Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

家具・カーテン・家電類搬入設置そしてインテリア完成

高級高齢者向けサービスアパートメントS邸

先日リフォーム工事が完成しお引渡しをしたサービス付き高齢者向けアパートメントS邸にご依頼されていた家具やカーテン、家電類の搬入設置でこまめに伺っております。

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まずはじめに、リフォーム工事開始とほぼ同じタイミングで発注を掛けていた大物家具の組み立て搬入です。こちらはリビングに置くソファー、デンマークのアイラーセン(取扱いアクタス)のストリームラインという名前のソファです。80代中盤のお施主さまご夫妻は、これまでは柔らかめのソファーを好んでいらっしゃたそうですが、一度座り込むと立ち上がるのが億劫になってきたとのことで、座面が比較的高くて、クッションも少し硬めのソファーをとのことで一緒に選ばせて頂いたものです。

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ダイニングのテーブルはカッシーナでイスはアルフレックスです。見た目は軽そうなダイニングテーブルですが、実は下部に組み込まれた円環が鉄でできており、重しととして働くので、手をついて立ち上がっても大丈夫とのことで、こちらを選ばせて頂きました。

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二つの寝室には、いざという時の為に、介護用にも使える可動式ベッドを組み立てて貰いました。以前、京橋にあるパラマウントベッドのショールームにお施主さまと一緒に伺って、選んだベッドです。

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次のタイミングでは入ってもらったのが、窓ガラスのフィルム張り工事です。この部屋は西日が結構きついので、暑さと紫外線対策で、断熱フィルムのシーグフィルムを全ての窓に張ってもらいました。

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透明度が高く、断熱性能もきちんとしており、ガラスが割れたときの飛散防止や紫外線カット機能もついた優れもので、いつも愛用しているフィルムです。

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こちらはフィルム張り職人さんが使っている霧吹きやヘラ、カッター等の7つ道具です。

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家具の補修や追加工事で、合間にも幾度か職人さんたちに入って調整してもらっています。

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フィルムの次がカーテンです。今回は、二つの寝室はレースとカーテンのダブル、リビングはハンターダグラスのシルエットシェード、ダイニングはレースのみの仕様としています。取り付けはいつもお世話になっているバウハウスさんです。

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シルエットシェードも白と茶色の二色を使い分けております。

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家具が一通り組み上がって、カーテンとシェードが付いたLDKの様子です。まだアート・調度品やクッションやラグなどのファブリック類も足りず、多少寂しい状態ですが、空間の落ち着き具合が徐々に見えてきました。

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合間を縫って、お施主さまと一緒に選んだ家電・調理機器も運んでおります。上はご主人様ご愛用のネスプレッソ、下は家電用引出内に収まることを事前に確認していた炊飯器とトースターです。

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寝室の引出には、金庫も組み込んでもらいました。

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しばらく時間を置いて、現代製作所さんに制作を依頼していた特注家具ができたので、搬入設置してもらいました。こちらは、テレビ下に置く、ブルーレイ等のAV機器設置用の収納棚です。

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もう一つが、ダイニング横に置く、ファイル類や小物などをしまうサイドボードです。全ツヤで仕上げて貰った扉も非常にうまくできていました。

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早速事前に用意していた配線類をスタッフの前田君に接続してもらいました。

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お施主さまがアメリカからオーダーしていたラグやクッションも届き、部屋全体の彩りが加わってきました。因みにダイニングのラグはコザック・ジジムと呼ばれている物で、中東の平織のキリムの一種だそうです。華やかなクッションはシルクカバーです。

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前田君がお施主さまのご主人にテレビの使い方をご説明している様子です。同時に奥では、こちらのアパートの管理者が奥さまと部屋警報等の使い方の再確認をしてくれていました。

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イサムノグチのアカリ照明、アルテミデの読書灯、ポルトローナフラウのセンターテーブルも揃って、ほぼ完成形になったリビングでお寛ぎ中のSさまご夫妻です。
ここまで、長い道のりでしたが、何とかご満足いただけるレベルまで仕上げることができました。関わってくださったリフォーム工事関係者の皆様、家具屋さん、工事中にお世話になった建物関係者の方々、スタッフの前田君、どうもお疲れさまでした。そしてこのような貴重な機会を与えてくださったSさまご夫妻、どうもありがとうございました!

