Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

セラミックvsクォーツストーン_キッチンカウンター材のメリット・デメリット

乃木坂U邸

高級キッチンカウンター材の2大潮流は、セラミックとクオーツストーンの争いになってきています。

セラミック材はタイルの一種ですが、焼成技術の革新で、大判化(3メートル×1.5メートル!)、薄型化(厚み6ミリで軽量化)、そして大理石模様やセメント柄や木目等のデザインが洗練されたところが特徴の建材です。大判化したことで、目地なしの一枚物でキッチンカウンターを作れるようになったことや、歪みがほぼなくフラットに焼けるようになったことで、一気にキッチンカウンター材として普及し始めました。
カウンター材としてのメリットは、

  • 非常に硬く傷が付きにくいこと、
  • 水がほぼ染み込まないこと、
  • 熱い鍋を直接置いても変色しない耐熱性があることとなっています。

しかし、当然ながらデメリットも幾つかあるのです。

  • 材の断面には模様が無いこと、つまり、厚みを持たせたカウンターとしてデザインする場合は、カットしたままではタイルの断面が見えてしまうので、高額なトメ加工をすることになりますが、すこし不自然なデザインになってしまうこと、
  • 薄くて、搬入や施工中に割れやすいこと。キッチンカウンターではガスコンロやシンクの形にカウンター材を切り抜くのですが、細くなった部分に応力が働くと割れてしまうことがあること、
  • 継ぎ目が出てしまうこと。1枚物であれば、3メートルまで継ぎ目がない計算になりますが、L字型のカウンターとなると、継ぎ目が出てしまうこと、

コーリアン等の人工大理石(人大(ジンダイ))は特殊な接着剤を入れて乾いてから研磨すればシームレスなカウンターを作ることができますが、セラミックはそうはいかないのです。上の写真は、日本に最初に入ってきたセラミックのラミナム(スペイン製)の物です。

セラミックの代表的なブランドはラミナム以外では
デクトン:スペインからのセラミックで、日本のオーダーキッチン会社では、ネオリスとデクトンが使いやすさで2大巨頭となっています。弊社事例では、元麻布I邸の黒いキッチンカウンターで採用させて貰いました。
ネオリス:スペイン製の大判セラミックです。黒系に強いイメージがあり、高層マンションリノベの渋谷R邸の大型ブラックアイランドキッチンで大々的に使わせて貰っています。
フィアンドレ:イタリア製の大判タイルで、薄型(6ミリ厚)のマクシマルミと同柄で厚型(12ミリ厚)のサピエンストーンがあります。特に白系の大理石柄の美しさは特筆すべきものがあります。弊社でキッチンカウンター材として採用した事例は、渋谷区Q邸白金台E邸代々木上原I邸外苑前C邸、原宿K邸などがあります。また背面壁の素材としては、更に多数の事例で採用しています。
マラッツィ:世界最大の販売量を誇るイタリア発のタイルブランドです。グランデマーブルルックシリーズのゴールデンホワイトは白地に金の模様が特にきれいで、新宿H邸のキッチン壁面に使っています。
スタイルメガ:石材メーカーとしては日本最大級の関ヶ原石材が扱っているイタリア産の輸入セラミックです。港区R邸の浴室壁としては使ったことがありますが、キッチンでの弊社採用事例はまだありません。
メガスラブ:石材の顧客向け販売としては最大手のアドヴァングループの大判セラミックです。キッチンのカウンター下のお化粧材としては、麻布台M邸で採用しておりますが、まだカウンター材としては使った経験がありません…。

ラミナムショールーム@南麻布

もう一つの候補はクオーツストーンとなります。コーリアンなどのアクリルやポリエステル等の樹脂で作られている人工大理石に対して、クオーツストーンは天然成分である石英(クォーツ)を砕いて、ポリマー樹脂で固めたものです。石英の含有率が90%以上あることで、天然石に近い質感と光沢を持っているのが特徴です。メリットはセラミックと似ているのでが、

