大規模リノベーションの元麻布I邸では、玄関ホールとダイニング壁の一部をアンティコスタッコで作ることになりました。
「アンティコスタッコ」とは聞き馴れない建築用語かと思いますが、ベネチアンスタッコとも呼ばれるもので、大理石を細かく砕いた粉を漆喰に混ぜて、ヘラを使ってムラ感がありながら光沢感のある美しい壁を作る技術のことです。
アメリカではよく使われる技法でしたが、日本に戻ってからは使ったことがなかったので、リフォームキューの現場監督の神成さんに工程を事前に確認しておいて、施工される様子を見学に行って参りました。
写真の左側の壁と、そこからさらに折れ曲がってダイニングの突き当りまでの壁がアンティコスタッコで仕上げる壁となっています。
日本でも幾つかの会社が施工してくれるようですが、色合いが最も美しく、色の種類も一番多かったAIZUさんにお願いしています。こちらが事前に調合されたアンティコスタッコのベースです。
僕らが見学に行った前々日からボード壁のパテ処理、そして前日にはラフな下塗りを終えている段階でした。そこから職人さんがヘラで塗ってゆくのですが、その手の動きのスムーズなこと…。
左官といえば、鏝(コテ)にもっと湿気のすくないモッサリした土状のものを持って押し付けてゆくものです。塗装といえば、ローラーや筆にもっと湿気の多い液状のペンキを塗ってゆくものですが、アンティコスタッコは、ちょうどその中間のようなものでした。お好み焼きで使うヘラに、ちょっとベースをのせて、ランダムな円弧を描くように塗りつけて、同時に磨きだしてゆくような作業でし。
まだ完全に乾いた状態ではありませんでしたが、こんな感じに仕上がってゆくのです。
当日の作業が全て終わってから数時間経った状態です。まだ乾いていないところもチラホラ見えますし、照明を当てていないと地味な仕上げにしか見えませんが、肉眼ではきれいに仕上がっていました。
外壁と同じザラッとしたタイルが貼られている玄関ホールとリビングに対して、滑らかでしっとりとしたアンティコスタッコの壁が上手く対応してくれそうです。素晴らしい職人技と仕上がりの美しさでワクワクする一日でした!