Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

造作TV収納家具の設置とクロス張り@横浜O邸

横浜市O邸

僕らが工事現場をチェックしている際で、毎回もっとも興奮するのが造作家具の設置時です。というのは、僕らのデザインの大きなポイとがキッチンを含んだ造作家具と建具(扉のこと、枠の作り方も含みます)にあるからなのです。

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横浜O邸の造作家具の主人公は、こちらのTV収納棚です。まだ取り付け途中で、全容が判らないと思いますが、リビングの壁面をほぼ一面使って、二つの建具と絡みながら、4種類の仕上げ材を取り交ぜたデザインとなっています。

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取り付け作業中の段階でも、ウォールナットの突板、濃灰の塗装に、オレンジ色の塗装が確認できます。オレンジ色の塗装のような強いアクセントになる色味は、これまであまり使ったことがありませんでしたが、お施主さまがとても気にいってご購入くださったミノッティのチェアの色が、空間の中で孤立しないように、関連付けてみました。

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そのオレンジ色の箱の横は、部屋の照明スイッチが集まる場所です。基本的に、僕らのデザインでは照明器具は少し多めに設置してそれぞれを調光できるようにすることにしています。ただ、調光スイッチはパネルも大きくデザイン的にはあまり見せたくないものなので、今回はキッチン横に調光スイッチを設け、リビングに入ってすぐのこの造作棚部分には、デザイン性の高いForbes & Lomaxのトグルスイッチを使うことにいたしました。

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こちらは、ダイニング奥から見返したアングルの写真です。左手に造作TV収納家具があり、中央にはまだ扉が吊られていませんが、廊下への出入り口があり、その右にはワインセラーと収納、冷蔵庫置き場を一体に組み合わせたデザインが見えてくることになります。

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ワインセラー置き場と冷蔵庫のさらに右奥には、キッチンの背面収納から繋がった、小さな書斎コーナーが作られ始めています。

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キッチン背面収納の養生を、写真撮影のために少し剥がして、L字型の書斎テーブルとの繋がりが見えるようにしてみました。こちらのスタディーコーナーもウォールナットの突板仕上げとなっています。天井のカセット式エアコンは、ギリギリの寸法ですが、キッチン部分の照明に被らず、かつキッチンで作業中の奥さまが涼しくいられるように、書斎コーナーの天井に移設しています。

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造作家具はまだ取り付け中ですが、家具の仮固定が終わったところから、早くもクロス屋さんが入ってビニールクロスを張り始めてくれています。

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一通りクロスが張り終わった天井です。今回は天井のデザインも少し凝ったものとなっており、二段の構成で色も違えており、さらに写真では分かりにくいですが、間接照明部分は立ち上がり部分をカーブで丸くデザインしています。

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その他のところでは、来客用トイレの手洗いカウンター家具が入っています。こちらにもウォールナット材を使っていますが、天板はグリジオカルニコというイタリア産の黒字に白い模様が入った大理石を使っています。トイレでも、スペースの有効活用をするために、四角い箱ではなく、凹凸のある設計をして、その凹凸が活きてくるように、素材を散りばめています。

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もう一つ、今回現場で早く見たかったものが、この玄関正面に張った大理石です。こちらは中国産の大理石ダークセルベですが、仕上げに軽い凹凸感が出るようにレザーフィニッシュという仕上げを施して貰いました。4枚の同じ石から切り出したスラブ(石の大判板)を前後左右に展開して、模様が繋がるように張って貰っています。とても上品な色合いでお施主さまご夫妻もとても気に行ってくださいました。

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前回のブログで紹介したベランダは、すでに先行して出来上がっていました。三分の二がウッドデッキで、残りの三分の一が人工芝になっています。このようなウッドデッキ材と人工芝材のミックスレイアウトも初めての挑戦ですが、お施主さまも使い勝手の発想が広がると喜んでくださっています。
このプロジェクトの完成後の様子は、横浜市O邸をご覧ください。

 

改めての竣工検査&取り扱い説明@原宿K邸

原宿K邸

オーナーマンションの原宿K邸では、残念ながら工期の遅れで、当初の日程で竣工検査ができなかったので、新規にご購入いただいた家具を搬入設置後に改めての竣工検査をすることになりました。

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まずは新規家具の搬入設置です。ミノッティでお願いしたソファは、小型のものを2個組み合わせるスタイルです。

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僕らのプロジェクトの担当をいつもしてもらっているミノッティ早坂さんが、奥さまに取り扱いの説明もしてくれました。二つのソファーは同じ色味に見えますが、実は一つはレザー張りで、早坂さんが押している方はファブリック張りのものとなっています。夏にはヒンヤリとした肌触りのレザーは快適ですが、冬になると肌寒く感じがちなので、ちょうど反対の触感のファブリック張りのものを組み合わせるという選び方です。

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キッチン前の床に置かれているのは、やはりイタリアモダン家具のモルテーニのダイニングテーブルです。

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フィリグリーというエクステンション(伸張式)テーブルなのですが、とても利便性の高い折り畳み機構を使っており、エクステンションテーブルらしさが全く感じられないのが特徴の食卓机となっています。

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お施主さまには、ショールームでも幾度か伸張のメカニズムを体験していただきましたが、改めて使い方を説明して貰っている様子です。因みに、天板の仕上げ材はユーカリ材です。色味がウォールナットのように見えますが、実は世界中でウォールナット材は品薄になってきており、その代替え品として、豊富にあるユーカリ材を特別な処理をして子の色味に仕上げているそうです。
テーブルに合わせたダイニングチェアは、アルフレックスのエレガ15です。

