Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

キッチン・玄関のリフォーム ビフォー&アフター

白金台S邸

白金台のマンションS邸のリフォームの様子を工事前と後で比較しやすい写真に纏めたシリーズの第二弾です。まず、キッチンのリフォームで大きく変わった事は以下のポイントです。

  • お施主様の背丈に合わせた二段カウンターに変えたこと
  • 扉を開けた時に、リビングダイニングと違和感がないように素材を変えたこと
  • 窓周りの変な位置にあった吊戸棚を纏めたこと
  • 小さなシンクを大きく変更し、”スポンジや洗剤の収納”を作ったこと
  • 石張りだった壁を掃除が楽な”キッチンパネル”と、”塗装壁”に変えたこと
  • カッコはよいが使いにくかったガゲナウのガスレンジを、使い勝手が良いハーマンのガスレンジに変更したこと

キッチンリフォーム ビフォー&アフター

リフォーム前のキッチンは、機器類の交換などのミニリフォームでもまだ使えるキッチンでしたが、シンクの小ささや、カウンター高さの違和感のために、全面的に交換することとしました。ガスレンジやシンクの位置は変わっていないのですが、吊戸棚を左側の壁に纏め、窓の右側を空けたことで、空間のスッキリ度が随分変わったことが判ると思います。

小さなポイントですが、壁を石から塗装に変更した際、窓周りの段をなくし、スッキリした木製の枠に造り替えたことも、スッキリ見える理由かも知れません。

因みに、ガゲナウのレンジは、つまみがカウンターの上部にあり、高齢者の方が扱うには力が入りにくく、着火しにくいという不便さがありますが、若い方であれば全く問題はありません。

玄関およびホールでリフォームした部分は以下の項目です。

  • ピカピカしていた靴収納を木目調の靴収納に造り替えたこと
  • 靴収納に合わせてベンチ(座って靴を履く)を作ったこと
  • 同じ素材でプライベートゾーンへと続く建具扉を作ったこと
  • 折り上げ天井をふさぎ、フラット天井として、埋め込みの照明をつけたこと
  • 内部床仕上げをフローリングに変え、靴脱ラインを明確にたこと
  • コート掛けの収納扉を鏡とし、姿見にしたこと(この写真では見えません)

以前は小さな空間の中に、白いピアノ塗装、木目調の扉、アンティコスタッコの壁など色々な素材が整理されない状態で並んでいましたが、靴収納とベンチと扉を全て同じオニグルミの突き板としたことで、空間の統一感が生まれたのではないでしょうか。

使い勝手上も、ご年配のお施主様が靴の脱ぎ履きに便利なベンチや手摺り棒を設け、以前はなかった姿見の鏡を設けたことで随分使いやすくなったハズです。

シンプルモダンとクラッシックモダンのインテリア

リフォーム

カガミデザインリフォームでお手伝いしてきた、マンションリフォームの実例が増えたので、デザインの傾向を大きく二つに纏めてみました。

シンプルモダンデザイン

シンプルモダンデザイン

常に変わらず一番人気があるのが、このシンプルモダンなデザインのようです。シンプルモダンとは、マンションのインテリア要素から、余分な飾りや無駄なデザインを排除して、使われた材料の素材感を活かし、シンプルで線の少ないデザインを追及した手法です。実際のリフォーム設計で意識していることは、

  • 壁や天井に大きな面を作ること
  • 柱や梁が目立たないよう、造作家具や壁の位置を調整すること
  • 真っ白にしてしまうのではなく、一部に木材の素材感を活すこと
  • 窓や建具周りの枠、巾木などのディテールをシンプルに納めること
などです。写真の事例は上から、白金台S邸白金台K邸南麻布MT邸です。

クラッシックモダン

クラッシックモダンインテリア

クラッシックモダンと言い切ってしまって良いのか判らないのですが、最近特に人気であるのが、この傾向です。シンプルモダンに比べると、

  • 複数の素材感がある材料を組み合わせること
  • 色や照明、建具などにこだわること
  • 華やかな家具やアート、調度品をコーディネートすること

などが特徴です。高級感あふれる調度品や華やかな家具に、インテリア空間が負けないように、枠飾りや目立たないモールディングなどのディテールや、色・素材感などにしっかりとしたデザインが必要となります。海外のリゾートや、高級ホテルなどの写真を参考にしながらデザインすることも多いのですが、非日常的なデザインを日常の生活とどのようにあわせるかに、設計者としての手腕が求められます。

写真の事例は上から、高輪M邸ニューヨークS邸、広尾H邸です。これら以外にも、数多くのマンションリフォームの事例を紹介していますので、どうぞご覧ください。

リビングダイニング ビフォー&アフター

白金台S邸

白金台のマンションS邸のリノベーションの様子を工事前と後で比較しやすい写真にまとめて見ました。リビングルームのリノベーションで大きく変わった点は以下の通りです。

  • 東側の窓を幾つか塞いぎ、壁を増やしたこと
  • 床をフローリング仕上げにしたこと
  • 折り上げ天井を塞ぎ、フラットな天井にしたこと
  • 窓枠を交換し、アルミサッシの内側に木製の頬立て(ホオダテ)を付けたこと
  • 造作(作り付け)のカウンター収納を作ったこと
  • 照明を変更したこと

中でも空間的に一番大きな影響を与えたのが、窓を塞いだことでしょう。

リビングリフォーム ビフォー&アフター

この写真の上下で比較していただくと、空間の落ち着き度の違いが判ると思います。今回のこの東側(写真正面)の窓は、隣のマンションが丸見えで、プライバシー的にも、ブラインドを常時閉めておきたくなる窓でした。

一般に窓が多い方が歓迎されますが、この窓は床まで開いており、家具を置く場所もなかったので、塞ぐこととしました。よく見ていただくこと、左側のダイニングにあった窓も、塞いでいることが判るハズです。

かつてリビングと隣接し、ガラス製のパーテーションで区切られていたダイニングが変わった点は以下の通りです。

  • リビングとのパーテーションと壁を撤去したこと
  • 玄関ホールとの間仕切り壁も撤去し、建具を設置したこと

その他、フローリングや照明、天井についてはリビングと同じです。

ダイニングで一番大きな影響があったのは、パーテーションを撤去したことです。高級住宅が増えてくると、リビングとダイニングが別室になっているケースが増え、それがステイタスとなってきているようです。

確かに、リビングとダイニングが別部屋になっていると、食事する空間とリラックスするスペースが分かれて、落ち着くことが考えられますが、その為には以下の条件も必要なハズです。

  • リビングが広いこと(3〜40平米は欲しい)
  • キッチンの中に家族が気軽に食事ができるスペースがあること

これらが揃っていないのにリビングとダイニングが分かれると、結果的にダイニングがファミリールーム(”家族室”)となり、子どもの遊び道具や、家事の書類などが散乱してしまうことになります。

また使い慣れていないと、どちらかの部屋が使われなくなったり、折角のパーテーションが開きっ放しとなり、そうであれば、最初から一室にしておけば良かったことになってしまいます。

今回はご夫妻お二人の住居で、お子様がいる訳ではありませんが、一室にすることで、見渡しが効き、お互いの存在を確認しやすい間取りとしています。