Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

塗装下地のパテ処理の重要性について 

青山P邸

青山P邸の現場では、壁と天井が塗装仕上げなので、その下地作りでパテ処理が行われています。

dsc_2986_pt

こちらはダイニングの天井のパテ処理状況ですが、中央に黒くスリットが入っているのが照明ボックスです。木製のボックスを天井とフラットになるように埋め込んで、周囲の石膏ボードとの継ぎ目をパテ処理してゆきます。

dsc_2987_pt

170平米と広いマンションなので、奥の部屋から順序立ててパテ処理をしているので、こちらリビングダイニングはまだ一度目のパテ処理最中です。最初は、石膏ボードを固定しているビスの頭部分をパテで埋め、ボードの継ぎ目(ジョイント)は寒冷紗を貼ったあとでつぶしてゆきます。

dsc_2992_pt

こちらはパテ処理が先行して行われている奥のプライベート廊下と個室部分です。ビスとジョイントを埋めた後、二度目のパテでより幅広く処理範囲を広げている様子が判りますね。

dsc_2998_pt

廊下に面した個室の建具周りは、さらにパテ処理が進んで、ほぼ総パテ(全面パテ塗り)状態まで行っています。総パテまでする職人さんは少なくなってきていますが、ここまで進むと、すでに塗装されたような状態に見えてきます。

dsc_2983_pt

これはリビングの一角に作っている書庫コーナーの天井ディテールです。目地の個所で、塗装色を塗り分けるので、プラスチック製の目地を入れて貰っています。塗装用パテ処理では、このボードとプラスチックの継ぎ目もパテで一体化させてゆくのです。

dsc_2980_pt

これがリビング側からみた書庫コーナーです。ニッチ状に凹んだ箇所に本棚が組み込まれきます。塗装で仕上げるメリットは、天井や壁が一体感を持つことだと思っています。両者がシームレスに繋がることで、空間性を強く感じることができるのですが、その際にどれだけ丁寧にパテ処理したかで、後々ヒビが入ってくる度合いが違ってくるのです。

dsc_2990_pt

こちらはまだボード張り後何もされていない玄関ホールです。壁と天井に細いスリットが入っていますが、ガラスの袖壁を嵌め込むC型チャンネルが埋め込まれた状態です。

dsc_3004_pt

玄関框と姿見の鏡が貼られる凹みと木製幅木の取り合いディテールです。こういった異種素材が出会った箇所は良い丁寧に考えてゆくことで、空間の一体感が強まると思っています。

dsc_2993_pt

こちらは浴室のステンレス枠とタイル張りの枠の取り合いです。白いシールで保護された部分は鏡面仕上げのステンレスで、そこに突きつける形でタイルが貼られる予定です。
塗装下地のパテ処理や、細かいディテールの組立てと目立たない工程が続きますが、この過程をどれだけ丁寧に進めるかで全体の仕上がり感のグレードが決まってくるので、本当に大切なプロセスだと思っています。

 

新築マンションリフォームのメリットとは

麻布台M邸

新築マンションリフォームの麻布台M邸プロジェクト、詳細を詰めたデザインの見積りも纏まったので、解体工事に着手しました。

dsc_2907_pt

180平米の大きなお部屋の間仕切りが無くなっているので、とても広い空間になっています。

dsc_2920_pt

新築マンションリフォームのメリットは以下のようなことだと考えています。

  • エアコンやキッチン設備機器、浴室や洗面などが最新の設備なので、全てが再利用が可能なこと(ただし、一度リフォームをすると新築時のデベ及びゼネコン側の保証は切れてしまいます)
  • 全体がきれいなので、部分リフォームをしても、していない個所との差が生じにくいこと
  • 既存図面類がしっかりしており、ほぼその通りに施工されているので、解体時に予想していなかった問題が発生しにくいこと
  • フローリングや壁紙等がまだ販売されており(築古だと廃番になっていることが多い)、既存と合せるのが容易であること

