Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

リフォームプランの作り方

高輪I邸

高輪I邸は、先回の実測・調査で既存の図面を作ることができたので、以前に伺っていたお施主様の要望と合わせて、まず幾つかのプラン提案をすることになりました。

リフォーム用下図平面

こちらは、プラン案作りに先立って用意した、既存水廻り位置と、天井裏の梁の位置を落とし込んだ下図です。赤茶で塗られた水廻り位置は、床レベルが他より150~200程度上がる可能性がある箇所で、そこから水廻り設備の距離を離せば離すほど、レベルは上がってゆきます。また、梁位置を注意することで、天井高さのコントロールや、換気用のファンなどの設置を考えることに役立つので、こちらも記載してあります。

リビングは南側に細長くレイアウトすることはほぼ決まっているので、寝室と付属するウォークインクローゼットと水廻りの配置のパターンを考えて、当初はA~D案までの素案を作ってみました。一番上の案は、既存RC壁(建設当時の考え方では耐震壁にならない)を壊してみた案も一応考えてみましたが、管理組合の理解を得にくそうなので、こちらは廃案としました。
プランを考えた際に幾つか気にしていたポイントは以下の通りです。

  • 60代のお施主様の年齢とこれから想像される生活パターン
  • 息子さん一家やお客さんが来訪する頻度
  • 風通しと部屋奥まで光が届くかどうか
  • 水回りの位置とサイズと寝室からの使い勝手

以上を満足するには、寝室をリビングの奥に配置して、床レベルを一段上げる案(B案)になることが判ってきました。

一度お施主様にご説明の上、B案の展開パターンを6つほど考えてみました。ここでポイントなったのは、以下の条件でした。

  • 寝室への入り口をどこにするか 寝室とリビングダイニングとの関係
  • 寝室奥のトイレ以外に来客用トイレを玄関脇に用意するかどうか?
  • 寝室奥の水廻りへのアプローチを寝室からのみとするか、玄関横から回遊できるようにするか?
  • お手持ちの洋服ダンスを寝室内に置くか、ウオークインクローゼット内に収納するか?

全て、リフォーム後にここで暮らすうえで大きな問題となってくるポイントなので、それぞれの案のメリット・デメリットをご説明し、一週間ほどIさまご夫妻でプランの良し悪しを考えて貰うことになりました。

六本木T邸 ビフォー&アフター リビング編

六本木T邸

リノベーション工事が無事終了した、六本木T邸。どこがどのように変わったのか、判り易く同じ工事前後をアングルで撮影した写真を作ってみました。まずは第一弾としてリビング・ダイニング部分を紹介いたします。

リノベーション ビフォー&アフター

ビフォーで正面に見えている壁は、ウォークインクローゼットの壁です。実は今回の工事の前に、一度リフォームをされた形跡があり、この部分がそうだったようです。既存でついていた天井カセット式エアコンを動かすと費用が掛かるので、写真のように上部を欄間状に開ける方法で回避していたようです。

かつては寝室だった部分がダイニングになりました。 この個所は窓のレイアウトは変えられないので、それほど変わっていないかもしれません。天井はかつては折り上げスタイルでしたが、ゴチャゴチャして見えるので、フラットに変えています。それに伴って、エアコンも窓際に移しています。また、判りにくい個所かもしれませんが、かつては安っぽい窓枠がついていたのを、全て取外し、壁を塗り込む形で枠なしへと変更しています。

こちらは反対側方向からリビングを見返したアングルです。かつては小さなダイニングに、幾つもの扉があって、家具のレイアウトが難しい部屋だったようです。リノベーション後は、壁際にテレビ・オーディオ収納やバーコーナーも壁に埋め込んでいるので、家具のレイアウトのフレキシビリティーも上がりました。

かつて廊下だった部分をリビングダイニグに取り込んでいるので、実際には5%程度の空間増ですが、印象的には20%程空間が広くなったように感じました。また、大理石とカーペットとフローリングと、細かく仕様が分かれていた床仕上げを、フラットなフローリングで統一したことも、広く感じる原因の一つかもしれません。

高輪I邸の実測・設備調査

高輪I邸

2月に初めて現調させて頂いた、高輪のマンションリフォーム現場に詳細な調査に伺って参りました。その後幾度かお施主様と打合せを行い、プラン提案をしてほしいとのご依頼を受けて、きちんとした既存図面がなかったので、現況図を作成したうえでプランを考えることになりました。

高輪I邸は、以前の持ち主が一度大規模リフォームを行っております。お嬢様が二人いらしたそうで、可動間仕切りでリビングと繋がった不思議な子供部屋の写真です。

大きな寸法を測量し、壁位置を全て特定した後は、窓際の下枠の形状や、幅木との納まり等の細かい状況も確認してゆきます。

水回りの床で段差がある箇所の段の高さも測ります。今回のマンションは、全ての排水が床スラブを貫通して、下の階の天井裏を通っていることが判っていたので、どの位置でスラブを抜けているのかを、ある程度推察する必要があり、そのためには段差情報も重要な推察ファクターになります。

床下や天井裏の状況を確認するために、あらゆる点検口を覗きます。写真は来客用トイレの天井裏の様子です。排気のダクトの行方を確認し、給水については新たに引き直されていることが判りました。

以上の実測、調査をもとに作成した、現況図です。まだ、設備配管や換気ルートで不明な点がいくつかありますが、ある程度推測しながら、お施主様のご要望と、既存マンションの特性をマッチさせながらプランを作ってゆくことになります。