Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

設計検査&竣工お引渡し

高級高齢者向けサービスアパートメントS邸

長らく工事が続いていた高級サービス付き高齢者向けアパートメント(通称:サ高住)のリフォームプロジェクトS邸の設計検査を行いました。

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施工をお願いした高島屋スペースクリエイツ、下請けの建築工事の、同じく下請けの造作家具工事の現代製作所に立ち会ってもらっての検査です。

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設計側からは、担当の前田君に加え、スタッフの竹田さんや岸本さんにも手伝ってもらいました。造作キッチンの調味料収納の棚引出がブレがちだったので動作を確認してもらっている様子です。

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開くと造作収納とフラットに収まる難しい建具の動作確認も怠りません。以前高島屋SCさんの施工側の検査に立ち会った際に、特に動作部分の慎重なチェックの様子に感銘を受けてから、同じように可動部分は一通り動かしてチェックするようにしています。

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全てをチェックした後で、施工側に立ち会ってもらって、チェック項目を確認してゆきます。お引渡しまで、あまり時間がないので、どのくらいのスケジュールで是正工事ができるかを調整してもらいます。

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こちらはオマケです。こちらの建物は工事時の塗装や接着剤などの臭気に対してとても厳しいルールがありましたので、浴槽塗装時に現場に入れて貰った脱臭装置です。こちらの装置は、印刷工場・病院等産業用脱臭装置だそうで、千葉の会社が持っていたものを、現場監督の山崎さんがわざわざ千葉まで出かけて、デモンストレーション行って貰い、その性能を確認したうえで、特別にリースしてもらったものだそうです。
なお、工事する際には、職人さんには装置と一緒に浴室内に閉じこもってもらい、外から厳重な目張りをしたうえで作業してもらいいました。

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その様な大変な作業を重ねて完成したのが、こちらの浴室リフォームです。真っ新に生まれ変わった浴槽が輝いて見えました。

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検査を終えたところで、ここまでの総括をしている様子です。現場関係者ほぼ全員が集まる最後の機会だったので、設計側からの感謝の意を伝えさせて頂きました。

その後10日間で是正&補修、未成工事の施工を終えてお施主さまに立ち会って頂いての竣工お引渡しの様子です。

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お施主さまご夫妻に加え、お施主さまのFP(ファイナンシャル・プランナー)の方も立ち会ってのお引渡しとなりました。早速に、難工事だった浴槽の再塗装を確認してもらいました。

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一通りの機器の取扱いやメンテナンス方法をお伝えした後、竣工お引渡し書類にサインして頂いている様子です。

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背面壁に壁掛けテレビはついていますが、まだ家具も入っていない状態なので、自分たちが暮らしてゆくイメージが湧かないとのことでしたが、すっきりとご自分たちの好きなイメージに出来上がった空間については大満足だとの言葉を頂くことができました。
来週からは、家具や家電等の搬入が始まるので、まだ油断することができませんが、とにかくここまで無事進んで、ホッとしております。

 

インテリアの仕上げ素材選びカルタ大会

南麻布S邸

200平米超の大型マンションリノベーションプロジェクトの南麻布S邸の仕上げ材を選ぶプロセスです。

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これまでにタイルのショールーム巡りをした集めてきた大理石調タイル、タイルをボーダー(縁取り)にしてその中央に張るフローリング、LDリビング壁に張る大理石、建具の突板や壁・天井のクロス、さらにはキッチンの天板や扉の突板の色を決めるために、すべての候補を床に並べています。

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まるで大部屋でのカルタ取りのような状態です。お施主さまご夫妻と、プロジェクトのプロデュース的立場のリフォームキューの石原さんと担当の森井さん、そして僕らカガミ・デザインリフォームの担当スタッフの竹田さんと私、各務の6人で、あっちからこれをこっちからあれを交換しながら色味のベストマッチを探しました。

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当然ながら、色味のマッチングだけでなく、コスト感覚も必要で、さらには全体の仕上がりがどうなるかもより重要ですので、参考になりそうなイメージ写真やインテリア本も持参で、それらを見比べながらのカルタ大会です。

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決め手となるものがない、無限に続けられるカルタ取りなので、時には気分転換で、立ち上がって実際の仕上げ材を壁や建具の場所に当てて色味や光沢を確認したり、玄関から部屋に入ったくるイメージを語りながら、どのように素材が見えてくるかの想像力を働かしてみたりしながら打ち合わせを続けました。

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3時間ほどの打ち合わせである程度絞ることができましたが、結局その日だけでは決める切ることができず、また、その翌週に似たような打ち合わせをすることになりました。ただし、今回はベースとなる素材を仮決めしておいて、そこからそれぞれの仕上げを変えた場合、どのように見積りが変わるかまでを森井さんに計算しておいて貰っての打ち合わせです。

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素材として持ってきたものは先回より増えていますが、なるべく価格帯が変わらないもので、色味と仕上げ感を見比べるられるように工夫してみました。

