Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

解体作業で現れてきた問題への対処方法について

原宿K邸

マンションオーナーの原宿Kさまのお宅の解体工事が始まりました。

DSC_7370_pt

解体が始まったと同時に、工務店のの現場監督の田所さんから幾つかの問題点が挙がってきました。

DSC_7378_pt

  1. キッチンを予定している部分に逆梁があったこと
  2. コンクリートのにジャンカ等であまり良くない箇所がいくつか見つかったこと
  3. 壁裏でサッシからの水漏れが見つかったこと、等です。

僕らに取って一番大きな影響があるのが、なんといっても1番の逆梁でした。当初は、この部分に冷蔵庫を置くレイアウトでキッチンプランを検討していたので、それを根本から見直す必要が出てきました。

R0054551_pt

2と3については、ある程度予想はしていたので、早速Kさまご夫妻に現場に来て頂き、状況を説明したうえで、補修計画を進めることになりました。

R0054357_pt

1については、奥さまとここまで練り上げてきたキッチンプランを作りなおすことになるので、奥さまにも現地にて状況を説明させて頂きました。もっとビックリなさるかと思っておりましたが、「災い転じて福となす」の気持ちで、「これをキッチンを考え直す良いキッカケと考えて、より良いキッチンプランを作りましょう」と、とても前向きなお話をしてくださいました。

DSC_7381_pt

こちらは床材をはぎ取ったことで現れた、床下に隠されていた給水給湯管、排水管とガス管です。右側に見えているオレンジ色の柱は、20年ほど前に大規模リフォームをなさったときに、壁を撤去した代わりに差し込んでいた鉄骨柱だそうです。
実は、リフォーム計画がある程度進んだ時点で、この鉄骨柱のお話を伺った際に、竣工時の図面にきちんとした情報があまり乗っていなかったことや、エアコンなどの配管のためにスリーブが色々な箇所に開けられていたことなどから、工務店とも相談して解体工事とリフォーム工事を切り分ける方針で工事を進めるようにスケジュールを組んでおりました。つまり、解体した状況によっては、リフォームプランが変わる可能性もあることを考慮して、リフォームプランを練りなおす時間を確保していたのです。

DSC_7385_pt

給水管が床スラブを斫ったか所を通っていたり、

R0054355_pt

図面では分かっていなかった浴室の排水管経路やスラブとの高さ関係を、浴槽撤去時に確認したり、

DSC_7536_pt

上階の部屋の排水管が貫通した天井裏に、以前の水漏れでカビた箇所が見つかったりと、問題が色々と現れてきましたが、それぞれを工務店と相談しながら補修計画と見積りを作って、すべて承認して頂いて補修した後でリフォーム本体工事に取り掛かる予定なのです。

DSC_7519_pt

解体工事がすべて終わった時点で、現場をきれいに清掃してから改めてお施主さまと問題点を見て頂きました。お見積りが変わる可能性がある個所や、プランの練り直しが必要な箇所をご説明させて頂きました。

DSC_7664_pt

ジャンカや水漏れについては、早急に直してほしいとのことで、すぐに補修工事を始めて貰いました。

DSC_7661_pt

床スラブのレベルもまちまちで、どこを基準に床仕上げ高さを決めるかも難しく、また引き戸を多用したデザインだったので、床の水平性と壁の垂直性が重要になってくることを考えて、壁と引き戸がくる位置の床にはセルフレベリング材を使って、床補修も行って貰いました。

DSC_7667_pt

コンクリート躯体の補修工事が終わり、セルフレベラーで床スラブも補修された後の現場の様子です。

DSC_7523_pt

あとは何とか、このキッチン部分に現れた逆梁(写真左手の壁の床付近に見える出っ張り部分)を避けながら、キッチンプランを練り直す問題だけが残りました…。

 

 

 

 

