Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

枠廻り・幅木収まり・壁端部ディテール@虎ノ門ヒルズ

虎ノ門ヒルズM邸

工事が始まった虎ノ門ヒルズレジデンスM邸の解体から造作工事の流れを紹介いたします。

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こちらが解体時の様子です。今回のような超高級マンションでのリフォーム工事の場合は、解体屋さんを入れず、造作大工さんに解体をお願いするケースがほとんどです。解体屋さんは壊すことが本業なので、スピードは速いのですが、どうしても雑になりがちで、下地を痛めてしまったり、騒音で近隣に迷惑を掛けてしまうケースが多いので、費用も高く、時間も掛かりますが大工さんにお願いすることになりがちです。

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大工造作の段階になって、お馴染みのリフォームキューの面々(石原さん、岩波さん、大工の町永さん)が揃っています。

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既存のウォールナット壁の手前に箱が組まれていますが、ここにテレビを埋め込む壁/造作家具を作る予定です。左側に空いている開口から、壁の裏側にある靴箱へ線を通して、靴箱の中にAV機器類を入れることを考えています。薄型テレビの厚みだけが、壁とフラットになるようにデザインしています。

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このテレビを埋め込む壁はそれなりの厚みが出てしまうので、壁の端部はシャープに見せるために、斜めにカットして、鏡面のステンレス板を張る予定となっています。斜めにカットされた壁端部の様子です。

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テレビの裏側、つまり玄関ホール側にはカラーガラスを張ることになっています。鏡面ステンレス板とカラーガラスの取り合いを検証している最中です。

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玄関ホールには、新しく引き戸を釣り込むので、その下地を作ってもらっています。一本引き扉なので、その厚みをうまく処理するために、壁の一部をフカして貰っています。

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キッチン本体はそのまま再利用しますが、対面カウンターに目隠しがないので、小壁を立ち上げることになっています。高さを検討したうえで、木製下地とボードで小壁を立てて貰った様子です。

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リビングの窓際には、壁のボードを一枚剥がして、鏡をフラットになるように張ってもらう計画です。写真でベニヤ下地が見えている個所が鏡張りの範囲です。

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鏡の上部には、僕らが愛用している超細型ピクチャーレールを仕込んでもらいました。

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鏡張りの下部は既存の幅木を活かして、ボード面にはプラスチックコーナー材を入れて、クロスを巻き込めるようにしてもらっています。工事担当の石原さんと大工の町永さんの丁寧な仕事ぶりは安心してみていることができます。

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こちらは既存幅木の断面が見えていた個所です。MDFに塗装した小型の幅木にプラスチックの見切り材を立てて、石膏ボードを差し込んだ詳細となっていました。

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以前は建具が吊られていたLDKからプライベート部分への廊下は、デザイン変更で建具を撤去することになったので、枠材も取り外して、ボードや天井との見切り材を入れ直してもらっています。

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プライベート部分の突き当りは、メイズの柚澤さんのアイデアで、フレームを廻したピクチャー壁(?)を設けるので、その下地を作ってもらっています。どのように仕上がるか今から楽しみです。天井にダウンライトを入れる面がなかったので、仕方なく点検口にウォールウォッシャー・タイプの照明を埋め込みました。

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リビングの折り上げ天井には、アゴの部分にモールディングを付けて、フラット面にはレーリングを付ける計画でしたが、脚立を立ててモールディングやレーリング材を置いてみた結果、モールディングはやり過ぎ感が強いので中止し、四角くレーリング材だけを廻すこととしました。

マンションの床遮音下地制作@南麻布S邸

南麻布S邸

南麻布S邸の工事現場では、遮音床下地の制作中でした。

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マンション管理組合の床材の遮音規定に則った下地を作るため、わんぱく応援マット(アトピッコハウス)を敷いて、その上から12ミリのベニヤ合板を接着剤で張ってもらっています。

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遮音マットとベニヤ板は強度を確保するために、互い違いになるように敷いてもらいます。写真左側に見えているのが電気式床暖房のマットです。

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電気式床暖房マットの上に直接フローリングやタイルを張ることはできないので、さらにその上に12ミリのベニヤ下地板を張ってもらっています。床暖マットのオレンジ色の部分が釘打ち可能範囲なので、上張りした下地板にもそのエリアを鉛筆で書き加えていってくれています。

