Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

照明フォーカシング@杉並区S邸

杉並区S邸

杉並区のS邸リノベーションプロジェクトも造作工事がほぼ終了し、先日は照明のフォーカシング(シューティングともいうそうです)行って参りました。

大型マンションリノベーション 照明チェック

僕らもこれまでは、日中に現場に伺うことが多く、暗くなってからこのように照明が点灯された空間を拝見するのは初めての経験で、空間がとても新鮮に感じられました。3日間掛けてくみ上げたキッチンも違和感なく溶け込んでいるダイニングキッチンからリビング方向を望んだアングルです。

照明調整工事 @杉並区S邸

照明を調整する作業を照明フォーカシングと言います。フォーカシングは照明計画をデザインして貰った、照明デザイナーの三橋倫子さんにお願いしています。

三橋倫子さん 照明調整中

角度が調整できる照明器具、一つ一つをこのように脚立を立てて調整してゆく作業です。どこに家具を置いて、どのように暮らしてゆくかを想像しながら、光を当てて明るくする部分と光を外してワザと暗くする個所を調整してゆくことで、夜間の空間の見え方が大きく変わってゆきます。

洗面脱衣の照明

こちらは洗面脱衣室から浴室を望んだアングルです。上がった床の個所と天井に段差がある箇所にはLEDの間接照明を入れています。

来客用トイレ照明

こちらの来客用トイレにはやはりLEDの照明とクリプトン球のダウンライトを併用しています。

LEDシームレスライトを使った間接照明

赤い壁の裏に隠された、シームレスタイプのLED間接照明です。
LEDはまだまだ過渡期にあるので、三橋さんのようなプロの方に相談しないと、
各社の製品のメリットやデメリットがまだまだ判らない状態です。

照明調整が終わった後の記念写真です。左から青の片岡さん、各務、事務所スタッフの渡辺さん、照明デザイナーの三橋倫子さんです。夜遅くまでの作業、どうもお疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 

水廻りボックスの組み立て

神戸M邸

先月解体工事が終わり、リフォーム工事が本格的に始まった神戸M邸の現場に、スタッフの竹田さんに監理に行ってもらいました。

神戸M邸リフォーム現場

ガランドウだった現場には、床下地と天井の下地も作られ、水廻りを納めるボックス状の構造体も徐々に姿を現し始めていました。

神戸マンションスケルトンリフォーム現場

このボックスは天井まで届かない高さに抑え、天井を介して空間がつながっていることを感じられるデザインとしています。上部には子供が載れるミニロフトとする予定なので、ある程度の荷重に耐えられるように、60ミリ角の木柱を使って組んでもらっています。

オーダーユニットバスの組み立て

箱の内部には、既にオーダー式のユニットバスも組み立てられています。床が下がった所に、給水と給湯管、更には排水管も見えていますね。床は浮き床というシステムで上げることで遮音性能も確保しています。

東京バススタイルのオーダーユニットバス

こちらがオーダー式のユニットバスの内部です。大理石を使ったハイグレードな仕上げとなっています。

キッチン周りの配管立上り

設備絡みでは、キッチンの個所の設備配管の立ち上がりもきちんと設けられていました。チョコとした様子が可愛らしくて、つい撮影してしまいました。

床下配管状況

因みに、こちらが事前に工務店から送って貰っていた
床下の配管状況写真です。

曲がり天井の下地

こちらは曲がり天井の下地部分です。カーブした部分に、水回りボックス越しのLED照明が光を当てて演出する予定です。東京のマンションリフォームではLGS下地が多くなっていますが、久しぶりに木製下地の工事を見ると、在来木造の新築現場のようで、嬉しくなります。

造作家具・建具打合せ@神戸M邸

当日は、現場監理だけでなく、造作家具と建具の打ち合わせもありました。遠隔地はそれほど頻繁に現地に行くことができないので、行ける際にはなるべく多くの打ち合わせを入れて貰い、一度で多数の用が済ませるように手配をお願いしています。

造作家具スケッチ打合せ

こちらで用意した図面に沿って、造作家具屋さんが図面とスケッチを起こしてくれ、それを現地で寸法を当たりながら、建築との納まりを考えて、問題になりそうな部分をピックアップしてゆきます。今回はこの段階で一度東京の持って帰って貰い、こちら側の考えをメールで伝え、訂正をお願いする流れとなっています。

キッチン円形シャフトの成形

杉並区S邸

以前から出来上がる様子を徐々に説明してきた、キッチンのアイランドカウンターを貫通する円形シャフトの成形工事の最終段階です。

キッチン円形シャフトの成形

まずは、VU管に15mのベニヤ板を割いた下地を取り付けてゆきます。

これはVU管の厚みだけでは曲げベニヤ板を固定させるには脆弱過ぎるので、きちんとビスが効くように下地を組んでいます。

曲げベニヤ板の張り込み

その上から曲げベニヤ板を張り込みます。曲げベニヤ板は、通常のベニヤ板とは違い、張り合わせる薄板の繊維方向を統一させることで、ある一方向に曲がるように作られた建材です。因みにVU管の外形が218ミリで、そこに15mの木製下地を両側に張っているので、248ミリの丸形に厚さ4ミリの曲げベニヤを張っています。このベニヤは最小曲がり直径が250ミリなので、ちょうどギリギリのサイズになっています。

曲げベニヤのビス固定

この曲げベニヤをビスでかっちり固定し、更にその上からもう一枚曲げベニヤを張回します。

FGボード張り

その上から、以前から水に浸してある程度丸形に形を付けておいたFGボードをビスで固定してゆきます。FGボードは、石膏系でありながら曲面施工が可能な不燃ボードで、特徴としてはソフトで腰が強く、厳しい曲率半径でも容易に施工でき、靱性や遮音性に優れている建材です。

5ミリ厚のFGボードを二重に張って、円型シャフトの完成です。朝9時から夕方5時まで掛かって、ようやくこのレベルまで仕上がりました。最終的な仕上がり寸法は計算上は284ミリです。実際にはそれより少し膨らんで290ミリ程度に仕上がったようです。完成後の様子は杉並区S邸リノベーションをご覧ください。
最初の頃の様子も思い出すために、参考写真を以下に載せておきます。

フィブロックで区画貫通処理

本来はブロック壁があることで防火の区画をしていましたが、そのブロックが当初から壊れていたので、上下階を貫通する配管類を全てフィブロックで防火処理をしました。

アイランドカウンター貫通の配管

その上で、排水管を遮音用の鉛で覆って、エアコンのドレイン管を寄せて一本に纏めた段階です。

VU管を使った円形シャフト

VU管でその上から覆ったところです。ここをベースに本日の作業が進みました。