Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

寝室のしつらえ

白金台S邸

本日は、お施主様が久しぶりに工事現場見学に、来てくださいました。写真はご夫婦の主寝室の様子です。ヘッドボードなしのベッドマットだけを購入することになったので、壁にヘッドボードを建築工事でセットすることになりました。

寝室リフォーム

シナベニヤという一般に普及している材料ですが、継ぎ目の目立たない、きれいなシナ材を入れてもらいました。枠の部分も、同じシナで廻して貰っています。同じ材料を下がり天井部分にも貼って、凹んだニッチの部分を、優しい白木で囲んだイメージとしています。

タイトルを「寝室のしつらえ」としましたが、この「しつらえ」とはどういった意味でしょうか?建築的には、「空間や部屋の演出方法」という意味で使われることが多いようです。ここでは、建築の演出方法だけでなく、

  • 朝ベッドで目覚めた時に、どのような”景色”が目に入るのか、
  • 休日に、ベッドでまどろんでいる時の”光の様相”、
  • 夜寝る前に、ベッドで本を読んでいる時の”周りの雰囲気”、

このようなシチュエーションを考えて、「しつらえ」という言葉を使ってみました。

従って、建築工事だけでなく、どのようなベッドを入れて、どのような”リネン”を使い、枕やお布団にまで気を使い、カーテンやブラインドの素材や色は勿論、家具や”照明”、”置かれる小物”や、飾る絵画・調度品まで、お施主様とご相談しながら、考えて行きたいと思っています。とはいえ、計画がガチガチにされた余裕のない空間ではなく、季節や気分に応じて、簡単に”雰囲気”の変えられる、懐の深いインテリアを目指しています。

庭のボコボコ穴 ガーデンデッキの基礎

伊豆OK別荘

本日工務店から送られてきた現場報告写真に、庭に穴がボコボコに空けられているものがありました。この庭に空いた穴の正体は、実はガーデンデッキの基礎です。今回のリフォームでは、建物の南側の庭上部に大きなウッドデッキを浮かせる予定です。大きさにして、約10畳の広さのデッキです。デッキの手すりも片側は木製の壁として、道路からの視線を遮り、二面は開放的な手摺りとして、庭の景色を楽しめる構成を考えています。

ピロティー形式(コンクリートで室内を持ち上げて、二階レベルに空間を作る形式)の住宅は、室内の床レベルが高いことで、景観は良くなりますが、その分、庭との繋がりが悪くなるという欠点もあります。そのメリットを活かしながらデメリットを解消するために、この大きなウッドデッキを設けることに致しました。

室内とは同じレベルで繋がり、素足でも歩けるウッドデッキとし、裏には階段を設けて、庭へもスムーズに繋がる予定です。写真は、穴の上に型枠を組んで、内部に鉄筋を組んで、コンクリートで固める様子です。

アルミサッシの冷たさを消すリフォームの工夫

白金台S邸

白金台のマンションリノベーション工事では、幾つかのデザイン的な細かい工夫をしています。このマンションには、大型の窓サッシが当初からついていました。大型開口は、室内に明るさをもたらし、今回のケースのように外の景色が良い時には、素晴らしい眺望を与えてくれます。

アルミサッシのリフォーム

しかし、大量生産の悲しさか、どうしてもアルミサッシが多用され、開口部が冷たい、味気ないイメージになってしまいがちです。そこで今回は、そのサッシの内側に、木製の枠を組み立ててみました。室内側に枠分のボリュームが飛び出てきますが、窓周りに作った大枠と同じ材料で作った”竪枠”(たてわく)が、アルミの冷たさを消してくれる予定なのです。

以前のコラムにも書いたように、天井に折り上げの段差があるのが、スマートでないと思っています。なるべくフラットなイメージの天井にするために、一般には、小さめのグレアレス・ダウンライトを設置しますが、今回は壁際にアートを飾る予定なので、その位置や大きさによって光の向きを変えられるトラックライトを設置することになりました。

間接照明のディテール

トラックライトをそのまま天井に取り付けると、メカニカルな部分が目立ってしまうので、上の写真のような照明用のボックスを作りました。小口を斜めにカットし、ボリューム感を消し、仕上げを天井と同じ色で塗装するので、最終的にはほとんど存在感がなくなる予定です。

これらのような小さなデザイン的工夫と、全体の構成計画が合わさって、きれいで快適な空間が出来上がると信じて、毎日設計を続けています。