Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

マンションリノベーション 墨出し

白金台S邸

港区白金台のマンションリノベーション・プロジェクトでは解体工事も無事終了し、墨出しの確認のため、現場に行って参りました。墨出しとは、建築工事の用語で、「壁及び床下地工事(木工事またはLGS工事)を始める前に、柱の中心線や床・壁の仕上げ面の位置など、工事の基準となる線を現場に記す作業」のことです。

マンションリフォーム 墨出し

リフォーム工事の場合は解体後に、躯体の寸法やカネ(直角かどうか)、レベル(水平の具合)を確認しながら、床下地の上に、新しい壁や造作家具、建具の位置を墨で直接描いてゆく作業となります。

さすが築5年で大手スーパーゼネコンが施工した高級マンション、カネ(コーナーの直角)もレベルもきっちりと出ており、管理組合で見させてもらった竣工時の図面や事前測量から推定していた寸法にも、大きな違いがありませんでした。

施工側が事前に記してくれた墨の位置を確認し、図面と比較しながら、微調整してゆきます。いくらカネが出ているとはいえ、細かい箇所では、何を基準にして寸法を調節してもらうかは、設計者の判断となります。建具の大きさから、搬入される家具のサイズまで勘案して、墨の位置を確定してゆきました。
リフォーム墨だし
左側写真の手前に、黒で床に書かれている線が墨です。

  • ○が付いている線が確定した墨で、×がついている線が、訂正された墨です。
  • これで、壁や柱の位置が確定されたので、

次のステップは、家具屋やキッチン屋と一緒に寸法の確認と、建築工事との取り合いを相談することになります。

マンション解体 壁先施工か床先施工か?

白金台S邸

港区白金台のマンションリノベーションの解体工事が始まって、ちょうど一週間、途中経過報告です。

解体前の事前調査で、今回の既存内装が、壁先施工で行われていることが判っていました。最近の高級マンションの床下地は、上下階の騒音問題などの理由により、置き床工法が採用されているケースがほとんどです。その置き床工法でも、壁を先に施工するか、”床を先に施工”するかで、大きく二通りの施工方法があります。

コンクリートで空間が出来た段階から内装工事が始まりますが、まず先に壁を立てるのか、それとも”床の下地を作る”のか、の違いです。壁先施工の場合、壁が出来上がった後、それぞれの部屋の空間の仕様に応じて、床下地を組み立てて、天井下地を組んでゆきます。

それぞれの部屋の床の仕上げ材が違っていながら、(畳敷きの和室や、”石敷き”の洗面や”床暖房”のあるなしなど)全てを同じサーフェス(面)に仕上げたい場合、この壁先施工の方が楽になります。

床仕上げ材が全室同じで、天井の高さもそれほど変わりがない場合は、床先施工が行われる可能性があります。マンション一戸分全体に、床下地を組んで、その上に壁を建ててゆく事になります。

内装施工時には、それぞれのケースに合わせて、どちらかの工法が選択されますが、解体する際は、どちらの工法で作られているか、きちんと把握しておく必要があります。壁先施工だったことを知らずに、下手に壁を壊した場合、天井が落ちてきてしまうことがあります。※因みに、最近は施工スピードを考えて、壁先施工事例が多いようです。

今回の事前に、コンセントプレートを外して、棒を突っ込んでみるという簡易調査で、壁先施工であることがわかっていました。解体業者にも十分注意しながら解体してもらいました。

写真は、寝室部分の解体情況写真です。二つ分の寝室と、”ウォーク・イン・クローゼット”(通称:WIC)を纏めた分のスペースなので、広々として、とても広く感じます。床下地と天井下地に、かつて壁があった箇所にスリットが入っているのが、”壁先施工であった証”です。

空間の中心に一本だけ仮柱が立っていますが、実はこの柱を抜いてしまうと、その付近の天井が落ちてしまうので、その補強となっています。

AllAbout「高級マンション」の記事 麻布MT邸

麻布MT邸

都内の高級マンションについての記事では定評がある、All About「高級マンション」に南麻布の高級マンションリフォームについての記事が掲載されました。「新しいマンションを探す際にも、立派なモデルルームばかりを見学するのではなく、オーナーの個性がきちんと反映されたリフォーム事例を見ておくことは勉強になる」といった趣旨の記事です。つまり、新築マンションのモデルルームは、幾ら立派で素敵でも、あくまでイメージであり、その通りに住んでいる人は居ない。

また、再販を目的としてリフォームされた、いわゆるリノベマンションも、デザイナーの個性が全面に出すぎているので、住み手にはあまり参考にならない。そこで、参考になるのがオーナーの個性が、生活感となってにじみ出ている家こそが良いお手本になる。という流れで、麻布MT邸を紹介してくれています。

写真もガイドの坂根さんが撮ったものばかりですが、これが生活感を上手く写しながら、リフォーム設計の趣旨も表現してくれている、とても素敵なアングルの写真ばかりです。特に隠し扉と子どものプレイコーナーを一緒に撮ったアングルや、バルコニーの木製フェンスと植栽を写したカット、窓際の小物を切り取った写真など、見ていて楽しくなるものばかりです。「高級マンション」のサイト、坂根康裕さんの記事は、これまでも本当に参考にしてきたので、取り上げてもらえたことは、とても刺激になりました。