Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ナゾの棒の正体は?ミニロフトの工夫-1

伊豆OK別荘

伊豆の中古別荘リフォームのデザインの工夫の紹介です。

のぼり壁の工夫

写真の床に転がっているナゾの棒、長さはマチマチで、太さも途中で削ってあり、太い部分と細い部分があります。テレビの某劇的リフォーム番組であれば、ここで匠(タクミ)が登場して、棒を削りだして、プログラムの最後まで、その正体を明かさないのでしょう。ここは普通のブログですから、もったいぶらずに説明いたします。

登り壁の工夫

この写真で、スタッフの岸本さんが登っている壁の取っ掛かりが、この棒の正体なのです。子どもたちが登れる、ミニロフトを設けましたが、そのロフトへの登る一つの方法が、この「登り壁」です。ランダムな配置で、ランダムな長さ、子どもたちが自分の身長や体力に合わせて、どの棒に捕まって、或いは足を掛けるのかを判断しながら自力で登ってもらう、そんなイメージの壁です。大人にとってはリラックスしたい別荘も、子どもにとっては体力が有り余って、動き回りたくなることが多いようです。こんな工夫があれば、雨の日でも、子どもたちは退屈しません。

上り壁の詳細

デザインとしてスケッチを書いたり、ランダムな配置をレイアウトするのは、設計上、とても簡単な作業です。しかし、体重30キロを超える子どもたちが、登ったり降りたりする荷重を支え、しかもレッドシダー張りの壁に金物は見せたくない、そんな工法的な問題を、大工の棟梁と相談しながら、取り付けの工夫を考えました。レッドシダーの裏側に、合板を二枚張りにして、表と真ん中の一枚には棒の直径に合わせた穴を空けておいて貰う。
その穴の位置に合わせて、棒を設置し、最後に裏側から閉じた合板をビスでしっかりとめる、そんな方法でこの棒をきれいに固定して貰いました。棟梁の佐々木さん、きれいな納まりで作ってくれて、どうもありがとうございました!

増築玄関のデザインの意図

伊豆OK別荘

伊東の別荘デザインリフォーム現場もいよいよ終盤に差し掛かって参りました。以前のコラム別荘の新しい玄関の考え方でも書いたとおり、かつては建物下部のピロティーから、急勾配で上がっていた玄関を、年配のオーナー夫妻のために、外部に緩やかな勾配の階段とこじんまりとした玄関ホールを増築することになっています。古い別荘に対して、新しい要素が加わるので、デザイン的には全く別の構成要素が取り付くイメージとしています。

増築玄関

階段の箇所の上部には、既存の押入れが出っ張ってきているので、それを避けるように、階段が少し歪むことをデザイン要素として取り上げています。外側に歪んだ形となったことで、上手く人を招き入れるデザインになったのではと自負しています。古い別荘の外観は、ベージュが風化したような色なので、この玄関部分の色合いは、全く変えてダークグリーンとしました。

緑の板金張りの増築玄関

緑の植栽の中に埋もれた箇所であることと、緑の中を通り抜けて、新しく生まれ変わったインテリア空間に入ってゆくイメージで、この色を選びました。鋼板の張り方も、普通の葺き方ではなく、板金屋さんの技術が必要な一文字葺きとしました。増築部分が一つの塊に見えるようにするためです。

坂倉準三展@神奈川県立近代美術館 鎌倉

見学記

昨年までの教え子たちに誘われて、鎌倉の神奈川県立近代美術館の「坂倉準三展」に出掛けて参りました。 坂倉準三の軌跡 学生時代に坂倉事務所にアルバイトに行ったことがあり、建築史の教科書や雑誌を通して勝手に親近感を持っていた、偉大な建築家の展覧会です。

 ある程度は知っているツモリでいた彼の活躍振りですが、改めて回顧展として拝見して、その活躍の場の広さと量、質の高さに圧倒されてしまいました。 複雑に建物が重なり合った渋谷駅の構想、新宿駅前広場のモニュメンタルな構造、パリ万国博覧会の詳細な模型や、彼の手書きの図面は、見ていると彼の息吹が感じられるようで、何時までも飽きませんでした。

神奈川県立近代美術館 鎌倉 そしてその展示会の会場、この神奈川県立近代美術館-鎌倉の建物が、坂倉氏の設計であることも、展示が素晴らしく感じた要因だったのでしょう。 二階の濃密な展示を見た後、一階の池と庭へと開放された広場で、風に吹かれながら学生たちと展示の感想をおしゃべりすることが、とても幸せに感じるひと時でした。 展示会に誘ってくれた学生さんたち、どうもありがとうございました。