Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

中古マンションを吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

代々木上原I邸

築古ヴィンテージマンションのペントハウス(最上階住戸)の代々木上原I邸は、冬寒く夏暑いお部屋だったので、スケルトンリノベーション工事の際に、徹底的に断熱改修をすることになっていました。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

ピンク色に染まった部屋のピンク色の部分が、硬質ウレタンフォームを吹き付けた断熱材です。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

一般的に、2 0年以上前に建てられたマンションの断熱性能は低いとされていますが、こちらのマンションは築40年ですので、断熱性能はかなり低かったのです。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

一般には、ボード系断熱材もしくは吹付け硬質ウレタンフォームのいずれかで断熱しますが、今回はスケルトンリノベーションであったこと、また隙間なく気密性を保ちつつ断熱できることや施工スピードを考えるて吹付け硬質ウレタンフォームを採用致しました。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

2液性 のアキレスエアロンF R – F O(アキレス)を使用しています。熱伝導率0.026W/m・Kです。
断熱を行わない部分の下地にはビニルであらかじめ養生を行っておき、施工後に断熱材を削り取る部分については、剥離剤(洗髪に利用されるリンスと同じ成分)を塗布しておくそうです。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

吹き付けタイプの断熱材は、トラックに積んだコンプレッサーで圧縮した空気を使って吹き付けるので、マンションでは専用のトラックを横づけることができる場所があること、そこから長さ メートルの管を部屋まで伸ばせることが施工の条件となってきます。事前にマンション管理組合の承認を取っての工事となります。最近では、小型の加圧コンプレッサーを室内に持ち込む方法も選択できるそうですが、それなりのコストアップになってしまうようです。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

こちらがトラックの内部の極秘写真(笑)です。

吹付け硬質ウレタンフォームで中古マンションを断熱改修

施工前に準備が整っていると、2フロアのメゾネットマンションで130平米(40坪)の広さがあるマンションでも、6時間ほどで断熱材の吹き付けを終えることができました。メゾネットの上階は最上階ですが、この部屋は一つ下の階なので、天井面は断熱していません。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

室内階段の吹き抜け部分も外壁側の壁と天井面までびっしり吹き付けて貰っています。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

吹き付け作業は丸一日掛からずに施工できますが、そこから厚く吹かれてしまった余分な断熱材を削り取ったり、埋まってしまった配管類をほじくり出す作業で、また一日掛かるのです。

吹付け硬質ウレタンフォームで中古マンションを断熱改修

手動のこのような薄いカッターを使ったり…、

吹付け硬質ウレタンフォームで中古マンションを断熱改修

大きな面では、こちらのような電動のカッターも使っての作業となります。

吹付け硬質ウレタンフォームで断熱改修

先行して立てたLGSの壁下地とフラットに仕上がった断熱材の様子です。ここまできれいに仕上がってくれば、後はボードを張ってゆく作業もスムーズになります。

マンション断熱においては、窓部分の断熱性を高めることも当然ながら重要となりますので、既製品のインナーサッシ(ペアガラス)を取り付ける計画となっていますが、それについてはまた別のブログ記事でご紹介します。

インテリア素材選びは大カルタ大会?

渋谷R邸

高層マンションリノベーションの渋谷R邸のインテリア素材選びで、工事前の現地に関係者一同が集まって、大カルタ大会を行いました(笑)!

高級マンションインテリア_内装材選び

というのは、勿論ウソですが、床フローリング材とタイル材から、アクセント壁の大理石やクロスの候補、造作家具の仕上げサンプルからスイッチコンセント類まで、多種多様なインテリア素材を床に並べて、仕上げ材を絞ってゆきます。

高級マンションインテリア_内装材選び

今回の大会参加者(笑)はRさまご夫妻、リノベーション工事の施工会社プレステージプランニングの松永さん、造作家具や設備備品の仕入れで入って貰ったGLAUGHTURE(グラフチャー)の大内さん、そして弊社副所長で担当スタッフの前田君と僕、各務の6人です。

高級マンションインテリア_内装材選び

素材だけを見ても、選ぶのは難しいですし、それらが組み合わさった時にどう見えるのかが分かりにくいので、なるべくイメージシートを作って、弊社での施工事例写真やイメージ写真と一緒に見て頂きながら考えてゆきます。

