Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

アクセントカラーの色決め_六本木Y邸

六本木Y邸

美術館、或いはギャラリーのような空間を目指している六本木Y邸リフォームでは、何カ所かの扉にヴィビッドなアクセントカラーを取り入れようとのお話しになっておりました。

アクセントカラーの色決め_六本木Y邸リフォーム

こちらが事前に選んでおいたアクセントカラー候補がこちらです。建具に張る硬質塩ビシートメーカーはダイノックシート(住友3M)、ベルビアン(シーアイ化成)、リアテック(サンゲツ)、パロア(リンテック)などがありますが、各社から鮮やかな色味のシートサンプルを取り寄せておきました。

アクセントカラーの色決め_六本木Y邸リフォーム

初めてお客さまのYさまにお目に掛った際に見せて下さったイメージ写真を一枚に纏めたものがこちらです。これまでに選んだ家具の張地の色味や、キッチンの仕上げ材などもこれらのイメージシートを見ながら一緒に選んできたものです。

アクセントカラーの色決め_六本木Y邸リフォーム

今回の打ち合わせで選んだ色味はこちらの三色となります。バクスターのソファが緑色で、ミノッティのスツールが黄色とグレー色を選んでおり、更にお手持ちのアートもカラフルなものがあるので、それらを微妙に被らせながらお好きな色を選んで頂いたのが、こちらのグリーンとブルーと黒となります。黒に関しては、シートではなく、アイカのキッチンパネルで金属光沢のある黒となりました。
今回のようなヴィビッドな色を決める段階になると、中々思い切った色味を使えなくなるのが人情なのですが(笑)、建具のシートは張替え(実際には重ね張りになります)も可能なので、まずは思い切って選びましょうとお伝えしたところ、とても楽しく色選びをご一緒することができました!

アクセントカラーの色決め_六本木Y邸リフォーム

色とは直接関連はありませんが、この日の打ち合わせで、各窓のカーテンやレース、ブラインドの生地もご一緒に選ばせて頂きました。

アクセントカラーの色決め_六本木Y邸リフォーム

以前に選んでいたグレーのカーペットなどと合わせて、寝室は光沢感のあるグレーのカーテン、LDの窓は3D調光スクリーンのFUGA(WIS)を電動でと決まりました。

六本木Y邸 アクセントカラーの色決め

もう一つ決めたのは、奥さまの書斎コーナーのプリンター棚の高さです。テーブルの上部に引き出し式の棚を作ってプリンターを置くことになっていましたが、どのくらいの高さに設定すれば座ってのテーブルの使い勝手と立ってのプリンターの使い勝手が良くなりそうかを実験させて頂きました。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

代々木上原I邸

代々木上原I邸の主寝室のヘッドボードは、Iさまが気に入って下さったファブリックを緞子(どんす)張りにした造作で作ることになっています。因みに緞子張りとは、張り下地にクッション材を張って起伏を作り、その表面に織物を張る工法のことです。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

こちらが完成時の様子ですが、最初のパネルサンプル作りからご紹介いたします。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

Iさまが気に入って下さったトミタのファブリックの大判サンプルを有償で取り寄せて、I邸の造作家具工事をお願いしている現代製作所の藤田さんに、3通りのクッション下地を入れて貰ったサンプルを作って貰いました。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

このように並べてみると、どんすパネルの厚みの違いが良く分かりますね。お客さまのIさまにサンプルをお見せしたところ、ヘッドボードのうち、ちょうど頭が来る部分のパネルは厚みのあるものが望ましいが、その他の部分はもう少しフラットな仕上げで構わないとのことでしたので、2種類の厚みのパネルを使ってデザインを進めることになりました。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

緞子張りパネルは端部がデリケートなので、基本的には木製の枠で囲むデザインで検討していますが、木製枠との取り合いもサンプルで確認させて貰いました。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの展開図

こちらはI邸の設計担当の神崎さんが既存の窓割と合わせてパネル割のデザインを考えてくれた展開図です。まだ、この時点では、木製枠のサイズや細かいディテールは決まっていませんでした。ただ、向かって左側の窓は縦滑り出し窓で、開閉するためには手前に設置するインナーサッシを全開にしないと開けないので、インナーサッシを一本引きで作ることになっており、その手前のパネルはメンテナンスの際には取り外せるようにしてあります。右側の窓は元々が引き違いなのですが、窓としては右側の窓だけが見えるデザインとしています。こちらのパネルも取り外し可能となっています。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

