Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

壁の厚みを増したLGS軸組み組み立て中

広尾N邸

広尾Nプロジェクトの軸組工事が始まりました。

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こちらのリビングは天井下地のLGS、天井カセット式エアコンを入れる下がり天井、さらには戸境壁の下地も組み始めています。梁型の部分は石膏ボードも張られ始めています。

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キッチン部分からリビングダイニングを見返した様子です。

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リビング側からキッチンや廊下を見返したアングルの写真です。建具のしっかりさを求めるのと同じ理由で、壁もきちんとした厚みが欲しいとのお施主様のご依頼から、重要な壁は厚みを増しています。通常は65ミリのスタッドに12.5ミリの石膏ボードを両面に張って90ミリの壁厚にするのですが、重要な場所では、90ミリのスタッドに12.5ミリのボードを二重張りにして140ミリの壁厚として、内部に断熱材を充填して、厚みも重さも感じられる壁を作る予定です。

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梁の位置と絡み合った新しい壁下地が立ち上がりつつあります。LGSのスタッドの寸法がいつもと違うので、この下地軸組み段階から重厚さが感じられます。

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3つの寝室が並ぶプライベートゾーンの様子です。天井が上がったことで、開放感も増しています。

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リビングの窓際の下がり天井部分には天井カセット式のエアコンも既に嵌め込まれていました。

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解体時には防火区画のブロックが壊れていたキッチン横のPS(パイプスペース)ですが、乾式防火壁で区画をきちんと作り直してもらいました。

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シンダーコンクリートを部分的に斫って作ったガターに排水管(灰色の管)と給水(水色)給湯(オレンジ)管が設置されています。勾配もきちんと確保できているので、今まで水回りがなかった寝室横の部分に洗面とトイレと浴室を持ってくることができます。

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反対側の排水管はシャワーブースともう一つの洗面所へと伸びています。右端に映っている水色のプラスチックは現場用の小便器です。

 

天井軸組み工事@南麻布S邸

南麻布S邸

暑い中、南麻布S邸のリノベーション工事の天井軸組が始まっています。

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とにかく広くて大きいS邸の現場(LDKだけで100平米オーバー)は、すべての窓全開で風を通しながら工事を進めています。

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ダイニングに当たる部分の戸境壁が写真左になりますが、音楽好きなSさまご夫妻は隣の住戸の方に気兼ねせず大音量の音楽を楽しみたいとのことで、遮音壁にすることになりました。既存のGL壁を撤去して、吉野石膏のS12工法(耐火遮音壁工法)で壁下地を作っています。
右に映っているスタッフの竹田さんのサイズと比べると空間の大きさがわかりますね!

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写真中央左にヤグラを組んで天井を張っているのが、リフォームキューの工事でお馴染みの町永さんです。

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こちらがヤグラの詳細です。大工さんなのにLGS(軽量鉄骨下地)も組めるので、いつも大車輪の活躍です。僕らのデザインの意図も、判らない時はきちんと質問しながら、丁寧に仕上げてくれるので、安心感があります。

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現場の清掃が行き届いていて、資材やゴミがきちんと片づけられているのが、優れた現場監督さんと上手な大工さんの特徴ですが、今回の現場も気持ちがよく片付いています。

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天井高さを上げるために天井裏のエアコンを移設して、配管も動かした後の様子です。

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キッチンの上部の天井裏の配管ですが、こちらは上階の排水管が床スラブを貫通して、こちらの階の天井裏を通って配管(シルバーの管)されています。一部の保護材を解いて、配管の状況が問題ないことを確認しておきました。
このようなスラブ下での配管がある場合は、万が一、この状態で上階の配管状況が問題あれば、管理組合を通じて上階の占有部持ち主に連絡して、このタイミングで一緒に配管をやり直してもらうようにするのが、暗黙のルールなのです。

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分電盤があった個所の天井裏の様子です。電気の配線とエアコンの冷媒管とダクトが複雑に絡み合っています。ただ、天井の懐高さ(天井裏の配管スペース)が十分にあるので、何とか整理がつけられそうです。

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玄関の三和土(タタキ)部分も、既存の御影石のタイルがきれいにハツられていました。レベル差がある個所については、モルタルで補修してゆく予定だそうです。

「奥様を喜ばす建築家のキッチン提案」プロ向けセミナー@オゾン

ニュース

先週と先々週の2週連続で、新宿リビングデザインセンターオゾンにて、プロの建築家・インテリアデザイナー向けのセミナー「奥さまを喜ばす建築家のキッチン提案」を行いました。

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昨年のユーザー向けのセミナー「建築家とのおいしいキッチンリフォーム」でもお話しさせて頂いたオゾン内の「暖炉とコンロ」ショールームです。

