Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

折り上げ天井の造作@南麻布S邸

南麻布S邸

大工工事も真っ盛りの南麻布S邸の現場では、大きなリビングダイニング空間の天井造作が始まっていました。

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空に浮かぶ巨大な空母(?)のようですが、この写真だけではなんだかわかりませんね…。

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大梁1本と小梁1本を間に挟んで、二つの大きな折り上げ天井が並ぶので、梁型をどのように処理するかを工夫いたしました。集中冷暖房の吹き出し口も折り上げ部分に入れて、天井の平面がきれいになるようにしてもらっています。

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大梁については、デザインで回避することはできないのでリビング部分とダイニング部分で2つの折り上げに分割しています。小梁については、出来上がりを楽しみにしてください。

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折り上げ部分のアゴにつける、モールディングを利用した間接照明の造作図です。今回は、デザインアドバイス業務でお手伝いしているので、このような図面はリフォームキューの担当の森井さんに書いてもらっています。

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先日の現場原寸打ち合わせで決めた石張りの壁の下地も既に立ち上がっていました。

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キッチンからパントリーとユーティリティーを経て玄関へと続く動線部分の壁も立ち上がっています。こちらも壁を薄くして、引き戸を引き込んだり、リビング側からAV収納が出っ張った部分をパントリー側で棚として処理するなど、面倒な造作が沢山ありますが、きちんと設計内容通りに施工されています。

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キッチン部分の設備配管も施工されていました。シンクと食洗機用の排水管が2本に、水とお湯の管がペニンシュラ型のキッチンの対面シンク側に設置されています。

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現地を見た後には、ご近所に現在お住まいのお施主さまのお宅に伺って参りました。この写真ではよく判らないのでしょうが、右側の奥さまが抱っこしているのが、生まれて一週間目の赤ちゃんです…。無痛分娩での安産だったとはいえ、出産直後なのにお打ち合わせに出席してくださったRさんと赤ちゃん、どうもありがとうございます!

 

虎ノ門ヒルズレジデンスのインテリア計画

虎ノ門ヒルズM邸

建ったばかりの森ビルの新築高級レジデンス、虎ノ門ヒルズレジデンスのリフォーム計画では、リフォームの内容と同程度の高い密度のインテリア計画が求められています。

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お施主さまとしては、同じビル内にあるホテル・アンダーズ東京や、こちらの写真レジデンス部分のエントランス・ホールのインテリアと、今回ご購入なさった部屋のインテリアが同じレベルになるようにしたいとのご希望なのです。

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因みに、こちらがレジデンスのロビーのインテリアです。ホテルとレジデンス共に、ニューヨークのインテリアデザイナーTony Chi氏のデザインです。

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リフォームとインテリアを早いスケジュールで同時に進めて、さらに家具備品の搬入やセッティングまでを行うことになると、僕らの事務所だけでは心許ないので、インテリアコーディネート事務所のメイズの柚澤さんと小島さんに一緒にチームを組んでもらうことになりました。
虎ノ門ヒルズのカフェでお施主さまと打ち合わせをしている様子です。左側の男性は、うちの担当スタッフの前田君です。

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工事をお願いすることになった、リフォームキューの岩波さんに立ち会ってもらい、キッチンをどのように改装するかを検討している様子です。既は存ご覧のとおり、シンプルでクリーンなキッチンですが、手許を隠す小壁をどのように見せるかが一番重要なポイントになりそうです。

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こちらが、キッチン部分の打ち合わせ用に作ったスケッチです。トイレでも使っている大理石と同じ柄の石を小壁のミニカウンターだけでなく、連続するように繋げるアイデアです。

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また、別のタイミングでは、虎ノ門ヒルズから至近の距離にあるメイズのショールームにお施主さまと伺って、家具やその素材についても打ち合わせをさせて頂きました。

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リフォームが完成する時期に合わせて家具・備品を入れたいので、国内に在庫がある輸入家具か、あるいは国内生産している高級家具から選ぶことになります。現時点では、アルフレックスのソファ+ダイニングセットをベースに、ミノッティのセンターテーブル、オルーチェのペンダント照明やアルマーニ・カーサのスタンドライトなどを散りばめてゆくイメージになりそうです。
更に、建築的にはソファーの背面の壁に大々的に大理石を張って、小壁や玄関にはカラーガラスや鏡、突板壁を配してゆく予定です。