元のデザイン展開図から、リノベーション工事を請け負って貰っている青の石坂さんと片岡社長、現代の藤田さんと3度ほど打ち合わせを重ねてから作って貰った製作図がこちらです。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

実際に造作家具で作ったフレームが壁に取付けら始めた様子がこちらです。展開図の時にはなかった、壁の厚みを利用した棚が取り付けられました。壁の厚みが無駄なように見えますが、この後で断熱のためのインナーサッシが取り付けられることと、そのインナーサッシも含めてメンテナンス可能にするために、寸法に余裕を持たせています。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

左端部分の既存アルミサッシ窓の開閉との取り合いが分かる写真です。横滑り出し窓は窓枠より随分内側に窓の端部が飛び出てくるので、この窓のインナーサッシは特別仕様で一本引きにして貰っています。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

同じ窓の上部を見たアングルの写真です。アルミサッシがぶつからないように、上部枠も彫り込んで貰っています。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

壁の厚みを利用したベッドサイドの掘り込みの棚です。下部にはコンセントも付けて、携帯の充電ができるようにしています。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

中々に複雑な形で、造作家具の職人さんだけでは収まらない部分があったのか、施工会社の現場監督の石坂さんが手伝っていますね。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

右側の端部の納まりです。窓を取り囲むようにきれいに木製のフレームが回っています。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

木製フレームが組み上がった頃を見計らって、現場にインナーサッシ枠が入ってきました。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

斜めから見ると、木製枠の裏側にスカスカに隙間が空いているのが分かりますね。そこに一本引きや引き違いのインナーサッシを納めて貰います。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

インナーサッシはアルミ枠と障子(ガラス窓)に分かれており、アルミ枠は比較的スムーズに取り付けができましたが…、

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

真ん中の方立が邪魔で、障子の取付けは手慣れた職人さん達でも難しいようで、色々な角度から差し込もうと努力をしてくれました。こんなに苦労するのだったら、方立も後付けにすればよかったと後悔致しました…。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

インナーサッシの取付けが終わったところで、ようやく緞子(ドンス)張りパネルの取付けです。もうすでに2枚の緞子パネルが取り付けられていますね。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

今回のパネルの取り付け方は2通りあります。こちらの写真のように背面にベニヤ板のパネルがあるケースでは…、

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

オス型とメス型があるボタンのようなものを押し付けて固定する方法です。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

この写真がわかりやすいと思いますが、

緞子(どんす)張りのヘッドボードの金物

日本が誇る金物メーカーのスガツネのパネルマウンティングシステムのVLシリーズを使っています。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

もう一つは、背面にメンテナンスのためにベニヤ板がなく四周フレームだけの箇所で使っている金物は、こちら…、

緞子(どんす)張りのヘッドボードの金物

やはりスガツネのボタンフィックスシリーズの金物を使っています。垂直面にワンタッチでパネルを取り付けることができる便利な金物です。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

竪枠に対してはこのようにオス型を取り付けておきます。当初はパネルは両面テープと接着剤で取り付けた方がしっかり取り付けることができると考えていましたが、使っているうちに緞子張りのファブリックが緩んだり、汚れてしまったときに張り替えることができるように、製作をお願いした現代製作所の藤田さんのアドバイスで変更した経緯があります。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

ほぼ出来上がった様子ですが、ちょうどベッドが来る正面上の緞子パネル2枚だけがふっくらとしているのが判るでしょうか?パネル同士のラインがきれいに出るように調整し、最後に二つの窓にブラインドを取り付けて完成です。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

夜に照明をつけた写真を良く見ると、中央上段の2枚の緞子張りのみが、ふくらみが大きいのが分かりますね。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

緞子張りに使ったファブリックと同種で色違いのファブリックで作ったシェードを窓に吊って完成です。

緞子(どんす)張りのヘッドボードの作り方

ベッドとリネンも入ったアフターと、リフォーム前のスケルトン状態でのビフォーをほぼ同じアングルで比較したビフォーアフターの写真です。
以下のページに、これまでカガミ建築計画でデザインしてきたオーダーメイドのヘッドボードの事例をご紹介しています。

