Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

オーダーユニット浴室の組み立て方

広尾N邸

広尾Nプロジェクトの現場には、共に特注誂えのオーダーユニットバスとオーダーシャワーユニットを取り付けています。

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まず最初に入ったのはシャワーユニットです。シャワーユニットは小型サイズなので職人さん一人で、2日目でここまで組み上がっていました。手前のLGSの壁は、大工工事側が施工したものです。

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実際に大変なのは、モノとしての箱を組み立てることより、そのための正確な寸法と設備配管の取り合いを確認する下調査なのです。こちらの写真は下調査のために、東京バススタイルの和久田さんが現地に来て実測してくれた時の様子です。組立の前までに、何度現地に和久田さんが足を運んでくれたかというと…

  1. 解体前:設計側の意図説明と、現地での搬入ルートなどの確認調査
  2. 解体直後:隠されていた天井裏の排気ルートや梁下・天井高さの寸法確認調査
  3. 配管設置後:最終的な製作寸法の確認と設備の取り合い確認調査

と、3回の事前に現地を調査してくれています。その間にも、図面・見積りのやり取りやメール・電話での打ち合わせも何度も行っています。現地が近いことで、現場にもよりやすかったのでしょうが、丁寧な仕事ぶりには頭が下がります。

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箱が組み上がると、設備接続用の取り外し式パネルを外した状態で、かつ水栓金物類は取り付けず、ガラス扉も外した状態で、一度作業が終わりになります。設備配管の繋ぎ込みは、建築工事側が行うので、写真のように、大きめの取り外しパネル内で接続がしやすい状態になっています。

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置床や既存RC壁、LGS軸組との取り合いの様子です。ステンレス枠の取り付けも、壁ボードが張られた後に行うので、まだ未完成ですが、最初に打ち合わせをしていた通りの寸法に、きれいに仕上がっていました。

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オーダーシャワーユニットが終わった時点で、材料だけは搬入されていたオーダーユニットバスの組み立てです。こちらは、既存の窓とタイル壁を合せたり、梁型が出っ張っており、排気ルートの確保が難しい状態だったので、より慎重に組み立てられていました。
タイル張りのパネルの裏側に、気の板がはれれている箇所は、将来手すり等を取り付ける可能性がある場所になっています。こういった細かいことも、事前の図面打ち合わせで確認しています。

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既存の窓サッシのツバ(通常は枠材を差し込む、サッシが出っ張った箇所)の部分とタイル目地が合うように調整してもらっています。

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浴室から洗面側を見返した写真です。既存窓からの自然の明りを洗面室に取り込むために、天井一杯までガラスとしています。

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ユニットバスの壁の裏側には、このように給水給湯管が通っています。緑色のハコ状のものは、冷水とお湯を混ぜて浴槽に入れるために水栓のボックスに当たります。壁裏に来る設備では一番寸法が大きなものです。ちなみに、左側の壁が断熱を施された躯体壁で、右側の壁がユニットバスのパネルです。

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浴槽は、カルデバイのホーロー製を使っています。写真は、エプロンと呼ばれる浴槽の周りを囲っている低い壁の内部を覗いた様子です。今はきれいな状態ですが、浴室を使ってゆくと、どうしても水がこの内部にも侵入してきてしまうので、将来的に掃除ができるように点検口を設けています。
外国に暮らしたことがある方は、皆、肌さわりの良さ、高級感からホーロー製を選ぶことが多いようです。実はホーロー製にも二通りあり、カルデバイは鋼板ホーローと呼ばれるタイプで、金属の板で整形された浴槽にガラス質のホーロー層を焼き付けたものです。もう一つは鋳物ホーローと呼ばれるもので、浴槽自体を溶かした金属を金型に入れて作るタイプの製品です。アメリカや欧州で鋳物と言えば、後者の物になるのですが、浴槽だけで重量が何百キロにもなってしまう鋳物ホーローは、マンションリフォームでは搬入も難しく、特に古いマンションでは床の耐荷重にも無理があるので、使ったことはありません。
通常はお湯が冷めにくいように、鋼板ホーロー浴槽の裏側に断熱材を吹いておくのですが、こちらは給湯システムの関係上自動湯沸しができず、入るたびにお湯を入れ直すスタイルなので断熱材は割愛しました。

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こちらはその2日後にガラス扉とガラス窓が取りついた様子です。サッシ枠は白いシールで養生されていますが、鏡面仕上げのステンレスとなっています。

 

香港直輸入の建具+建具枠の取り付け

広尾N邸

お施主さまが外国から直輸入した建具・枠(ケーシング)材・幅木材が広尾Nプロジェクトの現場に届き、取り付けが始まっていました。

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ちょうどご帰国中だったNさまと一緒に現場をチェックいたしました。

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プライベート部分の廊下に重厚なケーシング材のフレームが連なっています。廊下突き当り部分は造作の本棚になります。

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居室側から見た風景です。まだ、居室間の間仕切りができていないところがあるので、沢山建具枠が見えていますが、やはり迫力がありますね。

