Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

香港で特注の建具+ケーシング発注

広尾N邸

広尾Nプロジェクトのお施主さまは、現在外国に在住中です。壁や建具等、全ての建材(建築そのもの?)が、日本のものはプラスチックっぽく、軽いことを嘆いていらっしゃいました。そこで、重厚で頑丈な作りの当地の建具を、向こうで発注して個人輸入で日本に入れることになりました。

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ちょうど友達の結婚式で当地に行く予定だったスタッフの竹田さんに、Nさまとタイミングを合せて建材ストリートにある建具屋さんに行って貰いました。

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無垢材(パイン材・アッシュ材・ウォールナット材など)を框(かまち)に使った框扉や、

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塗装された建具、突板でデザインされたもの等、色々な種類の扉が所狭しと並んでいたそうです。

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扉内部の作りは、このようになっているそうです。日本では、軽さを追求することで、紙でできたペーパーハニカムを芯材として建具を作っているので、あちらの作りの半分以下の重量となっています。因みに価格は、同じグレードで比較し、郵送費を別にすれば、3分の1程度でしょうか。

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お施主さまのNさまは、以前より建具を含めたインテリアが大好きで、現地でのお友達のお宅の簡単なリフォームもお手伝いしたことがあり、こちらの建具屋のオーナー、ベンさんとも以前からの知り合いだったそうです。

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竹田さんが日本で用意しておいた建具とケーシング(枠)の詳細図を元に、開き扉、両開き扉、引き込み扉など合計10本を特注のデザインとサイズでオーダーして頂きました。オーダーしてから作り上がるまで2週間ほどで、それからすぐに飛行機便で発送すれば、3週間後には日本に届いてしまうそうです。

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併せて、建材ストリートのすぐ近くにある金物屋さんに寄って、建具のドアノブや造作家具の取手なども選んで頂きました。

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日本であれば、メーカーのカタログから選ぶのが一般的ですが、世界の工場である中国をバックに持つこちらの国では、特注オーダーをしても何でも安く手に入るので、このようなお店で形を選んでオーダーしても、日本と比較すれば超格安で製品が手に入るのだそうです。

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バッタもののような製品から、きちんとしたモノまで、ありとあらゆる金物がこのお店には並んでいたそうです…。

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やはりこのお店でも馴染のNさまは、的確にご自分のイメージにあった金物類をピックアップしていってくれたそうです。竹田さんは、横に秘書のように立って、必要な材料とその個数だけを確認していればよかったとのことでした。

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こちらが竹田さんが泊めて貰ったNさまの現地のご自宅です。高い天井高に、塗装仕上げの壁と天井、サイザル麻の床というシンプルな空間に、お好きな家具や調度品、アートや照明を本当に上手にレイアウトしてあったそうです。

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Nさまも本当にインテリアが大好きで、家具レイアウトを変えて、しっくりくるまで何度も繰り返して、ようやくこの空間が出来上がってきたそうです。

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写真では幾度も見せて貰った住宅でしたが、とにかくどこを見ても、本当に素敵な空間だったと竹田さんが心から感心していました。僕、各務も近いうちにタイミングを見計らって訪問したいと願っております。

 

 

 

 

天井高を上げて空間のボリュームアップ

南麻布S邸

南麻布のマンションリノベーションS邸の解体工事がスタートしました。元々大きなマンションで、一つ一つの空間も大きかったのですが…

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間仕切り壁を撤去してみると、キッチン部分まで含めてLDKで110平米の大きな空間が姿を現してきました。後日廃棄予定ですが、工事中も使用するため残っている冷蔵庫がシュールです。

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このリノベーションでは、部屋の間仕切りを撤去して平面的に広くするだけでなく、天井裏の設備配管類を整理して、天井の高さも上げる計画となっています。因みに、床は既存がカーペットだったので、遮音マット上にタイルでボーダー状に張った中にフローリングで仕上げるので、リノベーション後は4センチ上がることになっていますが、天井は平均で14センチ上がるので、結果的に部屋全体の天井が10センチアップすることになります。

