Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

天井の下地調整と設備先行配管

高輪I邸

お盆を挟んで工事進行中の高輪I邸の工事では、暑い中ちょっと地味な作業が続いています。

天井下地調整

以前の間仕切り壁を撤去したところ、天井に不陸(フリク・凹凸があって平らでない状態のこと)でガタガタだったので、フラットになるように下地を調整して貰っています。

三つの部屋の交点だった個所などは、天井面がネジレるようになっている個所もあり、基準の天井面を決めて、細かく調整しています。内装すべてを撤去してしまう、スケルトンからのリフォームであれば、天井も全てやり直しなので、工事は楽なのでしょうが、その分廃材が増え、費用も増加してしまうので、なるべく使える天井は残して下地として活用する方針です。

調整の方法は、この写真のような、下地調整用の薄板(2ミリから5ミリほどの板)を沢山用意し、壁に設置したレーザー水準器を元に、303ミリピッチで薄板を重ね張りしてゆきます。

また、先日のコア抜きであけた孔から水道とガス管を引き込みも行われています。写真右側の壁裏にメーター類があり、そこから共用廊下の天井を通して、左側の専有部に引いていきます。今回は、同じ階の4戸全ての水道管とガス管を引き直すことになっているので(この工事は管理組合が負担します)、右側の壁には4×2=8個の孔が開けられています。

こちらは、専有部分からベランダの機械室に置かれた給湯器への配管です。水道管・ガス管・給湯管・追い炊き用の配管(2本)、床暖房用の配管(3本)の計8本が干渉しないようにレイアウトされてゆきます。因みにガス管は管に記載がありますが、水色が水道管で赤色が温水管で、その他はまだ配管されていません。

こちらは、洗面・浴室周りの先行配管の状況です。床にそった灰色の管が排水管です。地味な作業ですが、これらがしっかりしないと、仕上げがビシッと決まらないのです。赤い温水管と青い水道管も床を這っています。天井には浴室用の排気ダクトが引かれてきています。
天井下地調整も設備の先行配管も、とても地味な作業ですが、これらがしっかり施工されていないと、この後の工事がビシッと決まらないので、とても大切な作業になります。

ポーゲンポールの高級キッチンショールーム@広尾

キッチンリフォーム

広尾にあるドイツ製高級輸入キッチンのポーゲンポールのショールームを見学して参りました。今年初頭に、ポーゲンポール社直営店として、このショールームが展開されていたのは、よく通る場所なので知っていましたが、なぜか内部に立ち寄ったことがありませんでした。

ポーゲンポール広尾ショールーム

こちらは、通りに面し、エントランス正面にある一番目立った場所にある白を基調としたキッチンです。人工大理石のシンプルなカウンタースタイルですが、シンプルがゆえにディテールにもこだわりを感じました。背面の木目調トール収納には、ミーレ社の調理機器が組み込まれていました(今後は、ミーレ社は施主直でしか販売しない方針なので、このような組み合わせは難しくなるかもしれません(ミーレ社はまその後、また方針を変えたようで、ポーゲンポール社始め幾つかのオーダーキッチンメーカーでは仕入れることが出来るようになったようです(2012年2月29日)))。

ポーゲンポール東京ショールーム

こちらも通りのガラス越しに見えるステンレスと濃いめの木質を使ったスタイリッシュなアイランドスタイルキッチンです。こちらは、実際にガスや電気、水道が使えるように設えてあるので、調理の体験もできるようになっているそうです。

ポルシェキッチン@広尾ポーゲンポールショールーム

 

ショールーム中央に位置するこちらのキッチンは、スーパーカーのポルシェ社と共同開発のキッチンです。約3000万円とのことで、これだけで住宅が建ちそうですが、ハイエンドの高級キッチンを作るために、扉の質感から金具の使い勝手まで、あらゆる箇所に妥協のないキッチンとなっています。

カウンター材は一見何の素材でできているか判りませんでしたが、ガラスだそうです。ガラスといっても、マットな仕上げで、使い勝手も予想で、手入れも簡単そうでした。

この引き出しは、違うキッチンのものですが、ブルム社と共同開発された金具は、コーナーまですっきり使え、面材も簡単に交換できる優れモノでした。こちらで展示されているもの全てが大型のキッチンで、実際に売れている平均単価も500万円程度とのこと、マンションリノベーションでも150㎡以上はないと、狭く感じてしまいそうでした。丁寧に説明してくださったKさま、どうもありがとうございました!

コンクリート壁のコア抜き

高輪I邸

高輪I邸の工事で、先日撮影したレントゲン写真を参考に定めた位置に従って、コンクリート(RC)壁のコア抜き作業が行われました。因みに、コア抜きとは、ダイアモンドチップを付着させた円形ドリルでコンクリート壁に穴(スリーブ)をあける作業の事です。ただし、分譲マンション(共同住宅)では、コンクリート壁は共用部となりますので、まず耐震壁でないことを図面上確認の上、今回のように事前に管理組合にレントゲン写真と一緒に申請し、許可を得ていないと作業できません(これはきちんとしたマンションでのことで、レントゲンも撮らずに、鉄筋を切りながらコア抜きしている古い団地などの事例もありますが、耐震上は当然問題があります…)。因みに、今回のこのコア抜きは、共用部分の配管更新のためにマンション管理組合から依頼されての工事でした。

コンクリート壁のコア抜き作業中

重たい機器がずれないように、平滑な壁の場合は、空気圧を使った吸盤で固定し、ポリタンクに入った水を手押しポンプで注ぎ込みながら、孔を開けてゆきます。20センチの壁厚であれば約10分弱で、それほどの騒音を立てないで抜けるそうです。

きれいに抜かれたコンクリート、いわゆるコアサンプルです。抜かれた直後は高温で触れませんが、しばらく経った時点で触ると、とてもスムーズな面になっています。今後、マンション側で耐震診断をすることになった際は、このコアサンプルを圧縮試験に使うことができるので、3本は管理組合に寄付(?)することにしています。因みに、コンクリート造の建物の新築時に、壁や梁にスリーブを入れる場合は、壁・梁貫通スリーブ用の補強筋(鉄筋)をきちんと入れておくものです。

コア抜き機器

こちらが平滑面で吸盤を使った固定時で、

こちらは壁が平滑ではないので、ドリルで壁にピンを打って、そのピンで固定しながら作業している様子です。

エアコンのダクト接続や電気設備の配線も、どんどん進んでいます。LGSの下地も立ち始めたので、お盆前にはほぼ壁位置が決まる予定です。