Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ジャンヌレ、ペリアン、ムーユの家具が入った千代田区M邸の写真撮影

千代田区M邸

今年の夏前には全面リノベーション工事が終わってお引渡しをしていた千代田区M邸ですが、その後お手持ちの家具の引っ越しやインテリアが整ってきたとのご連絡を頂き、改めて家具入りの写真撮影のために伺って参りました。

オリジナルのピエール・ジャンヌレの椅子の布地を張り替えたもののセットがリビングに入っています!以前からあまり生活感を感じなせない、ギャラリーのような住まい方をなさりたいとのご希望でしたが、まさにそのようなお住いになっていました。

キッチン側からリビングを見返したアングルの撮影をしている様子です。

リビングセットの後ろに見えていた小部屋のテーブルと椅子のセットはシャルロット・ぺリアンのもので、スタンド照明はセルジュ・ムーユのオリジナルです。奥さまがこのシーンを作りたくて、このような間取りにしたのです。

玄関入って正面の壁は、リビングに比べるハードエッジな雰囲気ですが、素敵な家具と小物とアートが迎えてくれます。

日本の工芸作品や骨董と現代アートを合わせたセンスもまた別の雰囲気で素敵なのです。

リネアタラーラにお願いしたキッチンもビルトインではありますが、アイランドや手前の食器棚は置き家具のように見えるように設計しています。

ダイニングテーブルは以前からお使いのウォールナットの耳付き一枚無垢板のもので、上に吊るしたペンダント照明は…、

こちらのピータ・アイヴィーのペンダント照明、ライト・カプセルです。

2灯を高さも位置もずらして吊っていますが、パッと見た目は存在感がないのですが、ダイニングに座ると、ホワッと浮き出るような存在感を感じるのです。

ダイニングの横のカウンターには中央にテレビが置かれていますが、左右には奥さまの大好きな工芸品や小物、僕らも設計途中でお世話になったインテリア本が沢山飾られています。

ダイニングに座ってリビングを見返すと、このような空間となっています。本当にどこかのギャラリーのようです。

トイレに作った小さなニッチや、玄関のニッチなどにも、奥さまがこれはと思った小物や石などが素敵に並べられており、どのシーンを切り取っても絵になる空間となっていました。
以前のお住まいでは、どうしても生活感が出てしまっていたのが、収納が充実したこちらのお宅では、本当に気に入ったものだけに囲まれた生活ができて、とても幸せですと仰って頂きました!

リアルキッチン&インテリア掲載!

渋谷区Q邸

10年前に発刊された時からファンで、いつかは掲載して貰いたいとずっと願っていたキッチン本の「リアルキッチン&インテリア シーズン10」渋谷区Q邸のキッチンが掲載となりました!

リアルキッチン掲載

著者でキッチンジャーナリストの本間美紀さんとは、約18年前に出版された「オーダーキッチンをつくろう!」(エクスナレッジ社)でご一緒したことがあり、その後も新宿オゾンのイベントや、ショールームなどで幾度かお目に掛かり、フェースブックでも友達となっていたのですが、恥ずかしくてなかなか掲載の依頼をすることができませんでした…。

リアルキッチン&インテリア_シーズン10掲載

ところが、今年2月に偶然にもイベントのお誘いを頂いたところから、お話しがトントン拍子に進み、内々で行ったこちらの渋谷区Q邸の内覧会に本間さんをお招きし、そして本への掲載が決まったのです!

リアルキッチン_取材風景@渋谷区Q邸

夏頃にQさまご夫妻に都合をつけて頂き、本間さんとカメラマンの方にQ邸に来て頂き、取材撮影をして頂きました。

リアルキッチン_取材撮影@渋谷区Q邸

本間さんのカメラマンの素晴らしい連携とリズムにQさまご夫妻もつられて、ほぼ午前中だけの取材撮影でリネアタラーラにお願いしたこちらのキッチンの全容とその背後のストーリーを取材して下さったのです。