今回もその法則に則って、設備はあまり弄らない作戦としています。キッチンは、シンクと食洗機、ガスレンジとレンジフードが入っているL字型カウンターはそのまま生かして、アイランドカウンターや背面収納を作り直す計画としています。

dsc_2914_pt

取り外したキッチン収納や扉材ですが、これも再利用することができるものばかりなので、一部屋を保管部屋として確保して、保存して貰っています。キッチンサイドパネルは加工して新しいキッチン収納の扉に利用すれば、既存キッチンと色味を完全に合せることができるので、捨てる手間もなくなり一挙両得なのです。

dsc_2960_pt

ダウンライトなどの照明器具やスイッチパネル、給排気のグリルや点検口なども再利用することを前提に取り置きして貰っています。

dsc_2908_pt

先にも挙げましたが、築年数が5年以下だと、CAD(コンピューターで描く手法)図面と施工された現場の合致度が高く、レーザーで正確に測っても図面と2~3ミリのズレしかありません。床下や天井裏の隠れた部分の配管やダクトもほぼ図面通りに走っているので、解体してみてアレッと思うことが少ないのです。もちろん、有力デベロッパーの建物で大手ゼネコンが力を入れて作った建物だという点もあるのでしょうが。

dsc_2934_pt

天井裏の懐も余裕を持って設計されているので、ダクトが走っている位置とダウンライトが重なっても問題なく施工できるようになっています。

dsc_2974_pt

ただ、設計側も無駄な設備移設などは道連れ工事(何かを動かすことで、他の部分にも関連してやり直すことになってしまう工事のこと)をなるべく少なくしたいという思惑もあるので、それなりの調整が必要です。
こちらはキッチンの天井です。ボード裏にリビング&ダイニング用のエアコンの本体が隠されており、当初は見えている天井カセット式エアコンを移設して、点検口も併せて移設する予定でしたが…。実はそれをすると隠ぺいエアコンまで動かす必要が生じて、ダクト移設の為に天井を全て落としてエアコンとダクトをやり替える大きな道連れ工事が発生してしまうので、パントリー収納の形状を変更して、対応することにいたしました(と書いても、全く判らないと思いますが…)。

dsc_2973_pt

施工をお願いしている青の田原さんと八木君、そしてうちの担当スタッフの竹田さんが打合せをしている様子です。

dsc_2911_pt

今回のお客さまは、こちらをリフォームしても、お子さまの学校のことなどがあるので、すぐに暮らすツモリはないとのことで、しばらくは賃貸として貸し出すことになる予定です。可変性を持たせた間取りとしたいとのことで、従来は3LDKだった間取りを2LDK+書斎(デン)としますが、状況によってはデンを取り壊して大きなLDにもできるようにしたいとのご要望がありました。
この写真で金属製の柱(LGSです)が3本立っていますが、この部分の壁を取り外したいのですが、手前の個室側の天井がこのLGSで支えられているため、撤去すると天井が落ちてしまうことが判りました…。

dsc_2926_pt

つぶしてしまう予定の個室側からLDKを見たアングルです。ところが、これについても天井裏を覗き込みながら、幾つかの工法の話をさせて貰いました。その後、田原さんから特殊な方法を考えれば、数年後にLDを広くしたい時に、比較的安易に壁を撤去できるように作れそうだとの嬉しい連絡が入りました!

dsc_2916_pt

奥の個室2室と洗面浴室はほとんど触らないのですが、こちらの長い廊下は途中に無駄に多くあった収納を取り外して、大きな飾り棚を設ける予定です。廊下の先の右下に見えているオレンジ色の箱は…

dsc_2919_pt

仮設用の分電盤ボックスです。従来の分電盤は位置を大きく動かすので、その移設が完了するまで、工事道具用の電源として、このような小型の仮設分電盤を使っているのです。

dsc_2941_pt

解体では、大量の廃材が発生しますが、共用廊下や荷物用エレベーターを汚さないよう、かつ木材やボード類、金属を別個に捨てることで廃棄費用を安くするために、きれいに分別されています。