  • 非常に硬く傷が付きにくいこと(セラミックに比べると若干柔らかいです)、
  • 水がほぼ染み込まないこと(これもセラミックに比べると若干悪いです)、
  • 色を混ぜた石英を固めているので、カットした断面まで全て柄が続いていること、

デメリットとしては

  • 耐熱性には難があること。人大に比べれば随分熱に強いのですが、それでも高熱で変色する可能性が高いこと、
  • 継ぎ目は出てしまう。これはセラミックと同じです

こちらの写真は、日本では最後発ではありますが、ユニークで独特な柄を持つカンブリア(アメリカ製)の写真です。

クオーツストーンの代表的なブランドはカンブリア以外では、
シーザーストーン:イスラエル製の日本に最初に入ってきたクオーツストーンです。キッチンカウンターでの採用事例は、白金台H邸横浜A邸六本木N邸品川N邸などがあります。
サイルストーン:スペイン製のクオーツで、先のセラミックのデクトンと同じコセンティーノ・ジャパンが輸入元で、南青山に新しいショールームのコセンティーノ・シティをオープンさせたばかりです。目黒区O邸のキッチンで採用しています。
フィオレストーン:韓国製の製品で、日本の代理店はメラミン等で有名なアイカ工業です。比較的価格が安価で、いざという時に頼りになります。キッチンでの採用事例はありませんが、洗面カウンターやテレビボード等で最近よくお願いしています。
オキテ:イタリア製で日本の大手石材会社の松下産業が扱っているブランドです。まだ弊社では採用事例はありませんが…。
クララストーン日本辰華が輸入元の中国産のクオーツストーンで、華やかな柄でも比較的安価なので、洗面所やトイレの手洗いカウンターでは幾度か採用したことがあります。

現在、キッチン部分を設計検討中の乃木坂U邸では、セラミックとクオーツストーンのメリットデメリットをご説明の上、両者をうまく使い分けながらデザインを進めています。

現在進行中のキッチン図面の左側中段の平面図を見て頂くと分かるのですが、対面型のシンクカウンターはクオーツストーンを使い、壁面側のコンロ側カウンターはきれいな大理石柄のセラミックを使った設計となっています。

コンロ側のカウンター及び壁面に使う予定のラミナムのインヴィジブルホワイトの艶ありとツヤナシを五反田のショールームで見比べた際の写真です。

ラミナムショールーム@南麻布

ほぼ決定となったインヴィジブルホワイトのサンプルを頂いて、次に伺ったのが南麻布のアステックショールーム内にあるクオーツストーンのカンブリアコーナーです。

ラミナムショールーム@南麻布

色々と見てみましたが、最初にリネアタラーラのショールームでも気に入っていらした、サマーヒルがやはり一番品が良くマッチングも良いとのことになりました。
今回のキッチンは、「ニ」の字型キッチンで、壁面のコンロ側には耐熱性で抜群の性能を誇るセラミックカウンターを、ダイニングに対面したシンク側は無垢感があり、天然石に近い質感をもつクオーツストーンと、二刀流の使い分けをすることとなりました。

クォーツストーンとセラミックの良い点を組み合わせたオーダーキッチン

最終的に出来上がった、セラミックとクォーツストーンを組み合わせたオーダーキッチンがこちらです。

クォーツストーンとセラミックの良い点を組み合わせたオーダーキッチン

ダイニング側に面したシンクカウンターは、無垢の大理石と似て小口(カウンターの切断面)まで柄が繋がるクォーツストーンを使い、デザイン的に強調するためにカウンターの端部まで折り下げています。カウンター奥の電子レンジを置くカウンター部分までクォーツストーンで仕上げています。

クォーツストーンとセラミックの良い点を組み合わせたオーダーキッチン

背面のIHコンロがあるカウンターですが、本来はカウンターとバックパネル(壁面)両方共に熱と清掃性に高いセラミックを使いたかったのですが、金額のこともあって、カウンタはクォーツストーンでバックパネルはセラミックとなっています。全く違う会社(どころか作られた国も違う)のに、デザイン的には統一されたキッチンに仕上がりました。