高級マンションインテリア_内装材選び

近くで素材だけを見てると、何を選んでいるのか分からなくなってしまうこともあるので…、

高級マンションインテリア_内装材選び

他の素材と組み合わせて、少し離れた所から眺めて頂いたりしながら候補を絞ってゆきます。

高級マンションインテリア_内装材選び

まだ解体前のマンションですので、例えば水回りなどは、実際に水回りのエリアに素材を持ってゆき、使うシーンをイメージして頂きながら、選んで行きます。

高級マンションインテリア_内装材選び

最初はきれいに並んでいた素材が、バラけてきて、候補が絞られてきているのが判るでしょうか…。

高級マンションインテリア_内装材選び

まだ最終決定ではありませんが、フローリングはノルド(ADワールド)、キッチンのカウンター材はネオリスのライラ、造作家具の仕上げ材は木目を残して塗装したオーク材と濃灰の塗りつぶし材の組み合わせ、扉は人工レザーのグレー色、テレビの背面のタイルや廊下のタイル、クロスの候補も絞ることができました。約2時間掛けての大カルタ大会でしたが、大きな方針を決めることができて、とても充実した時間となりました。

いつものコンセント&スイッチ位置確認

代々木上原I邸

代々木上原のヴィンテージマンションリノベーションI邸は軽量鉄骨(LGS)の下地がほぼ立ち上がったので、お客さまのIさまと一緒にコンセントと照明スイッチ位置の確認に伺って参りました。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

毎回、ほぼどのプロジェクトでもフルサービスの設計監理プロジェクトであれば行う作業です。図面と現場を照合しつつ、まだ姿を現していないキッチンや浴室、さらに家具などをお客さまに想像して貰いながらの重要な作業となります。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

僕ら設計側も何度もお客さまの生活シーンを想像しながらスイッチやコンセントを考えてレイアウトしていますが、どうしてもお客さまの生活そのものを見たことが無い中での設計ですので、色々と勘違いが生じて、位置の変更やコンセントの追加などが発生してしまいます。
よくある理由としては、空気清浄機や加湿&除湿器を置く場所、携帯の充電用コンセント、将来のルンバ(お掃除用ロボ)設置場所等でコンセントを追加することが多いと感じています。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

一通りご説明した後は、Iさまが差し入れて下さったお菓子を頂きながら、先回青の現場監督の石坂さんが作ってくれたサイザル麻の納まり模型を見て頂きながら、細かい取り合いなどをご説明させて頂きました。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

施工をお願いしているからは、現場監督の石坂さん、監督補助の野口さん、そして毎週の定例打合せや、お客さまもいらっしゃっての打合せ時には片岡社長も参加してくれています。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

お客さまがいらっしゃる直前の様子です。直前まで、青では現場監督や監督補助がきれいに現場を清掃し、片づけてくれます。
因みに正面の壁は、梁型の下の壁が隣接住戸と面した部分なので、お客さまからのご要望で遮音仕様の壁としています。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

良く見るとH型に遮音壁が切れているのが分かりますが、ここは大理石製のマントルピースを埋め込む際に、補強する下地材を埋め込むための隙間となっています。このような隙間があると、遮音性能は落ちてしまいますが、あくまでもお客さまの自主的なご要望としての遮音壁ですので、このことも含めてお客さまにご了承頂いております。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

今回は、コンセントとスイッチ以外にも、先行埋め込み用のCD管もお客さまに見て頂きました。写真左端のオレンジ色の管がそれです。CD管とは簡単に言うと後で電線を通せる樹脂製の管です。先行して配管しておくことで、後から電話線やLAN配線、ステレオ線などを差し込んむことができ、後日内部の配管を差し替えることもできる便利な管です。こちらの部屋はメゾネットの上階の主寝室ですが、壁際にテレビ&ステレオを機器を入れる可能性があるので、予備のCD管を入れてあります。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

こちらは、後日家具の詳細打ち合わせを、青の石坂さんと造作家具の現代製作所・藤田さんに事務所に来てもらっての打ち合わせの様子です。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認

現場ではこのような様子の上下階を繋ぐ階段をどのように仕上げるかの話をさせて貰いました。

LGS下地完了_コンセント&スイッチ位置確認