Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

リノベーション再販マンションに高級家具を採用する理由について

青山P邸

中古で購入したマンションにデザインリノベーションを施して再販しようという青山P邸プロジェクトですが、当初設定した設計デザイン内容で、①LDK+玄関のリフォーム、②LDK+玄関+浴室+トイレ+ユーティリティー、③それらに各寝室まで加えた全面リノベーションの三種類の見積りが纏まりました。三者をお施主さまのPさまと比較検討した結果、③の全面リノベーションで進めようとのことで決まり、見積りをお願いしていたスタイルイズスティルリビング社(以下SISL)工事契約を結ぶことになりました。

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左から、各務、お施主さまのPさま、SISLの齋藤さんと荒井さん、うちの担当スタッフの竹田さんでの着工前の記念写真です。

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ちなみ、こちらが3種類の見積り範囲を示した、見積り用の平面詳細図です。上から③、②、①と並んでいます。③と②については、各個室のリフォーム費用がそれほど高くなかったので、悩む必要はほとんどありませんでしたが、お風呂をやりなおすべきかの判断が絡む①と③では、リノベーション後の再販に於いての商品性ということでPさまと一緒に随分悩んだうえで、立地性やライバルとなるであろう付近の新築マンションとの比較などから③の全面改装という判断を下していただきました。

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工事契約は、当初設定した仕上げ材の内容で入っていますが、まだ工事着工まで少しの猶予があるので、本当にその内容で良かったか、他に仕上げ材を変えるとすれば、どのような候補があるかについてもPさまに見て頂きました。

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今回のリノベーション再販プロジェクトに於いては、家具も入れたうえで、ショールーム的に見せながら販売することを計画しているので、別日にPさまと一緒に高級家具屋のアルフレックス恵比寿ショールームに伺ってまいりました。家具付きで販売することができればそれで良いとしても、もし購入なさる将来のお客さまから家具は不要と言われてしまった場合には、ご自宅用としても使える家具を入れたいとのことでしたので、通常のリノベーション再販ではあり得ないほどのグレードのソファを見て回りました。
一般に新築マンションのモデルルームでも、リノベ―ション再販の販売時にも家具や調度品を設置したうえで、販売営業するのが一般的ですが、家具を入れた場合のメリットは、以下の通りです。

  • 家具が入っていることで、そこでの暮らしのイメージが湧くこと
  • 家具が入っていないガランドウの空間より、家具が入っているときの方が広く感じる
  • 販売営業する際に、ソファやダイニングテーブルがあった方が、お客さまが長時間滞在してくれる

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ひとつのモデルルームで、数十戸、あるいは数百戸の営業用に使える新築マンションのショールームでは、家具購入費にふんだんな営業用予算が使えますが、たったひとつの住戸のリノベーション販売用のケースでは、安価なリース家具を使うのが一般的です。これだけの費用をかけた家具を入れることは、商売としてはどうかということになりますが、ご自宅用をしばらくこちらに仮置きするという考えかをしてくださるPさまのフレキシブルな発想で、とても良い家具を入れることができそうで、ワクワクしております。

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こちらは、Pさまが以前ショールームで拝見して一目ぼれしてしまったという、タイム&スタイルの大型ダイニングテーブルです。

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ブリッジアクロスというユニークな名前のテーブルで、ウォールナット剥板(ハギイタ)のエッジもシャープに仕上がっていますが、一番の特徴は銅の鋳造で作られたこの脚部だそうです。部屋の仕上げ材とのマッチングも問題なさそうだったので、このテーブルで長さ2600(!)のものを図面い入れ込んだ上で全体のデザインを検討することになりました。

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ダイニングチェアについては、Pさまが以前よりお付き合いのある家具屋リッツウエルのものを見てほしいとのことで、初めてリッツウエルの青山ショールームを訪問してきました。

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ちょっと武骨なフレームデザインが、先ほどのタイム&スタイルのダイニング机と相性が良さそうだったのと、イスとしてのクオリティーの良さと価格のコストパ―フォーマンスが良さそうでしたので、座面の張地として良さそうなものを二つサンプルを頂いて、見積りをお願いしつつ、全体の色味を検討してゆくことになりました。

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最後のスケッチ図面は、SISLの齋藤さんと荒井さん、うちの担当スタッフの竹田さんが現地で打合せをして、質疑が上がっていた箇所についてのディテールや仕上げのイメージを描き込んでくれたものです。
今回もフルの設計監理ではなく、デザインアドバイスとしてお手伝いすることなっております。初めてご一緒するSISLとなるべく早くにリノベーションのイメージを共有できるように、現地での打合せ回数を増やして、やなるべく多くのスケッチを提出するようにしたいと考えております。

 

 

 

 

アート調度品の飾り方や空間の使い方の相談がメインの施主検査

成城Z邸

成城Z邸の施主検査が無事終わりました。

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初っ端から、検査後の記念写真ですが、左から、リフォームキューの岩波部長、プロジェクトの営業・設計担当の森井課長、カガミ建築計画の竹田さん、お施主さまのZさま、各務、現場監督の鈴木さん、大工の内原さんです。工事前にもZさまが工事関係者を集めての食事会を催してくださり、また工事期間中も現場に寄ってくださるたびに職人さんたちへの質問やお声掛けなどで、とても結束力の高い現場になりました。

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先日、設計側で一通りの設計検査をして、その補修もしてあったので、当初の指摘とその補修度合を見て頂くのがメインの検査となりました。

