Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

家具が入ったリノベーション竣工写真@成城Z邸

成城Z邸

フルリフォーム工事完成後、一か月半ほど経った成城Z邸のお客さまから、ようやく家具が入って、お願いしていたアンティーク照明の取付けも終わり、徐々にアートや調度品を飾り始めているので、写真撮影に来てくださいとのご連絡を頂いてお邪魔してきました。

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モールディングやケーシング、ご両親から譲り受けたステンドグラス等が散りばめられた、クラシカルエレガントな空間に、ミノッティのソファやAVボードが置かれ、そこにマリノ・マリーニのブロンズ彫刻などが置かれ、とてもシックなZさまらしい空間に様変わりしていました。

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窓際に置かれているのはフラナガンの彫刻で、窓際にはティファニーのアールヌーボースタイルのスタンド型照明が置かれています。ダイニングセットはサァラ麻布のものをお願いしてくださったようですが、まだダイニングチェアが届いていないのが残念でした。

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玄関には、ベンチ代わりの収納が置かれ、その上にはモランディの静物画のエッチングが飾られ、玄関ホールにはアールデコスタイルのペンダント照明が吊られていました。

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同じ玄関ホールを反対側から見た写真です。お手持ちだったキャビネットもステンドグラスも、その他の調度品もそれぞれデザインスタイルや時代背景が違っていますが、一人の方の好みで集められたという意味で、ピタッと収まってくるのが不思議な所です!

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廊下奥にある書斎も家具と調度品とアートが飾られ見違えっていました。エミール・ガレのペンダント照明に、猫脚の文机、ミノッティのラウンジチェアに白黒のエッチングとやはり違った要素が混ざっているのですが、不思議な落ち着きを感じる空間に仕上がっています。

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お仕事の本も細かいサイズまで指定して作った本棚にピタリと入って、とても気持ちが良いと仰って下さいました。

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書斎と扉なしで繋がる主寝室です。ライトグレーの上品な空間に、緑色のカーテンが映えて、毎日気持ちよく寝ていますとのことでした。

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主寝室横のエレガントな洗面です。大理石グリジオ・ビリエミで作ったカウンターに、濃い青灰の框付きデザインの扉が映えています。右側の拡大鏡は、最後にZさまに立ち会って最適な場所に取り付けて貰ったものです。

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その奥の浴室は、壁に大判の大理石調タイルをブックマッチ(本を開いたように大理石の柄が繋がる張り方)で張ったアクセント壁が効いています。

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浴室と洗面所の床仕上げ材を揃え、共に灰色でボーダーを作り、真ん中にベージュ色のタイルを張って貰っています。

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フレンチヘリンボーン張りの廊下から玄関ホールを見返した写真です。

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この廊下から扉一枚を開けると、薄いグリーン色をテーマにした、来客用トイレがあります。濃い茶色フレームの鏡はZさまがこの部屋の為に誂えてくださったものです。

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便器の反対側には、やはりこの部屋の為にご購入くださった飾り棚が置かれています。

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書斎からユーティリティーを抜けて、キッチンへと通じる動線上には、これだけの大型サイズのウォークインクローゼット(正確にはウォーク・スルークローゼットですが…)があります。中央のカウンターの上部を肌触りが優しく、汚れにくいウルトラスエードを張ったのは、大ヒットだと褒めて頂きました。

実は、この撮影の数日前に、今回のリフォーム工事でお世話になった職人さんたち皆を招待しての食事会を催したいとのありがたいお話がありました。

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目黒の雅叙園のレストランの個室を借り切って、僕ら設計、施工をお願いしたリフォームキューの面々に、工事を担当してくれた各職人、そして施主発注工事でお願いした担当者も含めて、総勢16人でお招きに預かりました。現場をこまめに訪問して、働いている職人さんたちともいつも話をしてくださっていたので、どの人が何を担当してくれたのかも、Zさまは良く理解してくださって、食事の間もずっとお話をしてくださいました。

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食後に皆で撮影した記念写真です。左から造作家具のライフウッドの大迫さんと谷山さん、リフォームキューの岩波さんと森井さん、後ろが大工のヘッドの内原さん、手前がやはり造作家具テラダの根津さん、キッチンのクッチーナの米重さんに、ステレオシステムB&Oの村瀬さん、お施主さまのZさまで、手前が各務で、奥がテラダの島村さん、手前がガラス屋の柄沢さんで、奥が東京バススタイルの和久田さん、手前がカガミ建築計画の竹田さんで、奥が設備の伊藤さん、そして一番左が電気工事の望月さんです。なぜか写真には写っていませんが、他にもリフォームキューの鈴木さん、大工の工藤さんや電気の望月さんの息子さんも来てくれていました。

