Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

各種ディテールの組み立て方@一番町Y邸

千代田区一番町Y邸

千代田区一番町のY邸では、造作家具の取付が始まっています。

DSC_5423_pt

リフォームキューの岩波さんと坂本さん、工事現場担当の富田さんに、うちの事務所スタッフの前田君が造作家具の前で打ち合わせをしている様子です。天井に白い帯状のパネルが取り付けられています。

DSC_5428_pt

その造作家具はこんなデザインとなっています。左側の袖壁を見て頂くと、斜めにエッジが切られた壁となっていることが判るでしょうか?
ちょうどダイニングとリビングエリアを分ける位置にくる袖壁なのですが、エッジをシャープにすることで、空間に緊張感を与えようと考えてのデザインです。甲板は人工大理石で、扉と棚板は塗装仕上げ、棚の背面板はキッチンパネルで仕上げて貰っています。

番町ディテール-2

こちらが、デザインを決定する際に描いた展開スケッチ図です。コンピューターできちんと描いた図面ではありませんが、制作する上で必要となる寸法や細かいディテールの作り方も指示してある図面です。

R5538352_pt

玄関側からLDを見たアングルの写真です。入り口左側には照明スイッチ類を纏めたニッチを作っています。僕が立っている背面にはやはり端部を斜めにデザインした造作家具が入っています。窓横のウォールナットフローリング材を張った壁がシックな雰囲気を演出してくれそうです。

DSC_5421_pt

こちらがそのダイニング背面にくる造作家具です。まだ柱型との間が埋まっていませんが、唐突に現れる柱型を隠すことと、寸法的に広すぎるダイニング空間を引き締める意味を持たせています。黒く見える箇所はオープン棚となっています。

番町ディテール-1

こちらの図面は、ダイニング背面の造作家具の作り方と寸法を指示ています。今回は、リフォームアドバイス業務でのお手伝いで、こちらで描く図面を最小限にして、デザインのエッセンスだけをお施主さまに提供する形でお手伝いしています。

DSC_5419_pt

床に並んでいるのは、事前に作業場で下地塗装をして貰った幅木です。壁色に合わせて白い幅木と灰色の幅木の2種類があり、さらに高さも2種類あるので、このような複雑な構成に見えるのです。

R5538332_pt

こちらは、キッチンから冷蔵庫置き場、そしてパントリーへと繋がる空間の壁下地の様子です。いつも冷蔵庫を置いた際に、その側面を壁で仕上げるか、そのままにして置くかを悩んでいましたが、今回はちょうど天井に冷蔵庫とレンジフードのサイズに合わせた、塗装仕上げのアクセントパネルを張ることにしたので、それに合わせて袖壁を作ることができました。この写真だけでは、何の意味かが分からないと思いますが、出来上がりを楽しみにしていてください。

R5538331_pt

最後がキッチン設置前の床にレイアウトされた給水給湯+排水管+ガス管です。元にキッチンがあった場所から位置が随分ずれたので、横方向に排水を流す必要があるので、キッチンキャビネットの台輪部分を使って流す計画としています。

ここまで紹介してきた各種ディテール(斜めの袖壁、色や高さが変った幅木、天井の白い塗装パネル、斜めにカットされた造作家具等)は、それぞれ単独ではあまり重要な意味を持っていませんが、全体が仕上がった際には空間を引き締める役目を込めて考えたものです。出来上がりがどうなるかを楽しみにしていてください。

 

 

書斎の特注スチールサッシ取付@お台場K邸

お台場K邸

高層マンションリノベ―ションのお台場K邸の現場に、書斎とリビングダイニングを区切る特注のスチールサッシが入りました。

DSC_4934_pt

天井に不燃の突板パネルが張られ、右側壁には大理石模様のタイルが張られた空間に、シャープな鉄製のサッシが入ったことで、空気感がキリッと引き締まったことが判ると思います。

DSC_4935_pt

組み立ての様子を写真に撮りたかったのですが、僕らが現場に到着した午後には、すでに床から天井まで、壁際もピシッと納まっていました。

R0052978_pt

エレベーターのサイズを考慮して、中央で二つに分けて現場に運び込んでから組み立てています。後ほどサンダーを掛けて、継ぎ目を滑らかにしてから塗装で仕上げて貰うことになっています。

DSC_4937_pt

書斎内側からリビングダイニング側を覗いた様子です。これまでは一つに溶け合っていた空間が、境界としてのサッシ枠が入ったことで、明確に区分されたことが判りました。

DSC_4944_pt

そのほかの工事も着々と進んでいます。先回のブログで書いたタイル張りの壁はさらにキッチンのペニンシュラ(半島型)カウンターの下部まで伸びています。建具とキッチン吊り戸の横面にあカラーガラスが張られ、同じ硬質感を持って並んでいました。