 

大理石張りのリビング壁@南麻布S邸

南麻布S邸

南麻布S邸の現場では、リビングダイニングの壁の大理石を張っている最中でした。

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今回、選んだ大理石は、グリジオ・ビリエミという名前の石です。因みに、大理石の名前は、定番でどこでも同じ名前で扱っている有名大理石と販売会社がイメージでつけている名称があり、このグリジオ・ビリエミは後者のようで、一般名称ではないようです…。

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ニ液性の接着剤を混ぜている様子です。石を壁・床に張るには多様な接着剤や工法があるようですが、二つの接着剤を混ぜて使うこの方法は、信頼度が高く、張りやすいとの職人さんの言でした。

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目地なしで、積み上げで張ってもらっています。糸を張って、水平線はきちんと出してからの作業ですが、細かい不陸の調整は、全て指先を使っての微調整でした。

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ほぼ、張り終わった石張りの職人さんが、今度は、タイルに穴をあける作業をしていました。タイルや石を切ったり削ったりは、大きな音が出ると同時に、すごい量の埃が発生します。手前の膨らんでいる袋状の吸塵器を使って、少しでも埃の拡散を防いでくれています。

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ちょうど床タイルを張る個所に、フロアヒンジの穴が来るので、その部分を手伝ってあげているそうです。僕ら設計者からしても、石やタイルは似た性質の材料なので、職人さんは一人で両方を張れるような気がしてしまいますが、大体の現場では、両者は別の職人さんが扱っているようです。

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こちらがダイニングの奥から、ほぼ張り終わった大理石壁を見ているアングルです。

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僕らが現場に来ていない3日間の間に、キッチンがすでに搬入設置されていました。

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オーダーキッチンのクッチーナにお願いした、U字型の大型キッチンです。恐らくこのサイズのキッチンを組み立てるには、大きなリビングいっぱいの箱やカウンター材の材料が並んだことと想像されます。が、出来上がってみると、コンパクトに仕上がってしまうのです。ダンボールでしっかり養生されており、中身が見えませんが、きっときれいでスタイリッシュに仕上がっているハズです!

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反対側から脚立に乗って、上から覗き込んだキッチンです。U字型に繋がった先には、冷蔵庫置き場があります。壁にはスイッチボックスと、電話・ファックスを置くためのミニカウンターも作ってもらいました。

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スイッチボックスの後ろには、冷凍庫とウォーター・サーバー用のスペースがあり、さらにその奥にはパントリーとユーティリティーが並んで、玄関のタタキへと繋がる構成となっています。

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大工さんたちは、幅木の取り付けをしてくれていました。通常の日本の住宅では、幅木の高さは40~60ミリ程度なのですが、今回のS邸は部屋の面積も広く、天井高さも高いので、150ミリの高い幅木を特注で作った貰っています。

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一部、壁の端部を丸めた仕上げの個所では、特別に曲がりやすいベニヤ材で幅木を作って、接着剤と釘でしっかりと固定してくれていました。設計で丸を描くのは簡単ですが、工事をする側からすれば、相当大変な作業なのです…。きちんとこの効果が見えるように設計しているので、仕上がりが楽しみです。

 

 

三田綱町パークマンションのリフォームプロジェクト

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日本初の超高層マンションと言われる三田綱町パークマンション(築43年)のリフォームプロジェクトをデザインアドバイザーとしてお手伝いいたしました。

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実は、建物竣工時に祖父祖母がこのマンションを購入して、亡くなるまでの約35年間を暮らしていたので、とても愛着があるマンションでもあります。

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こちらがリフォーム前の様子です。お施主さまのご主人が購入して、娘さんが住んでいらっしゃったこともあったそうですが、大部分の期間は外国人に賃貸マンションとして貸していたとのことです。ご購入時に床下の設備配管と床フローリングを中心に一度リフォームをしたそうです(因みに、現在はフローリングは禁止されています)。

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外国人仕様にダブルシンク、大型オーブン付きのガスレンジに変えられていた既存のキッチンです。

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水回りの当時の外国人賃貸専門のコンサルタントのアドバイスで、浴槽とトイレと洗面が一つになった、いわゆる3in1(スリー・イン・ワン)のレイアウトになっていました。

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マンション全体で走らせている冷暖房の為の床下配管です。以前、一度この三田綱町パークマンションのリフォームをお手伝いした際には、この床下配管の更新だけで、500万円近い費用が掛かった経験があります。

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こちらでは、以前のリフォーム際にステンレス管に交換したとの記録が残っていましたが、断熱材を一部剥がして確認したところ、記録の通りにきちんと施工されておりました。

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お施主さまは、すでに三田綱町パークマンションでは圧倒的なリフォーム工事の実績があるワールドテックスに工事自体はお願いすることがほぼ決まっていたそうですが、細かいデザインの方針や、どの部分をどこまでリフォームするかで、判断に困ってしまって、ホームページで僕らの事務所を探して、ご相談頂いたという経緯があります。ワールドテックスの後藤さんや石毛さんとは以前の工事をお願いしたこともあり、存じ上げていたので、途中からデザインコンサルタントとしてお手伝いして、当初1400万円ほど掛けるはずだった工事額を、コストパーフォーマンスを軸に検討し直して850万円ほどまで減らしたうえで、工事着工になりました。

