Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

高輪I邸リフォーム計画 本日着工

高輪I邸

図面完了後も見積りや金額調整、工務店との契約や管理組合へのリフォーム申請、そして近隣挨拶と準備を進めてきた、高輪のヴィンテージマンションリフォームI邸の工事が着工となりました。

と言っても大掛かりな解体は明日からで、本日は地味な作業から取り掛かって貰っています。写真は電気屋さんの器具取外しです。

取り外された器具たちです。インターフォンや自火報、前の住人の方が契約していたセコムの機器等が順次取り外されてゆきます。

かたや共用廊下もエレベーターからリフォームする部屋の前までは、床をビニールシートで養生して貰います。事前に理事長や管理人さんたちとも詳細に養生内容について打合せをしているので、無駄のない効率的な養生計画ができました。

エレベーターも2台あるうちの1台は工事期間中、養生を外さないで良いとの了解を得ているので、きっちりプラ段を留めてもらっています。明日からは、いよいよ解体です。リフォーム工事をお願いすることになった株式会社の片岡社長、これから工事完了までどうぞよろしくお願い致します。

リノベーション研修@ニューヨーク-5

見学記

ニューヨーク研修の一環で、日帰りで郊外のハンプトンに出かけてきました。ハンプトンとは、マンハッタンから車で約2時間の富裕層が集まる別荘地で、日本でいえば軽井沢と湘南を掛け合わせたようなイメージの場所です。6月4日の独立記念日前後から9月頃まで、ニューヨークのお金持ちの半分がハンプトンに引っ越しているのではと思えるほど、社交的にも賑わう場所です。

ハンプトンは、中心のサウスハンプトン、その郊外に散らばるイーストハンプトン、ウォーターミル、ブリッジハンプトンやハンプトンベイズといった小さな町を合わせてハンプトンズと呼びます。写真は、サウスハンプトンの繁華街の様子です。ちなみに、1994年にCKAで働いていた時には、サウスハンプトンの別荘の設計監理を担当していたので、一年中現場監理に来ていました。

ハンプトンの街並み

こちらは繁華街から車を2分ほど走らせた、高級別荘地の様子です。海辺のリゾートで、海だけでなく沢山の入江や池が複雑に絡み合った地形の間をこのような樹木に覆われた涼しげな通りが縫って走っています。

通りの両側には写真のような豪華な別荘が並んでいます。

これは町の不動産屋の店頭広告ですが、勾配屋根にウッドシングル張りの外壁で、ちょっとすすけたような灰色を基調と、左右にウィングを張るような構成が典型的なハンプトンスタイルの別荘です。

そんな高級別荘街から一歩入り込んだ、この細道(既にここから私有地です!)の奥、昔働いていた事務所CKAのボス、ピエトロ・チッコニャーニが借りている別荘を訪問しました。

細い道を抜けた先に現れた別荘です。気温は30度を超える猛暑でしたが、湿度が低いので木陰は涼しく、思わず左手に見えるハンモックで一寝入りしたくなります。

別荘の内部は木目調で、本来のハンプトンスタイルからは少し外れていますが、天井の高さや、好きな家具を集めたインテリア、そして目の前には池が広がる構成は、ハンプトンらしい別荘なのではないでしょうか。

広さは300平米程度で、標準的な広さで、CKAで設計した別荘では、500平米超えや800平米程の大きな別荘も幾つか拝見したことがあります。こちらは4ベッドルームの間取りですが、写真のように立体的に構成されているので、広さ以上の伸びやかさを感じました。

最上階の主寝室は正面に池を望むベストな位置にあります。写真左上、ベッドの上には屋根裏部屋があり、マスターベッドルーム専用の浴室と洗面があり、寝室越しに景色が楽しめる仕掛けになっていました。

こちらは池川から見た別荘の外観です。左手奥にはプールが見えます。何の施設もないように見えますが、実は地下にヒーターが梅らえており、温水プールにできるようになっています。

お買いものや料理、お掃除は二人のハウスメイドがしてくれます。ちょうど、ピエトロの彼女と、二人の娘さんと彼女たちの友達が訪問中で、大きなBBQリブとたくさんのベリー類が見えますね。

僕らはしばらくプールで泳がせてもらった後、徒歩5分のところにあるビーチに散歩に行ってきました。海岸の様子は日本に似ています。少し人口密度が低いのと、駐車場には地域の人か別荘オーナーしか駐車許可をもらえないので、いわゆる観光客が少ないのが特徴です。

帰り際は、再度サウスハンプトンの町に寄って、ハンプトンスタイルのインテリアショップを見て回ってきました。

リノベーション研修@ニューヨーク-4

見学記

ニューヨークの設計事務所訪問の第2弾です。友達が働いているPeter Pennoyer Architectsは、富裕層に特化した設計事務所としては、アメリカでも有数の有名事務所です。

ビルのワンフロアを借り切って、30人ほどのスタッフが、設計・インテリア・アーカイブ(資料庫)部門に分かれて働いています。

日本の設計事務所から見て、一番驚かされるのが、この壁に掛けられた水彩画ではないでしょうか?プロジェクトのある程度の骨子が見えてきたところで、事務所内のプロの画家兼デザイナーが、建物の立面の水彩画を描き出すのです。色まで付けてほぼ完成させた絵を、一度全て洗い流してから、再度描き直すことで深みが出てくると説明してくれました。このデザイナーの方は、立面のデザインだけでなく、装飾品や調度品のデザイン、更にはお施主様が持ってきた一つのドアノブから、そのデザインを展開して家中の金物のデザインまで作り上げることができるそうです。

詳細に対するこだわりも強い事務所で、レリーフやモールディングも、お仕着せの物ではなく、自分たちオリジナルなものをデザインして使ってゆくそうです。

こちらは、クラウン・モールディングや幅木のデザインを決める図面です。CKA在職時に、当時のボスから色々と教わったルールを思い出しました。日本では、モールディングを使った空間の設計はあまりありませんが、この事務所では、オーソドックスなルールに従ってモールディングからデザインできることは、富裕層に人気の理由の一つだと聞きました。
因みに、このモールディングは、メイン州の島一つを購入したお施主様のプロジェクトのデザインの一環で、メインの住宅やゲストハウスやプール、プールハウス等すべてを設計する予定で、約20億円程度の予算だそうです。事務所では、この規模のプロジェクトは6つ(!)同時に動いているとのことでした。

友達で、事務所を案内してくれたジム・テイラー君との記念写真です。因みに彼は、イギリスの大学でモダンな建築の勉強をして、以前働いていた事務所もバリバリのモダンデザインだったそうです。

こちらは違う友達が働くD’aquinoMonaco事務所です。ボスのフランシーヌはCKA事務所の先輩でした。

こちらは打合せ室の様子です。今はダウンタウンで三棟並びのタウンハウスを一つに繋げるリノベーション計画が進行中とのことで、その住宅のインテリアの打ち合わせの為に、壁には家具、床にはラグの候補が並べられていました。

これがその住宅のプランです。古い建物なので、内部は構造も含めて全てやりなし、正面のファサードは補修しながら今のイメージをきちんと継続してゆくそうです。

フランシーヌは残念ながら留守だったので、友達のナサニュエル君とうちの娘と一緒の記念撮影です。
因みに、日本ではあまり伝えられていませんが、米国ではサブプライム問題からリーマンショック以降まで相当な不景気で、今回見学させてもらった事務所ほぼ全てで、大規模なレイオフ(首切り)が行われ、経営的な危機に見舞われたようです。