リゾートマンションリフォームの湘南T邸の内装解体工事が始まりました。
最初は、ガスや水道の元栓を閉めてから、電気器具の取り外し、その後は造作家具の取り外しと進んでいきます。キッチンでは、まず最初に吊戸棚とレンジフードが撤去されました。
2~30分ほどで、キッチン全体がきれいに撤去され…、
その2~30分後には天井の石膏ボードが剥がされていました。
造作家具が無い部屋では、カーペットを剥がしたら建具と枠を取り外し、一気に天井と壁のボードを剥がしていきます。建築工事のように、専門の職人さんが、カーペットを張ったり、石膏ボードを張ったり、建具を吊り込んだりするのではなく、解体工事では一人の人が設備機器の取り外し以外は、ほぼなんでもできるので、スピードが超速いのです。
主寝室では、床を剥がしたことで、玄関横のメーターボックスから室内に引き込まれている給水と給湯管とガス管のルートが判りました。
キッチンでは、吊戸棚を撤去した跡から天井裏の梁型の表面が斫られていることが分かりました。
(ここまでの写真は、施工をお願いしているコナラハウスが提供してくれた写真です)
こちらは解体工事が始まって4日後のキッチンの様子です。天井裏の給気&排気ダクト、床下に隠れていた給排水と給湯とガス管だけとクロスの下紙だけを残して、ほぼ内装解体が終わりました。
かつてはトイレとPS(パイプスペース)だったカ所も配管以外はきれいに解体されており(パイプスペースがマンションの登記記録上で専有部になっていることを確認の上解体しています)、排水管のルートと勾配を確認して、各水回りのレイアウトが問題なく設置できることを設備屋さんと打合せすることができます。
すっかりきれいさっぱりした空間で、コナラハウスの小形社長、大工であり現場監督も兼ねてくれる福田さん、そしてオーダーユニットバスをお願いしているアステックの担当者と解体後の現場打ち合わせを致しました。
解体が終わってから色々な設備や建材を発注して貰うのですが、その中で一番大物で重要なのが、今回はオーダーユニットバスとなります。床下の給排水配管のルートと勾配、天井裏の換気ダクトのルート、さらには床スラブからユニットバスの床レベルが何ミリ上がるのかを計算したうえで、天井の高さを設定し、そこまでが判った段階でようやくオーダーユニットバスを発注することができるのです。
浴室の打ち合わせをしている傍らで現場監督の福田さんは墨出しをしていきたいとのことで、弊社担当スタッフで副所長の前田君を引っ張り出して、墨出しの重要ポイントを聞き出してくれています。
こちらが福田さんが用意してくれていた墨出しの7つ道具です。右端の銀色の物は墨出しのスタート地点を固定する墨糸ホルダー、その横が墨つぼです。昔の大工さんから使われている古典的な道具で、糸に墨を付けて、ピンと張ったものを指で弾いて、基準線を記す道具です。墨の交点や重要な文字を書き込むための油性マーカー、真ん中の大きめな機器は、レーザー墨出器(基準器)です。床に置いてレベル(水平)を出して、基準のポイントに合わせると、
水平線と垂直線がレーザーで照射できる機器で、これがあることで、ミリ単位の正確な施工ができるのです。
ペットボトルの水は、一応墨壺の墨を伸ばすためのもので、後はレーザー測量器に差し金、メジャー(巻き尺)です。
このタイミングで、お客さまのTさまご夫妻が現場に来てくださったので、解体されて初めて分かったこと、気が付いたことなどを説明させて頂きました。まずは天井の水染みの後です。このお部屋の直上階は半分が陸屋根となっており、少しずれた位置にある上階のお部屋のルーフバルコニーとなっています。そのルーフバルコニーエリアからの漏水の跡が見つかったことを説明させて頂きました。白華(ハッカ)と呼ばれる白い水跡がコンクリートの表面に見えています。白華は コンクリート・モルタル・セメントなどに含まれている水酸化カルシウムが水に溶け出し、空気中の二酸化炭素と化学反応を起こして、白い粉として現れる現象であり、水が漏っていることを示すものです。
ただ、ずっと漏っていた水であれば、室内にもっと大きな水染みの跡があったハズですし、解体時には濡れていた形跡はなかったので、もしかしたらマンションで(屋上防水を含んだ)大規模修繕をする前の水漏れの跡かも知れないので、まずはこのことをTさまから管理事務所に相談してもらうようお願いしました(その後、やはり水漏れは以前のもので、大規模修繕で防水をやり直したことでその後は水漏れが発生していないことを確認することができました)。
また、こちらは以前より図面で読み解いて分かっていたことではありますが、天井裏が上階のルーフバルコニーなのに、天井スラブの断熱がされていないことを説明致しました。黄色く見える外壁側の壁や柱型まではうっすらと断熱材が吹かれていますが、一番大きく夏の日射熱を受ける天井が断熱されていないことは、今後長く住むうえで大きな問題なので、きちんと発泡性の断熱材を吹く話を致しました。
給水と給湯、さらには排水管のことで、今の状態ではガス給湯器を使っての床暖房が難しいこと、また、排水管の勾配から、浴室の床が他の床レベルから10センチほど上がることをご説明致しました。
ダイニングスペースの天井はこのダクトが通っているので、折り上げ天井の範囲が限られてしまうことも説明致しました。
なるべく天井高さを上げて欲しいとの当初からのご依頼でしたが、設備配管や梁型等で天井高さが制限されてしまうカ所があることを納得して頂きました。先ほどの写真にあったキッチンの吊戸棚を撤去した際に見つかったコンクリートの斫り跡も、よく観察したところ、鉄筋がカットされていたり、露出していたりする箇所が無かったので、長期的なリスクもご説明致しましたが、今回は特別な処置(鉄筋が露出していた場合は、さび止め塗料を塗った上で、無収縮モルタルで補修します)をせず、そのままで計画を進めることとなりました。
とにかく、ガランドウの空間になって、広さを実感できること、そして風が気持ちよく室内を通り抜ける気持ち良い空間になっています。断熱補強や間取り、設備計画やインテリアでその良さを活かしながら、快適な生活ができる空間を作るべく、ここからさらに頑張ってゆくことをNさまご夫妻にお約束させて頂きました。