Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

造作ウォークイン・クローゼットの組立てとディテール

六本木N邸

家具屋のタイム&スタイルの造作部門にお願いしているウォークイン・クローゼット家具の搬入組み立てが六本木N邸の現場で始まりました。以前ブログ上で設計プロセスを紹介していた超大型ウォークインクローゼットです。

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現場には箱類を仮置きしておく場所がないので、リフォーム工事はいったんストップしてもらい、玄関から廊下そしてライブラリースペースまでを使って箱を仮置きさせて貰いました。天井いっぱいまでの箱を現地で立ち上げるのは難しいので、タイム&スタイル側の工夫で上下2段に分けて組み立てる作戦です。

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厳密な寸法に基づいて設置して貰う必要があるので、まず全体に問題がないかを確認するために、事前にリフォームキューが出しておいてくれた墨出し線に沿って仮組してもらいました。

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まずは一番手前側にくる壁面に沿ったクローゼット箱です。引き出し付きの箱と、引き出しなしで上下2段にハンガーパイプを入れる箱の2種類を間違えなくおいて行ってもらっています。ウォールナットの仕上げ材もとてもきれいです。

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隣室にくる洗面所背面の造作家具と面を揃えるデザインとなっているので、クローゼット内だけではなく、他の部屋や奥さまとご主人さま用のクローゼットの中間に入る建具などとの絡みもあるので、設置も非常に難しいのでこのように仮組して貰っています。

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奥に位置する奥さま側のクローゼットには、幅1050ミリのクローゼットが10箱分も並び、既存の窓との絡みもあるので、事前に何度も打ち合わせはしていましたが、チェックする設計側も油断ができません。

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こちらは、上下2段を組み合わせる接合部のディテールです。特殊な金物類が仕込まれており、カチッと嵌めこむことで組み立てが容易になっているそうです。

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こちらの金物は上段の箱の上部についたもので、仮組した際に、下部のねじを回して天井に固定するための金物です。さすがにこのような家具に手慣れたタイム&スタイル社の工夫です。

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箱が組み上がるに従って、作業をするスペースがなくなってゆくので、組んでは移動しての繰り返しで大変な作業でしたが、仮組はほぼ一日で終わりました。

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今回はクローゼットの箱だけでなく、宝飾品・小物や下着類も入れられる引き出しも作ってもらっています。

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扉に取り付けて貰った特注金物は、他の建具や造作家具で作ったものと似せたデザインで作ってもらっています。従来は建具の小口面にビスが来る作りでしたが、クローゼットでは扉背面からビスで固定するスタイルで作ってもらいました。大きな建具なので、背面には反り留め金物も入れて貰っています。

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丸5日掛って組み上がったクローゼットに、建築工事側で天板の大理石と鏡を張り込んでもらった様子です。鏡の上部には照明も付きました。

引き出しを開けた様子ですが、上段の3段目までは、宝飾品を入れるので鍵付きで内部をスエード調人造皮革のエクセーヌで仕上げて貰っています。

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ご主人さま側のクローゼットは、引き出しは奥さまの半分の寸法ですが天板をガラスで仕上げ、趣味の腕時計などをカッコよく収納できるようになっています。右側に見えるハンドバッグ用の棚の間に二人のクローゼットを仕切ることができる引き戸が組み込まれることになっています。

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一通りWIC(Walk in Closetの略)が組み上がったので、タイム&スタイルの担当者の木村さん、リフォームキューの岩波さん坂本さんと現場監督の富田さんに立ち会ってもらい、先に検査をさせて貰いました。

以下、完成後のウォークイン・クローゼットの写真です。

クローゼットの引き戸の一部を姿見を兼ねた鏡張りにしていることで、実際よりも広く感じるようになりました。

男性用と女性用に分けた大型クローゼット作ったのは初めての経験でしたが、使い勝手が少し違っていることを素材で表現したり、とても良い経験になりました。
以下は、その他の工事内容です。

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そうこうしている間にも他の部屋での工事も進んでいます。こちらは玄関正面の壁に僕らが良く使っている大理石「グリジオビリエミ」を縦目地で張ってもらっている様子です。現場監督の富田さんは、こういったところでも大活躍です。

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はり上がった大理石の天井付近のディテールです。ピクチャーレールの目地とカラーガラス張りの建具との目地が、折り上げ天井とバッチリあっていました!

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テレビ横のAV機器類を収納するための箱も入っています。熱が発生するアンプやクレストロンを内蔵するので、箱の下面と上面は有孔ベニヤ板で作って空気を流すようにしています。箱の奥に見えるのは電気配線とスピーカー等の配線のためのCD管です。

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塗装仕上げの壁+天井のパテ処理もどんどん進んでいました。ここからは造作家具の組み立ての間に塗装が進んで、あとは建具や照明などの機器類の取り付けで、一気に工事完了に向けての最終段階へ突入です!