リアルキッチン掲載

キッチン本ではありますが、キッチンが主役ではなくキッチンを舞台として暮らすQさまが主役なので、説明も全て生活者目線に立っており、素敵なキーワードと共になぜこのような形になったのか、このような素材になったのかが読み取れるストーリーに仕上がっています。

リアルキッチン_撮影の様子@渋谷区Q邸

本間さんは、この本では出版社であり、編集者であり、広告を集めて、デザインを決めて、ライターでもあり、撮影こそしませんが、奥さまがどの位置に立ってどのような仕草をしているかまで的確にディレクションしているのです。

リアルキッチン_取材撮影@渋谷区Q邸

本とほぼ似たようなアングルで撮影してみた写真ですが、やはりプロとは2段も3段も違いますね…。

リアルキッチン掲載

「素描から始まって色を深めていく」ようなキッチン作りだったと取材に応えてくださったお客さまも詩的ですが、そこから小説のように話を広げていってくれた本間さんの描写力も素晴らしいのです!

リアルキッチン_取材撮影@渋谷区Q邸

このカメラアングルで撮影してくれた写真が、上に掲載されているページの写真ですね。

リアルキッチン&インテリア_シーズン10掲載

インテリア雑誌のように、お花や小物を持参するのではなく、あくまでのお客さまの普段使いの物、ちょっと寂しいなと思った時もお客さまのお手持ちの物を了解を得て飾りながら、写真でシーンを切り取っていく本間さんチームの手腕も素敵なのです。

リアルキッチン_取材撮影@渋谷区Q邸

取材撮影時は後で考えると、時間も制限されておりマキマキだったのでしょうが、とにかくフレンドリーで楽しいので、奥さまもどんどんグッとくるような発言をして下さり、それを本間さんが纏めてゆく作業が撮影と同時に進んでいきます。

リアルキッチン&インテリア_シーズン10掲載

最初は、戸棚の中や引き出しの中はちょっとと恥ずかしがっていたQさま達も、取材撮影の流れの中で、すべてをさらけ出して(笑)下さいました。

リアルキッチン_取材撮影@渋谷区Q邸

撮影は下手ですが、こちらのそれに合わせて、引き出しの内部も一緒に撮らせて頂きました。

リアルキッチン&インテリア_渋谷区Q邸

掲載記事の最後には、キッチンのスペックが洗いざらい掲載されております!
お客さまもとにかく楽しく、自分たちのキッチン作りを思い出しながら楽しくお話しができ、本もとても良い記念になると喜んで下さいました。

改めて、他のページもめくりながら拝読すると、それぞれの方のキッチン作りのエピソードに引き込まれて行ってしまい、ついつい読み込んでしまう本当に素敵な本に仕上がっているのです!

4年前から始まったプロジェクト_関西I邸

関西I邸

お客さまのIさまからメールでご連絡を頂いたのは、今から4年と4か月前のことでした。関西エリアの高級住宅街の大きな公園に面するマンションを購入して、自分たちの思うような住み心地とインテリアにしたいので相談に乗って欲しいとのご相談でした。

関西I邸_リフォーム案

お住いのエリアをとても気に入っていらっしゃる中で、すぐ近くに築年数はそれなりに経っているが、170平米と比較的大型の中古物件が売りに出ているので、そちらを買ってスケルトンからのリノベーションをなさりたいとのお話しでした。
お子さまが小さくて、打ち合わせで東京に来るのは難しいとのことで、まずは2~3回オンラインで打ち合わせをさせて頂きました。その後、実際に現地を見て欲しいとのご依頼でしたので、担当スタッフと2名分の交通費と現調費用をお支払い頂くお約束で現地に伺わせて頂きました。

関西I邸_現地確認

1回の訪問で竣工時の図面調査から、現地の設備等の細かいチェックをするのは時間的にも難しいので、関西エリアで活躍中の建築家の友達に紹介して貰った工務店さんにご連絡をして、給排水設備と空調設備の職人さんを2名と一緒に現場責任者に来てもらい、一緒に調査をさせて貰いました。

