Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

PS(パイプスペース)の内容確認

三田S邸

三田S邸の初期のブログで、PS(パイプスペースの略語)について、実は2種類のPSがあって、一つは内部に共用竪管が通るPSで、もう一つは専有部であるエアコンのドレイン管や冷媒管が通るPSという説明を致しました。前者は古いマンションでは専有部であるケースもありますが、ほとんど共用部となっており、従ってPS周りのLGSや石膏ボードも変形することはできません。それに対して、後者のPSは専有部ですので、配管をうまく避けながら壁裏の余剰スペースを活用したり、場合によっては内部の配管をずらして全部室内に取り込んでしまうことも出来る可能性があるのです。

この図面の赤で印されたPSの内部がどうなっているかによってキッチンのサイズや、リビングの使われ方が変わってくるので、事前に大工さんに入って貰って壁の石膏ボードに点検用の孔をあけて貰う手配を、施工予定のリフォームキューさんにお願いしました。

営業の坂本さんと大工の田島さんで手際よく点検口を作っていってくれています。この鏡張りの裏の①のカ所のPSが使えると、キッチン周りに寸法の余裕ができるので、なるべく早いタイミングで確認したいと思っていた部分です。

ちょうど上の写真で柱型の右側からPS内部を覗き込んだ写真がこちらです。奥にボコボコした肌で見えているのがコンクリート(RC)の柱で周囲に発泡系の断熱材を吹き付けられているものです。手前に見える白い管がガス管、赤が給湯管、緑が床暖房などのペアチューブ、銀色に巻かれているのがエアコンの冷媒管となります。写真左側、柱と壁の隙間は床下部分には配管がありますが、床上には何もなく、約17センチほど室内空間を増やすことが出来ることが判りました!

こちらは②のPSの内部です。PS内をのぞき込む場合は、目線より下方向だけでなく…、

上方向も確認しておく必要があります。このPSの場合、右側の躯体壁上部に梁型があることが判りました。その梁型を避けるためにエアコンのドレイン管などもクランクしているので、空いているスペース全てが使える訳ではないのです。

こちらは③のカ所です。ここは当初からPSとは銘打たれていなかったので、恐らく部屋の形をきれいにするためだけに作られた隙間だと考えておりましたが、それを確認することができました。

この日は、PSだけでなく、天井の下がりの中がどうなっているかも確認したかったので、天井点検口が無かったカ所は天井のボードに開口を開けて貰い、下がり天井の内部を確認させて貰いました。

現地調査をしている内に、以前から気になっていた主寝室の収納扉を坂本さんと弊社担当スタッフの竹田さに測って貰った所、新しく作るご主人さまのお部屋のクローゼットの扉に転用できることが判りました。天然木の突板の立派な扉だったので、うまく使うことができればSDG’s的にも良い流れになりそうです。

事前解体調査についてはこれで終わりとして、その後は仕上げ材の打合せをさせて頂きました。元々雑誌「家庭画報」に掲載された渋谷区Q邸の雰囲気がお好きだと仰っていたSさまご夫妻でしたので、Q邸のフローリング材とほぼ同じものをフローリングブランドの望造に作って貰ってをお持ちしたところ、他に考えている素材候補ともよく合いそうだと喜んで頂きました。フローリング材の右側のタイルは六本木のマリストショールームでSさまご夫妻が見つけてきたブレイズという手焼き風な温かみがあるユニークなタイルです。

打合せの初期の頃に青山のミノッティのショールームで考えていたソファの張地候補ともマッチしていました。ちょっとマッチし過ぎていて、すべてがアースアラーになりそうなので、アクセントカラーも取り入れた方が良さそうです…。

玄関周りの床の石材、トラバーチンも再利用することが決まりました。LDKと同じ素材感だと、ちょっと単調になりそうなので、真鍮のような金属と黒をどこかに取り入れると良さそうだとのお話になりました。

マンションリノベとガス乾燥機・乾太くん

新宿区T邸

マンションリノベーションでもお客さまからのリクエストがとても多いガス乾燥機の乾太くんですが、乾太くんを発売しているリンナイのホームページの特設ページ「置ける?乾太くん」の設置診断から、→マンション→分譲→ガスを使用している、と入力すると、以下の画面となってしまうのです。

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

「乾太くん、ほぼ置けません…」。注意書きを読みと、置けるとしてもベランダに設置するしか方法が無いように書かれています。ちょっと前までは、「乾太くん、置けません…」と表示されていたことを考えると、それでもまだ多少はマシですね…。
それでは新築ではないマンションでベランダ以外はダメかというと、実は可能性が無い訳ではないですから、諦めないでください!(とはいえ、ハードルはかなり高いですが)
ガスと電気が来ていること、乾燥機を置くスペースが十分にあること以外の必要条件としては、以下の項目となります。
・乾太くんの設置場所から外壁側の排気口まで、80φのダクトの場合8メートル2曲がり以内で接続できること
・乾太くんの設置場所から外壁側の排気口まで、100φのダクトの場合10メートル4曲がり以内で接続できること
・外壁側の排気口は、軒裏出しはダメ
・外壁側の排気口にはベントキャップ取付けが必要
となります。

