Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

施主支給品の組み立て設置@南麻布K邸

南麻布K邸

一通りのリノベーション工事が終わった南麻布K邸の現場では、幾つかの施主支給品の組み立て工事が始まりました。施主支給工事だったり、家具類の搬入といったものは、リノベーション工事が終わって引渡しが済んでから取り掛かるケースが多いのですが(今回はキッチンや浴室は施主支給工事でしたが、段取り上行程に組み込んでいましたが…)、最近はすべてを組み込んで、家具や調度品類までセットしてからお引渡しをすることが多くなってきました。

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こちらの工事は、TVとAVシステムをお願いしているB&O(バング&オルフセン)の工事です。テレビとオーディオシステム、さらには照明器具や電動ブラインドの開け閉めを手持ちのスマートフォンで操作できるようにする、200平米越えの高級マンションならではの設備工事です。

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テレビは薄型が常識になっていますが、ブルーレイやオーディオのアンプ類を収納するには40センチ以上の奥行が必要で、そのデザイン的処理に苦労することが多くあります。今回は、この写真のように薄型テレビを可動扉で隠せるようにし、その下にはエタノール暖炉を組み込んだ大理石製のカウンターを設けています。ブルーレイやアンプは、先ほどの写真のキッチンカウンターの下部に収納して、この2か所を配線で繋ぐシステムとしているのです。

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天井埋め込みスピーカーや、ソファーの後ろに設置するウファー(重量音用スピーカー)などからの配線、さらにカーテンや照明器具などからの信号線をホストコンピューターであるクレストロンに接続している様子です。マニュアルがあるようでない世界で、常に機器類が進歩してゆくので、それらの最新情報を理解しながらネットワークを組んでゆくのは、まさにプロならでは仕事ぶりです。

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似たような光景で、脚立に立っている電気の職人さんがケーブルを引き出していますが、こちらはセキュリティー関係の配線です。こちらも施主支給の工事となっていますが、実線配線まで工務店の青が担当してくれています。

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一番奥の主寝室では、イタリア製高級ベッドのフルーのベッドフレームを、直輸入でお願いした中津家具さんが組んでくれています。マットレスの性能だけを比較すれば、アメリカのベッドメーカーのシーリーやシモンズが優秀ですが、ベッドフレームやヘッドボードのデザインまでを含めて考えると、フルーの製品がバラエティーが豊富で優れているのではないでしょうか。

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レザーを編み込んだヘッドボードとベッドフレームが組み上がった様子です。緩いアーチ状の木製の骨でマットレスを支える構造となっていますが、中央部分の骨の張り具合を調整することで、マットレスの沈み込み度合をコントロールすることができる仕組みになっています。

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こちらがベッドが完成した様子です。布団やベッドカバー、枕カバーも全てフロー社のリネン類で揃えています。ベッドサイドの机は特注でお願いしており、製作中ですが、ちょうど廊下の正面にあたる壁には、イタリアのデ・マヨ社のガラス・ペンダント照明を吊るしています。

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子供部屋のベッドも特注の輸入品です。ドイツ製の子ども用二段ベッドをエンジェルシェアにお願いして入れてもらいました。

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組み上がりつつある二段ベッドの手前にある長い板は、滑り台の部材です。

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こちらが最終的に組み上がった滑り台付き二段ベッドです。滑り台の奥には二段目に上るための梯子があり、ベッド手前にはボルダリング・ボードと、落下した時のためのマットレスがセットされました。二段ベッドの上段には、飛び降りれないように幌が付いています。子供にとっては、遊具であり秘密基地にもなり、絶対楽しんでくれるハズです!

新プロジェクト 赤坂S邸リノベーション計画の調査解体

赤坂S邸

昨年ご相談を頂いた赤坂のマンションリノベーションプロジェクトS邸ですが、現地確認やリフォーム提案などを経ていよいよプロジェクトが具現化してきました。

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築年数は十数年ですが、エントランスロビー部分はスタイリッシュにリノベーションされているのですが、Sさまがご購入なさったお部屋は元々の賃貸仕様のままでした。

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築十数年の100平米超えのお部屋なのですが、元々は1LDKの間取りとなっています(一般的なマンションであれば、100平米あれば2~3LDKの間取りとなります)。

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その分、キッチンの通路部分が広かったり、

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玄関や廊下が広く、広さがあまり有効活用されていないことで、お施主さまのSさまは全面リノベーションを決意なさったそうです。

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ご家族が3人なので、2LDKにしたいとのことで、上記のようなリフォーム案を2案考えてみました。各寝室の構成はほぼ同じですが、キッチンのレイアウトや水回り・収納の位置は細かく調整してみました。

