Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

三田M邸リフォームの経緯と顛末-2

三田M邸

先日のブログ記事で、途中まで工事が進んでいたお宅のデザインアドバイスと、当初の施工店を変更してこちらがご紹介したリフォーム会社にお願いすることになるまでの経緯を書いた三田M邸の続きです。

リフォームキューには見積りをお願いするだけでなく、ここまである程度進んでしまったD社の下地工事からどこを引き継いで、どこからやり直すかを綿密に打ち合わせをしてゆきました。クッチーナでお願いしてるオーダーキッチンは、すでにD社経由で発注と最初にお支払いの振り込みも済んでしまっていたので、この部分についてはD社経由で進めることになり、後は床下と天井裏に隠れてしまっている給排水配管や電気配線についても、D社の工事を信用して、その先から進めることになりました(キッチン以外は下地も全てやり替えて配管や配線もやり直すオプションもあったのですが、工事費用が二重払いになってしまうことやスケジュール的にも相当時間が掛かるので、このような判断となりました)。

引き継ぎ工事があると、完成後の保証や修理の問題があることをご説明して、ご納得をしていただいた上で、工事が始まりました。

既存の壁を使いながら、引き戸の枠とポケットを作り、その上にクロスパネル用に目地が入った下地を張ってゆく作業です。床に並んでいる細長い板は…、

クロスの色に合わせて塗装してもらった巾木でした。

新規壁については、当然ながら墨出しも改めてやり直して、作って貰っています。

梁下に合わせて建具やキッチン、壁目地等を入れていたので、それらのレベル調整も厳密に進めて貰いました。

角度が変形している水回り部分も枠なし引き込み扉と枠付きの開き扉がバッティングしてしまう箇所ですが、体がまわる寸法を検討しながら、ギリギリの寸法で納めて貰いました。

リビングの一角に書斎コーナーを作る予定となっております。このエリアはクロスではなく、ウォールナットの造作家具で囲む予定となっています。こちらも変形で角度が難しいので、造作家具屋さんに現地でキチンと寸法を測って施工図を作って貰う予定です。

当初の施工会社が、どのように施工すればよいのか分からないと困っていた、玄関回りも下地が出来上がってきました。

靴の脱ぎ履きと季節の設えを飾れるベンチ兼飾り棚には、手すりとして使える丸棒を取り付けて貰い、背面の壁を曲げベニヤでカーブ状に仕上げて貰いました。下部はオープンにして、ブーツや日常使いの履物を隠せるスペースとしています。

その2週間後にはキッチンの組み立てが始まっていました。

ダイニング側は収納の付いたハイ・カウンターで、その奥にU字型のキッチンが入ってきます。また、写真右奥の壁側には、柱型とその横に入る冷蔵庫を挟んで二つの壁面収納が入るレイアウトとなっています。

キッチン内側に入ってダイニング側を見た様子です。壁が斜めになっている箇所があり、取り付けの職人さんたちも苦労していました。

左側の壁面収納は、柱面にも扉と同材のパネルを作って貰い、仕上がると一体に見えるようにデザインしています。

壁や床のタイル張りも進んでいました。こちらは玄関ホールからリビングに入るアプローチ部分の壁で、アドヴァンで選んで頂いたタイル(リソルサタウペ)が張られていました。同じ柄で、ツヤがあるものとないものが玄関ホールの床とタタキ部分に張られてゆきます。

トイレの壁にも同じアドヴァンで選んだボーダー状のホワイトエクスペリエンスが張られていました。奥さまがこのタイルの風合いをとても気に入ってくださっていたので、喜んで頂けそうです。

 

 

 

 

 

 

 

アムスタイルでのキッチン打ち合わせ@港区R邸

港区R邸

リノベーション計画が進んでいる港区R邸のキッチンの打ち合わせで、Rさまの奥さまと高級オーダーキッチンのアムスタイル代官山ショールームを訪問しました。

弊社、カガミ建築計画ではアムスタイルさんには年平均で2~3台のキッチンをお願いしており、それなりの頻度でショールームを訪問しているのですが、新しい素材や金物等についてとても勉強熱心な会社なので、行く度に大なり小なりリニューアルされて、毎回新鮮な気持ちで打ち合わせをすることができます。

