Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

高級大理石のポルトロ張りの柱型

渋谷区タワーマンションS邸

ここまでリフォームデザインやインテリア提案のアドバイスをしてきた渋谷区タワーマンションにお住まいのSさまのリビングダイニングの柱型に希少で超高級な大理石のポルトロを張る工事のお手伝いを致しました。

マンションのリフォーム工事自体は、一昨年の10月に完成しておりましが、その後もミノッティのソファーやラグ、フレックスフォルムのラウンジチェア、モルテーニのテレビボード等のインテリア提案のお手伝いもしておりました。

その後のご相談で、テレビボードの背面のクロスの色が濃いので、もう少し薄めの色のクロスに張り替えたり、照明やダイニングテーブルのご相談も承っていた中で、リビングの二つの大きなピクチャーウィンドウの中央にある柱型に大理石を張りたいとのご相談がありました。

こちらの事務所にあった希少で高価な大理石のサンプルを幾つかお見せした中で、超希少で超高価なイタリア産大理石のポルトロを気にってくださり、是非良い柄のポルトロを探して張りたいとのことになりました。ここまでリフォーム工事をお願いしてきた大手リフォーム会社のN社の担当者に相談したところ、相談してから1年ほど経ってから、素晴らしい柄のポルトロのスラブが関ヶ原石材に入ってきたとの情報を貰いました。

そこでお客さまご夫妻とN社の担当者、そして私で岐阜県の関ヶ原石材の倉庫に現物確認に伺ってきました。変形のスラブ材が8枚が並べられた様子を拝見してきました。

ポルトロは柄(模様)の色と入り方が特徴で、金色(黄色)に見える柄が入っているのが、もっと高級とされています。また、黒い部分が漆黒で濁りがないのも重要な条件なのですが、今回のスラブ材はほとんど文句が付けられないほど美しい素材でした。柄の流れは少し斜めになっている個所がありましたが、それもほとんど気にならない素晴らしいスラブ材で、お客さまもとても気に入ってくださいました。N社に施工方法と見積りを作って貰う間に、この大理石が無くなってしまうことは避けたかったので、取り置きをお願いした上で見積りをお願いいたしました。

そこからまた見積りや施工方法の検討、柄合わせのデザインなどをチェックしたうえで、約半年後Sさまご一家が旅行でいなくなるタイミングを見計らって工事に取り掛かることになりました。

こちらが現地に届いたポルトロの大理石です。

超希少な大理石ですので、運搬や取付け中に割れてしまうのを防ぐために、背面にはメッシュネットを張り、更に四方にはスリットを入れて細い鉄筋を埋め込んでもらっています。

また、大理石を壁下地に張りつけてゆくうえで、地震などの揺れで石が落ちてこないように、石の上部にワイヤーを入れて、それを壁下地のベニヤ板に効かせたビスに結び付けるようにして貰っています。

因みに、こちらの写真が関ヶ原大理石に展示してあった、石引アンカーの詳細模型です。

一枚一枚をこのように丁寧に積み上げてゆく作業となります。

こちらが最終的にポルトロが張り上がって、手前にお手持ちのアンティークの棚と装飾品を置いた様子です。

ご帰国後のお客さまに検査を兼て、工務店と一緒に見学に伺った時の様子です。昼は勿論大理石の柄が見えてきれいだけど、夜になると今度は窓外の夜景の波とポルトロの波模様が繋がって、素晴らしいとのお褒めの言葉を頂きました。
一年半掛けてこの大理石張りを検討、施工してくれたN社の皆さまどうもお疲れさまでした。そして一年半も掛かって、ようやく柱の大理石張りが完了したSさまご夫妻、どうもお待たせいたしました!

