Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

リノベーション工事の相見積@西麻布N邸

西麻布N邸

設計が進み図面が揃ってきた西麻布N邸で、2社のリフォーム会社にお願いして、相見積をすることになりました。

実は、当初は費用よりもスピード重視とのことで、ほぼ1社のリフォーム会社で内定をだし、そこに概算見積りをお願いしながら設計を進めてゆく計画でいたのですが、お客さまが考えている費用規模と、その会社が出してくる概算見積りのズレが大きかったので、やはり仕切り直しをしたうえで、相見積で工事会社を決めたいとの話しになりました。
1社には先行して、現地を見て貰っておりましたが、もう一社はこれまでのお付き合いが無いリフォーム会社だったので、設計と営業だけでなく、各下請け業者にも来てもらって、現地をくまなく見て貰いました。

当初は下のカウンターだけ交換する予定でいましたが、最終的には全て作り直すことになったキッチンは設備関係の取り合いが絡んできます。

2台のガス給湯器に、即湯ユニットを組み込んだ給湯は、床下の配管から全て引き直すことになっています。

エアコンについては、ほぼ全交換となる予定で、室外機を交換する必要があるので、設備屋さんと屋上階に上がって給湯器の場所を確認して貰いました。

冷媒管のルートの長さを設備屋さんがチェックしてくれました。

大型の室外機で、エレベーターには入らないことが判ったので、全面道路から屋上へとクレーンで吊る必要があるとのこと、どこからクレーンを使って上げるのかも一緒に確認いたしました。

これまでそれなりの規模のリフォーム&リノベーションは経験したことがあるそうですが、ここまで大型のリノベーションはあまり経験がないとのことで、リフォーム会社の担当者も各下請けの職人さんたちも、真剣に配布した図面を読み込んで、細かく質問をしてくれました。

こちらも、読み切れない設備などがあったので、どう考えれば良いかをこのタイミングで質問させて貰いました。因みに、こちらはガス式の乾燥機カンタ君をしていたユーティリティースペースの設備配管です。

この2週間ほど後に、正規の見積りが出てきましたが、当初内定をだして先行して見積りをお願いしていたリフォーム会社よりも金額的なメリットがあることが判ったので、大規模なリフォームの経験はあまりありませんでしたが、熱意と工事金額とを踏まえて、お客さまと相談の上、こちらの会社P社に工事をお願いすることになりました。設計担当の松永さん、石山さん、営業担当の小川さん、どうぞ宜しくお願いいたします。

セミオープンキッチンの組立て-2

白金台H邸

先週途中まで組み上がっていた白金台H邸の造作セミオープンキッチンの組立てが終盤を迎えています。

キッチン内部のコの字型キッチンがほぼ組み上がり、そこから一段上がった対面のL字型カウンターの組み上がりつつあります。

こちらがキッチン内部のコの字型カウンターです。中央にハーマンのガスレンジとオーブンが入り、その左右にはひょうたん型のハーフェレのコーナー収納が入った贅沢な作りです。

大きな窓に面したシンクカウンターは、景観を遮る吊戸棚は止めて、オープンになっています。2段のカウンターの継ぎ目部分には、60センチ幅のミーレの大型食洗機が入る予定です。窓横には吊戸棚がありますが、ちょうど写真で中央部には、ガスレンジからのダクトが梁型をくぐって外部へと繋がるダクトの出っ張りが見えます。そのダクト型をちょうど隠す形で吊戸を調整して貰っています。

二段になっている対面カウンターは、このようにL字型で柱型へと向かっています。こちら側にも引出と開き扉の収納が付いています。

2段カウンターをイートインコーナーから三重うろ、このようなレイアウトとなっています。正面右手のカウンター下に大きな隙間があるのは、ビルトイン型のワインセラー置き場となっています。ワインセラーを使わない人にとっては、ちょっとした奥さま用の家具コーナーにもなります。

L字カウンタのコーナーと壁との取り合いがまだ完成していませんが…

ちょっと面倒な納まりとなっているので、こちらのピースと、もう一本の長物を組合せて、カウンターが壁の内側まで入り込んでいるようなデザインに仕上げて貰う予定となっています。

こちらが組み上がる直前のキッチンの全容です。

その他、玄関の靴収納が組み上がり、廊下と玄関ホールを区切る建具も吊り込まれました。僕らが得意としている一部透明ガラスを入れた、特注取っ手を組み込んだ引き戸となっています。天井も玄関ホールと廊下で、引き戸の上吊レールで見切ることで、クロスの色を変えています。

玄関ホールすぐ横の来客用トイレの手洗いカウンターも組み上がっています。

工事をお願いしているリフォームキューの営業&設計担当の森井さん、現場担当の高橋さん、そしてキッチン・アルノの水野さんが今後の予定をスケジュールを組みながら、これからの工事の段取りを組んでくれている様子です。

 

 

4種類の床仕上げ材@世田谷区Y邸

世田谷区Y邸

高層マンションリフォームの世田谷区Y邸では、4種類の床仕上げ材を使うことになっております。それらが順次張られてきているので、ブログでご紹介いたします。

まず一種類目はフローリング材です。これまで良く使っているスカンジナビアン・リビングやIOCのものと似たフローリングに、パッと見た目は見えるかもしれませんが、お客さまが強い想い入れを持って探してくださった特別なフローリングなのです。

この時点ですでに張り上がっていた書斎の床を見て頂くと判るかと思いますが、オーク材ではありますが、色味の濃淡はありながらもほぼ無節で、拭き取りのような仕上げになっていますが、木材の質感が十分に感じられるフローリング材です。

