Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

電気配線ルート確定@広尾Nプロジェクト

広尾N邸

LGSの下地が立って、石膏ボードが張られている最中の広尾のビンテージマンションNプロジェクトの現場で、電気屋さんと配線経路やスイッチ・コンセント位置の細かい打ち合わせをいたしました。

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天井高さを確保するために、梁下もギリギリの寸法で組んでもらっているので、どのルートを通して配線するかをスタッフの竹田さんと電気屋さんで詰めてくれました。

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梁上に元から空いていた小さなスリーブ(穴)に電線を通してもらった様子です。元はほとんどすべてが躯体に打ち込まれた配線だったものを、今回のリフォームで全面的にやり替えるので、綿密な打ち合わせと調整が必要になるのです。

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非常に見えにくいですが、LGSで組んだ軸組の間を電気の配線が通っています。スイッチやコンセントは下地のLGSとぶつからない位置で決めてゆきました。

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LGSが密に立っている個所は仕方がないので、写真のようにLGSを切り欠いてスイッチを入れて貰いました。

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その合間に、オーダーキッチンをお願いしているクッチーナの担当の米重さんが床に出された墨を実測調査に来てくれました。現場の伊藤さんと竹田さんと細かい個所の収まりを打ち合わせしてもらいました。

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洗面台2台もクッチーナでお願いしているので、米重さんが慎重に実測してくれました。

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こちらはオーダーユニットバスの到着を待っている浴室スペースです。

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浴室への床のガター(谷間)は配管されたうえでフタをされていました。

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今後、「香港から直輸入のオーダー建具」が到着する予定なので、その搬入や取り付け方法、塗装のやり方などの打ち合わせを、伊藤さんや大工さんたちとさせて貰いました。

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その間にも、着実に工事が進んでいます。写真は北側の居室の窓枠を大工の服部さんたちが取り付けている様子です。

 

虎ノ門ヒルズレジデンスのリフォーム・インテリア計画

虎ノ門ヒルズM邸

6月にオープンしたばかりの話題の虎ノ門ヒルズレジデンスをご購入なさったお客様から、リフォームとインテリアのご相談を頂きました。

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少し前のお話になりますが、まずはお引渡し前の竣工検査のお手伝いに伺って参りました。まだ、建物自体が一般公開される前の工事現場でした。

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補修工事の後片付けが済んでいない段階でしたが、大手ゼネコンの大林組の設計施工で、全体的には非常に丁寧な作りできれいに作られていました。

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リフォームをすることを前提としても、残して再利用する部分も沢山あるので、きちんと第三者の目を持って仕上げをチェックさせて貰いました。結果として、以下の各ポイントを指摘いたしました。

  • 靴箱内部の棚板の不具合
  • 塗装仕上げの天井の塗装ムラ
  • バルコニーのウッドデッキの油シミ

写真は、お施主さまのMさまと森ビルの担当者と大林の担当者が、指摘内容を確認している様子です。

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リビングからベランダ越に外部を眺めたアングルの写真です。大きなサッシに大きな折り上げ天井が特徴の空間です。天井の高さも高く、開放感のある部屋ですが、デザイン的に取っ掛かりとなる部分があまりないので、家具のレイアウトは難しそうな間取りでした…。

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ダイニングエリアからキッチンとプライベート廊下を見返したアングルの写真です。正面にPP(パブリックとプライベート)を分離するための扉が見えますが、デザイン的には少しハテナな上に、ダイニングの壁に引き戸が出っ張った形で吊られているのことは、お施主さまのMさまもリフォームなさりたいとのことでした。こちらについては壁にポケットを作って埋めるか、撤去するなどの指針を決めたほうが良さそうです。

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クオーツストーンの天板に白色カラーガラスと白い塗装仕上げの扉材で作られた既存のスタイリッシュなキッチンです。とてもきれいですが、実際に調理することを考えると、電子レンジや炊飯器がカウンター上に鎮座して、洗物や食器洗剤・スポンジ類がシンク手前に並ぶと、このスタイリッシュさの魅力が半減してしまいそうです。キッチン自体には大きく手を加えず、シンクカウンター手前に手許を隠せる戸壁を作ったり、左側に壁埋め込みで作られている収納を作り変えることで、それらの問題を解消できないか考えてゆくことになりました。140820toranomonhills-16

こちらは専有部の玄関です。ウォールナット材をふんだんに使ったシックな作りですが、少し照明が暗いのと、やはりこの扉に重厚感が足りないので、扉自体を交換するかポケットに埋め込むかを検討することになりました。