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査


通常のマンションでは、外壁側貫通スリーブ(給排水や換気設備の配管を通す為に、コンクリートの梁や壁などにあらかじめ設けられた管や穴のこと)のサイズが、レンジフードの排気以外は径が小さく、上記のダクトを排出する穴が無いことが大きなハードルになっているのです。

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

ただ、こちらの新宿区T邸は、マンション新築時には2住戸に分割できるオプションがあったお宅だったので、キッチンを2つ作ることができる排気ルートがあったのではと推察していました。

ガス乾燥機だけでなく、他の換気や排気、給気のルートも確認する必要があるので、副所長の前田君が整理してくれたダクトルート図がこちらです。

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

ユーティリティーを設ける予定のエリアの天井点検口を開けて、長い脚立を使って天井裏のぞき込んで貰いました(本当は脚立の最上部の立ってはいけませんね…)が、梁や空調機器で奥が見えなかったので…、

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

施工をお願いする予定の青の樋口さんにホルソーで窓際の天井カ所に穴を開けて貰いました。

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

が、梁直下で何も確認できませんでした。細身の織田さんにダウンライトの孔からスリーブや既存ダクト径を見て貰った所、50φのダクトしか通っていないことが判り、天井裏からのカンタ君排気ルートは諦めることになりました。

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

もう一つ僕らが着目したのが、こちらのガス給湯器です。よく見たことがある形状のガス給湯器ですが、給湯機本体はこのボックスの上部で、下部はパネルを外すと…、

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

このような壁を貫通したガス管や給水給湯管、更には床暖房や浴室の追い炊き、浴室暖房乾燥機用のペアチューブを隠しているのです。

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

配管が所狭しと詰め込まれているので、それらを避けてのぞき込んだ所、

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

このようなステンレスパネルが現れました。この背部に外壁スリーブが空いているかどうかをチェックするために…、

マンションでガス乾燥機の乾太くんを入れるための再調査

外壁側PSの内側壁の石膏ボードに穴を開けてみた所です。

マンションリノベと乾太くん

外壁躯体にかなり大きな開口(灰色の四角い部分です)が当初から開けられており、それらを整理すれば「乾太くん」の排気を確保できるかもしれないことが判明しました!

ちょうど既存の外壁開口の高さが、内側に床置きでガス乾燥機のカンタ君を設置した高さで排気ダクトをそのまま外に出せる高さとマッチしていることも分かったので、まずは施工会社の青とその下請けのガス会社に実際にこのような工事ができるかを確認するための資料を作って見せた所、OKとの返事が届きました。お客さまも憧れのカンタ君ができるのであれば、是非この方法で導入したいと盛り上がってきているので、この形でマンション管理組合に申請することになりました。理論的には新しく外壁に穴を開けることもなく、管理規約に違反する要素が無いので、通るだろうと信じております…。

因みに、これまでマンションで2回ガス乾燥機を導入したことがありますが、こちらの事例関西M邸は、新築マンションの最上階オーナー邸だったので、比較的容易に設置することができました。

同じく関西の関西I邸は、今回の新宿区T邸と同じように、2住戸を合体させての大型住戸だったので、かつてのキッチンの排気ダクトルートを使ってガス乾燥機を設置することができました。

造作キッチンの組立て@恵比寿A邸

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリープロジェクトの紹介ブログです。
新築高層マンションリノベーションの恵比寿A邸の現場で、いよいよクライマックス部分となる造作キッチンの組立てが始まりました。

恵比寿A邸_造作キッチン家具組み立て

こちらの写真はある程度組み上がってきてからの写真ですが、まず最初は…、

恵比寿A邸_造作キッチン家具組み立て

本当に地味な搬入から始まります。キッチンの箱となる部分が大量に運び込まれて、ワンルームのLDK空間が一杯になりました。

まずはベースとなると下台が組み込まれていきます。このように並べるだけだと簡単に見えますが、実際は一つ一つのキャビネットのレベル(水平度)と位置関係を厳密にレーザー測量機を使った測りながらの相当に慎重な作業となります。

キャビネットの箱の中を覗くと、このように床下と繋がる給水給湯、排水管や、壁裏からの配線も通しながらの組立て作業となります。

この後、造作キッチンの完成までをザ・ライブラリーブログにてご紹介しております。