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これまでのキッチン設計の経験を元に、3つのタイプのキッチン設計の事例をパワーポイントで説明いたしました。
3つのタイプとは、

  • 子育て&料理大好きキッチン
  • 人を招く2ウェイキッチン
  • 料理を作らないキッチン

です。そのお施主さまの考え方や特徴、設計者としてヒアリングで注意すべき点、機器選択で考えるべきポイント等を整理致しました。。その後、それらを纏めたキッチン設計のコツまで解説致しました。

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実は今回のセミナーは、「オゾン内のショールームの幾つかが連携して主催するセミナー」という、オゾンとしても初めて試みだったそうです。パワポを使ってのお話の後は、主催者である二つの会社のショールームを、建築家視点で案内・解説させて貰いました。
まず初めはレンジフードの最大手・富士工業さんのinnoinno(イーノ・イーノ)です。いつも愛用しているアリアフィーナや、実際には使ったことがないですが、いつも気になっていた換気ライトを、お施主さまに説明するうえでのポイントや採用するうえでの注意点を中心に、富士工業の奥さんと説明させて貰いました。

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こちらは、もう一つの主宰者であるドイツの金物メーカー(商社?)の雄・ハーフェレのショールームです。写真の引き出し式パントリー金物は、価格がそれなりに高いですが、奥行きがあるキッチン収納を効率的に使える優れもので、これまでに5回ほど採用させて貰ったことがあります。その他、レイリングシステムや引き出し金物などについて、ハーフェレの佐野さんと大木さんに詳しい解説をして貰いました。

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3つ目の主宰者である「暖炉とコンロ」に戻って、初日の纏めと次回の予定について説明させて貰いました。自然派住宅設計の女性建築家やシニア向け住宅のプロデューサーから、家具デザイナー、リフォーム設計事務所の若手スタッフ、ハウスメーカーのデザイナーの方まで幅広いプロの方が参加してくださいました。
今回のセミナーの3つの主宰者、ハーフェレさん、富士工業さん、ガスコンロは本当に実際のキッチン設計で愛用している製品、メーカーさんだったので、お話し中で自信を持ってお勧めすることができました。

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こちらはその翌週のセミナーの様子です。初回は座学を中心とした構成でしたが、この日はキッチンスタジオを使って、実際に料理を作る手順、動線を見学しながら、どの段階でどのような設備・器具を使って、どこに手拭きやゴミ箱が必要となるか、コンセントの位置や調味料の置き場所、片付けで気を付けなければいけないポイントなどをシュミレーションを通じて学んで頂きました。
写真中央の暖炉とコンロの小早川さんにはどのようなメニュー(今回は「夏のハンバーグ編」でした!)をどのような手順で作るかを、事前に資料にまで纏めて貰いました。

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第三者として調理の手順を見学していると、自分だけの癖が見えてきたり、新たな発見も色々と見つかり、とても新鮮で楽しい経験となりました。参加者からも質問の嵐になって、小早川さんと各務で意見の相違もあったりで、実に活発な議論の場となりました。

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因みにこちらが、小早川さんが用意してくれた調理手順付きレシピです。こちらに、どの手順でどのような設計者としての注意点が必要かを書き込むスタイルとなっています。

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二日目の第二弾は、各務が現在進行形で設計しているキッチン・レイアウト図を2例、10分の1に拡大した大きな図面で、どのようなことをお施主さまと話しながら、最初の段階からどう変化してきているかを説明しました。参加者の方々からの「こうしたら良いのでは」といったアドバイスなども出てきて、やはり丁々発止の(お話しする側としてはドキドキの)楽しい場となりました。

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そして全てが終わった後では、調理実習で作って貰った、和風おろしハンバーグ、トウモロコシのポタージュ、夏野菜のグリル、ツナ舞茸の炊き込みご飯に加え、オゾン側が用意してくれたおつまみとお酒を頂きながらの懇親会です。ここでも、高額のキッチン設計を受注するためのコツや、ローコストで如何にお施主さまを満足させるキッチンを作るか等についての質問が沢山出て、ゆっくり食事を楽しむことができない程でした…。
各務の知名度不足と、告知の時間が足りなかったことで、残念ながら期待していたほどの参加者が集まりませんでしたが、人数が少なかった分だけ濃密で、踏み込んだ内容の刺激的な内容のセミナーになったと思っています。企画から最後の懇親会までオーガナイズして下さったオゾンの堀内さんと菅野さん、各ショールームの担当者の方々、そして何よりセミナーに参加して下さったプロの方々、どうもありがとうございました!