タイル張り・造作家具&再塗装建具の取り付け@白金台P邸

白金台P邸

床のフローリングが張り終わった白金台P邸リノベーションプロジェクトの現場に、今度がタイル屋さんが入ってきました。

R5541256_pt

キッチンと大型パントリーが一体化した空間の床タイルは、大理石柄が美しいヴィストーン(平田タイル)を斜め貼りして貰っています。

R5541369_pt

トイレの床と壁には、同じヴィストーンをイモ目地で張り伸ばしてもらっています。造作家具でデザインした手洗いカウンターと鏡の額縁も取り付けられていました。

R5541383_pt

ハーフユニット浴槽を使った浴室の壁には、大理石柄ボーダータイルのストーンボックス(アドヴァン)の2色を張り分けて貰っています。

R5541381_pt

テンパーガラス(強化ガラス)の扉はまだですが、ステンレスサッシがとりついた浴室は、タイル張りの効果で高級感がグンと出てきました。

R5541320_pt

順番は前後しますが、浴室手前の洗面脱衣室には、ダブルシンクの洗面カウンターがとりつきました。奥の廊下突き当りにもリネン収納があり、収納量も十分なスタイリッシュな洗面+浴室になりそうです。

R5541385_pt

洗面カウンターの上には、やはり造作家具で作ってもらったメディスンキャビネットがあります。扉裏にLEDの間接照明を仕込んでいますが、電圧を落とすためのトランス(変圧器)が必要となるので、写真のような位置にトランスを隠す収納を作ったもらっています。

DSC_7646_pt

キッチンと背面収納も取り付けられました。キッチンの吊戸棚下には、使えそうなスペースがあったので、キッチンパネルを工夫して貰い、小物を置けるニッチ収納を作ってもらいました。

R5541341_pt

リビングには2つの造作収納が設置されます。一つ目は写真左側に見える柱形を覆うように設置された、オーク白拭き取り仕上げの飾り棚です。2つ目が写真中央右のカウンター収納です。

R5541327_pt

写真では分かりにくいのですが、室内のシックなデザインとマッチさせるように、アールデコ的なデザイン様子を取り入れています。

R5541389_pt

天板にはポルトロという高級大理石を採用しています。イタリアのラ・スペッツィア近郊で採れる大理石だそうで、写真のような黒字に金色の柄が印象的なとても美しい大理石です。

DSC_7635_pt

工事中には、収納の建具を再塗装するために、建具が取り下げられていましたが…

R5541358_pt

木目を残したセミ・オープンポア仕上げで、黒く塗られた建具が戻ってきました。

R5541403_pt

建具に使われていたヒンジやレバーハンドルなどの金物類もヴィンテージ感を活かす貴重なアイテムなので、すべて軽く磨いた上で再利用して貰います。

R5541404_pt

まだ、埃が待っているので、シックさが十分に伝わらないと思いますが、玄関ホールの雰囲気がガラリと変わりました。

R5541392_pt

同じように黒く塗られた両開きの扉が廊下からリビングへの入り口にも吊り込まれました。

R5541394_pt

同じタイミングで、クラシカルでシックさを演出するもう一つのアイテムの壁付けブラケット照明も取り付けられました。

R5541340_pt

リビングのテラスに面したアルミサッシには、プリーツ網戸を隠す木製の方立(ホウダテ)が立てられました。アルミサッシの軽さが、この方立を取り付けることで、奥行と重厚さを演出しようと考えています。

 

大判大理石調タイル・フィアンドレ@アークテック

原宿K邸

原宿のK邸では、キッチンのガスレンジ正面の壁に大判タイルを張って、一つの見せ場にしようという計画が進んでいます。普通であれば、ガスレンジ上にはレンジフードが付き、その左右に吊戸棚が並ぶのが一般的ですが、少し奥まった場所にあるキッチンなので、広さと明るさを感じられるように継ぎ目のなるべく少ない大判タイルで仕上げることになりました。

DSC_6285_pt

お施主さまとスタッフの竹田さんの正面に並んでいるのが、イタリアのフィアンドレ社が作っている1m×3m(!)の大理石調の大判タイルです。この大きさながら厚みは6ミリで、大理石柄もタイル素地に含浸させているので、磨き化工やマット加工も可能という優れたタイルです。

DSC_6281_pt-2

大理石の種類も10数種類あり、模様が重ならないように柄のパターンも幾種類かあります。今回の計画では、大きな柄が入っている物の方が印象がはっきりとして良さそうだと考えて、写真一番奥に展示されていたスタトゥアーリオを2枚オーダーして、ブックマッチにすることになりそうです。

DSC_6136_pt-2

因みに、ショールームの床に張ってあったのは、同じフィアンドレの