実は、ある高級マンションのショールームでこれと同じフローリング材を見たお客さまが一目惚れで、僕らも一緒に色々なツテを辿ってどのメーカーに依頼して作って貰ったのか、或いは輸入したものなのかを調べて、ようやく見つかったという曰くつきの材料なのです。こちらはベッドの周囲に床暖マットを敷いた主寝室のフローリング張りの状況です。以前、大工の矢野さんに作って貰った、床埋め込みのコンセントボックスも埋められる準備がされていますね。

このマンション特有のリビングのコーナーが丸くなった床部分は、フローリング屋さんが何度もカタを使って形を作りながら、苦労して張り上げてくれました。

次の床仕上げは、厳密にいうと床ではなく、玄関のタタキの仕上げです。以前、お客さまと一緒に岐阜エリアの大理石屋巡りをした際に、見つけたエンペラドール・オスクーロを継ぎ目なく一枚で仕上げて貰った三和土です。

本当は玄関タタキ部分の石仕上げは、毎日職人さんたちや、重たい荷物が通る場所なので、ほぼ全ての工事を終えてから仕上げたい部分だったのですが、玄関の靴収納が入ってしまった後では、この大判サイズの大理石を敷き込むことが物理的にできないので、まだ早めのこの時期に入れて貰いました。目立った傷が無いかを青の斉藤さんとうちの岩井さんがチェックしてくれている様子です。

玄関の扉の枠の欠き込みや、幅木も継ぎ目なしの一本で仕上げて貰ったので、今回大理石をお願いしている鈴木大理石の職人さんたちも、大緊張の仕上げだったそうです。

3つ目の仕上げ材は、洗面所の大判の白いタイルです。60センチ各の大判で、この写真では判りづらいですが、少し焼きムラのようなテクスチャーがある輸入タイルです。

これは全てエコフルガードで養生されてしまった状態ですが、長い洗面所の床全面をこのタイルで張って貰っています。

最後の床材がキッチンの大判セラミックのデクトンです。最近は大判のセラミックをキッチンカウンターに使うケースが増えてきていますが、このデクトンもキッチンや洗面などのカウンターに使える高密度に焼き上げたウルトラ・セラミックストーンだそうです。

大判ではありますが、今回採用したものは厚みが8ミリのものなので、職人さん二人でも容易に持ち運べる重量なのです。キッチンは白をベースにした上品なデザインとなっていますが、その白さが目立つように、このようなダークな床材を使うことになりました。

こちらがデクトンを張る床の状況です。練り物のような接着剤は、二液式のエポキシ樹脂系接着剤を練ったものです。中央に見える透明なアクリルの板は、スペーサーでこれを各所に置くことで、床をフラットに仕上げることができるそうです。

これがそのアクリルのスペーサーの収納です。色々な厚みのものが多数用意されており、床の多少の不陸(均一でなく凹凸がある状態)に対しても、レーザーとこのスペーサーを使って、フラットに仕上げることができるとのことでした。

キッチンキャビネットが置かれる位置を除いて、ほぼ張り上がったキッチン床です。オレンジ色に見える道具は…

このような器具です。これは丁寧に張っても下地の不陸を拾って、段差がが生じてしまいやすい、タイル同志の貼り合わせた個所の段差をなくすための優れた副資材です。白い部材で目地の幅を均一に保ちつつ、オレンジ色のクサビ上のピースを差し込んで締めることで、段差をなくすことができるそうです。

これで4種類の床仕上げ材の紹介は終わりですが、その他の個所の工事も進んできています。

リビングの梁型部分ですが、一度柱型に合わせて作って貰いましたが、お客さまからも指摘で空間のボリュームが最大限に感じられるように、コーナー部分でつぶれてしまっていた個所も空間に含めたいので、作り直してくれとのご依頼で、梁型のカーブ分を作り直してもらいました。カーブした箇所も塗装で仕上げるのですが、特殊な曲がるタイプの見切り材を使ってくれていました。

イタリアから空輸で、納期に間に合うように持ってきてもらった、特殊な建具リマジデオの枠の取付けが終わっていました。枠の取り付け図面をイタリアから送って貰い調べていたのですが、重要な寸法が欠き込まれていなかったり、取付け方の一番重要な箇所が抜けていたりで、詳細が読めない段階でお願いしたものでしたが、責任施工でお願いしたので、何とか苦労しながら取り付けてくれたようです。パッと見ると簡単についているように見えますが、現場の斉藤さんが見ていた様子ではほぼ一日掛りの作業になっていたとのことでした。
保護のためにピンク色のテープが張られていますが、ダークグレーの細い枠に、同じ素材のスリムな框のガラス扉が取りつく予定です。

こちらは主寝室のウォークインクローゼットの内部の様子です。ダークな色に塗装した仕切り板と、間接照明を仕込んだ棚板が無事設置されていました。手前の入り口上部には、やはりイタリアから輸入することになったオムニデコール社の特殊ガラスの建具を吊るための金物が設置されています。

キッチン床に張ったデクトンについては、実はトイレにも違う柄のデクトンを壁仕上げとして全面に張ることになっていました。しかし、こちらが柄の指定をきちんとしていなかったことで、横目で張るべきところを縦目ではってしまうというミスをしてしまいました。お客さまからの指摘で張り直すことになったのですが、ちょうどその柄の日本での在庫が切れてしまったとのことで、お引渡しのタイミング以降に張り直すことになってしまいました…。Yさま、こちらのミスでご迷惑をお掛けすることになってしまい、大変申し訳ありませんでした。