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110平米で0.1m分空間がボリュームアップするので、11立米の空間が新たに生まれる計算になります。通常の天井高を2.5mとすると、約4平米(1.2坪)分の面積を加えたことと等しい計算になります。天井を上げるための費用が約60万円程度の見積りとなっておりましたが、坪当りの単価が300万円として計算しても、360万円分のボリュームを得たことになります。

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天井の高さを上げるのは無駄なことのようにも思えますが、以上のように計算すると、十分元が取れるものなのです。ただし、設備のルート変更や天井埋め込みのダウンライトの個所に制限が出たりします。写真に写っているのは窓際のカーテンボックスと梁と天井下地のLGSの関係ですが、こういった細かい部分をどのように仕上げるかも空間のきれいさに大きく影響してきます。
実際には計算上のボリューム以上に空間の伸びやかさが全然変わってきますので、数値では現すことができない価値がありますが…。

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こちらは天井高さとは関係ありませんが、既存の分電盤周りを解体した状況です。縦型は使い易い反面、ちょうど収納などで使い易い高さの空間を費やしてしまうので、今回はスペースの活用度合を高めるために、靴収納の棚の上に横型に変えて置くこととしております。

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キッチン周りの設備の配管状況も確認することができました。図面通りの配管位置でしたので、当初設計していた通りのキッチンを設置することができます。

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玄関はタタキの仕上げを、既存の花崗岩から大理石へと変更するので、既存の石を剥がしています。もとはタタキからリビングの床までフラットでしたが、LDKが40ミリ上がるので、上り框を設けることになっています。

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最後まで決まっていなかった来客用トイレの仕上げを確認している様子です。

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天井の折り上げ部分にモールディングを付けることになったのでその形状と、壁に張る大理石の最終確認をさせて頂きました。

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解体現場での記念撮影です。左からリフォームキューの営業・設計担当の森井さん、うちの竹田さん、Sさまご夫妻と各務です。天井も十分高いので、慎重186センチの僕がまだ小さく見えますね…。

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最後のオマケの写真です。音楽好きなSさまご夫妻はBowers&Wilkinsの高級スピーカーをお使いになっています。今回はテレビの音もアンプを通してスピーカーで聞けるように、配線埋め込みで仕上げる予定なので、現在お使いの接続ケーブルを支給して頂き、先行配管しておくことになったので、高級ケーブルを持って来て頂いたものでした。

スケルトンからの床モルタル補修・断熱補強・墨出し

広尾N邸

スケルトン状態まで解体されていた広尾Nプロジェクトですが、床スラブのクリープかシンダーコンクリートの精度の問題か、既存床レベル(平行性)の精度が非常に悪かったので、左官工事でレベル調整をしてもらいました。

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最も高いところと低いところで4センチほどのレベル差があったので、一番高いところを基準にモルタルで補修していきました。

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セルフレベリング材という便利な製品の採用も検討しましたが、既存の配管立ち上がり箇所や、PSを囲むコンクリートブロックなどに隙間があって、レベラーが流出してしまう危険性があったので、手塗の左官で作業してもらいました。ちなみに、濡れ色の箇所は、見に行った当日に塗られた箇所で、室内に入ることができませんでした。

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設備配管を通すために作ったガター(溝)部分は、このようにきれいに補修されていました(ちなみに、こちらは先ほどの写真の4日後に現地に行った際のものです)。

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屋上階の住戸で、昨年の夏の暑さが尋常でなかったとのことで、外壁部分と天井には全体に発泡ウレタンの断熱材を吹き付けてもらいました。

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床左官、壁断熱が終わった後は、墨出しを工務店にお願いしました。大工さん3人でレーザーを使って正確に墨を出してゆきました。

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プライベートな寝室部分の壁の位置が描かれていますが、判るでしょうか?

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間近によってみると、このようにスタッドの位置が記されています。左官でレベルがきちんと出ているので、墨だし作業もやりやすいとのことでした。

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ユニットバスとユニットシャワーをお願いすることになっている東京バススタイルの和久田さんに現地に来てもらい、設備の流れや床段差などについてお施主さまに説明してもらいました。当初考えていたよりもユニットバスの床段差は小さくなりそうです。
リフォーム工事の下準備が整ったので、いよいよこれから本格的なリフォーム工事が始まります!