今回は、僕が扉を開けている背面収納は以前と同じでしたが、お客さまとアムスタイルの担当桑原さんが立っている手前のアイランドカウンタが新設されていました。特殊な金属塗装の扉や、セラミックカウンターを内部にまで立下げたシンクの形状がユニークな発想でした。

Rさまの奥さまは、これまでにお住まいだったマンションを新築でご購入なさったときに、オプションでキッチン打ち合わせをしたことがあったそうですが、今回のような大規模リフォームですべてを刷新するのは初めてとのことで、アムスタイルの最新設備や収納の新しい考え方などを桑原さんに説明して回ってもらいました。

昔の外国人仕様の住宅で良くお目に掛っていた2槽式のダブルシンクをアムスタイルでは新しいデザインで再生しているのですが、奥さまはこちらに興味を持ってくださいました。

今回が初めてのキッチンショールームでのお打合せでしたので、僕らが素案として作っていたキッチンレイアウト案を桑原さんがブラッシュアップしておいてくれた図面をベースに一通りの設備、収納までザっと考えて、概算見積りをお願いすることになりました。

2週間ほどで概算見積りが出てきたので、再度奥さまとご一緒にアムスタイルSRに伺ってきました。

先回気に入っていらした、ダブルボウルのシンクについては、シンクが2つに分かれていることで一つ一つのシンクはが小さくなってしまうことや、お掃除の面倒なこと、洗い桶をうまく使えば似たような使い勝手になることをご説明したところ、大き目のシングルボウルでも構わないとのお話になりました。

また、リビングダイニング側からシンクカウンターが丸見えになるのは、抵抗感があるとのことでしたので、2段カウンターにすることが決まっておりましたが、その2段カウンターの段差の高さをどのくらいにするかを、リフォームキューの営業&設計担当の坂本さんにも手伝いって貰って、寸法を出してもらいました。

LDKに使う床の大理石素材が決まってきたことを受けて、カウンター材や扉の素材もどのようにすべきかをご相談させて頂きました。

白系の大理石のアラベスカートやビアンコカラーラのようなイメージがお好きだとのことで、桑原さんに集めておいてもらった素材です。天然の大理石がきれいですが、どんなにコーティングをしても酸や熱で変色してしまうので、セラミックやタイルで白大理石を再現した素材を改めて探してもらうことになりました。

リビングやダイニングのように、ご主人さまからは仕上がった際の様子をCGでも確認しておきたいとのことでしたので、アムスタイルに特別にお願いして3Dコンピューターグラフィックスを作って貰ったのが以下の2点です(超特急でお願いしましたが、3週間ほどの時間が掛かりました)。

こちらがダイニング側から見たキッチンイメージです。手前の天然大理石の2段カウンターでシンクの手元が隠れているのが判ると思います。

こちらが通路側から長手方向に見たキッチンCGです。因みに、僕らがお願いしているCG屋さんはアムスタイルに紹介してもらった会社なので、キッチン以外の箇所の作りこみや映り込みもきちんと反映されています。
このCGでほぼご夫妻のOKサインを頂くことができたので、

暖炉マントルピース用の大理石スラブ探し@西麻布N邸

西麻布N邸

マンションには珍しく、本物の薪を燃やせる暖炉がついている西麻布N邸ですが、当初のままのデザインではリフォーム後のインテリアと合わないので、こちらも暖炉リフォームをすることになっています。これまでは露出になっていた箇所を大きな大理石のスラブで塞いで、モダンなマントルピースデザインにしようとの話になっております。