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今回は屋外用家具をご提案するだけでリフォームの予定はありませんが、バルコニーの様子です。完全に屋根がついており、手すりの作り方も室内的な造作となっているので、室内の延長として使えそうなテラスとなっていました。

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こちらがバルコニーからの都心の景色です。右手に見える皇居、中央奥には新宿の高層ビル群、左手には六本木・虎ノ門周辺の再開発のビルの数々が見えています。四十数階からの眺めですが、下層部にはオフィスが入っているので、普通のマンションの高さに合わせると50階以上からの眺めに相当するので、都心の高層マンションの上層階でも体験したことのない高さになります。
近隣には森ビル等の再開発の計画が多数ありますが、それらの建物が建った後でも、景観が確保される高さであることを確認したうえで、お施主さまのMさまはこちらをご購入なさったそうです。

今回のリフォームの計画は具体的にどの部分をどうリ変更したいといった一般的なご要望がなく、ダサい(?)部分を見つけてそれらを是正しながら、全体を虎ノ門ヒルズレジデンスにふさわしいカッコ良くてスタイリッシュな空間に変えて貰いたいとの曖昧なご依頼なので、これから拝見したイメージを思い出しながら、リフォーム計画を練ってゆくことになります。また、併せてインテリアの家具やラグ、カーテン等もご提案してゆくこととなります。

リフォーム完成後の様子はこちらをご覧ください。

 

 

 

 

投資用・賃貸用マンションリフォーム 松濤M邸

松濤M邸

うちの事務所としては珍しく、賃貸として活用する投資用マンションのリフォームをお手伝いいたしました。

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こちらがリフォーム後のリビングダイニングの様子で、

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こちらがリフォーム前のLDの様子です。床をチークのフローリング張りにして、照明をダウンライトに変更、使い勝手を考えながらアクセントクロスを張り、床下に隠れた設備配管もすべて引き直す内容でした。

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実は、当初はこちらのマンションをご購入なさったMさまご夫妻は、こちらをスケルトンリフォームして、ご自宅として利用する予定でした。ところが、購入後にご主人さまの会社の都合で、外国にしばらく転勤することになってしまったので、方針転換して賃貸として貸し出すことになりました。こちらはリフォーム前の玄関ですが、116平米(約35坪)の広さの割には、収納が少なく、キッチンや浴室などの設備類も相当老朽化していたので、コストパーフォーマンスを考えながら手を入れていこうというお話になりました。

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ちなみに、こちらがリフォーム前のキッチンです。窓こそあって明るいですが、さすがにこの古さのキッチンで、LDと完全に分かれているレイアウトでは、賃貸としても難しいだろうとの話になりました。

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こちらが当初に考えたビフォーとアフターの平面図案です。壁式構造で、部屋の間仕切りを大きく触ることができないので、浴室と洗面とトイレの水回りを作り直し、あとは床をフローリング張りにして、壁と天井のクロスを張り直す程度の想定でした。賃貸用の仕様なので、近所の賃貸に出ているマンションの仕様と間取りを参考に見ていったところ、同じマンションでちょうど同じ間取りでリフォーム済みの部屋が2室出ていたので、そちらの間取りや賃料を参考にしながら、プランを見直してゆくことになりました。その結果、キッチンはリビングダイニングに対してオープンにして、トイレを一つに削ってでも洗面を広くすべきだろうとのことにリフォーム内容も変化してゆきました。

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図面をまとめ直した時点で、リフォーム工事をお願いすることになっているリフォームキューの石原さんに現場に来てもらい、工事内容を説明させて貰いました。いわゆる現説(現場説明)です。

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その際、北側に面した居室の壁に水漏れの跡があったことが気になっていたので、簡単な工具を持ってきてもらい、壁の石膏ボードを剥がしてもらいました。アルミサッシからの漏水を気にしていましたが、躯体の結露水が悪さをしていることがほぼ判ったので、北側外壁面に面した壁はすべて剥がして、断熱材を吹くこととしました。投資用と考えると、そこまでやる必要があるかも考えてしまいますが、こちらは将来的にはMさまが日本に帰国後に戻られる可能性もあるので、隠れた部分まできちんと手を入れることとしました。

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解体工事が始まった様子です。以前のカーペット敷きのリビング床は、根太方式の床だったので、スケルトンにして置床にして張り替える予定です。

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在来工法だった浴室は、浴槽を撤去後、床下のシンだーコンクリートやブロック像の壁も解体してゆきます。

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一部のタイル張りの壁を除いて、きれいに解体されたかつての浴室、洗面、トイレがあった水回り空間です。