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B案のイートインカウンターとキッチンが一体化したようなリフォーム案で進めたいとのご意見を頂いたので、その使い雰囲気が判るように立体的なスケッチを描いてみたものがこちらです。

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比較的築浅(築10年ちょっと)だと竣工時の図面もすべてCAD(コンピューターで書いた図面)化されており、優秀なゼネコンが作ったマンションであれば、図面と建物の一致度が高いので、ほぼ図面通りに建物が作られています。ただ、それでも細かい設備配管のルートや壁・天井裏や床下には不確定要素があるので、Sさまに実費を出してもらったうえで、大工さんに半日現地に入ってもらい、調査解体を行いました。壁のボードを部分的に撤去して貰った様子ですが、外壁側はきちんと吹き付けウレタンで断熱されていることが確認できました。

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判りにくいですが、洗面所の壁の位置と浴室の壁の位置がズレていたので、浴室の裏に使われていないスペースがあることを、壁に穴をあけて覗き込みことで確認いたしました。

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キッチンのレンジフードのダクトのルートと、天井段差の理由を探るために、キッチンの天井もボードを割いて貰いました。

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天井と壁で合わせて8か所ほど開けて貰い、孔から内部を覗いて図面通りに作られていることや、

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図面だけでは分からなかった配管ルートなどを探ることができました。R0050752_pt

こちらは非破壊検査でわかる箇所ですが、ベランダのガス給湯器の下のカバーを外した内部の様子です。リフォーム前は追い炊きや床暖房がありませんでしたが、外壁にコアを開けずにそれらの配管を室内に引き込むことができるかをチェックいたしました。写真で、オレンジ色の配管が壁に刺さっている個所は、当初から躯体に開けられていた開口部なのですが、この隙間にさらに何本かの管を貫通させそうなことも判り、管理組合に諮らなければならない大きな工事をせずに、お施主さまのご要望を満たせることが判りました。

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こちらは実測調査後に行った、お施主さまとの打合せ風景です。マンションロビーとお部屋のインテリアのギャップが大きかったので、室内側にもある程度のグレード感が演出できる大理石やタイルを使うべきだと思っていたので、それらのサンプルを見て頂きました。

 

レザー張り特注建具の吊り込み@南麻布K邸

南麻布K邸

仕上げ工事が継続している南麻布K邸の現場ですが、建築工事の最後の大物のレザー張りの特注建具の吊り込みが行われました。

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まずは完成時の特注建具の様子ですが、フロアヒンジを使った扉で、横の造作家具との高さを揃えたりといった細かい調整もあるので、簡単にここまでできる訳ではありませんでした。

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まずはフロアヒンジの調整から始まります。

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何度も仮吊り込みをして、ヒンジを調整してゆきます。この状態でも、まだ建具の下はフロアヒンジに載っていません。

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建具は鉄のフラットバーで四周フレームを組んで、ガラスや鉄焼き付け塗装の特注取っ手などを組み込んだ重量のある扉なので、吊り込みの度に他の作業をしている職人さんたちを呼んで3人掛りで吊り込んでゆきました。

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他の建具の吊り込みも同じタイミングで行われました。こちらは廊下から主寝室への扉ですが、オランダの金物メーカーFORMANI(フォルマーニ)のレバーハンドルで、ピエット・ブーン氏がデザインしたONEというシリーズを使っています。ただ、日本での採用実績がほとんどない金物なので、こちらも調整に手間取っておりました。

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メインの洗面室から主寝室裏のシャワーコーナーに繋がるエリアも、造作家具に鏡やカラーガラスなどが取りついて、徐々に完成形が見えてきました。

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後は、細かい作業の積み重ねです。こちらはキッチンの天板に取り付け中の家具用コンセントです。通常であれば家具用コンセントにはプラスチック製のカバーがついてしまうのですが、陶板のきれいなカウンター上でしたので、特注でステンレスプレートを作って貰い、それがカウンタートップとフラットに取り付けられるようにアムスタイルが調整してくれています。

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そうこうしているうちに一足先にダイニングには家具が到着し始めました。イタリアはポリフォーム社の大理石テーブルが置かれ、天井にはやはりイタリア製のバロビエール&トーゾのシャンデリアが吊るされました。因みに薄くて軽やかに見えるダイニングテーブルの大理石天板ですが、天板だけで200キロ相当で大人6人掛りで階段で荷揚げして貰ったものです。
これから4日ほど掛けて、ソファーやチェア、書斎テーブルやベッドなどを順番に入れてゆく予定です。