クォーツストーンとセラミックの良い点を組み合わせたオーダーキッチン

最後の写真は、キッチンの最奥からキッチンの長手方向を見返したアングルです。セラミックとクォーツをふんだんに使ったスタイリッシュなキッチンとなりました。因みにシンクカウンターの手前にある木柄の二段カウンターは本物の天然木ではなく、汚れに強いメラミン製となっています。

渋谷M邸の一年点検

渋谷M邸

ちょうど一年前にお引渡しをしていた渋谷の高層マンションリフォームプロジェクト、渋谷M邸に一年点検ということで、工事をお願いしたリフォームキューの担当の森井さんと一緒に伺って参りました。

渋谷M邸_一年点検

とてもきれいにお住いで、もう一年経ったことが信じられないほどきれいな状態のお宅でしたが、事前にメールのやり取りで幾つかの不具合や問題点をMさまに指摘して貰っておりました。

渋谷M邸_一年点検

一つはダイニングテーブル上のペンダント照明(ヴィジュアルコンフォート社)のカバーガラスのシミについてでした。写真では全く分からない小さい汚れのように見える染みでしたが、近くで肉眼で見ると判りました。ただ、これが製品としての瑕疵なのか、この製品独特のニジミなのかが分からないので、照明器具をお願いしたベイカー@東京にアメリカ本社に聞いて貰うことになりました。

渋谷M邸_一年点検

本当に近寄って良く見ないと分からないものなので、まずは向きを変えて目立たないようにしておきました。

渋谷M邸_一年点検

これも写真ではほとんど表現できないのですが、この壁の真鍮目地にうっすらと錆が浮いていることも指摘された事項でした。ただ、これは森井さんから事前に乳化性液状磨き材のピカールをご紹介して、柔らかい布でこすって頂いたところ、錆は取れたとのことでした。今回はコーティングされていない真鍮を使っているので、特に加湿器を良く使う冬にはうっすらと錆が発生してしまうようです。ただ、清掃方法が分かったことで、Mさまもご納得してくださいました。

渋谷M邸_一年点検

こちらの小さな棚は、設計の最後の段階で付け足したものでしたが、下部がお掃除ロボのルンバ基地となり、棚の中にはティッシュやストック品を置き、上部には充電式の照明や植栽を置く場所となり、とても役立っていることが分かりました。

渋谷M邸_一年点検

寝室もとてもきれいでしたが、ベッドのヘッドボードのレザーパネルが一部剥がれてきたことと、お化粧コーナーの引き出しが少し沿っていることが問題でした。

渋谷M邸_一年点検

ヘッドボードのパネルについては、接着があまっかったようですので、改めて伺って両面テープと接着剤できちんと固定することでご了承頂きました。

渋谷M邸_一年点検

引き出しの反りについては、簡単に直るものではなさそうでしたが、一旦家具屋に引き取りに来てもらい、クランプ等でゆっくり圧を掛けて補正できないかトライしてみることとなりました。

渋谷M邸_一年点検

廊下の空間もトイレの空間もとてもきれいで、改めて写真撮影させて貰いたくなりました。

渋谷M邸_一年点検

ご招待するお客さま、全ての方が素敵なインテリアだと誉めて下さるとのことで、Mさまが僕らのリフォームデザインを大絶賛して下さったことが何より嬉しい一日でした!