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LDだけで100平米近くの面積があります。部屋中央にレイアウトするソファ横にはスタンドライトを置く予定なので、床付のコンセントを入れるために、床暖房パネルを離して、その隙間にコンセントを入れて貰う準備をしてもらいました。

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LDから玄関を見返した写真です。

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玄関側から見るとこのような形になっています。下履きがおいてある個所が上り框で、その左がタタキ部分になります。四角く凹んだ穴は玄関ホールからリビングへの間仕切り扉のフロアヒンジを入れるためのものです。

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扉の両脇には固定のガラスを入れるので、そのためのスリットが壁に設けられています。左奥に見える緑色のものは天井吊りの引き戸のレールです。

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翌日からキッチンの設置が始まるので、キッチン周りの床・壁下地は先に完成していました。右側の凹んだ箇所には小さなカウンターと吊戸が入り電話・ファックス機を置く予定となっています。

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壁をキッチン側に回り込むと、予備の冷凍庫置き場とその奥にユーティリティーとパントリー収納が見えています。動線としては、そのまま玄関まで通じています。

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照明の調光スイッチ類や床暖房コントローラー、マンションのインターフォンが壁から出っ張らないように、壁埋め込みのパネルを作って、そこに埋め込んでもらいました。

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パントリー収納はちょうどリビングのテレビの裏に当たるので、床付近にはテレビとステレオ機器用の作り付け収納が作られる予定です。

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リビングからプライベートエリアの寝室ゾーンへ繋がる廊下の壁は、端部を丸めるデザインにしていましたが、このように半割の丸型集成材を埋め込んでくれていました。設計しながら、どのように作ってもらおうかと悩んでおりましたが、良いアイデアをありがとうございます!

 

 

ペンダント照明の吊り込み@番町H邸

番町H邸

約3か月前に竣工お引渡しをさせて頂いた、千代田区番町のH邸にペンダント照明の吊り込み工事で伺わせて頂きました。

実は工事の立会いというのは名目で、実際はお引き渡し後にお客さまご家族がどのように使ってくださっているかを見学させて頂くのが真の目的でした。

ダイニングから繋がる造作カウンター家具の一角に設けたミニベンチです。一番下のお子さまがチョコンと座って、キッチンで料理の下拵えの準備をしているHさまの奥さまとお話ししながら、絵本で読んでいらっしゃいました。

すぐ横にはお子さまたち用の絵本コーナーが設けられ、ベンチ板の下はお掃除ロボのルンバの基地になっていました(これは当初から予定していたので、コンセントを用意しておりました)。

ペンダント照明の吊り込みに時間が掛かっているうちに、上の二人のお子さまたちも学校から帰ってきて、狭いベンチにお尻を寄せ合って無理に三人が座ってくれました(笑)。

さすがに三人がここまでギュウギュウに座ることはないそうですが、お子さまたちにとっては特等席なので、二人で場所取りのケンカになることもあるとのことでした。

もう一つのお子さまたち向けの工夫が、こちらの秘密の抜け道です。キッチン奥のユーティリティーからダイニングに抜ける、お子さましか通れない細道です。
こちらも通り抜けだけでなく、この写真のようにスロープを使っての遊びを考えてくれているとのことでした。

こちらが本日の目的のペンダント照明です。レウィット(ルミナベッラ社)の白いシェードの物です。

以前も一度他のプロジェクトで採用させて貰ったことがありましたが、組立て自体は簡単なのですが、高さ調整が難しいので、電気屋の望月さんとリフォームキューの坂本さんに仕組みを理解して貰っています。

まずはダイニングテーブルをそのままに置いた状態で、仮に吊ってみて、高さを確認して頂いた後で…、

テーブルをどかしての実際の取付け作業に入って貰いました。

1灯吊り終わった後、2灯目をつっている様子です。実は1灯だけであれば、高さ調整も大変ではありますが、まだできるのですが…、

2灯の高さを揃えて、かつ2灯それぞれが傾いていない状態を作るのがとにかく難しいのです!

ペンダント照明を点灯した状態で、高さと傾きを坂本さんに何度も調整して貰います。

何とか二つが揃って平行になった所で、本日のお仕事は終わりになりました。お昼過ぎに伺ってから、約5時間ほどもお邪魔してしまいました。

帰る前に、キッチン横に設けたマグネット壁の使い勝手や、

玄関横のベンチコーナーの使い勝手の感想も伺わせて頂きました。
本日は長い時間お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした。お子さまたちがベンチに寄り添った、素晴らしい写真を撮影させて頂き、どうもありがとうございました。