このコラージュ写真の赤く記された箇所に用いる大理石の候補を探しに、岐阜県大垣市から関ケ原市近辺にある石材屋さん巡りに行くことになりました。

この部分の石工事の施工をお願いしてる鈴木大理石の成沢社長にお願いして、4か所の石材倉庫巡りに付き合って頂きました。

当初のイメージでは、元麻布I邸のテレビボードの背面に張って貰ったような、黒い素地に白くシャープな線が何本か入っているようなネロマルキーナ(スペイン産大理石)を候補に考えていたのですが、岐阜に行く前から、白い線が多かったり、黒が黒くないものが多いので、簡単には良いものが見つからないのではと言われておりました。こちらのサンプルは白い線が多すぎで、

 

こちらのスラブは、白い線が繊細過ぎる感じでした。

とはいえ、時間が限られた中で探してゆくので、黒の素地の美しさからこちらのスラブを一つの候補とすることにして、成沢さんと測量しながら、どの部分の使うのかをテープでマーキングしてゆきました。ひとつ前の写真は、実はそのマーキングを終えた後の写真です。

磨き仕上げの大理石スラブは、倉庫の照明や窓からの自然光が映り込んでしまって、なかなか本当の石の柄を撮影することができないので、石材屋さんに無理をお願いして、立てかけてあるスラブ材の上に載らせてもらい、写真撮影してみました(本当は危ないのでダメですね…)。

上から撮影すると、これまでの写真とは違って、映り込みのない比較的きれいな写真が撮影できました!

その他の倉庫でもネロマルキーナ、似たような柄のネロクラウン(中国産大理石)を見て回りましたが、なかなか良いものがありませんでしたが…、

この業界でナンバーワンの在庫数を誇る関ケ原石材の倉庫を回っていたら、漆黒のベースに白くシャープな線が走っている素晴らしいネロマルキーナが何枚も並べてありました!

ところが、残念ながらすべてが売却済みのものでした…。ちょうど他の設計事務所の検品中だとのことで、指を咥えて眺めてみたところ、偶然知り合いが検査チームの中にいたので声を掛けてみたところ、やはりそちらで取り組んでいるプロジェクトでも僕らが考えているような大理石スラブを長い間、探していたそうです。ところが国内ではどうしても見つからないとのことで、数か月前に中国のアモイ近郊にある大理石スラブの集積場を見て回って理想のものを見つけ、国内に輸入されたものを最後に検品に来ていたそうです。

黒ベースは国内で探すのは難しそうだとのことが、上記のことからも分かったので、発想を変えて別の色で魅力的に感じる大理石スラブをすることにしました。こちらは強く大きな柄が入ったアラベスカート(イタリア産)です。柄が大胆でかっこよかったのですが、白地の部分が黄ばんで見えるのが残念だと感じ、候補には挙げませんでした。

こちらはベース色はブラウンですが、きれいな白線が走っているサボナ・ブラウン(トルコ産)でした。素地のブラウン色の部分がきめ細やかで、美しかったので候補に挙げることにしてマーキング作業もさせて貰いました。

最後に見つけたのが、こちら金色(黄色?)の斑が印象的なムルシア・ブラン(トルコ産)でした。ここまで2つ候補に挙げてきた大理石スラブは、全体に癖がなくシャープなイメージのものでしたが、このスラブを見た瞬間に、もっと癖があって一枚の絵画のようなものも良いのではと考えが変わりました。

とはいえ、結構強い柄と色なので、その特徴的な部分を接写するとともに、似たように色が変化したサンプル材の手配を成沢さんにお願いしておきました。

これは奥まったところにあったムルシアブランのスラブ材をクレーンで吊り上げて、より模様や色を確認しやすい位置に移動してもらっている様子です。

日帰りの岐阜ツアーから戻って、すぐに写真を整理して、候補に挙げた大理石の特徴と張り方を資料に纏め、

展開図のマントルピース部分にコラージュしてみた図面を作って、まずはお客さまにメールをお送りして、次回の打ち合わせで石材を決定する段取りと致しました。