 

 

 

 

ホームステージングされた白金台H邸の空間

白金台H邸

リノベーション工事が完成して、販売が始まっていた白金台H邸にリースの家具が入りました(当初からこちらのプロジェクトはリノベーションで間取り変更とインテリアのグレードアップ、設備更新を全体をグレードアップしてから販売する予定でした)。

中古マンションの販売時に、どのように暮らすのか、どんな家具レイアウトをしたらよいのか、生活のイメージが湧くようにリースの家具だけでなく小物まで配置することを、ホームステージングと言います。今回は不動産販売をお願いしている大成有楽不動産販売の担当の野村さんが紹介してくださった2社の会社に、現地を見て貰った上で提案書を作って貰いました。

2社とも、こちらの空間をとても気に入ってくださって、ホームステージングの実例を作っていくうえでも是非お手伝いしたいと言ってくれました。ただ、空間が結構大きく、結果的にお断りすることになった1社は、大きな家具をリースで揃えることが難しかったらしく、細かい家具を組合せたインテリア構成提案となってしまっていたので、最終的には、僕らも以前から知っていた虎ノ門にあるインテリア会社のメイズさんにお願いすることになりました。

こちらがそのメイズが作ってくれた提案書です。スタンド照明やグリーンなどの細かいアイテムも揃えてご提案してくれました。

こちらの事務所にも細かい置物や本、ポスターなどの用意があるので、センターテーブル上のオブジェと本、正面壁のテレビコーナーのポスターは事務所から持ってきたものです。

キッチンで軽食が楽しめるイートインコーナーも、ハイスツールが入ると子どもたちがご飯を食べている様子が浮かんできますね。正面右側のオープンな場所はビルトインタイプの食洗機置き場で、もしワインに嗜好がないお客さまがご購入した場合は、開き扉か引出を設置できるように考えています。

イートインコーナー越しにキッチンを眺めつつ、廊下から玄関ホールを見返した様子です。天井に見切り線を設けて、クロスを張り替えていることが判るでしょうか…。

こちらは玄関ホールです。姿見の前が少し凹んでいるので、そこには私物でアーティストの前川秀樹氏の彫刻を置いてみました。ちょうど良いニッチに存在感のある彫刻がはまって、良い雰囲気になったと思っています。

主寝室脇のウォークイン・クローゼット内のお化粧コーナーも、イスト植栽は入ったことで、こじんまりとした空間の気持ち良さが演出できているのではないでしょうか?

全体に広々として散漫に感じていた空間が、ホームステージングのリース家具を入れたことで、スケール感が生まれて、生活の様子も垣間見えるようになりました。これから販売が始まってゆくスケジュールですが、見に来てくださった方からどのような反応があるか、今から楽しみです。

 

 

世田谷区Y邸の竣工お引渡しと照明のシューティング

世田谷区Y邸

長らく時間が掛かったうえ、こちら側の大小さまざまな監理ミス・指示間違いでお客さまにご迷惑をお掛けしてしまっていた世田谷区Y邸ですが、ようやく竣工お引渡しの運びとなりました。

まずはその1週間前の施主検査の様子からご紹介いたします。設計の細かいディテールまでご一緒に検討してくださったYさまのチェックですので、細かい所まで良く見てくださっています。

ただ、施工途中でもお近くにお住まいだったので、何度もチェックして問題がある度に指摘して、その都度直してきたので、施主検査当日に指摘された項目は細かいキズの補修などが中心でした。

また、最後に家具や仕上げ材の違った箇所の目地のコーキングが残っていたので、現場の・斉藤さんがコーキング全色を揃えてくれたものを実際にその場所で見比べながら色を決めてゆきました。

これはダークセルベの大理石壁と塗装仕上げの天井との隙間のコーキングを決めている様子です。全ての個所のコーキング色をこのようにして決め、また傷の補修箇所についても全てチェックを致しました。

約一週間の補修期間を経て、竣工お引渡し当日の様子です。

各種設備などの取扱い説明のために、多数の人が集まってくれていますが、左奥には当初この世田谷Y邸の担当設計者でしたが、お子さまが生まれて産休から育休に入っていたスタッフの竹田さんも赤ちゃんを抱っこしながら参加してくれました。