リフォーム完成後の様子はこちらをご覧ください。

オーダーユニット浴室の組み立て方

広尾N邸

広尾Nプロジェクトの現場には、共に特注誂えのオーダーユニットバスとオーダーシャワーユニットを取り付けています。

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まず最初に入ったのはシャワーユニットです。シャワーユニットは小型サイズなので職人さん一人で、2日目でここまで組み上がっていました。手前のLGSの壁は、大工工事側が施工したものです。

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実際に大変なのは、モノとしての箱を組み立てることより、そのための正確な寸法と設備配管の取り合いを確認する下調査なのです。こちらの写真は下調査のために、東京バススタイルの和久田さんが現地に来て実測してくれた時の様子です。組立の前までに、何度現地に和久田さんが足を運んでくれたかというと…

  1. 解体前:設計側の意図説明と、現地での搬入ルートなどの確認調査
  2. 解体直後:隠されていた天井裏の排気ルートや梁下・天井高さの寸法確認調査
  3. 配管設置後:最終的な製作寸法の確認と設備の取り合い確認調査

と、3回の事前に現地を調査してくれています。その間にも、図面・見積りのやり取りやメール・電話での打ち合わせも何度も行っています。現地が近いことで、現場にもよりやすかったのでしょうが、丁寧な仕事ぶりには頭が下がります。

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箱が組み上がると、設備接続用の取り外し式パネルを外した状態で、かつ水栓金物類は取り付けず、ガラス扉も外した状態で、一度作業が終わりになります。設備配管の繋ぎ込みは、建築工事側が行うので、写真のように、大きめの取り外しパネル内で接続がしやすい状態になっています。

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置床や既存RC壁、LGS軸組との取り合いの様子です。ステンレス枠の取り付けも、壁ボードが張られた後に行うので、まだ未完成ですが、最初に打ち合わせをしていた通りの寸法に、きれいに仕上がっていました。

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オーダーシャワーユニットが終わった時点で、材料だけは搬入されていたオーダーユニットバスの組み立てです。こちらは、既存の窓とタイル壁を合せたり、梁型が出っ張っており、排気ルートの確保が難しい状態だったので、より慎重に組み立てられていました。
タイル張りのパネルの裏側に、気の板がはれれている箇所は、将来手すり等を取り付ける可能性がある場所になっています。こういった細かいことも、事前の図面打ち合わせで確認しています。

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既存の窓サッシのツバ(通常は枠材を差し込む、サッシが出っ張った箇所)の部分とタイル目地が合うように調整してもらっています。

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浴室から洗面側を見返した写真です。既存窓からの自然の明りを洗面室に取り込むために、天井一杯までガラスとしています。

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ユニットバスの壁の裏側には、このように給水給湯管が通っています。緑色のハコ状のものは、冷水とお湯を混ぜて浴槽に入れるために水栓のボックスに当たります。壁裏に来る設備では一番寸法が大きなものです。ちなみに、左側の壁が断熱を施された躯体壁で、右側の壁がユニットバスのパネルです。

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浴槽は、カルデバイのホーロー製を使っています。写真は、エプロンと呼ばれる浴槽の周りを囲っている低い壁の内部を覗いた様子です。今はきれいな状態ですが、浴室を使ってゆくと、どうしても水がこの内部にも侵入してきてしまうので、将来的に掃除ができるように点検口を設けています。
外国に暮らしたことがある方は、皆、肌さわりの良さ、高級感からホーロー製を選ぶことが多いようです。実はホーロー製にも二通りあり、カルデバイは鋼板ホーローと呼ばれるタイプで、金属の板で整形された浴槽にガラス質のホーロー層を焼き付けたものです。もう一つは鋳物ホーローと呼ばれるもので、浴槽自体を溶かした金属を金型に入れて作るタイプの製品です。アメリカや欧州で鋳物と言えば、後者の物になるのですが、浴槽だけで重量が何百キロにもなってしまう鋳物ホーローは、マンションリフォームでは搬入も難しく、特に古いマンションでは床の耐荷重にも無理があるので、使ったことはありません。
通常はお湯が冷めにくいように、鋼板ホーロー浴槽の裏側に断熱材を吹いておくのですが、こちらは給湯システムの関係上自動湯沸しができず、入るたびにお湯を入れ直すスタイルなので断熱材は割愛しました。

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こちらはその2日後にガラス扉とガラス窓が取りついた様子です。サッシ枠は白いシールで養生されていますが、鏡面仕上げのステンレスとなっています。