六本木M邸はテーマが「コロニアルリゾート」とのことで、モールディングやケーシングだけでなく、建具やその取手等の金物類もこだわっています。
新橋にある建具金物の専門店堀商店にお施主様と一緒に伺って、メインの扉の取手・ドアストップ・フランス落し・丁番、その他のツマミ類を選んで参りました。
一通り気に入ったものを集めて、部屋内で使うクロス類と並べて、相性を確かめながら慎重に選んでゆきます。
一番悩んだのが、この取手です。玄関ホールからリビング・ダイニングへの扉の取手です。高さが2400ある黒い塗装仕上げの堂々とした建具に取り付けるので、存在感で負けないものとして、こちらを選ぶことにしました。
建具を開いた状態で固定するために、建具の小口に写真のようなフランス落しを付けて、床にも穴を座彫りすることになっています。フランス落しは建具の色に合わせて黒、座彫り穴のカバーは床仕上げのトラバーチンに合せて真鍮色としました。
スケジュール的に、工務店のライフデザインからの発注では時間が間に合わない可能性があったので、事前にお施主様にご説明の上、今回は選んだものを即金でお支払頂いて、後日品物を受け取る手はずとなりました。
明治の建物内でクラッシックな金物類を選んでいるうちに、いつの時代に居るのか判らない、タイムスリップしたような不思議な感覚に陥りました。