最初は、リネアタラーラの徳永さんにキッチンの取扱い説明をして貰いました。

続いては、同じリネアさんにお願いしたお隣の書斎部屋の使い勝手の説明です。

お次は、お馴染みの東京バススタイルの和久田さんにオーダーユニットバスの取扱い説明をして貰いました。中々ご希望の色味のタイルが見つからず、韓国から輸入したタイルを使って作って貰った浴室ですが、とても気に入って貰っており、和久田さんたちが苦労した甲斐がありました。

こちらの色味の指示間違いで、塗装し直してもらった主寝室のウォークインクローゼットの壁パネルは、何とかこの引渡しまでに間に合わせることができました。Yさまには本当にご心配をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした。WICの中では、電気工事の井上さんが、NASやLAN配線のことを説明してくれています。

天井カセット式エアコンはフィルターの自動清掃機能付きを選んで頂きましたが、使い方を僕らも青の斉藤さんや片岡さんも知らなかったので、井上さんに実演して貰いました。高い天井にセットした場合、スイッチを操作すると前面パネルが自動的に降りてきて、フィルターを清掃した際のホコリを取り去ることができるようになっていました。

電気配線やLAN配線、ステレオシステムに強い興味をお持ちのご主人さまは、玄関収納の中にある分電盤やルーターの位置なども確認してくださいました。

そうこうしているうちに、段々と外が暗くなってきたので、いよいよ本日のクライマックスの照明の説明とシューティングが始まりました。キッチンの背面壁にあるルートロンの取扱い説明をして貰いました。リビングダイニングだけで9系統の照明回路があるので、ルートロンのグラフィックアイQSを2台設置しています。

実は照明回路の系統数が多いのは、このように天井のダウンライトに関しても、LEDの3000Kとハロゲンの2800Kを二つずつのセットで設置し、両者を調光して最適な光環境を作りたいというYさまご夫妻の強いご要望があったからなのです。これらのダウンライトは共に幾度もショールームに伺って検討したモデュレックスのものです。

また、窓際の薄い隙間に設置したルーチのLED間接照明、柱型の足元には特注でオーダーした森川製作所の床埋め込みアップライト等、色々と難しい問題をクリアしながら設置した照明もルートロンで一括コントロールしています。

外が完全に暗くなってから、Yさまご夫妻のご要望を伺いながら、電気屋の井上さんと現場監督の斉藤さんの二人にシューティング(光の向きを変えて最適な光の位置を探す作業)を行っていきます。

モデシュレックスのフレームレスのダウンライトは、縁がほとんど見えないので、仕上がりはとてもきれいなのですが、細かく角度を調整しながらのシューティングでは、天井を傷つけずに回転したり、角度を変えるのは非常に難しい照明なのです。

書斎入り口に設置したリマデシオの合わせガラスの間に金属メッシュを入れたガラスを、照明シューティングで美しく演出するのは、何度もやり直しながら実験を続けてゆきました。

リビングの一番大きな壁で、クライマックスでもあるポロ社のロードイットパネルと、サルバトーリ社のバンブー仕上げのクレマドルチェ(ライムストーン)の個所も、細くシャープな光が欲しいとのことで、当初用意していたフィルタを最終的には外すことでご満足が良く光環境を実現することができました。

こちらが、取り外したモデュレックス社のフィルタです。実は、このフィルタを置いているテーブルも、インテリアズ社にお願いしたサルバトーリの石で作ったテーブルです。

シューティング作業に手間取って、約2時間ほど掛かってしまいましたが、最後に青の片岡さんからお引渡し書類の説明をして貰いました。かれこれ4時間ほど掛かっての取扱い説明からシューティングでしたが、最後はとても満足が行くスペースができたことを喜んでくださっているとのお言葉を頂きました。
やり直し工事が多数発生してしまい、青の斉藤さん、そして造作家具工事の現代製作所の藤田さんたちには、ご迷惑をお掛けしました。Yさまそして奥さま、こちらのミスで色々なご心配をお掛けして、本望ではないところも残っているのではと思っておりますが、それもご納得して感謝の言葉を伝えてくださったこと、心からありがたく思っております。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。