Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

輸入建材のナガイ&サンタ通商&ショールーム見学

湘南T邸

リゾートマンションリフォームプロジェクト湘南T邸の建材研究の為に、輸入建材ブランド2社のショールームを見学して参りました。二社ともコナラハウスの小形さんにご紹介頂いております。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

まず最初に伺ったのはナガイのショールームです。南青山の住宅街に自社ビルを構え、ワンフロアの広々とした展示空間でした。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

本日一番見たかったのは、こちらの建具の数々です。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

多様なデザインと塗装仕上げの建具の実物大サンプルが引き出し式になっていました。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

無塗装品からアンティーク塗装風、パネルのデザインも比較しながら見比べるられる展示となって、お客さまとも一緒に見学しやすいショールームでした。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

いわゆる框風のデザインが主流ですが、このような断面サンプルもあって、湿気や温度での歪みのこともあるので、無垢材ではなく集成材の芯に張物をした框で、装飾とパネル部分は無垢を使っていることがわかる展示サンプルも用意されていました。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

引き込み扉用の枠材も半既製品で用意してくれているのも嬉しい所です。これは上吊りレールと竪枠を省略化したサンプル模型です。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

開き扉のドアノブやレバーハンドル、引き戸用の金物…、

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

丁番やドアスコープ、鍵などの金物類もサンプルがあり、一般のお客さまでも分かりやすく選びやすい展示になっています。

輸入建材のナガイ・ショールーム見学

また、ナガイオリジナルのキッチンVESTA(ヴェスタ)も展開しています。レイアウトの自由度はそこまで高くはありませんが、クラシカルな框風デザインのキッチンをリーズナブルに提供してくれるのはありがたいことです。

輸入建材のサンタ通商・ショールーム見学

次に伺ったのは渋谷区東にあるサンタ通商のショールームです。米国のレストレーションハードウェア(RH)の日本唯一の正規代理店でもあります。オーセンティック・コレクションはサンタ通商の社内の空間ブランドだそうです。

輸入建材のサンタ通商・ショールーム見学

こちらでも輸入のメリットキッチンとオーダーメイドのオーダークラフトを展開しているそうです。

サンタ通商の輸入建具

サンタ通商にも輸入建具のサンプルはありましたが、デザインシリーズについてはナガイのものと似ているようでした。共に、米国のシンプソン社の建具にインスピレーションを得てシリーズを作っているようでした。

輸入建材のサンタ通商・ショールーム見学

建具よりも、こちらの部屋に展示されていた多数の輸入照明機器や、

輸入建材のサンタ通商・ショールーム見学

RHの家具やその他の輸入小物をうまく取り入れた空間展示に魅せられました!

輸入建材のサンタ通商・ショールーム見学

オリジナルで開発したフローリングなども展開しており、今後僕らも注目してゆきたい建材ブランドだと強く感じました。KONARAHOUSEの小形さま、ご紹介どうもありがとうございました!コナラハウスの茅ケ崎ショールーム見学時の様子はこちらのブログをご覧ください。

オーナーマンション最上階住戸設計の関西M邸-2

関西M邸

ゼネコンでの躯体工事も始まったオーナーマンションの最上階オーナー邸のデザインアドバイスプロジェクト関西M邸のその後の様子をご紹介いたします。

キッチン素材打合せ

大きな変化があったのはキッチンです。キッチンカウンターの天板として、当初はクオーツストーンやセラミックを考えていたのですが、うちの事務所での打合せ時に、イタリアのPorfido Pedretti(ポルフィード・ペドレッティ)社の天然石ポルフィードをお見せしたところ、ご主人さまがこの素材に一目惚れしてしまったのです。
このポルフィードを紹介してくれたのは、イタリア在住の日本人建築家で、偶然大学の一つ後輩でもあることが分かった堀川絹江さんでした。イタリアの著名建築家、アンジェロ・マンジャロッティの事務所で長らく働いたことで、イタリア国内の色々なデザイン企業との繋がりがあり、その一つがこのペドレッティ社とのことでした。

キッチンカウンター材のポルフィード

ポルフィードは、イタリアの道路舗装などによく使われる頑丈な安山岩の一種です。日本語では斑岩(ハンガン)と略されており、やはり石畳の道路用の部材として細々と売られているようです。ただ、ご紹介したペドレッティ社では自社保有の山から大判のスラブを切り出すことができ、重厚なキッチンカウンターを作ることができる最新鋭の工場を持っているのです。また、色も紫からベージュ色、緑色と3種類の山を持っているのです。
日本では扱っている輸入会社がないので、イタリア建材でいつもお世話になっているアークテック社に堀川さんを紹介したうえで相談したところ、是非チャレンジしてみたいとのことになりました。