モダンリビング&ホテルAzabuTen&アレキサンダー・ラモント

港区R邸

現在発売中のインテリア雑誌「モダンリビング」(ハースト婦人画報社)の262号「素材と色」特集号に、弊社紹介のブティックホテルとインテリア素材が掲載されております。

モダンリビング_素材図鑑

素材感と色彩豊かな住宅事例が沢山並んだ後の最終コーナー直前に「素材図鑑」というコーナーがあり、その中の「その他の素材」で私、各務が登場しています。

モダンリビング_素材図鑑

木質系と塗装系をラブアーキテクチャーの浅利さんが、石材をIKGの池貝さんが、タイル系素材を芦沢啓治建築設計事務所の芦沢さんと華々しい建築家の方々の中に入れて貰えました。

モダンリビング_素材図鑑

元々はモダンリビングの編集部から、上記の木質、塗装、石材、タイル、その他の項目それぞれに対して、注目している素材をリストして、更にそれらを実際に一般の方でも見学に行ける場所があれば教えて欲しいとの取材依頼がありました。木質ではリストネジョルダーノ(ADワールド)のフローリング材、石材ではアントリーニ(関ヶ原石材)の希少大理石とサルバトーリの加工大理石、タイルではフィアンドレ(アークテック)の大判大理石柄タイル、その他素材でアレクサンダー・ラモントエルクリエーション)を紹介したところ、全て採用となりましたが、紹介文としてはラモントを紹介することになりました。

アレキサンダーラモントの壁素材

ラモントは、こちらの港区R邸のダイニング壁でストローマルケタリー(らい麦の茎の寄木細工)を使ったことがあり、他にも魅力的な素材が沢山あるので、このような特集であれば是非紹介して貰いたいというコメントをつけて編集部に送ったところ、採用となった経緯があります。

これは小さなサンプル板ですが、毎年新しい素材が増えていますが、現時点でも100種類以上の素材を研究開発しているという凄い会社なのです。
ただ、今回のモダン特集は、こういった小さなサンプルを見ることができるショールームではなく、実際にラモントの素材を使っていて、一般の方でも見学に行ける店舗などを紹介して欲しいとのことでした。そういったお店を知らなかったので、編集部の高橋さんと左近さんがエルクリエーションに問い合わせをしたところ、まさにうってつけの場所を紹介してくれました。それが麻布十番にあるホテルAzabuTen(アザブテン)でした。

ホテルAzabu Tenのアレクサンダーラモント

編集部からの紹介で伺ったところ、玄関ホールに入って正面の壁がラモントの金色のストローマルケタリーでした。ご本人が建築家であるホテルのオーナーがインテリアに拘った隠れ家ブティックホテルとのことで、本当に凝ったインテリアで見どころばかりのホテルなのです。

ホテルAzabu Tenのアレクサンダーラモント

ホールのカウンターに使われているこの素材もラモントの物です。魚のうろこのような表情の素材ですが、ジェッソ(石膏ベースの下地材)を布に塗った後、乾燥後続けて全面に漆を塗り、手で縦横の細かい割れ目を入れて割れ目部分を研ぎ出し、研いだ部分には糊代わりの漆を塗って金箔をはるという、実に手の込んだ素材となっております(現在はあまりに手が掛かり過ぎて金額も驚くほど高くなってしまうので、廃番寸前だそうですが、特別な依頼があれば、まずはお見積もりはして貰えるそうです)。

ホテルAzabu Ten

オーナーの建築家と家具ブランドのカッシーナが共同で設計したとのことで、カッシーナの最高級家具のチェコッティのラウンジチェアがさりげなく置かれています。入り口の自動扉の仕上げも金属の編み込みとなっていました。

ホテルAzabu Tenのインテリア

ホテルのお部屋一つ一つが違ったデザインモチーフとなっており、素材や色味も違っており、ホテルの部屋を毎晩変えるだけで、沢山のデザインを体験できるというとてもユニークなホテルなのです。(写真提供:ホテルアザブテン)

ホテルAzabu Tenの吉田さま

ご案内くださったホテルのエグゼクティブ・アドバイザーの吉田さま、どうもありがとうございました!

モダンリビング_素材図鑑

話が大分長くなりましたが、雑誌モダンリビングの素材と色特集はこちらとなります。本屋で見かけましたら、是非手に取ってご覧ください。