)を塗布しておくそうです。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

吹き付けタイプの断熱材は、トラックに積んだコンプレッサーで圧縮した空気を使って吹き付けるので、マンションでは専用のトラックを横づけることができる場所があること、そこから長さ メートルの管を部屋まで伸ばせることが施工の条件となってきます。事前にマンション管理組合の承認を取っての工事となります。最近では、小型の加圧コンプレッサーを室内に持ち込む方法も選択できるそうですが、それなりのコストアップになってしまうようです。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

こちらがトラックの内部の極秘写真(笑)です。

吹付け硬質ウレタンフォームで中古マンションを断熱改修

施工前に準備が整っていると、2フロアのメゾネットマンションで130平米(40坪)の広さがあるマンションでも、6時間ほどで断熱材の吹き付けを終えることができました。メゾネットの上階は最上階ですが、この部屋は一つ下の階なので、天井面は断熱していません。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

室内階段の吹き抜け部分も外壁側の壁と天井面までびっしり吹き付けて貰っています。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

吹き付け作業は丸一日掛からずに施工できますが、そこから厚く吹かれてしまった余分な断熱材を削り取ったり、埋まってしまった配管類をほじくり出す作業で、また一日掛かるのです。

吹付け硬質ウレタンフォームで中古マンションを断熱改修

手動のこのような薄いカッターを使ったり…、

吹付け硬質ウレタンフォームで中古マンションを断熱改修

大きな面では、こちらのような電動のカッターも使っての作業となります。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

先行して立てたLGSの壁下地とフラットに仕上がった断熱材の様子です。ここまできれいに仕上がってくれば、後はボードを張ってゆく作業もスムーズになります。

マンション断熱においては、窓部分の断熱性を高めることも当然ながら重要となりますので、既製品のインナーサッシ(ペアガラス)を取り付ける計画となっていますが、それについてはまた別のブログ記事でご紹介します。

インテリア素材選びは大カルタ大会?

渋谷R邸

高層マンションリノベーションの渋谷R邸のインテリア素材選びで、工事前の現地に関係者一同が集まって、大カルタ大会を行いました(笑)!

高級マンションインテリア_内装材選び

というのは、勿論ウソですが、床フローリング材とタイル材から、アクセント壁の大理石やクロスの候補、造作家具の仕上げサンプルからスイッチコンセント類まで、多種多様なインテリア素材を床に並べて、仕上げ材を絞ってゆきます。

高級マンションインテリア_内装材選び

今回の大会参加者(笑)はRさまご夫妻、リノベーション工事の施工会社プレステージプランニングの松永さん、造作家具や設備備品の仕入れで入って貰ったGLAUGHTURE(グラフチャー)の大内さん、そして弊社副所長で担当スタッフの前田君と僕、各務の6人です。

高級マンションインテリア_内装材選び

素材だけを見ても、選ぶのは難しいですし、それらが組み合わさった時にどう見えるのかが分かりにくいので、なるべくイメージシートを作って、弊社での施工事例写真やイメージ写真と一緒に見て頂きながら考えてゆきます。

高級マンションインテリア_内装材選び

近くで素材だけを見てると、何を選んでいるのか分からなくなってしまうこともあるので…、

高級マンションインテリア_内装材選び

他の素材と組み合わせて、少し離れた所から眺めて頂いたりしながら候補を絞ってゆきます。

高級マンションインテリア_内装材選び

まだ解体前のマンションですので、例えば水回りなどは、実際に水回りのエリアに素材を持ってゆき、使うシーンをイメージして頂きながら、選んで行きます。

高級マンションインテリア_内装材選び

最初はきれいに並んでいた素材が、バラけてきて、候補が絞られてきているのが判るでしょうか…。

高級マンションインテリア_内装材選び

まだ最終決定ではありませんが、フローリングはノルド(ADワールド)、キッチンのカウンター材はネオリスのライラ、造作家具の仕上げ材は木目を残して塗装したオーク材と濃灰の塗りつぶし材の組み合わせ、扉は人工レザーのグレー色、テレビの背面のタイルや廊下のタイル、クロスの候補も絞ることができました。約2時間掛けての大カルタ大会でしたが、大きな方針を決めることができて、とても充実した時間となりました。