Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ニューヨークの最高級リフォーム・リノベーション事情

その他

留学と就職でアメリカに滞在していた時の体験を基に、ニューヨークでの高級リフォーム事情(英語ではRenovation=リノベーションです)を書いておきます。僕が働いていた設計事務所、Cicognani Kalla Architects(略してCKA)は、マンハッタンの中心部で古いマンションやタウンハウスの最高級リフォームを、郊外ではそれらのお客様の新築別荘の設計をメインの仕事としていました。ボスがイタリア人でしたので、お客様は欧州系のお金持ちの方が多かったです。

お施主様は風格があり、歴史やエピソードがある建物を好みましが、一般的にも、アメリカでは予想以上に古いものが尊重されていました。アンティークの置物 やキルト、そしてマンションもプレ・ワー(第一次大戦以前に建てられた)のマンション に住む事が住民のステイタスとなっています。古いマンションの外観は古いままに、内部のインテリアや設備を刷新するリフォームは、新築以上にノウハウと丁寧さが必要な仕事とされていました。歴史的建造物の指定を受けた建物の場合、申請許可を得るだけでも半年以上掛かって、それからようやく工事で、それも装飾や金具は全て再利用することも多く(実はそれらだけでも一財産なのです)丁寧な解体から始まり、約1年かけて工事をするような調子でした。

全てを刷新するリフォームと違って、歴史を紐解いて、改装後にも歴史が引き継がれるようなリフォームの事例を紹介します。画家で作家でもある女性と二人の子供の為のタウンハウスのフルリフォームです。お施主様が描かれた絵のテイストに合せて、全体の調子を整え、照明やタイル等まで、ほぼ全てをお施主様と一緒にアンティークショップで選ぶ、というコダワリで完成したリフォームでした。

白金台のマンションリフォーム

リフォーム

一風変わったリフォームの紹介です。初めて現場を拝見した時に、あまりにきれいで、正直どこをリフォームしたいのか判らなかった事例です。改装前の写真をご覧下さい。キッチンも真新しいし、豊富に作り付けの収納もあり、パッと見問題がないように思えました。しかし、この中古でこのマンションを購入したお施主様としばらく話しているうちに、何か変な気持ちになってきました。

空間に圧迫感があるのです。良く観察してみると、構造の梁が部屋の真中を何本も通り抜けているのです。しっかりした構造に守られていて安心感があっても良いのでしょうが、ここではどうも上から押し付けられているようで、気持ちが滅入ってしまいます。平面図で見る限り使いやすそうな間取りでも、こんな事で雰囲気が随分変わることが判るでしょうか?

白金台マンションリフォーム

このリフォームでは、梁を地形的に捉えることにしました。取り外せない壁がある時に、間取りの考え方で、壁の存在感をなくしてしまうのと同じように、間仕切り壁と造作家具のレイアウトを上手く梁の位置に合せることで、梁の圧迫感を消すようなリフォームを心掛けました。

結果は如何でしょうか?リフォーム後の写真を見ると、空間が伸び伸びとしているように見えないでしょうか?家具のレイアウトも、照明の感じもとても良くなって、気持ちも晴れやかになったと、お施主様には大変喜んでいただきました。

アートコレクターのためのマンションリフォーム

白金台K邸

港区白金台の現代美術コレクターのためのマンションリフォームの事例を紹介いたします。間取りの変更ポイントは、使われなくなった子ども部屋をリビングと合わせて大きな空間を作るというリフォームでした。
デザイン上、一番難しい問題は現代美術・アート作品の飾り方でした。昔の絵画と違って、新しい美術作品は、彫刻と絵画の中間のようなものあり、ただ白い壁を用意すれば良い訳ではありません。

現在アートのあるマンションリフォーム_白金台K邸

そこで参考にしたのが日本古来の住宅にあった床の間です。床の間には掛け軸も飾れば、床板にはお茶碗や季節のものを置きます。こんな便利な装飾用のスペースのアイデアですから、今回のリフォームに取り入れてみました。普通の床の間では、狭く、日本風インテリアになってしまいますので、ここでは思いっきり幅を広くし、奥の壁も周りと同じと総仕上げとしました。ただ、床の間を意識させるように、床板と天井に少しを段差を付けて、枠取り(フレーミング)したような形になりました。

現在アートのあるマンションリフォーム_白金台K邸

ちょうど便利な事に、このマンションは普通のコンクリートラーメン造(柱と梁で構成される構造)だったので、柱を枠と見立てて見ると、それまでは大きく存在していた柱型が、上手くインテリアの中に消えてゆきました。お客さまはこの現代版床の間がいたく気に入ってくださったようで、「普通の住宅では飾れないようなアートが、いろいろなスタイルで飾れる」と喜んでくださっています。

白金台K邸工事前

因みに、こちらが工事前の同じリビングの様子です(というか工事で解体中ですね…)。
訪ねる度に飾っているアートが変わっているので、遊びに伺うのがいつも楽しみです。改装前を知っているお客さんがいらした時に、「壁を凹ませたの?」と聞かれたこともあったそうです!詳しくは…白金台K邸をご覧下さい。