Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

アンカー打ち禁止の天井スラブに各種設備を吊る方法について

世田谷区Y邸

比較的新しいマンションでは、スケルトンリノベーションにする場合でも、新規に天井スラブにアンカーを打つことが、管理規約によって禁止されているケースが多くなってきました。
間仕切りの位置を変更すると、それに合わせて天井カセット式エアコンや各種設備を移設する必要が生じてきます。重量があったり、稼働する際に振動があるものについては、それなりにしっかりと固定する場合に役に立つのがダクターチャンネルです。

世田谷区Y邸の書斎の天井を下から見上げたアングルの写真です。新しくアンカー打ちすることなく、ダクターチャンネルを二重に使って、元のアンカー位置から隠蔽式エアコン(手前)と天井カセット式エアコン(奥)を移動していることが判るでしょうか?

こちらはキッチン天井の天カセエアコンをダクターチャンネルを使ってアンカーボルト位置とずらした位置に固定している様子です。

ダクターチャンネル自体は、このようなシンプルなものです。今回はなるべく天井高さを確保したかったので、一番薄型の15ミリ×40ミリのものを使って貰っています。X方向だけでなくY方向にも動かすと、この厚みが2倍に必要になるので、当初よりは30ミリほど天井が下がってしまいますが…。

こちらはより複雑に設備が絡み合った洋室1の天井裏です。キッチンの排気と隠蔽式エアコンと天井カセット式エアコンが絡み、それらのドレイン管や冷媒管、さらには黄色いスプリンクラーの管などが入り混じって、大変な混雑となっております。

こちらはキッチンの天井裏ですが、ダクターチャンネルを使っても、納まりきらない個所が出てくるのではと恐れておりましたが、現場の斉藤さんが頑張って全ての設備を整理してくれたお蔭で、何とか当初の天井高さを確保することができたようです。
因みにアンカー打ち禁止の天井スラブにLGSランナーを固定する方法についてはもブログ記事を書いていますので、こちらもご覧ください。

この日は、間仕切り壁も全て立ち上がってきたので、コンセントとスイッチ位置の最終現地確認とのことで、お客さまご夫妻にも立ち会って頂きました。青の斉藤さんと片岡さん、うちの岩井さんと一緒に全ての部屋のスイッチとコンセント位置を高さも含めて確定することができました。

ちょうど当日にオーダーで東京バススタイルにお願いしていたユニットバスが組み上がってきました。

奥さまが使われる手すりと拡大鏡の位置だけがまだ未定でしたので、実際に奥さまに浴槽に入って頂き確認して頂きました。

LGSの壁下地は、以前と比べてもあまり変化していないように見えますが…

床下に隠れてしまう給排水管は全ての位置が決まり、

必要な箇所には、LGS間に断熱材の敷設も進んでおります。

現場に並んでいたこの不思議なムカデのようなものは、

遮音置床下地の際根太(キワネダ)です。部分的に断熱材を削ることになってしまいますが、壁際から躯体と少し離してこの際根太を丁寧に設置してゆきます。

当日は午前中から家具と建具の打ち合せもあったので、両者を青の下請けとして指名してお願いしている現代製作所の藤田さんとカガミ建築計画の担当スタッフの岩井さんが打合せをしてくれました。この日は、朝9時半から現場に入って、現場定例打合せから午後のお客さまの視察立ち会い、ゲストルームでのお打ち合わせで、結局5時間半現場にいたことになります。

アートがふんだんに飾られた成城Z邸の一年点検

成城Z邸

昨年6月にリフォーム工事の竣工とお引渡しをしていた成城Z邸に少し早目の一年点検に伺って参りました。

実は、僕らが伺う数日前に、工事をお願いしていたリフォーム会社の担当者の森井さんが現地を訪問して、一通り補修が必要な箇所をチェックしてくれていたのですが、お客さまから僕らにも見ておいて貰いたいとのことで、伺った次第です。
本来ではあれば、限られた時間の中、すぐにチェックを始めるべきだったのですが、新しくダイニングチェアも入って、シックさが増した素敵なリビングダイニングを拝見して、チェックを後回しにして写真撮影をさせて頂きました。因みにダイニングチェアもダイニングテーブルと同じくサァラ麻布が扱っているセンチュリーの家具です。

既に森井さんのチェックしてくれた個所は、ほとんどが塗装の問題でしたので、塗装屋さんが補修用の道具を持って現場に来てくれていました。

玄関横のステンドグラスは枠なしで塗装で納めてもらっていたので、少しのヒビが入っていました。

幅木の入隅個所もコーキングが痩せてしまったようで、新たにコーキングを売って貰いました。

検査をする一方、ダイニングのニッチコーナーには新しく素敵な鏡が飾られていたので、こちらも撮影させて頂きました。モールディングとケーシングがしっかりとしたインテリアなので、このくらいクラシカルな鏡でもバランスが上手く取れておりました。

ギャラリー廊下には、お客さまからもとても素敵に仕上がったと伺っていた屏風絵がきれいに額装されて飾られていました。以前のブログでも書いておりますが、代々Z家に伝わっていたものだそうで、アート額装のプロの方に木製枠や取り付け方法も相談して飾って貰ったものです。