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食後には、僕ら設計から大きな花束をプレゼントさせて頂きました。

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〆は、リフォームキューの岩波さんか森井さんだと思っておりましたが、どうしても喋りたいとの希望もあって、大工の内原さんが、リフォーム工事最中の苦労話を延々と(笑)述べてくれて、賑やかで楽しい会も中開となりました。
これまでにも設計や工事会社の担当者をお食事に招いてくださったお客さまはいらっしゃいましたが、ここまで大々的に職人さんたちまで呼んでくださったお客さまはZさまが初めてでした。本当に楽しく思い出深い食事会、どうもありがとうございました!

新規プロジェクト:麻布台M邸がスタート

麻布台M邸

新しいプロジェクトがスタートしました。港区麻布台の新築マンションの180平米のお部屋のリフォームプロジェクトです。

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元々はこのマンションを開発したデベロッパーが賃貸マンションとして運用する予定だった部屋が売りにでたとの情報で、お施主さまのMさまが興味を持って内覧に伺ったのが最初のキッカケでした。このお部屋以外に、200平米以上のお部屋も含めて計4つの部屋を見せてもらった上で、間取りや窓からの景色、光の入り具合やリノベーションでどこまで欠点を改善できるか、そしてMさまの家族構成やこれからの暮らし方のお話を伺った上で、こちらのお部屋をお勧めいたしました。

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大きな玄関ホールはちょっと大きすぎて、リビングダイニングと引き戸で一体化できるキッチンもちょっと大き過ぎると感じたので、二つの空間を少し縮めて、その分LDを広くする間取りが考えられることをお伝えいたしました。

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ご夫婦にお子さまお一人なので、3寝室は不要とのことで、2寝室+書斎に変更して、その分、リビングダイニング長手方向も伸ばす提案を致しました。

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キッチンはこのように、ほとんど新品同様で、まだまだ使える状態でしたので、基本的な構成は活かして、ガスレンジやシンクなどの設備だけでなく、キッチン中央のアイランドカウンターも再構成して、広くなるリビングダイニングとの関係を見直す計画になっています。

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こちらが最初のラフプランを作った際に、LDKの繋がりを描いたスケッチパースです。アイランドカウンターから天板がダイニング側に伸びて、壁沿いに回り込むデザインとしています。Mさまは、このスケッチをとても気に入ってくださり、結果的に部分リノベーションを前提として、こちらのお部屋を購入してくださいました。

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ご購入が決まった後も、何度も現地を見ながら、どこまでリノベーションをしてゆくかを打合せいたしました。キッチンは広すぎて、使い勝手が悪いので、残すL字型のカウンター以外は、大きく作り直すことになりそうです。

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僕ら設計側が考えているリノベーションが、どの位の費用で工事できるかを確認するために、工務店・青の片岡さんと田原さんに現地に来てもらい、ラフプランを見て貰いながら、概算の工事費算出をお願いしました。

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間取り変更だけでなく、仕上げ材によっても工事費用は大きく変わってきますので、ザッと選んできた仕上げ素材をMさまに見て頂いた上で、それらをベースの仕上げ表を作って、概算用の資料といたしました。

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まだ、概算も出ていない段階ですが、青のスタンスを気に入ってくださったMさまは、余程予算をオーバーしない限りは、工事を青でお願いしたいとのことだったので、全員で記念撮影をさせて頂きました。写真左から、青の田原さん、片岡さん、お客さまのMさま、弊社デザイン担当の竹田さんに僕、各務です。
まだ、始まったばかりですが、色々と工夫のし甲斐がある楽しいプロジェクトになりそうです。Mさま、そして青の田原さんたち、どうぞ宜しくお願いいたします!