元麻布I邸 オーダーキッチンの組立て

元麻布I邸

高級マンションリノベーションの元麻布I邸の現場もいよいよ大詰めで、色々な工事が同時多発的に行われています。

dsc_2754_pt

造作家具は小物が先に設置され、キッチンは各種ユニットの箱が現場に運び込まれました。

dsc_2731_pt

これだけの箱ユニットが、キッチンの中に組み込まれていると考えると、キッチンの複雑さに改めて感動しておりました。

dsc_2732_pt

まずは壁際のガスコンロが入るカウンターが組み立てられています。濃灰のユニットに、濃灰のセラミックカウンターが乗って、左右にはブラッシュドアルミの扉が左右対称に取りつく予定です。

dsc_3026_pt

主寝室横の洗面所には、洗面カウンターが組み立てられた横、奥のトイレとの間仕切りのガラス壁が差し込まれていました。

dsc_3027_pt

トイレ側から見ると、ガラス壁の位置関係が判りやすいですね。現場で、職人さんがぶつかってケガしないように、ガラス板には大きくマスキングテープが×印状に張られています。透明なままだと、洗面所入り口から便器が丸見えになってしまうので、完成後に半透明フィルムの濃淡を現地でIさまご夫妻と一緒に選んで貼る予定としています。

dsc_3032_pt

来客用トイレは、手洗いカウンターはまだですが、先行して鏡の四周を縁取るウォールナットの枠が取り付けられていました。

dsc_2749-2_pt

210平米と大きなマンションなので、複数の工程が同時進行しています。一番奥の部屋である主寝室は天井の塗装は終わっていますが、壁はボードの目地をパテで埋めて塗装下地を作っている段階です。

dsc_2750_pt

天井廻りのモールディングの塗装は終わっています。本当はモールディングはOP系のツヤのある塗料で塗った方がきれいなのですが、こちら元麻布I邸では、揮発性物質に注意しているので、ツヤのない水性塗料を使って貰っています。

dsc_2743_pt

ユーティリティーでは、ちょうど塗装屋さんが2度目のパテ処理をしているところでした。

dsc_2753_pt

リビングの窓際では、スタッフの前田君が現場監督の神成さんと窓際の大理石の納まりを打合せしていました。

dsc_2772_pt

そのすぐ横のベランダに面した大きな窓サッシ枠の手前に、プリーツ網戸を収める付け枠が取りついていました。こちらも塗装して仕上げる予定です。

dsc_3018_pt

こちらはその二日後に伺った際の様子ですが、キッチンはすっかり組み上がって、完全に養生されていました。

dsc_3012_pt

ダイニング側から見ても、シンクカウンターが組み上がっています。

dsc_3021_pt

キッチン内部から両側のカウンターを見ると、このように右側ガスレンジカウンターは濃灰で、左側シンクカウンターは白とコントラストが付いたキッチンとなりました。

dsc_3023_pt

先ほど下地パテ処理をしていたユーティリティーは塗装が終わって、洗濯機横の収納と吊戸が取り付けられています。

r5552078_pt

玄関廊下と書庫廊下の見切りとして、焼き付け塗装でお願いしたスチールの薄枠も付きました。同じ廊下でも、角を曲がる度に色のイメージが変わってくるので、それを見切るための工夫です。

r5551999_pt

AVステレオシステムの構築も迫ってきたので、テレビとステレオ、電動カーテンと照明の調光を連動するシステムをお願いしているB&O六本木店(オーラス)の阿南さんに来てもらい、配線のための配管がきちんと入っているかをチェックして貰いました。

r5552002_pt

ステレオシステムは、リビングダイニング単独ではなく、書斎と主寝室もネットワークで組み込むことで、どの部屋でも好きな音楽をシームレスに聞くことができるようにする予定です。こちらはNAS(音楽のサーバー的な機器)とネットワークプレヤー(NASからの信号をアンプへ送り出す機器)を置く書斎での調査の様子です。