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枠材の詳細です。過度な装飾はなしにして、シンプルなフレームを廻しています。

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同じく斜め下から見上げたケーシングディテールです。下地としての下塗りができているので、完成したかのように見えますが、後程壁や天井の塗装のタイミングで、一緒に塗装し直すことになっています。

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頑丈に梱包されて現場に届いた建具です。はるばる異国で作られて輸入されたとのこと、不思議な感慨があります。とにかく、現地に無事搬入されるまで、不安でいっぱいでしたが、いざ届いてみると、小さな不具合は沢山ありましたが、それでもお施主さまが望んでいた、重厚で格式を感じる建具と建具枠が、同じものを日本で制作するよりはるかに安価な価格で入れることができました。

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こちらがベニヤ材に下塗り塗装を施したケーシング材です。

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高さ200ミリの幅木材です。このようなシンプルな材料でも、香港から輸入した方が、輸送費を入れても半額以下の価格で手に入ることは驚きです。

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写真右下の建具の握り玉や付属のヒンジ等の金物は建具と一緒に届きましたが、その他の造作家具用のヒンジや取っ手などは、わざわざNさまが現地から手荷物で、気にったものを持ってきてくださいました。

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ほぼすべての建材があちらの方が豊富で、安価とのこと、アクセントとして壁に張る布クロスも輸入することになりました。日本の現場で色味を一緒に確認したいとのことでしたので、サンプルを持ってきていただきました。結果としては、一番右の薄いブルー色の布クロスを張ることになりました。

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日本の職人が仕上げた塗装は、ローラーを使ってあまりにきれいで平滑な面に仕上がるので、それに違和感があるとのことで、わざとラフに作ってもらったサンプルをお見せして、どのようなテクスチャーが良いかを確認して頂きました。右下の刷毛手塗にすると、手間賃が大幅にアップしてしまうので、下地塗装用に使う、ラフ目なローラーを使って仕上げて貰うことになりました。

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こちらは、後日建具が吊りこまれた際の様子です。ノックした時や、開け閉めする際には、やはりしっかりした重量感を感じます。日本の薄くて、軽くてきれいな建具を使い慣れた後では、最初は違和感も感じましたが、アメリカに住んでいた時のことを少しずつ思い出しました。この感覚であれば、きっとNさまにも満足して頂けそうです!

工事現場での原寸確認@南麻布S邸

南麻布S邸

南麻布の大型マンションリノベーションS邸で、お施主様と現地での打ち合わせをいたしました。

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大きなLDKと隣室の子供の遊び部屋は、2枚の引き戸で仕切る形になっています。一度は打ち合わせで、中央の石張りの壁と左右の引き戸のサイズを確定していたのですが、本当にそのサイズでよいか、少し不安になったとのことで、お施主様から現地で一緒に確認させて欲しいとご依頼がありました。

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工事最中の現場では却ってスケール感が判りにくいので、何とか判りやすい方法はないかと考えて、事務所にあったカーテンを現地に持って行き、所定の場所に吊ってみました。写真中央奥のベージュと白いカーテンでそれです。

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こちらが背面の子供部屋側から見た仕切り壁のサイズです。

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お施主さまご夫妻に現地で、カーテンを微妙に動かしながら、どのくらいのサイズが良いかを確認して頂いている様子です。

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こちらは解体前に撮影した写真に壁と引き戸を描き込んでみたスケッチです。引き戸のサイズを大きくし過ぎると、中央部分の石張りの壁が中途半端な存在になってしまうし、反対に小さすぎると二つの部屋の一体感が感じられなくなってしまうという、実に難しいバランスです。

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奥さまがキッチンで料理をしているときに、お子様の様子がどの程度見えるかをチェックしてもらいました。とにかく、いろいろな角度から比較して頂いて、インテリアのバランスも考えながら、ある寸法で決めることができました。

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壁や引き戸とは直接関係がありませんが、工事は着々と進んでいます。こちらはリビン・ダイニング天井の2か所の折り上げ天井の下地組の様子です。

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天井の高さをギリギリまで高めるため、電気配線が通る最小の寸法を確保して、下地を組んでもらっています。

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無駄を省いて収納スペースを確保するために、以前へ相当大きかった分電盤も小型にして、天井間際に上げて設置してもらいました。

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打ち合わせと現場の説明が終わったところで、決まった壁のサイズのカーテン前で、Sさまご夫妻の記念写真です。奥さまはご妊娠中で、この日の打ち合わせの後に、病院に直行して入院することになっていました。あと2日後にはお子様が生まれるというタイミングで、埃っぽい現場に足を運んでくださり、どうもありがとうございます。
元気な赤ちゃんが生まれること、願っております!

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お施主さまが帰られた後に、現場監督の富田さんと大工の町永さんに壁の寸法と収まりを説明している竹田さんの様子です。これでひとまず難しい寸法を解決することができたので、僕らもホッといたしました。