Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

大理石とラインストーンの壁張り分け@麻布台M邸

麻布台M邸

麻布台M邸のリビングと書斎を間仕切る大理石張りの壁ができてきました。

大理石の石種は、モナコグレーです。うちの事務所では、グリジオ・ビリエミ(ムルシア・ブラウン)という石種を比較的良く使ってきたのですが、この大理石がどこの石材屋にもほとんどないとのことで、似たような石種で探してもらったものが、このモナコグレーです。スラブ材と呼ばれる大判の板材から、壁のサイズに合わせて切り出してもらったものです。

この壁を左側に周ると、引き戸を入れるスリットがあり、その先にも大理石壁が続いています。

その先には、廊下側から書斎へと入る扉の枠材があり、そこで大理石が止まっています。枠材は、チークも無垢材で作ってもらったものです。

壁の右側にも引き込み扉のためのポケットが作られています。

工務店の青とは幾度も同じようなディテールの引き込み扉を作ってきましたが、扉が少しでも歪むと、ポケットの枠と擦れてしまうという問題に当たったことがあったので、ポケットの入り口部分と、扉が一番孕みやすい、中央部の横桟にモヘヤを貼ってくれました。

写真では分かりにくいのですが、モナコグレー張りの反対側の壁には、ライムストーンのモカクリームを張って貰っています。ライムストーンと大理石は、化学組成の点では同じものだそうですが、ライムストーンに熱が加わって再結晶したものが大理石と呼ばれるそうです。ただ、色味や触感は大きく違っており、ライムストーンはサラッとした触感で、柔らかく優しい雰囲気があるのに対して、大理石はダイナミックな柄とユニークな色で個性が強く、(磨き方によって大きく違ってきますが)本磨きにした場合は特にツヤがでて華やかな雰囲気になります。
こちら麻布台M邸では、少し暗めのリビングでテレビを壁にかける壁はダークでシックな大理石張り、明るくオープンな雰囲気のダイニングにはライムストーンを使って、空間の様相を変えてみました。

ライムストーンは直角に曲がった壁まで貼ってありますが、それだけではちょっと静かに見えるので、後で絵画や写真を飾れるように、最細のピクチャーレールを天井との接合部に仕込んで貰っています。

リビングダイニングの南北の壁は上記の石張りで、東側は窓となり、西側には玄関とキッチンが並んでいます。この写真の右が玄関ホールで、左側がキッチンです。

キッチンの既存アイランドカウンターを変形させた、壁付けのペニンシュラカウンターの一部が壁から出っ張るデザインとなりますが、そのカウンターを支える壁ができてきました。

ここからは、細かい枠建具枠、異種素材の見切り枠を付けてゆく段階となります。

できてきた建具枠に合わせて作る建具(扉のことです)の採寸のために、建具屋さんも来てくれていました。

この箱から取り出した見慣れぬものは…

収縮式の定規でした!
大工さんや造作家具屋さんは巻き尺で寸法を図るのが一般的ですが、より正確な寸法が必要な建具屋さんは、途中で曲がらないこの特殊な定規を使った方が良いのだそうです。

最後のオマケの一枚は、床を張り替えた洗面所です。玄関と同じシルバーギャラクシーという石種ですが、浴室扉前の床には、床下に置いた漏水センサーをチェックするための点検口が必要なので、400ミリ角の石のコーナーに200ミリ角の孔をあけ、シールでそのサイズの石を固定することにしました。

 

グレードアップ追加工事で更に高級感が増した青山P邸

青山P邸

リノベーション工事を進めてきた青山P邸ですが、当初考えていた設計通りに工事が完了したのですが、出来上がりを確認してくださったお客さまから、もう少し費用を追加すれば、どの位グレードアップが可能かとのお話があり、急遽追加工事をすることになりました。

こちらが第一次工事が完了した時点でのお客さま検査時の様子です。これだけでも十分にきれいでカッコ良い空間に仕上がっていると思っていたのですが…。

玄関ホールからダイニングに入った正面の壁が、単なる塗装壁だと大きな無垢感のあるテーブルが映えないのではとのことで、こちらの壁を大理石張りに変えることになりました。ボードの塗装壁では大理石は張れないので、壁の上から下地用の合板を張ってから大理石を張って貰いました。

