Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

特注色のフローリング張り@元麻布I邸

元麻布I邸

TES(東京ガス温水システム)の床暖房パネルの敷設が終わった元麻布I邸現場でフローリング張り工事が始まっていました。

img_0633

この写真では色味が良く分かりませんが、スカンジナビアンフローリングのワイドプランク材に、グレートーンに特注で着色して貰ったものです。

r5551570_pt

木目を残しながら、少しアーティーク加工したような風情のグレー塗装して貰いました。実際にはイメージを伝えて、3種類のサンプルを作ってもらい、それを見ながらまた細かく注文するというプロセスで特注色を作って貰いました。

最初は、各メーカーにこちらが希望するグレーの色味とニュアンスを伝えて作って貰ったサンプルを持ち寄って…

メーカーをスカンジナビアンリビングに決めた上で、再度色味が少しずつ違うサンプルを作って貰ったものがこちらです。最終的には、一番後ろのものをスカンジナビアンリビングの中川さんに依頼いたしました。

dsc_1794_pt

こちらが、遮音床下地を組んだうえに、床暖房パネルを敷いた様子です。すでに、床暖パネルの上に、フローリング下地用のベニヤ板も敷かれていますが…

dsc_1802_pt

こちらが反対側から見た床暖パネルです。わざと二枚のパネルに隙間を空け、そこに床付けコンセントを埋め込んで貰っています。ちょうどこの部分がダイニングテーブルを置くセンターで、テーブルの下にLAN配線も含んだ床付けコンセントを取り付けて、ダイニング出コンピューターなどの作業ができるようにする予定です。

dsc_1797_pt

解体時には取り外されていた天井埋め込みエアコンも、新しいものが吊り込まれ、各ダクトとの接続もされていました。

dsc_1808_pt

廊下も吊り扉のレールを取り付けた後、ベニヤ板の下地と枠が取り付けられていました。

dsc_1809_pt

廊下中央には、プライベートゾーンを区分ける、引き込み扉の上吊りレールも埋め込まれています。

dsc_1811_pt

さらに廊下の奥には、防火扉も再設置されていました。この防火扉は、200平米以上の広さならではの問題なのですが、いかに目立たせないかも工夫のしどころです。

img_0631

こちらの小窓は、洋室の裏にある隠れ書斎の風抜きのためのものです。小窓を使った明り取りと風通しを考えています。

img_0634

そうこうしているうちに、どんどんフローリングが張られていました。すぐに清掃されて、養生シートが掛けられてしまうので、この姿もお引渡し直前のクリーニング時点まで、しばらくお預けになってしまいます。

img_0529

場所は変わりますが、アークテック社にお願いしていたイタリア・フィアンドレ社の大判大理石調柄のタイルが工場に届いたとの連絡がありました。こちらはキッチンの壁に張って貰うもので、ブックマッチ(本を開いたように左右対称になる柄)になるようにカットして貰ったものを、床に並べて貰いました。

img_0530

余った部分も大事な素材なので、来客用トイレの壁に張ることにしています。こちらは左右だけでなく、上下にもブックマッチになるように柄を合わせて貰う予定です。大きな(3メートル×1.5メートル)タイル2枚を、うまく無駄なく使えるように考えた工夫が上手くゆきそうです。

 

築浅マンションリフォームで木製下地造作工事

一番町A邸

築浅かつ高級マンションでは、壁や天井の下地材はLGSで作られることが、ほぼ定説となっていますが、なぜかこちら一番町A邸のマンションは、木製下地材で組まれています。

r5551704_pt

マンションリフォーム&リノベーションに特化する以前は、在来木造工法の住宅設計を得意としていたので、元々木製下地の方に愛着を感じていたので、その点では何の問題もありませんでした。

r5551701_pt

以前ぼブログ記事「LGS(軽量鉄骨)下地のメリット・デメリット」でも書きましたが、木製下地はLGS下地に比べて、現場でのフレキシブルな対応が可能だったり、既存を部分的に残しながらの工事の場合の微調整が可能なこともあるので、今回の現場では却って適していたのかもしれません。
解体時に一度取り外されていたキッチンも、冷蔵庫と仕切る袖壁の隣に再設置されていました。

r5551700_pt

既存の天井高さ(折り上げの下がった部分)とキッチン内の天井の高さが微妙に違っていたので、キッチン内の天井は組み直すことになっています。大工さんが作業しているのは、大き目に作られていたPSを有効活用して、AV機器収納を組み込む工夫を作ってくれているところでした。

dsc_2712_pt

PSは写真で手前に出っ張ってきている突端にあったのですが…

dsc_2725_pt

部分解体調査の時にも、ある程度判っていましたが、PS内部を上から覗きこむと、相当大きなスペースが隠されていました。ちょうど床にバッテリーセットが置かれている個所が使えそうでした。

r5551747_pt

壁の低い個所が少し出っ張っていますが、その一部を欠き込んで、AV機器の収納ボックスを埋め込む計画としています。

dsc_2710_pt

大工工事が始まってから数日経った様子です。一般にスピードが要求されるLGS下地工事では若い大工さんが多くなりがちですが、細かい細工や面倒な調整作業が必要な木製下地工事では、どちらかというと年配の大工さんが呼ばれるケースが多いのではと感じています。

dsc_2719_pt

床下地もきちんと組み上がって天井も折り下げ部分からキッチンまで、きれいに繋がっていました。

dsc_2722_pt

LDの天井にあった大きな折り上げ天井は、部屋の構成に合わせて、縮小しています。電気配線を通した後で、脚立を使って天井のボード張りが進んでいました。

r5551718_pt

浴室を設置する空間は、床下の排水管と天井裏のダクトがひかれていました。

r5551715_pt

その横の洗面脱衣スペースには、ダブルシンクカウンター用の排水管が2本と洗濯機用の排水管が墨出しされた位置まで伸ばされていました。

 