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家具の搬入設置が終わった翌日に、改めての設計・施主検査と取り扱い説明をさせて頂きました。検査については、Kさまご夫妻がいらっしゃる2時間ほど前に、僕ら設計側が立ち会って、不良施工や未施工個所に付箋を貼りながら、辰の現場監督の田所さんと一緒にチェックしてゆき、それを後程お施主さまに説明してゆくスタイルで進めさせて頂きました。竹田さんがチェックした内容をお施主様にお渡しするチェック図面に書き写してくれています。

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こちらはそのチェックした内容に沿って、お二人に説明している様子です。

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一通りご説明した後は、設備(空調・ガス・衛生機器・キッチン)の各業種の担当者が来てくれているので、個別の設備の取り扱いやメンテナンス方法も順次説明していって貰いました。写真は、壁埋め込みのエアコンのフィルター清掃の方法を説明してくれている様子です。

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ガス工事の担当者には、床暖房と給湯器の使い方を説明して貰いました。

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基本的に、基本的な設備についてはご主人さまが、キッチンについては奥さまが強い興味を持ってくださっているので、途中から二手に分かれて取説を聞くスタイルになってゆきました。キッチンの説明は、アムスタイルの宮本さんです。

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奥さまも、そして僕、各務も最も興味をもって説明を聞いたのが、ミーレの最新のスチームオーブン(スチームクッカー)の使い方説明です。

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ミーレの目黒ショールーム、そして青山のショールームで使い方の説明は受けておりましたが、実際にご自宅に入って、より具体的に使うことになると、また真剣度が変わってくるのです。まだ、新製品で宮本さんも使った経験がないとのことで、皆でマニュアルを見ながら再研究する形になりました。

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先回の検査時には、まだ工事が完了していなかった玄関ホールも、まだ清掃道具が置かれていましたが、一通り工事が終わっていました。

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来客用トイレの大理石甲板も入り、シックなトイレ空間に仕上がっていました。

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浴室だけは、ステンレス枠とガラス扉の調整が必要で、まだ田所さんたちが頑張っている最中でした。

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未施工部分や、補修工事もまだ沢山残っておりますが、Kさまご夫妻もここまで完了した範囲での工事内容とデザインにはご満足してくださいました。関連工事の各担当者が集まったので、皆揃っての記念写真を撮影させて頂きました。あと少しで、工事も完了しお引越しが可能となりますので、どうかそれまでの間、あとしばしお待ちください…。

CGでインテリアイメージの確認@元麻布I邸

元麻布I邸

面積が220平米と大きく、クライアントご夫妻が検討してくださっているインテリアが、クラシカルとモダンの中間の難しいデザインで、そして時間的な制限が厳しい中で、リノベーションだけでなく家具や調度品まで揃えたいという、僕らにとってもお施主さまご夫妻にとっても判断が非常に難しい元麻布I邸では、CG(コンピューターグラフィックス)を使ってインテリアイメージを固めながら打ち合わせを進める方針としています。

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大きなグランドピアノを挟んで、リビングとダイニングが並ぶ空間構成となっていますが、こちらはよりクラシカルなイメージのダイニング空間のCG完成予想図です。家具調度品は、これまで仮に選んできたサァラ麻布やフィリップ・セルバ、ベイカー@東京などの家具を入れ込んで貰っています。リノベーション計画上で、このCGのカギになっているのは、キッチンと二枚の大型引き戸で間仕切りができる壁の色味です。

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同じアングルのイメージですが、こちらは家具をすべて他社のものに変えたうえで、キッチンとの仕切り扉を閉じて、壁の色味も変えてみたものです。このように、同じアングルのCGでも家具や色味を変えたものを20枚ほど作ってもらい、それらをベースにフローリングや壁デザイン、建具の色味や家具などをお施主さまと一緒に選んでゆくプロセスを取っています。

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Iさまご夫妻とリフォームキューの岩波さんに事務所に来て頂いて、それらのCGと実際の素材を見比べて頂きながら、仕上げイメージを打ち合わせをしている様子です。このレベルのCGを作ってもらうのは、外注事務所にお願いする分時間も費用も余計に掛かりますが、実際に打ち合わせで使わせてもらうと、お施主さまからはイメージが掴み易いので好評です。初めてこのCGをご覧になったIさまたちも、すでに空間が立ち上がっているかのようなイメージを持たれたようで、見ただけで歓声を上げてくださいました!

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こちらはダイニングより、もう少しモダンなイメージで仕上げる予定のリビング空間です。ピアノの黒色に合わせて、TVキャビネットも黒で仕上げ、そこにミノッティのモダンなソファが入り、クッションやセンターテーブル上の小物、CGにはまだ反映されていませんが、テーブルランプなどでエクレクティック(折衷様式)風に仕上げてゆく予定です。

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アムスタイルにお願いしているキッチンは、モダンなイメージになります。これからお子さまが生まれる予定ですので、キッチンのシンクに立った際に二枚の大型引き戸を開けるとリビングダイニングの奥まで見晴らしが効く設計となっています。対面シンクの背面には黒と大理石柄の大判タイルで作るレンジカウンターがあります。CGの正面奥には、ご主人がとても凝っていらっしゃるコーヒーとワインのコーナーになっています。
これらのイメージを見てくださったIさまからは、キッチンとリビングについては、概ねこのデザイン方針でよいけれど、ダイニングの家具と壁の色味については、もう少しバリエーションを増やしたものを見たうえで検討してゆきたいとのお話を頂きました。色味については、それらをプロのCG屋さんにお願いしてゆくのも難しいので、CGを事前にレイヤー分けしておいて貰い、僕らがフォトショップソフト上で色を調整できるようにしてもらい、もう少しバリエーションを増やしたうえで、ご判断頂くことになりました。