また、玄関に入ってすぐ左に見える壁が塗装壁だったのですが、タタキに使ったものと同じ大理石を、こちらの壁にも張り伸ばすことにいたしました。

そうこうして、追加工事が終わって出来上がったのが、こちらの写真です。確かに、正面の壁を大理石で仕上げて、照明を追加したことで、華やかさが増しました。

先ほどの工事途中の写真と見比べると、グレードアップ感が良く判りますね。

玄関は、右奥に見える壁を大理石で仕上げただけでなく、この写真の左側の壁全体もチークの突板パネルを貼って、空間のグレードアップを図っています。

こちらが木製パネルを貼る前の玄関ホールと廊下の様子です。カラーガラスと大理石壁、そして奥に見えるタイル張り壁と奥へ奥へといざなうような空間が、これだけでも十分素敵だったのですが、更に高級感が演出できるようになりました。

一番奥の主寝室も、柱型奥のミニテーブルだけしかありませんでしたが、腰壁パネルを貼って、さらに柱型にも鏡を張って、ベッドを置いた時の様子が想像できるような設えに変えてみました。

専有使用権のある庭に張ったウッドデッキの様子です。こちらには、植栽を入れる予定となっていますが、まだプランターしか届いておりませんでした。右端には、エアコンの室外機を隠すカバーも出来上がっていました。

こちらはグレードアップ工事とは関係ありませんが、リビングのライブラリーコーナーの完成時の様子です。奥へとプライベート廊下が続いていますが、扉がありますので、その開閉でリビングの雰囲気がガラリと変わる工夫となっています。お篭り感を演出するために、ニッチの天井と書棚の奥の壁を同じ灰色で塗装しています。照明の縁を黒にしたのと、天井カセット式エアコンのフェイスも同じ色で吹付塗装して貰いました。
長らく工事が掛かりましたが、2段階のグレードアップ工事を経て、素晴らしい空間へと変貌を遂げてくれたと思っております!

仕上げの精度を決める下地工事進行中@麻布台M邸

麻布台M邸

麻布台M邸の工事が進んでいます。

各種の仕上げ素材を張るための下地が完成してきました。実に地味な作業ですが、仕上がり材の寸法と取り付け方法を加味して作る下地の精度が、仕上がりの精度を決めてしまうので、本当に大事な作業なのです。

正面に見えている壁は大理石張り、その右に見ている窓の間の壁はカラーガラス張りとなります。

大理石張りの壁の中に、レザー張りの引き戸建具が引き込まれるので、そのレールが設置されています。天井は塗装仕上げで、パテしごきの作業も進んでいます。

既存の天井仕上げが塗装仕上げだったので、こちらのダイニング付近では、天井の補修塗装もしていました。よく見ないと判らないのですが、左奥の壁も大理石を貼る予定ですが、下地のLGSを壊したくなかったので、LGSの隙間に構造用合板を嵌め込んで壁の厚みを薄くするようにお願いしています。

玄関横のシューズイン・クローゼットの扉が付く壁は、扉と壁を合わせてカラーガラス張りにすることになっています。扉を枠なしで納めたいので、家具用のスライド蝶番を使って納めて貰うことになりました。

こちらは書斎入り口で造作の本棚が取りつく予定の壁です。正面右奥に書斎があるのですが、その扉枠と一体に見せたいので、ディテールの打ち合せをしてきました。

柱型の下の部分だけボードが貼られていませんが、こちらはその右奥でニッチになっている個所に設置する造作家具が、柱型正面にも繋がっているように見せるためのデザイン的な工夫を実施するためなのです。仕上がらないと何とも説明しにくい家具なので、仕上がりを楽しみにしていてください。

玄関ホールからプライベート廊下に入ってすぐに、引き戸で納める洗濯機コーナーを作っています。両引きの引き戸で洗濯機を隠すのですが、そこも目立たないように工夫をしています。手前のニッチには引出付きのカウンター収納家具が入る予定です。

養生で隠されている床をめくると、床の大理石が現れました。丸の内にあるパレスホテル東京と同じ大理石を石屋さんに探してもらったものです。

細かい造作家具や建具の納まりを、工事をお願いしているの田原さんと八木さんと打ち合わせをしている様子です。次からは大理石や造作家具が入って、いよいよ空間の全貌が見えてくることになりそうです。