関西I邸_リフォーム案

最初のリフォーム案は、最初にIさまから送って貰った不動産仲介会社の間取り図だけから考えたリフォーム案でしたが、こちらの案は、設備や構造までチェックしたうえで、ほぼ現実できるレベルで考えた正規のリフォーム案です。当時お子さまが一人でしたが、ゆくゆくはお子さま3~4人は欲しいとのお話しでしたので、子ども部屋をまずは3つ確保して、廊下に面した通り抜け型の洗面と、主寝室を経由する回遊動線、更には玄関からSIC(シューズインクローゼット)、パントリー経由でキッチンに抜けられる裏動線を作ったリフォーム案を考えてみました。

関西I邸_現状調査資料

こちらは現地調査の際の結果や考察を纏めた資料です。ここまでのリフォーム案の取り纏めと現地調査、調査資料、そして現地でのお客さま打合せ1回に2人分の交通費を含めて40万円の費用をお願い致しました。
作ったリフォーム案は本当に気に入って頂けたのですが、購入予定だったマンションが他の人に購入されてしまったことで、一旦この計画は頓挫してしまいました。因みに、現地調査にご協力いただいたかわな工業にも調査費用をお支払いする予定でしたが、次回以降にまたお声掛け下さるのであれば、今回は無料で結構ですとのお話しでしたので、お言葉に甘えてしまいました…。

次にご連絡を頂いたのが約1年後で、新築マンションで広い間取りのお部屋があったそうで、それを先回のようなイメージでリフォームができないかとのご相談を頂きました。こちらは新築なので、あまり間取り図を動かさず、どのようなことができるのかをザッと考えた見たのがこちらの案でした。ただ、全体の広さ的にご要望に合わずに、こちらのお話しも残念ながら消滅してしまいました…。

次にご連絡を頂いたのが、また一年後のこととなります。今お住いのお部屋の隣のお部屋が売りに出るかも知れないとのことで、何とか連結させて住むことができないかを考えて貰えないかとのご相談でした。
集合住宅であるマンションの戸境壁を一部解体して、2つの住戸を連結させるには、構造的な問題、建築基準法上の問題、消防法上の問題、更には区分所有法上の問題をクリアすることとなり、簡単ではないことをまずはお伝えいたしました。Iさまからは実現は相当に難しいことは分かったが、まずは連結することで良い間取りが作れるかどうかを見てみたいとのことで、全ての条件が整って連結することができた場合のリフォーム案を作ってみました。この案を見ながら、もし連結はできなくてもバルコニーを通じて2室の行き来ができた場合のリフォーム案もさらに考えてみたのが上のプランの下の案です。こちらの案も、もう少し踏み込んだ調査を始めようとした段階で、隣室の売買交渉がとん挫してしまいました…。こちらのリフォーム案については、有料のサービスとして22万円(プラン作成費のみで、法規的なチェックは含まず)をお願い致しました。
普通、ここまで計画が連続してストップしてしまうと、そのままなし崩し的にご相談が無くなってしまうのですが、Iさまたちは違いました!

次にご連絡があったのは、今からちょうど1年半前です。「ご相談しておりました隣接住戸ではなく、反対側(南隣)の隣接住戸が売りに出ましたので購入いたしました。」とのことで、もう連結できるかできないかを考えずに違う向きの隣接住戸が売りに出たタイミングで、もう買ってしまいましたとのご連絡でした。実は、こちらのマンションは、新築当初はこの二つの住戸を連結した大型住戸として売っていたとのことで、少なくとも構造的な問題は連結するうえでは問題がないことは分かっており、連結できなくてもバルコニーでの行き来でも良いとの覚悟を決めてのご購入だったとのことです。

もし連結できた場合は、どのような間取り案ができるのか、有料のサービスで構わないので、作って欲しいとのご依頼で考えたのが、これらの案です。今回は、もう隣室を購入しているので、何とかして2室ともをリフォームして快適な暮らしができるように協力して欲しいとのご依頼で、法規的なことも含めて2室連結する可能性を探ってゆくことになりました!

3年越しのプロジェクトがこのような形で再開すること、本当に嬉しく思っております。