カーテン・ブラインド&ベッドリネンの選定@六本木N邸

六本木N邸

インテリアを正規に勉強をしたことがないので、僕らが一番苦手としているカーテン・ブラインド等のウィンドウトリートメント、そして新規で入れるベッドのカバーリング等のベッドリネンの選定を行いました。

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家具選定でもお手伝いして貰った虎ノ門のメイズのショールームで、担当の柚澤さんに事前にイメージからザッと選んでおいてもらった生地類をまずは見て頂きました。

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お施主さまご夫妻は、直前に現場を見て貰って、窓際の様子を見て貰っています。

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まずは初回の打ち合わせでは、ある程度のイメージ摺合せを行いました。それぞれの素材の色味や素材感を見て頂き、どの部屋にどのような素材と色を合わせるかを想像して頂きました。

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主寝室の床にはラグも敷きたいとのことで、そちらも一緒に選んで頂きました。

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こちらが2回目の打ち合わせの様子です。より具体的にファブリック類を集めて、選んで頂く算段です。コンピュータのモニターで見ているのは、イタリア製高級ベッドメーカー・フルーの本国サイトです。事前にベッドリネン類を選んでおくと、それをコンピューター上で組み合わせてベッドに敷いた様子をCGで作ってくれるサービスがあるのです。

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日本のベッドリネンは、白かベージュ、あっても灰色やブルー程度で、華やかさやシックなデザインのリネン類がないので、今回はベッドマット自体はシモンズですが、フルーの色彩・素材感豊かなサンプルを見ながら選んでゆきました。

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ベッドリネンがある程度決まったところで、床材やベッドのヘッドボードの素材を並べて、窓際のカーテン類を選んでゆきます。リネン類は、まず肌に直接触る部分を選んで、そこから徐々に体から遠ざかってゆくと、決めやすいようです。

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こちらが本日の打ち合わせの成果です。主寝室の仕上げ材ですが、結構ダーク系で渋い色合いになりました。高級ホテルのような仕上がり感になさりたいとのご要望を上手く叶えることができそうです。

オーダーキッチンの組み立て@六本木N邸

六本木N邸

で六本木N邸の現場では、先日の黒いフローリング張りの終わりを待って、矢継ぎ早にオーダーキッチンの組み立てが始まりました。

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今回のキッチンはショールームを持たないスタイルのオーダーキッチン屋さんのSSKです。建築家が設計・デザインしたキッチンを忠実に作るタイプのオーダーキッチン屋さんで、ショールームがなく、従ってショールームに常駐するスタッフの人件費も掛らないので、安価にハイグレードなキッチン作りができることが特徴です(ただし、ショールームがないので、実物やサンプルの確認が難しいことや、設計者なしで施主が直にお願いしても設計は難しいこともあります)。

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黒いクォーツストーンのカウンターに、ウォールナットと濃紺の塗装仕上げの扉を組み合わせたシックでスタイリッシュなキッチンです。

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カウンタートップのクォーツストーンを現場で職人さんがカットしている様子です。普通は工場で空けて持ってくるものですが、こちらでは2枚剥ぎのカウンターで、現場で調整しながら設置したいとのことで、ガスレンジのクックトップが嵌る穴を空けていました。

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シンクはステンレスを手番金で加工してもらった特注のシンクです。カウンターに穴が3つ空いていますが、冷水と温水とディスポーザーの通気管の3つ用です。シンクが変形になった個所は、スポンジと洗剤置き場です。

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シンク下には、事前に建築工事側で用意しておいてくれた給水(水色管)と温水(オレンジ管)、それに排水管やディスポーザー用の電源も来ています。

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シンク以外のカウンター下は引き出しがベースとなった収納となっています。こちらは仕上げの面材が付く前の引き出しのディテールです。

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背面収納は、天井にエアコンの点検口がある関係で、吊り戸は天井まで届かないスタイルとなっています。右手前のパネルは、ウォーターサーバーを隠す為の板です、天井の点検口まで伸びていますが、ビスを2本外せばパネル毎外れる仕掛けとなっています。

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キッチン以外の工事も着々と進んでいます。こちらは廊下突き当りと、その横のライブラリースペースの天井の利上げ天井下地です。

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玄関ホール上にも折り上げ天井がありますが、リビングの折り上げも含めた4つの折り上げは、それぞれの天井裏の梁やスプリンクラー配管などの影響で全てがサイズ、折り上げ寸法が違っています。

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石張りの壁の厚み分目地をふかしたり、カラーガラス張りの扉の枠があったりで、本当に複雑な作りとなっています。

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こちらはダイニングテーブルの直上に来る、照明とエアコン吹き出し口を兼ねた混合ボックスです。

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照明が入る部分は裏板を放熱用に穴を空けており、吹き出し口部分はグリルが取り付けられるような作りになっています。このボックスを裏返しにして天井に取り付けて、枠を塗り込むことで吹き出し口が目立たない天井とすることができるのです。

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キッチンとダイニングの間仕切壁と引き込み扉を入れるポケット収納もできていました。ここにも細いピクチャーレールや壁紙を張り込めるためのパネルなどが複雑に絡み合っています。