大型高級マンションリノベーションの解体工事@元麻布I邸

元麻布I邸

高級大型マンションリノベーションの元麻布I邸の解体が始まりました。

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今回はいわゆるスケルトン解体ではなく、天井と周囲の壁はなるべく残して、間仕切り壁と床を解体してゆく方針です。とはいえ、天井裏に埋設されていたエアコンは交換予定なので、リビング中央の天井に大きな穴が開いております。

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こちらが、真下からエアコン本体を撤去した天井裏の様子です。いくつものチューブのようなものが見えていますが、エアコンから居室へ調温した空気を送るダクトと、部屋からエアコンに空気を戻すダクトです。これらのダクトについても、内部の汚れ具合を確認して、適宜ブロア清掃してゆく予定です。

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ちなみに、こちらが分解されて床に置かれたエアコン本体です。上の2つの箱は、空気をそれぞれ4本のダクトに分配するだけの機能なので、こちらは清掃して再利用できそうです。

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キッチンカウンターや吊戸棚も撤去されたキッチンからリビングを望んでいます。

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そのキッチンの間仕切壁も解体されると、床下地に線上のスリットが現れます。これは壁先行で立てられたLGS(軽量鉄骨)の壁下地を撤去した後の隙間なのです。

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廊下も解体され、以前の来客用トイレも跡形もなくなっています…。

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以前の洗面所も壁が解体されましたが、洗面カウンターは再利用が決まったので、これから丁寧に取り外して、取り置きしておくことになっています。

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洗面カウンターを取り外すと、背面の壁裏に子のような給水給湯管が出てきますが、事前に元栓を閉めているので、水漏れの可能性はありません。

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洗面の解体も進み、床下の配管状況が見えてきました。給水給湯管を引き直すためには、一部モルタルを斫る必要がありますが、近隣のお宅に解体の音が出ることをお伝えしたうえで、軽微なハツリ工事を行うこととしました。

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解体開始の3日後には、解体で発生したゴミ類もほぼ片付いて、ここまでスッキリとしてきました。給水給湯管については、エアコンと同様、今回の工事で引き直すことになっているので、それらの管が床下を通っているエリアは、すべて床下地も撤去しています。

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こちらが床下の配管の状況です。灰色の管のルートが3本見えますが一番細い管がガス管で、その他の2本がライニング鋼管の給水と給湯管です。ライニング鋼管そのものの耐用年数は40年と言われていますので、交換する必要がなさそうではありますが、実際には、管そのものより、継ぎ手(管同志の接合部)が傷みやすく、現にこちらのマンションでも、しばらく使っていなった水道をひねると、錆っぽい水が出たので、お施主さまと交換する費用対効果も考えたうえで、引き直すことになりました。因みに緑色の管は床暖房用の温水が通る管です。

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廊下から、かつての洗面とプライベート部分の廊下越しに二つあった洋室を見たアングルの写真です。細かい間仕切りが無くなったことで、第二のリビングができそうな錯覚を覚えてしまいそうですが、実際には洗面とユーティリティー、洋室も2つにさらに書斎も作る予定なので、残念ながらこの大きな空間は、すぐに消えてしまいます。

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かつての洗面と廊下の天井裏を見上げた写真です。廊下沿いに入れる予定だったダウンライト(掘り込み照明)の位置ちょうどにダクトが通っていたので、そのダクトは移設して貰うようお願いしました。

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現場がある程度片付いたところで、お施主さまのIさまご夫妻に、解体現場チェックに来て頂きました。先ほどのハツリ工事のことや、ダクト移設で費用が余計に掛かってしまう箇所をご説明して、ご納得の上で了承して頂きました。

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これまで、打合せの場で決めてきた仕上げ材を、現地で広げて確認して頂きました。

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先日の大理石探しツアーで見つけてきた石、家具屋に20枚以上作って貰った塗装サンプルから選んだパネル色、それにタイルや人造大理石、カラーガラスやフローリングを合わせて見て頂きました。この内容でOを頂きましたので、これで仕上げ材については、ひと段落が付きそうです。

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ダイニングの窓際の壁に設ける装飾パネリングについては、家具屋さんが実物大のサンプルパネルを作ってくれたので、それを現地に掲げて、確認して頂きました。

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幾つか現地判断で変更点が生じてしまいました。変更内容はスタッフの前田君がスケッチで現場監督の神成さんに伝えておりましたが、その変更内容を神成さんが大工さんの蓮池さんと工藤さんに伝えてくれている様子です。
建築はどうしても伝言ゲームのような所がありますが、とにかく変更内容は図面に落とし込んで、スケッチなどの判りやす形で現場側に伝えることを心がけることで、何とかミスを最小に防いでおります。