灰色ベースで少し落ち着いたイメージの寝室にも、素敵なテーブルランプとペルシャカーペットが壁に飾られ、より落ち着きをましていました。

大型のウォーク・イン・クローゼットには、天井付けの光り輝くシーリングライトが点灯され、こちらは華やかさがプラスされておりました。

書斎の飾り棚には、このような宝飾品が飾られて、まるで高級宝飾品店のようにディスプレイされておりました。お客さまのZさまは、とにかく毎日家に帰るのが楽しみだとのことで、これからも少しずつインテリアを整えてゆきたいので、協力してく欲しいとのご依頼を受けました。
因みに、一年点検もしっかり行って、当日だけでは補修が出来きれない個所も見つかったので、そちらについてはリフォーム屋の森井さんにしっかり手直しするようにお願いしておきました。

ハーフユニットバス研究@白金台H邸

白金台H邸

白金台H邸プロジェクトでは浴室はハーフユニットバスを使う予定です。当初はいつも使っているTOTOのハーフユニットバスを検討しておりましたが、サイズが1616(イチロクイチロク(1600ミリ×1600ミリの外形サイズ))か1620(イチロクニイゼロ(1600ミリ×2000ミリ))しかバリエーションが無いことから、日比野化学工業のハーフユニットを使うことを検討していました。

こちらが先日、実際の浴室個所に設置された日比野化学のハーフユニットバスです。ただ、今まで使ったことがない会社の製品で、かつ東京にはショールームもなく、実物を見ることができる場所もないとのことだったので、本社がある岐阜まで行って参りました(と言っても、実は大理石の倉庫見学で岐阜を訪問する機会があったので、そのタイミングで見てきたのですが…)。

岐阜県安八郡にある本社の2階倉庫に展示されているハーフユニットバスの実物です。腰上に木板を張っているので、パッと見が和風に見えますが、浴槽が少々小さ目なこと以外は癖もなく、問題がなさそうでした。

ライニング部分です。当然水栓類はほとんどの会社のものが取り付けられるとのことでしたし、追い炊き用の循環孔を取り付けることも問題ないとのことでした。

こちらの会社のハーフユニットバスの一番の魅力は、サイズのバリエーションだと思っております。1216、1317、1616、1818、1620と揃ており、価格もとてもリーズナブルなのです。展示スペースには他にも色々なユニットバスやシャワールームの展示がありましたが、僕らの事務所で使えそうなのは、残念ながらこちらのハーフユニットバスだけでした…。

さて話が戻って、こちらが白金台H邸の現場に設置されたハーフユニットバスです。

洗い場の防水パンと浴槽部分は2つに分かれておりますが、このようにしっかりと連結されております。

スタッフの岩井さんがチェックしている様子です。水とお湯だけでなく、追い炊き管も準備して貰っておりますが、実はベランダの給湯器から室内へのコンクリート壁のスリーブ空けの許可が下りていないので、その工事ができるまでは追い炊きは我慢して頂くことになっております。とはいえ、浴槽にお湯を張るのはひと面倒なので、リクシル社の定量止水(ある量のお湯を入れたところで自動的にストップする)でデッキタイプの水栓を付けております。

設備工事に関連して、かつての主寝室横の浴室&トイレコーナーの床の排水管を刷新して貰っています。こちらは、大型のウォークインクローゼットにする予定ですが、後日シャワーやトイレを設けたいということになった場合のための将来配管という意味です。

こちらのマンションは、全ての排水管が床スラブを貫通して、下階の天井裏を通って共用の排水竪管へと流れる仕組みとなっています。近い将来には、全ての配管をやり直す予定とのことを管理会社から聞いていたので、その時に下階の天井裏から排水管をやり直す際に、スラブ上部分だけ古い配管が残ることを避けるために、配管とコンクリートスラブの間に詰めてあったモルタルを突いて落として、下階の横引き配管との接合部から上をVP管に付け替えております。なお、この工事の際には、下階の居住者の方に連絡して、音やホコリが落ちる可能性を伝えて貰ってから工事を進めて貰いました。

玄関横の来客用トイレの床埋め込み排水管もやり直してもらいました。

因みに、床コンクリートスラブに埋め込まれていた鉄管を穿り出して、掃除機を孔から差し込んで下階の天井裏を清掃しながら、新しいVP管の排水管の更新する作業を現場監督の高橋さんが順繰りに撮影してくれた写真がこちらです。

他の空間のリフォーム工事も順調に進んでおります。リビングダイニングの天井の石膏ボードがほとんど張り上がり、

ダイニングの天井部分には、天井裏のダクトとの関係で浅型になってしまいましたが、照明ボックスが付きました。

クロス巻き込み仕上げなので、このようにスリットを入れて、見切り線としています。

廊下の溜まり部分も天井下地が組み上がってきていました。

【追加工事】
その後、工事内容を見返していた際に、上記のコンクリートスラブ貫通カ所の排水管交換ですが、本来は防火区画の貫通部分で耐火被覆をしておくべきことに気が付いたので、工事をお願いしているリフォームキューにそれぞれの排水管がスラブを貫通している個所を露出して貰って、耐火被覆材のフィブロックを巻いて貰いました。

来客用トイレの排水管は、スラブ上に直接タイルを張って仕上げていたので、便器を取り外してもらって、タイルを四角くカットして、スラブ貫通部が露出するまで周囲のコンクリートを解体して貰いました。写真右上のフィブロックは後施工で耐火被覆が可能な製品なので、それを巻いた上でモルタルで隙間を詰めて貰いました。

こちらは洗面所のカウンター下ですが、元々点検口を作っていたので、そこから床下地を剥がして、配管を露出させたうえで、フィブロックを巻いてモルタルで埋め戻してもらっています。