Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

新規プロジェクト:港区R邸

港区R邸

新しく始まったプロジェクトのご紹介です。都内の新築マンションの全面リノベーションプロジェクト、港区R邸です。

こちらは、まだ完成したばかりの新築マンションですが、お客さまが望んでいらっしゃるインテリアとは程遠い作りとなっているので、お引渡しと同時にリフォーム申請を管理組合(実際にはまだ発足していないので管理会社)に出して、工事を始めることになっています。
新築マンションで、こちらのマンションのように数億を超える価格のお部屋であれば、新築オプションといってデベロッパー側が建物を建設するゼネコンとの間にコーディネーターを手配してくれて、間取りの変更や仕上げ材の変更をしてくれるのが普通です。ただ、今回のケースではお客さまのRさまがこの部屋の契約をなされたのが、発売後しばらく経ってからの少し遅いタイミングだったので、その時点で既に新築オプションの期限が終わってしまっていたのです。

ここまで10回以上のお打合せをお客さまご夫妻と、このプロジェクトを紹介してくれたリフォームキューの担当の坂本さんと行ってまいりましたが、実は現地を拝見するのはこの日が初めてでした。新築マンションの施主検査に相当する内覧に合わせて現地を拝見させて頂きました。リフォームキューからは坂本さんをはじめ、設備や電気屋さん、坂本さんの上司の森井さんや石原さんも現場をチェックしに来てくれました。

お引渡しまでは、管理組合に保管されるべき竣工図をチェックすることもできなかったので、これまで詳細が良く分かっていなかった窓サッシ際の実測をさせて頂きました。

アルミサッシの冷たいシルバー色がお嫌いとのことで、無垢の木材やダイノックシートを張る予定ですが、それらがうまく施工できるか、細かくサッシのコーナーや取り合いを確認して行きました。

こちらが部屋に入ってすぐの玄関ホールですが、マンションのエントランスからエレベーターホールへと続いてきたラグジュリアスな雰囲気はここらへんで途絶えてしまっていました。

この浴室は、残念ながら一度も使われないまま取り壊されてしまうのです…。でも、ちょうど打ち合わせ最中だった浴槽のサイズや洗い場からの跨ぎ高さ、使い勝手などのご説明用に使わせて頂きました。

お客さまが帰られた後には、設備関係や床下&天井裏の作り方をじっくり研究してゆきました。まずは分電盤の様子です。

天井と床下、壁に見つかった点検口は全て開けて、中を確認してゆきます。

天井裏はこのような状況なのですが、写真を何枚撮っても、どのような実態になっているかを理解するのが難しいので、天井高さとコンクリート躯体の関係(なぜそこだけ天井が下がっているか等)、LGSの建て方、設備ダクトの内容と通る方向、電気・弱電配線の位置、その他設備(自火報等)と分けて、少しずつコンテキスト(文脈)を読み解くように理解してゆきます。

床下の点検口は、隠されたところにあるので注意が必要です。ここでは、洗面所の引き出しを取り外した下部にありました。ほかの人たちが覗き込んだのですが、手が届かないとのことで、手だけは長い僕が頭と手をキャビネットに突っ込んで床下の様子を覗いてみました。

こちらが床下の状況です。灰色の太い管が排水管で、水色が給水、ピンクが給湯管となっています。水回りがレイアウトされている箇所は、床下のコンクリートスラブが一段下げられていることが分かりました。

浴室の天井裏からは、壁際に無駄になっているスペースが15センチほどあり、その分浴室を大きくすることが可能なことが判明しました。

壁から柱状に出っ張っているPS(ピーエス:パイプスペースのこと)もすべてチェックしました。キッチン横の大きなPSを低い位置にある点検口から手とカメラを突っ込んで上方向を撮影した様子ですが、床から150センチほどまでは何もなく、そこから上にダクトを集めたチャンバーボックスがありました。これは、床から150センチほどまでを収納に使うことができそうだとのことで、早速事務所に戻った後にお客さまに「良いニュースです!」とお知らせいたしました。キッチン回りの収納量に余裕が生まれそうです。

その他、壁際のPSにも結構な余裕があったので、配管のルートを変えることで、PSそのものをなくしたり、大きく縮小することもできそうでした。
まだ、お部屋の詳しい図面も揃っていない段階ですが、ここまでじっくりと調査をすることができたので、ここから先はその内容を検討しながら、より具体的な設計を詰めてゆくことができそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

床下地&ユニットバス設置@西麻布N邸

西麻布N邸

西麻布N邸の工事が色々なフェーズで進行中です。

まずは床下地です。マンションの管理規約では「LL40及びLH50を目指すもの」との記載がありますので、遮音下地業界(そのような業界があるかはよく分かっていませんが…)で最も信頼がおける会社の万協フロアーYPE-S4タイプの標準仕様にTGボードを加えて、さらに下地の下にはグラスウールを敷く仕様で下地を作って貰っています。