ウッドショックならではの軽量鉄骨と木製下地の組み合わせ

六本木Y邸

六本木Y邸の工事が順調に進んでいます。この日は、大工さんと軽鉄屋さんが入っての工事でした。

既存は壁下地が木製下地で、天井は軽鉄(LGS)でしたが、新しく作る天井や壁の一部は軽鉄で進めて貰っています。

天井は折り上げ範囲を大きく変えること、そのためにダクト類を大きく動かしているので、ほぼスケルトンになっているので、新たな軽鉄下地を作ってゆく必要があります。

天井のコンクリートスラブをアップで見た写真ですが、赤や緑色の丸いマークのようなものがコンクリートに埋まっています。これがインサートと言われる金物です。インサートはコンクリートアンカーともよばれますが、コンクリートを傷つけずに軽鉄の下地や、エアコン、ダクトなどの設備類を天井から吊るための金物です。

インサートに合った径のツリボルトとナットと野縁受け金物をドリルで取り付けながら天井LGSの下地を組んでいきます。

軽鉄工事の特徴は、木製下地に比べてとにかく早いことです。細かい造作には向かないですが、文字通り軽量で組立てや接続用の部材が揃っているので、ビス打ちなどの手間が少ないのです。

壁下地や天井下地用の軽量鉄骨の束です。中空の素材なので、これだけの量があっても搬入が楽なのです。特に、現在のウッドショックによる木材不足の中では、有効な建材なのです。

主寝室の折り上げ天井は既にLGSで組み上げられていました。

大工さんはその間に、造作本棚が入ったり、引き戸を納めるための壁などを木製下地で作ってくれています。

玄関入って左側の壁の端部は、まだ下地状態ですが、カーブしているのが判るでしょうか?

天井を見るとカーブの具合が分かるのですが、この箇所を少しでも空間的な広がりを感じさせたかったので、カーブの壁を作って貰っています。こういった複雑な下地には木製下地材が合っているのです。

大工工事で作って貰う本棚を設ける書斎壁も木製下地ですし…、

吊りレールで一本引きの扉を納めるポケット部分もランバーコアなどの木製建材を大工さんにお願いしています。

こちらは洗濯機用の給水給湯栓を壁に埋め込んだ部分ですが、やはり細かい調整が必要なので木製下地になっています。ただし、こちらの木製下地はLGSのランナー(天井と床に取り付けるガイド的な金物)と組み合わせることが可能なLVL(ラミネーテッド・ベニヤ・ランバー)を組み込んだハイブリッド工法となっています。木材不足の中での工事で、リフォームキューの営業の坂本さんと現場監督の神成さんが建材も色々と工夫して調達してくれています。

床下地については、遮音性能のことがあるので、木製下地となります。このベニヤ板の下に、置床システムとパーチ合板(パーティクルボード)と呼ばれる木屑を接着剤で固めた建材を組み合わせた下地が組まれていますが、そのパーチ合板がウッドショックで中々手に入らなくなっているとのことでした。
床に何カ所が四角い穴が空いていますが…、

それは床付けコンセント用の孔となっております。リビングに置く家具のレイアウトを考えたうえで、スタンド照明や携帯の充電用のコンセントを壁に見せないために床付けにしています。美術館やギャラリーのようなシンプルなスッキリした空間が六本木Y邸のテーマですので、僕ら設計側はとにかく壁をシンプルにそしてきれいに見せるために、コンセントやスイッチ類はなるべく壁から消す努力をしているのです。

天井裏にこちらの配線は、窓に取り付ける電動ブラインドの配線です。今は電池式のブラインドもありますが、電池が切れた時の交換が面倒なので、なるべく配線を通すようにしています。ただ、今回は窓際に梁が通っており天井裏にスペースがないので、コンセントを埋め込むことができないのですが、現場監督の神成さんの工夫で、先に電動調光スクリーンとして採用することになっているWISのフーガの延長コードを取り寄せて、先に天井裏に仕込んでおいて貰ったのです!

まだ決まっていないディテールや今後の工事の流れを、神成さんと弊社の設計担当の前田君が綿密に打ち合わせてくれています。