Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

コンクリート壁のレントゲン調査立会い

高輪I邸

先日の打ち合わせで、設備配管をコンクリート雑壁に通すことになったので、コア抜き前に鉄筋の位置を探る(鉄筋探索)ため、非破壊検査のレントゲン撮影に立ち会って参りました。

RC壁のレントゲン撮影

黄色い機械が照射機で、壁面の丸い金属(緑色の個所)が照準(マーカー)で、油圧ポンプを使って、慎重に位置を合せます。

照射機のアップ写真です。震災以降、放射線の事がニュースになることが多いので、電気が通っていなければ大丈夫なことが判っていても、近寄るとドキドキします。

コンクリート壁のレントゲン撮影

こちらがコンクート壁の背面に装着されたフィルムです。このフィルム位置を決めるために、事前にレーダーで場所とコンクリート壁の厚みを探っておきます。

RC壁のX線調査

黄色いボックスが、照射機のコントローラーです。撮影中は5m以内は立ち入り禁止になります。マンションでの撮影の場合は、同じ階の住人に事前に周知しておくことと、エレベーターに注意書きを書いておく必要があります。手前に見えている赤い道具が墨出し用のレーダーです。

レントゲン撮影用暗室車

約3時間で19枚撮影して、すぐに暗室車(!)の内部に作られた暗室で現像して貰います。こちらがワゴン車の背部に作られた暗室です。全体をFRPで包んで防水し、ハッチ扉のパッキングも光が漏れないように厳重にしているそうです。中の赤色灯と酢酸の匂いが、良く自分で現像していた学生の頃を思い出させてくれます。

コンクリート壁のX線撮影

現像されたX線写真です。丸い模様はマーカーの標準です。鉄筋の位置や背面のコンセントボックスの位置まで鮮明に見えてきます。

出来上がった写真を壁に当てながら、鉄筋の位置を書き込んでいる作業中です。レントゲン写真では、鉄筋の径が実際より太く写りますが、コア抜きの精度を考えて、少し太めに書き込むそうです。

最終的に描き上がった鉄筋図を元に、マンションの理事長、共用部の改装を依頼されている不動産会社、そして私、各務が立ち会って、設備配管を通すためのコア抜き位置を相談しました。丸く記されている個所が、決定位置です。
撮影の費用は、10枚までの撮影で15万円ですが、19枚撮影した追加分も含めて21万3千円+工務店の経費となりました。

ヴィンテージマンションの給水・ガス管引直し問題について

高輪I邸

工事進行中の高輪I邸のマンションは、築37年で給水・給湯・排水・ガス管全てが、下の階の天井懐内を通るシステムとなっています。管理組合へのリフォーム工事申請の際に、理事長じきじきに、できれば排水以外の設備配管は、階段踊り場にあるメーターから先は共用廊下の天井裏経由で、専有部の天井裏で配管し直してほしいとの依頼がありました。

廊下の照明機器を外し、天井裏の寸法を測量し、スリーブの位置を確認したうえで、現在の天井の高さでは、梁下に配管を通す十分な寸法がないことを管理組合に報告したところ、問題点がどんなところにあるのかの資料を作って欲しいとの依頼があって作成した検討資料です。

スラブ下配管(下階天井懐内配管)の問題点は以下のような事だそうです。

  • 老朽化が進むにつれ、どこかの階の配管から水漏れが発生すること
  • スラブ下は専有部と考えにくく、共用部となることが多く、水漏れの保障は管理組合が保険でカバーすることになるが、水漏れが数多く発生すると、保険料が上がってしまうこと
  • 保険でカバーされるとはいえ、上下階での問題が発生しやすいこと
  • かといって、設備を引き直すことになっても、共用部も含めた大規模なリフォームになってしまい、その費用負担をどう考えれば良いかが難しいこと
  • 設備の引き直しについては、住人の賛同を集めるのが難しいく、特に事前にリフォームをしている住人に賛同して貰うのは特に難しいこと
  • 専有部内でも水回りのリフォームが必要になるが、宅内工事をしない住人が発生してしまうこと等

既に、毎年水漏れが発生し、管理組合からの出費も嵩み、この問題を放置しておくことができないとのことでの相談でした。リフォーム工事が先行しているI邸以外の部屋も、近い将来に給水・給湯とガスは専有部天井裏で配管できるシステムへと変更したいそうで、管理組合の理事とマンションを建設した不動産会社も同席しての打合せに参加して欲しいとの要望がありました。

特殊な形状である5階、6階は別として、当該階である4階の給水とガスを天井裏で引き直すことができれば、順次下の階へと工事を進めれば、理論的には天井裏の給水とガスをその専有部で使えることになるとの説明でした。打ち合わせの結果、既存天井の位置では梁下を配管するスペースがないことや、各専有部へと引き込む位置も一般化しにくいことから、玄関扉の開閉に差しさわりがない位置まで、廊下の天井全体を落す方向で検討して貰うことになりました。
正直、こちらとしては専有部のリフォーム計画の設計として雇われたのであり、なるべくなら共用部の面倒な工事には関わりたくないところでした。ただ、考えてみれば、築30年を超えるマンションであれば、どこでも似たようなことが問題になっているので、この機会を活かして、どのような対応を考えれば、上手く問題を解決することができるか、きちんと関わりながら、勉強してゆきたいと思っております。

渋谷区西原の住宅リフォーム相談

相談

幼稚園の同級生(!)のI君からの問合せで、西原の240平米の戸建住宅のリフォーム及び建て替えの相談に伺って参りました。

I君とは、5年ほど前の幼稚園創立60周年記念の会で再会を果たして以来の付き合いで、これまでも幾度か購入予定の住宅の間取りなどについてアドバイスさせてもらっていました。

代々木上原から徒歩5分、渋谷区西原の閑静な住宅地に築30年弱の鉄骨造住宅を購入したとのことで、今回初めて現地を見ながら、今後の流れについてお話ししました。

現在は2階に仮住まい中で、写真で紹介しているのは1階部分です。以前の持ち主の方が、住空間に対して相当なこだわりを持っていらしたらしく、恐らくDIYで張った羽目板や、この写真のように、暖房用ストーブを置くための設えなど、普通の住宅とは一味も二味も違った、面白い作りでした。

1・2階とも、浴室の中に便器が設置してある、2イン1のような水廻りスタイルになっていました。

事前に見せて貰った図面では、軽量鉄骨造のように見えましたが、屋根裏の空間を拝見したところ、重量鉄骨造でした。構造的には、ギリギリ新耐震の基準以降の建物で、重量鉄骨造なので、それほどの補強は必要なさそうでした。

一部を賃貸する案やピロティー形式で1階を貸駐車場にした場合等、色々なケースについて、こちら側の想定で事前にスケッチプランを用意していたので、それらを見比べながらのアドバイスをさせてもらいました。今後も何らかの形でお手伝いできればと思っています。I君、奥さま、どうぞ宜しくお願いいたします。