 

フィリップ・セルバ、B&Bイタリア、シモンズで家具探しツアー

元麻布I邸

元麻布I邸のお客さまは、これまでの家具はほとんど持ち込まず、ほぼ全ての家具を新しいインテリアに合わせてご購入なさりたいとのご希望ですので、工事が始まってからも何度も家具屋さん巡りをしています。

dsc_1780_pt

青山のフィリップ・セルバに伺ったのは、もうすでに3回目です。ダイニングに置くダイニングチェアで、中々良い椅子の候補が見つからず、当初CGにも描き込んでもらっていたこちらのダイニングチェアを再確認しようとのことで、再訪させて頂きました。

r5551449_pt

サイズ的には、外国のダイニング椅子は座面の高さが高いものが多いので、脚をカットして貰うことが可能なものを再確認させて貰いましたが、やはり当初見ていたものが良いだろうとのことで、木部の色味に加えて、座面に張る張地の候補も色々と見せて頂きました。

r5551452_pt

天然のレザーが一番素敵だったのですが、これから生まれてくるお子さまの使い勝手を考えると、汚れた時のメンテナンスのことを考えて、人工レザーで比較させて頂きました。写真は大判の人工レザーを広げて触り心地を確認して貰っている様子です。

r5551464_pt

照明の下だと色味が判りにくいので、大判の人工レザーを候補の椅子に掛けてトップライトから自然光が降り注ぐ場所に移動して、色味を確認いたしました。写真のこの色では薄すぎて、もう一つのサンプルの色では濃すぎるので、その中間色にほぼ決まったのですが、2週間ほど待ってもらえれば、その色の大判サンプルも取り寄せることができるとのことでしたので、あと2週間待ったうえで、実物を見てから発注することといたしました。

r5551488_pt

次に伺ったのがB&Bイタリアの青山のショールームです。これまでのオープニングパーティーやイベントや、純粋な見学などで幾度か伺ったことがありましたが、お客さまとこちらのショールームに伺ったのは初めての経験でした。今回はソファーの前に置くセンターテーブルとラウンジチェアの候補確認です。写真のセンターテーブルはB&Bの上級ラインのマクサルトのものですが、大理石の天板にした場合のお見積りをお願いすることになりました。

r5551492_pt

主寝室のベッド横に置くラウンジチェア候補として、どうかと思っていたものにIさまご夫妻に座って頂きましたが、座面が思っていたより低く、特にお子さまを抱っこしながら座るにはあまり適していなさそうだとのことで、こちらは採用とはなりませんでした。

r5551493_pt

僕らがB&Bのショールームを訪問する度に見とれてしまう、ウォークインクローゼットもお二人に見て頂きました。レザー張り家具の細工や、細かい取っ手や照明方法等のディテールには、とても感心してくださいました。とはいえ、今回はクローゼットはここまで広くないし、費用的にも掛けることができないので、参考までにとどめて頂きました。

r5551497_pt

ラウンジチェアの候補は上手く見つかりませんでしたが、B&Bのファブリックの張地サンプルは色味毎に纏めてあり、とても見やすと思っていたので、こちらも今後の参考までにIさまにご夫妻にお見せした様子です。

dsc_1422_pt

こちらは別の日程でご一緒した、輸入ベッド・シモンズの日比谷ショールームのです。大型ベッドとなると、スプリングの硬さを多様な候補の中から選べることや、メジャーなホテルに採用されている実績などから、シモンズかシーリーをお勧めするケースがほとんどです。残念ながらシーリーは、建築家を通しても割引を受けることができなくなってしまったので、今回はシモンズだけを訪問いたしました。

dsc_1418_pt

お二人にはショールームにあるベッドに、片っ端から横たわって頂き、柔らかめのものが良いか片目が良いかの感触を体感して頂きました。

r5551283_pt

とはいえ、幾つものベッドに横たわっているうちに、どれが良かったのか、何が好みなのかが判りにくくなってしまうので…

r0057678_pt

マットレスに使っているコイルの特製を教えて貰ったり、ダブルクッションとシングルクッションの違いや、どのホテルでどのようなものが採用されているか等を教えて貰い、ベッドの特徴を勉強しながら、ご夫婦の微妙な違いも含めてベッド選びを進めて頂きました。因みに、シモンズで使っているコイルは、それぞれが袋に入っており、その袋同士が繋がっているだけなので、片方に手を乗せておいて、反対側の端部を強く叩いても、揺れが伝搬しないそうで、それを実演して貰いました。

r5551291_pt

お二人の好みが少しずつ分かってきたところで、ベッドの高さやサイズ、インテリアとの相性などで候補を選ぶことができました。現在、これまでのお住まいからサービスアパートメントにお引越ししていらっしゃるので、そちらで使われているベッドの硬さと比較して頂いた上で、最終決定することといたしました。

r5551294_pt

アメリカのものを使うとマットサイズが日本の体系と違ってくるので、一通りのボックスシーツや肌掛け布団、枕カバーなども選んで頂きました。

r5550651_pt

最後は、日本橋茅場町にあるユーロカーサのショールームです。クラシカルな家具で定評があるお店で、僕らも伺ったのは初めてでした。奥さまが座ってくださっているのはイタリアのマリネールのチェアでした。

r5550649_pt

コンスタンチーニのこちらのチェアが、とても良かったのですが、如何せん重量がとても重く、奥さまやお子さまが動かすのがちょっと難しそうで、残念ながら採用は見送ることになりました…。
ダイニングチェアは最終的にはフィリップセルバに決まりそうです。