ミアダのように切れ目が入っているのが厚み20ミリのパーティクルボードで、黒いシート状のものが、4ミリ厚のアスファルトシートです。

窓際やリフォーム前に水回りがあった個所にはシンダーコンクリート(かさ上げのためのコンクリートで構造的には意味がないもの)が打たれているので(遮音のためにはハツッてしまいたいところですが、工事でのハツリも厳しく制限されているので)、それは残したままパーティクルボードをフラットに仕上げて貰っています。

床下に配管が通っている箇所については、(床下寸法が十分にない為)従来もそのように作られていましたが、配管を避けながら遮音下地を入れて貰っています。

やはりシンダーコンクリートが打たれていたかつての浴室は、新しい排水管を通すために、工事騒音がなるべくしないようにコア抜きで溝状にハツって貰っていましたが、そこに排水管と給水管が通されていました。

もう一か所の浴室だった箇所にはシャワーユニットが設置され、

家族共用の大きなオーダーユニットバスも設置されました。ともに東京バススタイルにお願いしたものです。

オーダーユニットバスの内部です。PS配管の形が室内に出っ張った形となっているのですが、変形なことを逆手にとって、水栓前のライニング上のタイル色を変えてニッチ状に見せています。また、大きな室内なので浴槽前にはアクセントで金と銀のタイルを張っています。

浴室の奥が広くなっていることを利用して、ジャクソンの大型浴槽のAbbraccio(アブラッチオ)を採用しております。浴槽手前壁(エプロン部分)は将来のメンテナンスのために、タイルを後張りとしてシールで納める予定となっています。

主にご主人さまが使う予定のシャワーユニットは、ユニットバスと違って、黒を基調としたスタイリッシュなデザインになっています。

ユニットバスとシャワーユニットの設置も無事終わったタイミングで、お客さまご夫妻が現場に来てくださいました。

ユニットバスの広さも現地で確認して頂きました。

ご主人もご自身がメインで使うシャワーユニットも確認して、「もっと狭いと思っていましたが、十分な広さがありますね」との感想を述べられていました。シンダーコンクリートを溝ハツリして作った配管経路のことは、現場監督に石山さんを労ってくださいました。

現場内に机をセットしてもらい、現地の光環境で、仕上げ材の最終確認もして頂きました。

事前にメールでお送りしていた、担当スタッフの前田君が作ってくれた着彩スケッチの洗面と脱衣スペースの資料をご一緒に見ながら、

それぞれの場所にどのような素材を使うかの最終決定をさせて頂きました。

また、カーテン&ラグ専門店のオーシマプロスでご提案していたラグは、サンプルをショールームからお借りしていたので、それらもご一緒に触り心地などを確認しながら最終決定をお願い致しました。

 

 

住まいのリフォームコンクール2017授賞式

青山P邸

公益財団法人_住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の「住まいのリフォームコンクール2017」にて、僕らが設計をお手伝いした青山P邸プロジェクトが優秀賞を受賞しましたので、その授賞式に参加して参りました。

リフォーム・リノベーション業界では、最も権威のあるコンクールで、僕らもこれまで2006年に高輪S邸茶室で優秀賞、2011年には高輪I邸で(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞と目黒S邸で優秀賞を、2012年には田園調布F邸(共同設計:中西ヒロツグ氏)で優秀賞を、2013年には神戸M邸で優秀賞を、2014年には世田谷区N邸で優秀賞を頂いてきました。

今年は青山P邸リノベーションで優秀賞を受賞することができました。リフォーム前の青山P邸は平面的にも断面的にも凹凸の多い空間でしたが、リビングダイニングキッチンをメインの空間と、ニッチ空間に分けて、特にニッチ空間には、ライブラリーや読書コーナー等のように使い勝手や空間の雰囲気を特色付けて整理したことを上記の応募フォーマットで力説してみました。

お客さまのPさまはお仕事の都合でご参加頂けませんでしたが、施工をお願いしたスタイル・イズ・スティル・リビングの齊藤社長、そして育休中のスタッフの竹田さんはお子さまのO君と一緒に授賞式に来てくれました。

竹田さんと僕、各務はマンションリフォームマネジャーの資格も持っているので、優秀賞と併せて、マンションリフォームマネジャー賞も頂いてしまいました。

今回のコンクールの大賞に当たる国土交通大臣賞は、幾度か共同で設計をしたこともあり、一緒に本を書いたこともあるイン・ハウス建築計画の中西ヒロツグさんと相越直子さん、そして田園調布F邸の施工でお世話になった参創ハウテックの小園さんが受賞されました!

トップ4賞を受賞された方々は、授賞式の後にプレゼンテーションの機会があり、最優秀賞の中西さんたちのプレゼンテーションもじっくり勉強させて頂きました。改めて、中西さんと相越さんと小園さん、国土交通大臣賞受賞、おめでとうございます!