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今回もやはり3時間近くに及んだ仕上げ材の大かるた大会でしたが、何とか全体像を纏めることができそうです。

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最後に残ったのは、来客用トイレの仕上げでした。柄入りの華やかなクロスを使うのか、大理石タイルを使ってシックにするのか、はたまた装飾的なブラケット照明(壁付けランプ)を使うかで、華々しく議論を交わしました。

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こちらが最終的に決まった仕上げ材のサンプルです。大理石調タイルは白系と茶色系の2種類、フローリングはウォールナットを着色したダーク色、壁の大理石はケベックグリジオ、メインの建具はゼブラウッド、クロスもホワイト系と灰色系を混ぜて使うことになりました。

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これで仕上げ材の最終決定ができたので、その金額での工事契約を結ぶこととなり、お施主さまに契約書の記名捺印をしていただきました。これで、プロジェクトの正式着工が決まり、来週からの工事着工への準備を進めることになります(実際には先週の打ち合わせ時に、着工準備を始めてほしいとのご依頼があったので、管理組合へのリフォーム申請や、近隣挨拶は進めておりました)。
貴重なお休みの時間を打ち合わせに費やしてくださったSさま、そしてご妊娠中でただでさえ大変な状態なのに、床に直接座ってのカルタ大会にお付き合いくださった奥様、2日間に渡る長時間で濃密なお打合せどうもありがとうございました!

 

 

水回り部分の床シンダーコンクリートの斫り(ハツリ)

広尾N邸

スケルトン状態になるまで解体された広尾Nプロジェクトの様子です。

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解体のガラ(ゴミ)をきれいに清掃して貰っているので、広々として風が吹き抜ける、気持ち良い空間になっています。

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詳しく見てゆくと、設備配管や電気配線で色々と問題点が見えてきます。今回のリフォームは諸事情があって、解体までの工事と、そこから先のリフォーム工事を別工事として、別契約としているので、この時点で解体状況を確認しながらデザインを変更しながら、図面を変更する時間が取れます。

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こちらはかつての寝室部分から見返したようです。床のコンクリートに段差があるのが判るでしょうか?

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間近で見るとこのような様子になっています。実は、平らになっている部分はシンダコンクリート(別名:軽量コンクリート)で、嵩上げの為に使われている材料です。シンダーとは炭殻(cinder)の事で(シンデレラのシンダと同じです…)、それを骨材としたコンクリートです。バブル時期以前のマンションでは、多用されており、その中に配管類が埋設されており、設備配管の交換に際して大きな障害となるケースが多く見られるものです。

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PS(パイプスペース)内のコンクリートのスラブレベルと、室内の仕上げレベルの違いから、シンダコンクリートが打たれていることがある程度判っていたので、解体後に埋設の設備配管をやり直す部分、そして新たに水回りの浴室やシャワーブース、トイレを設置する個所まで配管を通せるように、ハツリ工事を行ってもらいました。

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赤い斜線で囲まれた個所が、ハツリの指示を出した個所です。簡単な指示図面ですが、現場できちんと範囲を示してハツリ深さも指定して工事をお願いいたしました。

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主寝室の隣に新たに浴室とトイレを移設することになったので、そこまで新しい配管ルートを作るために、このように渓谷状の谷間を作って貰いました。手間はオアーだユニットバスを設置するので、脚の高さを考慮して、斫れるだけハツッてもらいました。
タイトルでも説明でも、シンダーコンクリートと書きましたが、断面を見ると判るのですが、上部の2センチくらいがシンダーコンクリートでしたが、その下の10センチ強は普通のコンクリートが打設されていました。骨材の小石が入っているのが見えます。ハツる作業で、シンダーコンは柔らかいのですが、普通のコンクリートは骨材の分硬いので、大変な作業で、近隣住戸からのクレームに対応して時間調整をしながら工事となりました。

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ところがかつてお風呂が有った方向へのルートを斫って貰ったところ、こちらはシンダコンクリートで柔らかかったそうです。マンション建設当時の色々な事情があったのでしょうが、ここらへんの所は何故そうなったのかが判らない個所が多く、ヴィンテージマンションリフォームは推理の連続です。

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因みに、嵩上げコンクリートの深さについては、解体時にこのような様子が見えたことから推察することができました。コンクリートブロックがシンダーコンの間に埋まっており、その孔から底のスラブまでの高さを図ることができたので、約15センチという寸法を導きだすことができた訳です。

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こちらはシンダーコンクリートとは関係ありませんでしたが、本来は防火区画としてきちんとコンクリートブロックで囲われていなければならないPSの一部は破壊されていることが見つかりました。赤茶の金物がファイアーダンパーといって、キッチンの排気から火事の火の延焼防止、または熱気が噴出さないように予防するために設けられたものですが、その先のブロックが壊れており、用無しになっていました。こちらもきちんとブロックを組み直して防火区画を作り直す必要があります。

シンダーコンクリートの解体方法については、費用と日数が掛りますが、低騒音かつ低振動で解体することができるパッカー工法を採用した解体事例もあります。