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こちらが説明している最中も、工事の出来にはとても満足してくださっているZさまは、どちらかというと新しい家具のレイアウトや、どこにどのお手持ちのアートや調度品を飾るかに興味が移っていらっしゃるようでした。

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とはいえ、今後のメンテナンスのために設けた隠し点検口の取り外し方法などについては、大工の内原さんからの説明をきちんと受けて頂きました。

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途中、天井埋め込みダウンライは角度がある程度自由に触れるユニバーサルタイプでしたので、どこに何を飾るかなどのお話を伺いながら、各務が調整してゆきました。現状、さっぱり目の玄関ですが、ステンドグラスの下にはベンチを置いてくださる予定とのことでした。

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来客用トイレでは、独立型ペデストールタイプのシンク上に鏡を取り付ける予定なので、そのサイズのアドバイスもさせて頂きました。

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テレビ・オーディオシステムは、リビングだけでなく書斎や洗面・浴室でも同じ音楽をシームレス(途切れなく)に聞けるようにネットワークプレーヤーを挟んだシステムを組んでもらったので、その説明をうちのスタッフの竹田さんがしてくれています。ソファー下のラグは、撮影用に借りたものを仮敷きさせて貰いましたが、ミノッティの家具との相性もとても良かったです。

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検査よりも取扱い説明や、アートの飾り方、空間の使い方の相談がメインとなりましたが、それでもその間に見つけた傷や未塗装部分などについては、森井さんと竹田さんが図面にチェックを入れてくれました。最後に、それらの補修計画のあらましの日程をZさまにご説明して、お引渡しまでにすべてを完了するお約束をして貰いました。

 

造作TV収納家具の設置とクロス張り@横浜O邸

横浜市O邸

僕らが工事現場をチェックしている際で、毎回もっとも興奮するのが造作家具の設置時です。というのは、僕らのデザインの大きなポイとがキッチンを含んだ造作家具と建具(扉のこと、枠の作り方も含みます)にあるからなのです。

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横浜O邸の造作家具の主人公は、こちらのTV収納棚です。まだ取り付け途中で、全容が判らないと思いますが、リビングの壁面をほぼ一面使って、二つの建具と絡みながら、4種類の仕上げ材を取り交ぜたデザインとなっています。

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取り付け作業中の段階でも、ウォールナットの突板、濃灰の塗装に、オレンジ色の塗装が確認できます。オレンジ色の塗装のような強いアクセントになる色味は、これまであまり使ったことがありませんでしたが、お施主さまがとても気にいってご購入くださったミノッティのチェアの色が、空間の中で孤立しないように、関連付けてみました。

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そのオレンジ色の箱の横は、部屋の照明スイッチが集まる場所です。基本的に、僕らのデザインでは照明器具は少し多めに設置してそれぞれを調光できるようにすることにしています。ただ、調光スイッチはパネルも大きくデザイン的にはあまり見せたくないものなので、今回はキッチン横に調光スイッチを設け、リビングに入ってすぐのこの造作棚部分には、デザイン性の高いForbes & Lomaxのトグルスイッチを使うことにいたしました。

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こちらは、ダイニング奥から見返したアングルの写真です。左手に造作TV収納家具があり、中央にはまだ扉が吊られていませんが、廊下への出入り口があり、その右にはワインセラーと収納、冷蔵庫置き場を一体に組み合わせたデザインが見えてくることになります。

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ワインセラー置き場と冷蔵庫のさらに右奥には、キッチンの背面収納から繋がった、小さな書斎コーナーが作られ始めています。

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キッチン背面収納の養生を、写真撮影のために少し剥がして、L字型の書斎テーブルとの繋がりが見えるようにしてみました。こちらのスタディーコーナーもウォールナットの突板仕上げとなっています。天井のカセット式エアコンは、ギリギリの寸法ですが、キッチン部分の照明に被らず、かつキッチンで作業中の奥さまが涼しくいられるように、書斎コーナーの天井に移設しています。

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造作家具はまだ取り付け中ですが、家具の仮固定が終わったところから、早くもクロス屋さんが入ってビニールクロスを張り始めてくれています。

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一通りクロスが張り終わった天井です。今回は天井のデザインも少し凝ったものとなっており、二段の構成で色も違えており、さらに写真では分かりにくいですが、間接照明部分は立ち上がり部分をカーブで丸くデザインしています。

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その他のところでは、来客用トイレの手洗いカウンター家具が入っています。こちらにもウォールナット材を使っていますが、天板はグリジオカルニコというイタリア産の黒字に白い模様が入った大理石を使っています。トイレでも、スペースの有効活用をするために、四角い箱ではなく、凹凸のある設計をして、その凹凸が活きてくるように、素材を散りばめています。

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もう一つ、今回現場で早く見たかったものが、この玄関正面に張った大理石です。こちらは中国産の大理石ダークセルベですが、仕上げに軽い凹凸感が出るようにレザーフィニッシュという仕上げを施して貰いました。4枚の同じ石から切り出したスラブ(石の大判板)を前後左右に展開して、模様が繋がるように張って貰っています。とても上品な色合いでお施主さまご夫妻もとても気に行ってくださいました。

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前回のブログで紹介したベランダは、すでに先行して出来上がっていました。三分の二がウッドデッキで、残りの三分の一が人工芝になっています。このようなウッドデッキ材と人工芝材のミックスレイアウトも初めての挑戦ですが、お施主さまも使い勝手の発想が広がると喜んでくださっています。
このプロジェクトの完成後の様子は、横浜市O邸をご覧ください。