パレスホテル東京の天ぷら屋さんでのキッチン打合せ


ポルフィードをカウンター材として使うだけでは、その迫力は演出できないので、ヒントになるのではと考えて、Mさまご夫妻と一緒にパレスホテル東京に天ぷら屋さん巽(たつみ)に一緒に食事に行くことに致しました。お二人が東京に来て頂ける日と、天ぷらの食事を予約できるタイミングで、夕食をご一緒しました。

パレスホテル東京の天ぷら屋さんでのキッチン打合せ

天ぷら屋さんには、事前に事情をお話しして、食事を食べながら、こちらのお店のカウンター立上り部分をお客さまに見て頂きながら、キッチンの打ち合わせをさせて貰いたいとお願いしておりました。ちょうど、この写真のカウンターた仕上がり部分にポルフィードを使うイメージだとMさまにお伝えしたところ、是非その方針で進めて欲しいとの話に決まりました。因みにMさまが持っているのはカラーガラスの素材サンプルですが、旭硝子のマット仕様のカラーガラスのマテラックもとても気にいって頂きました。

ソファ選び@モルテーニ

キッチンで大きな動きがありましたが、それ以外のインテリア打ち合わせも進めています。リビングには大型のソファが欲しいとのお話しでしたので、イタリアモダン家具のモルテーニ、ミノッティ、カッシーナのショールームを見て回りました。こちらはモルテーニですが、ソファよりもダイニングチェアの方で気に入ったものを見つけることができました。

ミノッティソファ選び

ミノッティで、僕らが愛用しているホワイトシリーズを見て頂いたところ、レザーとファブリックの組み合わせで構成できることをお二人ともとても気にって下さり、基本はこちらでレイアウトを考えてゆくことになりました。

カッシーナダイニングチェア選び

カッシーナでは、オーソドックスながら色味もバラエティーがあるキャブチェアを見て頂きましたが、モルテーニで見て頂いた僕らの定番のアウトラインが良いだろうとのことに決まりました。

セブンチェアショールーム見学

オーナーマンションの集会室に、昔からあこがれだったフリッツハンセンのセブンチェアを幾つか購入なさりたいとのご希望も伺っていたので、KEIZOの青山ショールームにもお邪魔してきました。

セブンチェアショールーム見学

KEIZOには色々なタイプの椅子があるので、それぞれを見比べて、座り比べて頂きましたが、やはり当初からお好みだったセブンチェアが良いとのことで、その仕様を一緒に決めさせて頂きました。

ダイニングテーブルイメージ_リーバ

家具のショールームを巡る中で、恵比寿のアルフレックスに寄ったところ、このリーヴァ1920の大テーブルをご覧になって、このようなイメージのテーブルが欲しいとのお話しになりました。こちらのテーブルは古代杉のような数千年前の沼に埋まっていた材を加工した特殊なもので、サイズも価格も破格なので、さすがにこれと似たようなものを探すのは難しいことをお伝えしましたが、厚みがあって、重厚感があって、さらにポルフィードにも負けない迫力がある素材をテーブル天板で探すことになりました。
キッチンの天板のポルフィードのことから、当初は関西にも支店があり、建物の設計施工を行っているゼネコンとの付き合いもあるとのことで、オーダーキッチンをクチーナで進めていたのですが、天然石をここまで大々的に使うとなると、自分たちでは難しいとの辞退されてしまったので、急遽ここから大理石の扱いも慣れているリネアタラーラにキッチンをお願いできるか聞いてみることになりました…。

リネアタラーラショールームでのキッチン実習

僕らがご一緒できないタイミングでしたが、Mさまの奥さま一人で世田谷区用賀のリネアタラーラのショールームを訪問して貰ったところ、担当の牧野さん含めてショールームの雰囲気も気に入って頂き、災い転じて福となすではないですが、時間もない中でしたので、リネアタラーラにお願いすることになりました。元々ガゲナウのオーブンに興味があって、僕らのホームページにたどり着いた経緯もあったので、リネアタラーラが気を利かせて、実際の調理実習をしてくれることになりました。

リネアタラーラショールームでのキッチン実習

Mさまの奥さまが事前に用意して下さった2枚の鶏もも肉や豚肩ロース肉を

リネアタラーラショールームでのキッチン実習

スチームオーブンや、

リネアタラーラショールームでのキッチン実習

グリルで焼いて貰いました。

リネアタラーラショールームでのキッチン実習

野菜もかぼちゃと人参とスナップエンドウをスチームオーブンで蒸し焼きにして貰いました。

リネアタラーラショールームでのキッチン実習

調理機器の扱い方から、

リネアタラーラショールームでのキッチン実習

調理後の汚れ具合や、清掃方法、メンテナンス方法まで、じっくり聞き、体験することができて、Mさまの奥さまも大満足とのことでした!