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今後もしばらくは賃貸として使って、お子様たちが将来ご結婚して住むことになれば、またその時に再度リノベーションしたいとのことでしたので、費用をそれほど掛けずに、ビンテージマンションを好まれる方が喜んでくださるようなデザインの空間へとリフォームすることになりました。壁紙(ビニールクロス)やカーペットのサンプルをお持ちして色決めした様子です。

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こちらが解体工事が始まってからすぐの現場です。古い洗面カウンターは再利用することになったので、丁寧に外されています。左手に見えるのはリフォーム規約の厳しい三田綱町パークマンションでの搬入・搬出作業を楽に行えるようにワールドテックスの後藤社長が工夫して作ったボード類を運ぶための特性荷車だそうです。

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ユーティリティーや洗面所の床を剥がして、床下の配管を確認致しました。薄い床下空間内で、ガス管や給水・給湯管、排水管が立体交差しており、一部の排水管の勾配が逆勾配になっている箇所も見つかりました。

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こちらが3in1型の浴室を解体した様子です。

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既存の浴室を解体した下を詳しく見た写真です。どうやら、当時は特注でステンレス製の防水パンを作って、床下の段差を調整するために、浮かべたステンレスパンの下には、大量の砂が詰められていたようです。シンダーコンクリートだった場合は、そのハツ・撤去工事で凄い騒音が発生することを恐れていたので、これは良いニュースでした。

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こちらはユーティリティーの床下の既存配管です。竪管や、スラブ下への貫通箇所は鋳鉄管でしたが、横引き管はより長持ちするPV管に交換されていました。

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こちらは、配管をすべて交換し終えた後の状況です。マンション管理組合の厳しいルールで、「水回り部分の床下を工事で開けた場合は、工事できる範囲のスラブは防水を施すこと」という規則があるので、この部分の床には防水工事がされています。

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竣工当時と同じレイアウトにするように、ユニットバスを入れて、配管をやり直したトイレ下の配管です。トイレや浴室・洗面からの排水管もきちんと勾配を取っての配管ができました。

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一度隠れてしまうと、改めて確認することが難しいプロセスですので、お施主さまご家族にも立ち会っていただき、どのような問題があって、どう対処したかも含めて床下配管状況を一緒に確認して頂きました。ここはキッチンの床下です。

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因みに、室内側だけ配管工事をやり直しても、そこから先の共用部の配管に問題があって、接続部分やその先での漏水問題が起こる可能性が考えられるので、エレベーターホールの点検口から共用部分の配管もチェックしておきました。断熱内部の配管はきちんとPV管に変えられていたので、問題はありませんでした。

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配管以外にも室内工事で、築古建物ならではの変な個所がありましたので、そちらもお施主さまに見て頂きました。これは主寝室の床カーペットを剥がしたところに出て来た謎のコンクリートです。ワールドテックスは三田綱町PMに詳しいので、すぐに説明してくれましたが、床下に隠れているべき梁の立ち上がり部分が、ベニヤ板下地のレベルまで膨らんで打たれており、ベニヤ板を敷けなかった部分だそうです。ベニヤを敷けないので、仕方なくモルタルでレベル調整をしているそうで、他でも幾度か見たことがあるとのことでした。

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梁や天井は、コンクリートに直にクロスを張った仕上げがオリジナルで、地震の度にクロスにヒビが入ってしまうのが問題だとのことです。そこで、コンクリート梁とボードの間にスリットを入れて、さらにデザイン的に出隅で見切ってクロスを張り分けたいので、細かい工夫を下地にしてもらっている様子です。

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こちらが竣工時の施主検査時に一緒に拝見した、床を張り終えたユーティリティーの様子です。これまではジメジメした空間でしたが、随分きれいに仕上がっていました。

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ユニットバスはカラーを選んだだけで、あまり紹介すべき仕事ではありませんが、以前とは比較しやすいので、写真を小さく載せておきます。

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こちらはリフォーム後の玄関と廊下です。折角のフローリングでしたので、床のキシミ音がそれほど激しくなかった、この廊下部分はフローリングを残しておくこととしました。

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リフォーム前の玄関と比べると、シックなデザインに変わっていることが判るのではないでしょうか?
因みに、この部分はすべてLEDの照明に変えてもらっています。

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検査時のリビングダイニングです。ダイニング部分の壁には、オークの羽目板を張ってもらったことで、外の緑と呼応して、明るく気持ちが良い空間になったと、クライアントに褒めて頂きました。

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こちらがリフォーム工事前のリビングです。

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こちらがリフォーム後の同じアングルの写真です。ちょうど朝日が差す壁面でしたので、板張りの効果も高かったようです。

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最後にお施主さまご家族と設計・施工のワールドテックス後藤さんと石毛さん、そして僕・各務の記念写真です。一人だけバカみたいに背が高いのが恥ずかしいですが、デザインアドバイス業務でお手伝いしたことをお施主さまにも施工側にも両方に喜んで頂けて、とても嬉しい形でリフォーム工事をお手伝いすることができました。