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PS内を通っていた雑排水管と汚水管の状況を確認することができました。竪管から横引き管へと引っ張るフランジ部分の高さを実測して、リフォーム後の浴室の床のレベルを計算してゆきます。

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壁裏がカビだらけだった居室のボードを撤去して、洗浄後しばらく乾燥させた様子です。躯体打ち込みだった電気配線も相当痛んでおり漏電の危険性もあったので、新たに線を引き直すことといたしました。

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こちらが解体後のキッチン・ダイニング部分です。ちょうどキッチンとダイニングの間仕切り壁内の天井付近に小梁が隠れていたことが分かったので、急きょキッチン部分の天井高さを下げて対応することとなりました。レンジフードがうまく収まるかが、少々不安です。

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その後、大工さんが入って、壁や天井の木製下地ができあがりつつある段階の様子です。小梁に合わせた下がり天井の下地も出来上がっていました。

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玄関ホールには新たにシューズインクローゼットを作ることになっており、その部分の木製の壁下地も出来上がっていました。この段階で、石原さんと大工さんにお願いして、玄関横には、鍵類やハンコなどを置ける小さな掘り込みの棚を、そしてトイレにはトイレットペーパーを置ける棚を作ってもらうことにさせて貰いました。

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石原さんと大工の町永さんと談笑している、うちのスタッフの竹田さんです。いつも同じ工務店やリフォーム屋さんとばかり工事をすることは、お互いに馴れすぎたり、お客さまとは直接の関係がないところで貸し借りができたりするなどの問題がありますが、今回のようなファーストトラック(時間の余裕がないスピード感を重視した)の仕事の場合、コミュニケーションが楽な相手に工事をお願いするのが一番です。

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ぎっちり断熱材を壁面に吹いた居室の様子です。

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また、数日後、システムキッチンが取り付けられた現場の様子です。不安に思っていたレンジフードも問題なく下がり天井の下に入っていました。2色使いのキッチンも上手く全体のデザインにマッチしてくれそうです。

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ユニットバスも設置されていました。普通のユニットバスを使う機会が少ないのですが、今回は扉枠のきれいさを重視して、パナソニックのユニットバスを採用いたしました。

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主寝室のクローゼットの扉などもパナソニックの製品を採用いたしました。普段、特注の建具や扉ばかりを使っているので、こういった既製品をどのように使うかが、今回の仕事の大きなチャレンジです。

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一通り工事が完了して、クロスも張られて、クリーニングに入っている段階で、設計検査を行いました。

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既にお施主さまのMさまご夫妻は出国してしまった後だったので、賃貸物件の貸し出しを委任されていたゴールデンパートナーズの大沢社長と古田さんにも同席してもらって、設計検査を行いました。

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補修すべき工事については青字で、大沢さんたちとの協議で、追加すべき工事は赤字で記載されています。カーテンレールの交換や取り付け、コンセントの増設など、細かい面までアドバイスしてくれたゴールデンパートナーズには感謝です!自宅用のリフォームと、賃貸用・投資用のリフォームの違いを勉強させて貰いました。

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リフォーム完成後のキッチンからリビング・ダイニングを見返した様子です。IOCのチークフローリングが、ビンテージ感を残しながら、シックな空間作りに大いに役立ってくれました。

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広さ自体はほとんど変わっていませんが、きれいさっぱりとまとめられた玄関ホールです。

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玄関正面に新たに作ったシューズインクローゼットです。靴が大量にしまえるだけでなく、下段の棚板を外せば、大物のスーツケースなども収納できる、納戸代わりにも使える便利な空間です。

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こちらの写真が、大工さんにお願いして途中変更で作ってもらった小さな収納の工夫です。左は玄関横に作った鍵と印鑑置き、右がトイレ内部に作ったトイレットペーパー置き場です。

補修・追加工事が始まる前の段階で、不動産のゴールデンパートナーズから賃貸の広告を掛けたところ、1週間もしないうちに、賃貸の契約がつくことになりました!
こちらのお客さまは、同じマンション内の他の二つの部屋も見てくださったようですが、結果的には一番高い賃料を提示していたこちらのお部屋に決めてくださったそうです。空間性を気に入ってくださったのが何よりの決め手になってとのことでした。

収益と利回りだけを考えた純粋な投資用マンションのリフォームではなかったので、リフォーム工事だけで1500万円近くの費用(設計料+消費税込)と、設計と工事で4か月の時間が掛かってしまいましたが、相場以上の賃料で、かつハイスピードで賃借人を決めることができて、何とか面目を保つことができました。