ポルフィードのキッチン材料

オーダーキッチンのリネアタラーラと、ポルフィードをお願いしたアークテック社は、アークテック社の増田社長のご自宅兼ショールームのキッチンでも一緒に仕事がしたことがあるので、とても話はスムーズで、一月後にはこちらが指示した内容で、ポルフィードのサンプル材が届きました。

遮音壁作りから始まる解体工事

目黒区O邸

目黒区O邸は、施工会社のでの工事が決まり、マンション管理組合からのリフォーム工事申請の許可が出る前に、お客さまご夫妻で近隣への工事前のご挨拶をして回って頂いたところ、隣接住戸にお住いのご家族から、コロナ禍の中リモートワークで在宅でお仕事をする機会が多いので、工事中だけでなく工事後のことも含めて音の対策を考えて欲しいとのお話しがありました。Oさまからも、工事前に仮住まいになってみた際に、隣家からの生活音が結構聞こえたとのお話しがありましたので、コンクリートの戸境壁の手前に遮音壁を作ろうとのお話しになりました。
そして工事中の音のことをあったので、解体工事を2段階に分けて、最初に隣家との戸境壁のGL壁と床及び天井の一部を壊し、そこに遮音壁を作ってから、本格的な解体工事に入るという変則的な工事工程を組むことになりました。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

まず、GL工法で作られていた既存壁を解体した状態です。因みに、GL工法とはGLボンド(ジーエルボンド)と呼ばれる接着材と石膏を練ったものをコンクリート面に団子のよう一定間隔で付けて、そこに石膏ボードを張って壁をつくる工法のことです。スピーディーに石膏壁が作れて、費用も安く抑えられるので、一時期は良く使われていた工法ですが、現在は断熱性や結露、遮音の問題であまり使われなくなってきております。コンクリート壁に白い水玉模様のように見えているのが、壁に残ったGLボンドの跡です。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

GLボンドを壁から剥がすのは手間も掛かりますし、結構大きな騒音も発生するのでそのままにして、その手前にLGS(軽量鉄骨)の壁下地を立てます。写真手前は納戸だった部分で天井を剥がしているので、上階との境となるコンクリートスラブまでLGSを立てているのがハッキリ見えます。梁の奥のリビング部分も見て頂くと、50センチほど天井を壊してLGSの下地を上階のスラブまで立ち上げて貰っています。ここを手を抜くと、音が漏れてしまうのです…。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

一部壊した天井からLGSが上までしっかり伸びているのが判ります。そこにもしっかり断熱材を充填して貰いました。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

こちらが壁に充填している断熱材です。今回の遮音壁はほぼ、石膏ボードメーカーの吉野石膏Sウォール・65の仕様に準じた作り方としています(「ほぼ」というのは、実はLGSの隙間に詰めるこのグラスウールが仕様にはないのです。ただ、常識的に考えて空隙を断熱材で埋めた方が太鼓現象が亡くなってよいだろうとのことで、ボーナス的に加えているからです)。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

一部だけ、躯体壁に弱電の線の取り出し口があったので、将来対応のことを考えて、遮音性能はこの部分だけ欠けてしまいますが、お客さまにもご説明の上、点検口をつけることとしました。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

遮音壁の仕様に従って、せっこうの芯にガラス繊維などを加えて耐火性能を強化した石膏ボードのタイガーボードZを張ってゆきます。2層張りとなりますが、仕様通りに1層目は横張り裏面張りにしてにして貰っています。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

ボードとコンクリートが接する部分には、このロックフェルトというスポンジ状のテープを差し込むのも吉野石膏の仕様通りの施工となっていることを確認しています。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

まずは一枚目の石膏ボードが張られた状態です。この写真だと、ロックフェルトが隙間に挟まっているのかよく分かりませんが…、

この写真だと良く分かりますね。

実際には、この写真のようにボードを張る前にロックフェルトを張ってからボードを張っているので、抜けはないと現場監督の石坂さんが大量の施工途中の写真を見せてくれながら説明してくれました。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

ロックフェルトがどうしても入らない隙間には、このジプタイトを充填して貰っています。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

石膏ボードも通常の壁に張る12.5ミリや天井用の9.5ミリと違って21ミリの厚いものを使っているので、ボード屋さんの作業も大変そうです…。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

2層張りのボードの施工が終わった状態がこちらです。2層目はボードが縦張りになっており、これで遮音壁の完成となります。遮音壁作りから始める解体工事は初めての経験ですが、これがあることで、室内のコンクリートブロック壁の解体時の音も、少なくとも隣室にはそれほどご迷惑を掛けずに工事ができそうで、少し気が楽になります!

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

その他解体工事の準備は進んでいます。電気工事の照明スイッチ類やエアコンのコントローラーの取り外しや…、

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

インターフォンの取り外しも終わっています。

遮音壁作りから始めるマンション解体工事

ユーティリティーでは床仕上げ材を剥がして、便器を取り外して、配管の向きをチェックして貰ったところ、シンダーコンクリート内に埋まっている配管経路がほぼ分かったので、そのルートに沿って、コア抜きをして新規の排水管を埋め込むことができそうだとのことも分かりました。