R0052984_pt

カラーガラス張りの建具の取っ手部分のディテールです。横張りのタイルの目地に合わせてガラスを3枚に分けて、中央部分に特注取っ手をはめ込んで貰いました。事前に工場で作った建具と、現場張りのタイルの目地を合わせるのは、相当な苦労だったと思いますが、工事をお願いしているSOUの現場監督の中川さんは、さも簡単そうに説明してくれました。

DSC_4940_pt

建具のつり込みもほぼ終わっていました。小口だけが見えている廊下とリビングダイニングを仕切る建具、洗面へのダークグレー色の建具、その奥には洗濯機を隠した白い建具と並んでいます。

DSC_4941_pt

洗面所の内部には特注で作ってもらった洗面カウンター家具が入り、扉を取り付けるのを待っているのみの状態まで仕上がっていました。

DSC_4953_pt

トイレで、天板が据え付けられるのを待っている手洗いカウンターと、中央部に鏡が張られるのを待っているウォールナットのフレームです。小ぶりな手洗いですが、きれいに仕上がってくれそうです。

DSC_4939_pt

玄関ホール正面壁にはスリット入りの特徴的なタイルが張られ、その左側には、正面から使う扉と、横面から使う扉が互い違いになった家具が取り付けられていました。横面をクロス張りにする予定ですが、そのままクロス張りのパネルが書斎の入り口まで伸びているデザインとなってゆきます。

 

ボード張り&照明位置の確定@渋谷S邸

渋谷区タワーマンションS邸

渋谷区のタワーマンション全面リノベーションのS邸の計画ですが、一時中断していた工事が再開されました。

DSC_3722_pt

とにかく大きなLDKの空間です。キッチンや家具が入っていない状態で見ると、小型の体育館のような大きさに感じてしまいます。

DSC_3725_pt

LDKはほぼ全面、TES(東京ガス)の床暖房が敷かれています。写真で、3枚のパネルが少しずれて、下地のベニヤ板に孔が空いている個所がありまますが、これはわざとパネルをずらして、床付コンセントを設置することになっています。事前にソファーをレイアウトする場所を設定して、ソファーの下に床付コンセントがくるように調整しておいたものです。

DSC_3731_pt

玄関ホールからの大きな開口や、キッチンを設置するための袖壁も徐々に組み上がってきています。

DSC_3728_pt

広い天井には、2本の照明器具を収めるボックスが埋められており、左側には下がり天井に間接照明を埋め込むためのアゴも作られています。

DSC_3733_pt

玄関ホールは、正面の収納は既存を再利用する靴収納ボックスで、向かって左側には一列に靴収納とコート用のクローゼット収納が並ぶことになっています。

DSC_3741_pt

玄関扉入って直上は、上がり天井になっており、やはり間接照明を仕込むことになっています。玄関の天井部分には、ボード裏にダクト類やロスナイ(全熱交換機)などが詰まっているので、ダウンライトの位置調整なども大変なようです。

DSC_3734_pt

個室では、造り付けのクローゼット収納が組み立てられていました。
一通り、こちらで現場をチェックした頃に、お施主さまご夫妻が現場に寄ってくださいました。

DSC_3762_pt

当日は、リビングの天井埋め込みのダウンライトの位置を決定する打合せをさせて頂きました。天井に青いテープが張られている個所が、当初図面で設計していたダウンライト位置です。

DSC_3765_pt

玄関ホールでは、天井裏の設備類との関係で、当初の計画通りにダウンライトが設置できなさそうだとのことで、設計施工をお願いしているN社営業のIさんが天井裏を確認してくれている様子です。

DSC_3780_pt

しばらく現場でお打ち合わせをしているうちに外が暗くなってきましたが、却って暗い方が照明の打ち合せには良いだろうと、皆で想像力を働かせながら家具のレイアウトと照明、使い勝手などの話をさせて頂きました。

DSC_3931_pt

こちらは、その数日後の現場の様子です。きれいに天井に埋め込まれていた照明ボックスですが、ボックス裏の熱気を抜くための穴加工がされていなかったとのことで、外されていました。

DSC_3921_pt

こちらが外されていた照明ボックスです。通常は裏板に有孔ボードを使っていたのですが、ボックスの裏面がすぐコンクリートスラブになってしまっているので、横面に熱気抜きの穴をあけなければならいため、そのデザインを現場で検討いたしました。

DSC_3924_pt

床は床暖房パネルの上にフローリングも張られ養生シートが被されていました。再度、照明ボックスを埋め込んで天井を閉じれば、空間の骨格はほぼ仕上がりになります。

DSC_3928_pt

細かい個所では、窓際に設ける予定の飾り棚の設置用の下地が作られていました。

DSC_3939_pt

個室で組らてられていたクローゼット収納も、壁にピタリと埋め込まれていました。個室からリビング前を抜けて、ご主人の書斎スペースを通って主寝室まで繋がる長い廊下も迫力がありました。

R0052531_pt

この日が最終期限だった、主寝室のアクセントクロスもお施主さま立ち会いのもと、無事決定することができました。